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14話
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次の日、俺が目を覚ますと、グルドラが早速声をかけてきた。
「おう、目が覚めたか!今日は大事な日だぞ。」
「大事な日?何だよ、それ。」
「『異世界大運動会』だ!」
「……は?」
俺が寝ぼけた目をこすりながら言うと、グルドラが興奮気味に説明を始めた。
「この異世界では年に一度、すべての騎士と魔物が集まって、運動会をするんだ!もちろん、参加するのは俺たちだけじゃないぞ。魔物、精霊、神々まで…みんなが参加する超盛大なイベントだ!」
「え、神々も?」
「おう!でも、あの神様は来るかどうか分からないな。最近、また寝てるから。」
そう、あのめんどくさがり神様が、また寝ているというのだ。それでも、どうしても参加しなければならないらしい。もちろん、俺のことはお構いなしに、グルドラは俺を連れて行くことを決めた。
「お前、運動は得意か?」
「全然…いや、むしろ嫌いだ。」
「なら、心配するな!競技は楽しくやるものだ。競争なんて気にするな!」
そう言われて、俺は運動会に連れて行かれた。しかし、着いた先で見た光景に驚愕することになる。まず、会場は異常に広く、あらゆる魔物たちや騎士たちが準備をしていた。中には、巨大なトロルが軽やかに縄跳びをしていたり、サイクロプスが綱引きの縄を持ち上げていたりと、何とも言えない光景が広がっていた。
「うわ、何これ…」
「さあ、参加者全員集合だ!競技はたくさんあるぞ!」
運動会の司会をしていたのは、なんとあの神様だった。やはり寝ぼけた顔をしていたが、それでも一応仕切っているようだ。
「まずは、障害物競走から始まる!この競技はちょっと特殊で、途中で魔法を使ったり、魔物の力を借りたりするからな!それじゃあ、みんな準備はいいか?」
その瞬間、グルドラが俺に目を輝かせて言った。
「お前、障害物競走に出るぞ!」
「ええぇぇぇ!?俺、絶対無理だろ!」
「大丈夫だ、俺がサポートしてやるから!」
結果的に、俺はグルドラに押される形で障害物競走に出場することになった。そして競技が始まると、もう何もかもが予想外だった。
まず、目の前に現れたのは巨大なロープの壁。だがそれを登ろうとした瞬間、ロープが突然生き物のように動き出して、俺を捕まえようとする。あわてて引き寄せられそうになったが、すぐにグルドラが翼を広げて俺を助けてくれた。
「さすがグルドラ!助かった!」
「いいから次行くぞ!」
次に現れたのは、巨大なボールが転がってくる障害物だった。俺がそれを避けようとする間に、後ろから巨大なドラゴンがボールを蹴り飛ばしてきて、俺がそのボールにぶつかり、吹っ飛んでいく。
「うわ、なんだこれ!?」
気がつけば、障害物競走の最中に他の参加者もバラバラに巻き込まれていく。ミノタウロスのガルムが他の選手を投げ飛ばしたり、サキュバスが魔法で障害物を変形させてみたりと、まるでカオス状態だ。
「これ、もはや競技じゃないだろ…」
「でも面白いだろ?」
「面白くはないよ!」
ようやく障害物競走を終えたが、俺の服は泥だらけ、顔は砂だらけで、完全にやり切った感が漂っていた。
「やったぞ!お前、よくやったな!」
グルドラが俺の肩を叩くが、俺は全く嬉しくない。
「俺、二度とこんなことやらない。」
その後、さまざまな競技をこなし、最終的に運動会は終了。結果発表となり、見事、グルドラが優勝した。もちろん、グルドラの競技での活躍は、他の参加者たちからも注目され、英雄扱いだ。
「お前、すごかったな!次は何かまた挑戦しようぜ!」
「勘弁してくれ…」
運動会が終わり、俺は完全にぐったりしていたが、帰り道でまたアルトが笑いながら言った。
「来年も一緒に出ような!」
「いや、来年なんて来ない。」
それでも、妙に楽しかった運動会。異世界の騎士と魔物のフレンドリーさと、何でもありな競技に、少しだけこの世界に馴染んできたような気がした。
「おう、目が覚めたか!今日は大事な日だぞ。」
「大事な日?何だよ、それ。」
「『異世界大運動会』だ!」
「……は?」
俺が寝ぼけた目をこすりながら言うと、グルドラが興奮気味に説明を始めた。
「この異世界では年に一度、すべての騎士と魔物が集まって、運動会をするんだ!もちろん、参加するのは俺たちだけじゃないぞ。魔物、精霊、神々まで…みんなが参加する超盛大なイベントだ!」
「え、神々も?」
「おう!でも、あの神様は来るかどうか分からないな。最近、また寝てるから。」
そう、あのめんどくさがり神様が、また寝ているというのだ。それでも、どうしても参加しなければならないらしい。もちろん、俺のことはお構いなしに、グルドラは俺を連れて行くことを決めた。
「お前、運動は得意か?」
「全然…いや、むしろ嫌いだ。」
「なら、心配するな!競技は楽しくやるものだ。競争なんて気にするな!」
そう言われて、俺は運動会に連れて行かれた。しかし、着いた先で見た光景に驚愕することになる。まず、会場は異常に広く、あらゆる魔物たちや騎士たちが準備をしていた。中には、巨大なトロルが軽やかに縄跳びをしていたり、サイクロプスが綱引きの縄を持ち上げていたりと、何とも言えない光景が広がっていた。
「うわ、何これ…」
「さあ、参加者全員集合だ!競技はたくさんあるぞ!」
運動会の司会をしていたのは、なんとあの神様だった。やはり寝ぼけた顔をしていたが、それでも一応仕切っているようだ。
「まずは、障害物競走から始まる!この競技はちょっと特殊で、途中で魔法を使ったり、魔物の力を借りたりするからな!それじゃあ、みんな準備はいいか?」
その瞬間、グルドラが俺に目を輝かせて言った。
「お前、障害物競走に出るぞ!」
「ええぇぇぇ!?俺、絶対無理だろ!」
「大丈夫だ、俺がサポートしてやるから!」
結果的に、俺はグルドラに押される形で障害物競走に出場することになった。そして競技が始まると、もう何もかもが予想外だった。
まず、目の前に現れたのは巨大なロープの壁。だがそれを登ろうとした瞬間、ロープが突然生き物のように動き出して、俺を捕まえようとする。あわてて引き寄せられそうになったが、すぐにグルドラが翼を広げて俺を助けてくれた。
「さすがグルドラ!助かった!」
「いいから次行くぞ!」
次に現れたのは、巨大なボールが転がってくる障害物だった。俺がそれを避けようとする間に、後ろから巨大なドラゴンがボールを蹴り飛ばしてきて、俺がそのボールにぶつかり、吹っ飛んでいく。
「うわ、なんだこれ!?」
気がつけば、障害物競走の最中に他の参加者もバラバラに巻き込まれていく。ミノタウロスのガルムが他の選手を投げ飛ばしたり、サキュバスが魔法で障害物を変形させてみたりと、まるでカオス状態だ。
「これ、もはや競技じゃないだろ…」
「でも面白いだろ?」
「面白くはないよ!」
ようやく障害物競走を終えたが、俺の服は泥だらけ、顔は砂だらけで、完全にやり切った感が漂っていた。
「やったぞ!お前、よくやったな!」
グルドラが俺の肩を叩くが、俺は全く嬉しくない。
「俺、二度とこんなことやらない。」
その後、さまざまな競技をこなし、最終的に運動会は終了。結果発表となり、見事、グルドラが優勝した。もちろん、グルドラの競技での活躍は、他の参加者たちからも注目され、英雄扱いだ。
「お前、すごかったな!次は何かまた挑戦しようぜ!」
「勘弁してくれ…」
運動会が終わり、俺は完全にぐったりしていたが、帰り道でまたアルトが笑いながら言った。
「来年も一緒に出ような!」
「いや、来年なんて来ない。」
それでも、妙に楽しかった運動会。異世界の騎士と魔物のフレンドリーさと、何でもありな競技に、少しだけこの世界に馴染んできたような気がした。
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