三国志英雄伝~呂布奉先伝説

みなと劉

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51話

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光が収まると其処には黒い鎧を着た騎士が現れる その黒髪の騎士を見て俺は絶句していた 。
(え?……まさか……あの人なのか?)
俺の中で動揺していると声をかけられた。
そして俺は声を聞いて理解してしまう
(やっぱりそうか)
そして目の前の黒騎士が口を開くと、懐かしい声が聞こえてきたのである。
【我が主には驚かされる。よもや私が呼び出されるとは】
俺、呂布奉先は黒騎士マルセスの、声に懐かしさを感じた。
「マルセス!」
俺は思わずその名前を叫ぶと黒騎士はその呼び名を否定するかのようにこう言うのである。
《今はナイトと呼んでくれ主。我には名がある》
そして改めてその名を口にした。
俺はこの世界で始めて仲間を得たのである。
《我らが主。今度こそ約束を果たすぞ、必ず世界を救って見せよう。だがその為には力が必要だ、私は貴殿の力になりたいのだ。しかし今の私ではどうする事も出来ない、だから共に鍛え上げ戦いに勝ち抜いて欲しい》
ただそれだけを伝えてくるナイトに俺は答えるのであった。
そしてこれから何が起きるのか予想がつく、恐らく次の敵とは・・ 俺達は再び曹操に戦いを挑む事になる。
そして、俺達には新しい仲間のナイトが加わった そんな時、新たな強敵の予感がしたのである。
この大陸の命運がこの世界に存在する、トゥルケスという魔種族が三国志世界に蔓延っている。
それを曹操と俺、劉備達で倒している。そんな中新たに現れた敵 それを倒しに行くのだろう。
何れにしても準備をしなくてはならない それにしても張飛があんなにも積極的になるなんて思わなかったな。
張飛が積極的な性格をしているのは何となく解っていたのだが俺自身こんな風に求められる事がなかったので戸惑った それに関羽だってそうだ。普段は凛々しい雰囲気を醸し出しているのだが俺の前だと凄く女を感じさせる。特に夜、あれだけ求めてくれれば俺としても応えないわけにも行かない。ただ関羽は張飛が積極的過ぎて引いている部分もあるけどね。そんな事を考えながら俺は曹操の屋敷から少し離れ森の中にいた ここでナイトを呼び出したのだが何故か劉備の姿がないのに気づいた 一体何処に行ったのか不思議でしょうがなかったが取り敢えずは置いておこうと思いまずは現状を把握しようと考えている。そして自分の状況を確認したが正直これはやばいと感じた。
夏侯惇もそれを感じたらしくて俺を拘束して曹操の前に連れていくと言っていたのを覚えている。俺は何とか逃げ出したのだが俺を逃さないように追ってきた者達がいた。
徐晃とその手下らしき連中だ。奴らは必死になって俺を追いかけてきてるみたいである。俺の方は必死に走ると森の中に紛れ込んで逃げおおせたのだ そんな俺は森の中を走り回りつつ先ほど呼びだした 黒の全身鎧を身に付けると同時に剣を構えると迫り来る者共を次々と薙ぎ倒していく 相手は盗賊みたいな恰好をしていた為か 俺のスピードについて来れない様子で次々に倒されていき一人を残して全員が倒された。すると残った者が口を開いたのである。
そして、俺の名前を口にしたので驚く事になった。
それは徐州の人間なら誰もが知っている名前であり 劉備軍にとって最大にして最強の脅威となる武将の名であったからだ 俺に向かって来る賊の正体を知った俺に恐怖が襲うのだった 俺の名前を呟いた人物は確かに言ったのだ "黄巾党首領首魁皇甫嵩将軍は討ち取った。次は貴様の番だ呂布奉先" その言葉は俺にとってはあまりにも唐突過ぎる出来事であった。俺はまだあの世に行きたくないからこうして今も戦っているんだぞ!なんなんだお前等?と叫びたかったがその前に奴は襲いかかって来た。
俺はその攻撃をなんとか避けた物の後ろの木にぶつかった衝撃で倒れてしまう その拍子に兜が外れてしまった のだ。
「チッ……面倒なことしてくれたよ」
俺が起き上がる頃にはもう遅かった、周りは複数の兵士達に囲まれている。俺は舌打ちしながら辺りを見ると 一番奥には豪華な甲冑に身を包んでいる人物が居たのでそれが黄蓋であることに気付いた。どう考えてもあいつが首謀者だよな。
「お、おい!?呂布の頭、角が生えてる」
兵士が言うが夏侯惇は
「普通だよな?お前に角生えてるのなんて?」
とか言いながら笑い出す。どうせまた変に誤解しているんだろうか?と溜息を吐きながらも立ち上がる。そんな時に俺の元に一人の男が近づいてくるのが見える。
そいつは手に弓を持っていて明らかに俺を狙っていた。
咄嵯にその場から避けると矢が放たれ 俺の真横を通り過ぎたのだ。危ねぇ、マジかよこいつ。だがその動きに反応できなかったらしい。
他の兵も武器を振り回しているが誰も近づけていない。そしてその男は声を上げて言う
『やはり私の目に狂いはなかったようだ』そう口にしていた。
俺は目の前の敵を見つめていた。目の前の敵は男 俺と同い年くらいの男に見える、その証拠として俺はこの世界で初めて同世代の同性と出会ったのである。
しかしこいつは何か違和感があった、俺の記憶の中ではこんな格好をしたような人物に出会った事がなかったはずなのだが・・ そんな事を考えている内に敵の数は増えるばかり 流石にこの場では不利だと判断せざるを得なかった。
俺はすぐさま駆けだすとその男は慌てながら こちらを追ってきた。そして森に入ると一気に視界が悪くなるので俺は急に立ち止まる。それを見た敵兵は驚きを隠せない様子であったが構わずに木を盾代わりに身を隠して背後を取ると一撃を与えるが、向こうは軽装なのか鎧を着けていなかったのですぐに気絶させることが出来た。
それを確認し終えると次の敵を始末したのだ。しかし、この森にどれだけの兵がいるのか解らないのである。その為には一刻も早く曹操の元へ帰らなければならないのだが・・・俺は迷っていたのだ。曹操達の元に戻ってもいいのかという不安があるのだ。
だが今戻らなかったら恐らく曹操達に迷惑をかけしまう。そうなると間違いなく命を狙われる可能性があるだろう。だからといって戻る事もできないのだから 取り敢えず曹操の元に戻るとしよう それに今頃劉備達も同じ目に遭っているかも知れないしな。
曹操に頼まれた通りに関羽が劉備を連れて逃げたから曹操の屋敷には劉備がいないはずだ もし居るとするならば関羽と劉備は別々に行動していて曹操達は劉備を探しているところか。俺が考えを整理しているといきなり殺気を感じとった。それもかなり近くからの物だ、俺は剣を構えたのだが相手が悪すぎたのである。
奴はその隙を見逃さなかったらしく槍を向けてくる それを何とか弾くことは出来たがバランスを崩してしまい膝をついてしまう。
「貴様は呂布だろ、貴様を倒す事が我らの悲願だ!」
などとわけのわからない言葉を叫ぶと攻撃を仕掛けてきた。体勢が崩れている為に攻撃を避ける事は難しいと判断したが俺は剣を振るい槍を破壊する事に成功したのである。
これで多少の時間的余裕はできるだろうと安堵したが それはほんの一瞬だけだった。なんと奴は破壊されたはずの短刀を構え直したのである。これはどういう事だと混乱する俺だったが その前に奴は斬りかかって来たのでその対処の為に思考回路を中断されてしまった。それから何度も斬撃を浴びせられるもののなんとか回避して距離を開けようと動く。ただ奴の方が早かった為、逃げ切る事が出来なくなってきている。
こっちは防御に専念しているのに対し 相手はどんどん攻勢に回っているのである。しかも徐々に追い込まれていったのであった。このままではやられてしまうと理解すると俺は全力で剣を振るいなんとかして反撃を試みる。相手はそれを避けて見せたのだが 俺はそのまま突っ込むと奴の体を掴んだのである。これには俺もビックリしたものの 奴は懐から何かを取り出そうとしたのだがそれはさせない、取り出した瞬間には腕の一本でも切り落とそうとも考えたが 流石にそこまでしてしまえば殺すしかないと考えたのでなんとか思い留まる そして奴の手にある物を強引に掴むと同時に地面に投げつけたのである。すると煙が舞い上がる。
それと同時に俺は逃げ出したのだ。
もう無理だってこれ 勝てる気がしないよ!と内心泣き言を言いながら走り続けていた俺の前に一人の女が立ち塞がってみせた。その女の頭からは角が見えており服装も黄巾党の者と一緒だった
「お前が呂布奉先か?ここで仕留めておきたいんだよね、さっさと死ね」
と言いながら襲ってきた。しかし俺としてはそれはありがたかった。
逃げる事に精一杯だった俺にとって敵が増えると言う事は 足手まといが出来るのと同じである。だからこうして一人で戦ってくれるという事はこちらとしてもやり易かったのだ。
俺は相手の攻撃を受け流すと同時に蹴りを入れ 相手を怯ませると共にその流れを利用して距離を取った。この機を逃すべきではないと判断してすぐに仕掛けた 今度は一気に間合いまで踏み込み攻撃を繰り出す 一撃必殺の攻撃なのだがまだ倒れていないところをみるとダメージは少ないらしい それでも少しずつ体力を奪ってやるつもりで 攻めて行った。しかし何度攻撃を当てても立ち上がる姿を見た そこで嫌な予感を覚えた。まさかとは思うが・・・そんな事を考えている場合ではないと考えを振り払うようにさらに追撃していく。そしてとどめを刺す形で攻撃をしようとしたのだが。俺が振った一撃を上手く受け流されて避けられただけでなく、腹を殴られ吹き飛ばされてしまった。
俺は急いで立ち上がり態勢を立て直す。しかし時すでに遅く目の前には 鬼が立っていたのだ。どうやらその拳を受けた際に 口の中を切ったらしく鉄臭い血の味が広がってくる。だがそんなこと気にしてもいられないと思い構える だが向こうは待っていてはくれなかった。俺は慌てて剣を前に出して攻撃に備える。その一撃を受け止めた時にあまりの衝撃に耐え切れず後ろに下がってしまうがそんな俺に対してその少女は容赦なく 次々と連撃を放ってくるのである。その度に俺の体は痛みを訴える。
その勢いは俺の想像を遥かに上回っていた。だがこのままでは負けてしまう、どうにかしてこの状況を脱しないと 焦るばかりで良い打開策が浮かんでこないのが情けないと思うが 今は考えるよりも先に動かなければと気持ちを切り替えて 攻撃を仕掛ける そこから何度かの打ち合いの後お互い同時に動きを止める。
そして睨み合うのだが向こうの殺気に呑まれそうになってしまうが耐える事ができているのでまだまだ大丈夫だ そして次の瞬間にお互いに武器をぶつけ合っていたのだ。その後、互いに後ろへ下がる やはり俺の方が分が悪い だがこれ以上は時間を稼げば曹操の元へ援軍を連れて戻ってくることが出来るかもしれないと思った俺は一騎打を仕掛けたのである。
その判断に彼女は驚いたような表情を見せた。何故なら 一対一の戦いでは確実に勝てると踏んでいたからだろう だからこそ予想外の展開に戸惑っているはずなのでそこに付け入るしか勝ち目はないと確信していた 。俺の思惑通りに相手も動揺したのか戸惑いの色が見て取れた。
そこをついて俺は彼女の隙を狙っていく。
すると予想通りに体勢が崩れた これは好機だと思い そのまま斬りかかった。しかしその一撃は受け止められてしまう。だがこれは俺が狙っていた事でわざと受け止めさせに動いたのだから そのまま強引に突き進んでいくと彼女も対応できずに押し倒してしまったのである。
「降参しろ、そうすれば殺しはしない 今なら許してくれるかも知れない」
俺は相手に言う 正直今の状態で勝つのは難しいし時間をかければ俺が不利になりいずれは負けてしまう、そうなるともう生き残る道がないのだから 降伏を勧めるしかなかった。
ただこのままでは駄目だ、せめて剣だけは回収しておかないと殺されるのは間違いないだろうし 最悪逃げられたりしても 命を失う危険性が高いからだ。その事に気づいた俺はすぐに行動に移った 。しかしそれは失敗に終わるのである。
その前に首筋に当てられていた槍の切っ先が俺の動きを完全に止めていたのだった。しかも完全に俺の背中の上に乗られており、身動きすらまともにできない状態である まさに完全敗北、詰みの状況に追い込まれてしまったのであった。しかしここで諦めたら殺されてしまう為なんとかしなければと考えた俺は必死にもがく。しかしいくら力を入れてみても振りほどくことができないのである。しかも 俺の行動が無駄に終わろうとしていたその時に背後より殺気が感じられ咄嵯に剣を突き出すとその槍先を防いだのである。俺は何が起きたんだと思っていると その槍を持つ人物の姿が目に映る。その姿を見るなり絶望してしまう なぜならその人物が劉備軍にいる武将の中で最強を誇る呂布軍の副将であり武においては 他の者を寄せつけず、数々の戦場で勝利に導いてきた猛者であり。俺が最も恐ろしく そして勝てない相手だと認める存在である張遼 文遠の姿を視界に入れたからである。
なんでこんなとこにいんのこの人?と俺は思いつつ どうしてこうなったんだろうかと振り返ってみたが 何も思い当たる事がなかった。それどころか、俺は自分の置かれた状況を冷静に見つめ直した結果 ある可能性を考えた。もし仮に俺の考えが正しいとするならばこのまま戦いを続けても勝機などなく死ぬだけになるのではないかと言うことだ。この二人はかなりの使い手であることは間違いないし俺では到底かなわない存在だと言ってもいい。つまり戦っても結果は見えている以上ここで戦うべきではないと考えるべきだと言う事である。
俺はすぐさま立ち上がって逃げることにした。当然その考えを見抜かれていてすぐに取り押さえられてしまう。流石にこの状況では抵抗することも逃げることも出来ずにいた。ただ一つ分かったことは、どうやら見逃すつもりもないらしい と言うことであった。これでは俺の人生おしまいだ。
このまま曹操のもとへ戻れば捕虜扱いになって 拷問を受ける日々を送る羽目になってしまうのが分かりきっていることだろうからなぁ。結局このままでは捕まるだけだと判断した そのため、最後の賭けに出るべく二人を説得してみようと試みることにした。上手くいくかどうかは分からないが やるしかないと思い俺は説得を開始したのだが そんなことをする暇を与えてくれる訳もなくあっさりと攻撃されてしまう 。それでも何とか意識を保ち続けるがそれも長く続くわけでもないと悟った俺はとにかく喋ることに集中することにしたのである。
その結果、話を聞いてくれることになったのだ まず、俺は自分からは情報を漏らさない だから何を聞かれても良いが、絶対に言わないという 条件付きで質問することを許可してもらえることになった。その言葉を聞くと 俺の頭の中には助かるかも知れないという喜びと、本当に大丈夫なのか? と言った二つの感情が入り混じっていたのであるが それでも生き残れる可能性がわずかでも残ってくれていたのだからそれに期待しようと思う。そして最初に俺が聞いたのは俺の名前なのだが偽名を使う必要がなくなったので普通に伝えることにする。俺の名前は李粛と言うことになっているがこれはあくまで仕事上必要なときに使う名前であって本当の名前ではない。だから伝えるときは 李厳と伝えていた。
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