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第二章 ポポとのほほん旅立ち
第13話: 敵意の無い魔物との遭遇
しおりを挟む苔むした祠の前にたどり着いたフィオたち。周囲は静まり返り、風の音と草のざわめきだけが耳に届く。祠の入り口は小さく、崩れた石材が辺りに散らばっている。
「この祠、かなり古いですね……」フィオは慎重に足を進めながら呟いた。
「昔の遺跡はどこもこんなものだ。油断するなよ、何が出てくるかわからない。」イマーシュは剣の柄に手をかけ、警戒を怠らない。
ポポはフィオの肩に乗ったまま、好奇心旺盛な目で祠の奥を見つめていた。小さな鳴き声を上げながら、フィオの耳元で何かを訴えるようにしている。
祠の入り口をくぐると、空気がひんやりとしていた。薄暗い中、奥から光るものが見える。ゆっくりと進む3人の前に、突然何かが現れた。
それは一体の魔物だった。大きな体に丸い目をした獣のような姿だが、どこか愛嬌のある顔つきをしている。フィオたちを見つめながらも、敵意は感じられない。
「……魔物?」フィオは驚きの声を上げる。
「攻撃の構えはしていないな。どうやら敵意はなさそうだ。」イマーシュは剣から手を離し、じっと魔物を観察する。
ポポが「キュルル!」と鳴き、フィオの肩から飛び降りると、魔物の前まで駆け寄った。魔物はポポを見つめ、ゆっくりと頭を下げるような仕草を見せる。
「まさか……ポポと知り合い?」フィオは不思議そうに呟いた。
「いや、そんなわけないだろう。ただこの魔物、どうやら賢いようだ。」イマーシュが慎重に言葉を選びながら魔物に近づく。
魔物は低い声で「グルゥ……」と唸るような音を出し、祠の奥を指し示すように片方の足を動かした。それを見たフィオは、何かを伝えようとしているのではないかと感じた。
「もしかして、私たちを案内したいのかな?」フィオがそっと近づくと、魔物は動かず、彼女をじっと見つめている。
「信じていいのか?」イマーシュは疑いの目を向けたが、フィオは頷いた。
「ポポが怖がってないし、大丈夫な気がします。」そう言ってフィオは魔物の示す方向に目を向けた。
魔物はゆっくりと歩き出し、3人を奥へと誘導するように進んでいく。敵意のないその姿に安心感を覚えながらも、フィオは心のどこかで不安を拭えなかった。
「一体この魔物、何を伝えたいんでしょうか?」フィオはポポを見つめながら呟く。ポポは「キュル!」と答えるように小さく鳴いた。
光る石壁を横目に、3人と1匹はさらに祠の奥へと足を進める。その先に、まだ見ぬ秘密が待っているのだろうか――。
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