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第三章 二人と一匹ののほほん生活
第12話: のんびり日常の手入れ
しおりを挟む新しい家に住み始めてから数日が経ち、フィオとイマーシュ、ポポの三人はすっかり田舎ののどかな生活に馴染んでいた。この日は特に予定もなく、家の周りを整えることにした。
朝の光が差し込む中、フィオは庭の手入れを始めていた。以前から植わっていた花や草は、少し伸び放題になっていたが、それが自然な美しさを醸し出している。しかし、道を塞ぐ枝や雑草はさすがに取り除く必要があった。
「これくらいの作業ならすぐ終わるよね。」
彼女は小さな鎌を手に取り、草を刈り始めた。ポポはその近くで穴を掘ったり埋めたりしながら、何か遊び道具になりそうなものを探している様子だ。
一方、イマーシュは家の裏手にある倉庫を調べていた。前の住人が置いていったらしい工具や材料が詰まっており、何か使えそうなものを探している。
「思ったより古いけど、これなら補修にも使えそうだな。」
手にしたのは錆びた金槌と木材の一部だった。彼はそれを脇に置き、改めて倉庫の隅々を確認する。
午前中いっぱいを使い、それぞれが家の周りの作業を進めると、少しずつ環境が整ってきた。庭は見違えるほどすっきりし、家の裏手も以前より使いやすくなった。
「イマーシュ、これで少し暮らしやすくなったんじゃない?」
「そうだな。ただ、この倉庫はもう少し手を入れないと危ないかもしれない。時間を見つけて補修する必要がありそうだ。」
彼は倉庫の傷んだ部分を見ながらそう答えた。
作業を終えた二人は、昼食の準備に取り掛かることにした。今日のメニューは採取した素材を使ったスープと焼きたてのパンだ。庭の整理中に見つけた香草を加えたスープは、素朴ながらも香り豊かで食欲をそそる。
「これ、おいしいね!ポポも食べる?」
フィオが小さな皿にスープを取り分けると、ポポは嬉しそうに尻尾を振り、すぐに平らげた。
昼下がり、三人は庭に置いた椅子に腰掛け、穏やかな風を感じながらくつろいだ。イマーシュは手にした本を静かに読み、フィオはポポの毛並みを整えている。
「こうして過ごすのも悪くないよね。」
フィオが呟くと、イマーシュは少し微笑んで頷いた。
穏やかでのほほんとした時間が、二人と一匹の心を満たしていくのだった。
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