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5話
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だが、俺がこの場で嘘を言っているのがバレていないとも限らないため、一応みんなに忠告をしておく。
「あともう一つ。俺の力は普通ではないかもしれませんが、他の者たちも全員強力な力を授かっているはずですのであまり驚かないでください」
「わかりました」
『勇者パーティー』全員がそう答えたので一安心だと思っていたところへ、『境界魔法』を使ったことで現れるという約束になっている仲間たちが、この場の空気を読んでなのか『時空移動』によって姿を現した。
『時空転移魔法』を使える者は限られている。なぜなら俺のようにLv1000以上に到達している者が極めて少ないからだ。しかも『時空間魔法』の『賢者スキル』は、その道のスペシャリストにしか与えられないのでさらに稀少性が増す。なので必然的にこの場にいる『勇者パーティー』の仲間たちは、『魔界軍四天王』よりも遥かに貴重なメンバーという位置づけになるというわけだ。
そして『勇者』たちは皆、『勇者パーティー』たちの顔を見渡して驚いている様子だ。どうやら『聖勇者』とその仲間のことを思い出したようである。
『勇者』と『聖勇者』が仲間になる。つまりそれは、もう魔王に勝ち目は無いということを指している。それが意味している事は、世界平和が近づいたということである。つまり喜ぶべきことである。だがしかし、これから世界を支配する魔王にとっては嬉しくないことであろう。俺にだって世界支配をしようとしている魔王を倒そうとしていたのに、それを阻止されてしまったようなものだ。なので、喜んで良いのかどうか微妙な心境になってしまう。でも今は、そういうことを考えていてもしょうがないだろう。気持ちを切り替えて天空界を制圧しにいこう。
ちなみに天空界で魔王軍が天使長に殺されていたら困るため、この場で天使族には待機していてもらうようにした。俺の仲間が到着したら、天使族は神殿の中に入ってきてもらって構わないと伝えている。
それなら、なぜこの場に来たのかという疑問が出てくるが、そのことについて天使族の長に尋ねられたので答える。
「俺にできる限り、あなたたちが傷つかない方法で天空界を掌握したいと思ったからです。魔王はおそらく死にましたが、部下が生き残ってる可能性があります。その者たちは天空界にも攻め込んできてもおかしくないと思いました。だからこそ天空界の人たちを護れるように俺が来たのです」
「流石は勇者様ですね。ご立派です。我々も天空界から協力致しますのでどうかお気をつけてくださいませ」
そう言ってくれた天使族の長だが、おそらく大丈夫だろう。『魔界軍』は魔王軍を殲滅させたほど強くなった『勇者パーティー』の精鋭メンバーと、天空界から援軍に来るらしい天使族たちのおかげで簡単に掌握することができると思う。
そんなわけで俺の仲間たちとともに、神殿の奥へと入って行った。そして神がいると思われる部屋に向かって歩き出したのであった。
**
***
俺は神の部屋に着いてすぐに、祈りを始めた。
しかしなかなか返事が返ってこない。だが、このタイミングで話しかけられても困るからまだこのままにしておいたほうがいいのかもしれないと思って俺は待つことにした。しかしそれからしばらく待っても全く返事がない。そこで思い切って、直接確認することにしてみた。念話を送れば良かったと気づいたのは、ずっと後になってからだった。
「もしもーし。神さま~、聞こえてますか?」
俺は大声で叫んでみる。もちろん心の中で思うだけではなくて実際に口に出して話したのである。しかしいくら呼びかけても返答がなかった。もう一度同じようにやってみるがやはり応答はない。仕方がない、とりあえず目の前にある大きな扉を開けることにした。
その先にいたのは神ではなくて、女型の悪魔だった。そして俺は『勇者』と同じような装備をしていることに驚きを隠せなかった。まさか、この世界のどこかにいる魔王がこの悪魔の力を授けているというのか?だとすれば厄介なことこの上ないが……。
『勇者』と悪魔が戦うことになるとは夢にも思っていなかったが、俺は一応、悪魔と戦うことにした。というより悪魔を倒すために『勇者』の格好をしてここへ来たのだから。でも俺一人の力で倒すことはできなさそうな気がしたため、まずは他のみんなに戦わせて様子をみることにしたのである。
ということで『勇者パーティー』の仲間たちに頼んだところ快く引き受けてくれたので、俺以外の者が相手をすることにした。するとあっという間に倒したようで俺は少し驚いた。というより安心感が溢れてきた。なので俺は、安心しきった顔になっていたと思う。するとそんな俺の顔を見た『聖剣士』が話しかけてくる。
「なぁ『剣聖』よ。一つ聞いても良いだろうか?」
そんな問いかけを受けたので、答えられる質問であれば答えるつもりだったので「ああ、いいぞ。何でも言ってくれ!」と言っておく。というより俺が質問しまくっているような状態だったから、逆に何か質問してくれないかなあ、なんて思っていたりしたんだけどね。
「どうしておまえはそんなに強いのに一人で魔王を倒しに行こうとしたんだ?」
そう聞かれてしまったので正直に話すことにする。
「俺は自分のことが強いなんてこれっぽっちも思ってねえぜ!だから他のみんなと協力して戦おうと考えていたけど、この世界に召喚されてからずっと一人で戦っていたんだ」
「なんでそんなに強がりをいうんだよ」と『聖剣士』に言われてしまいそうだが、これは本当のことなんだからしょうがないだろう。
そして、『聖賢者』が突然こんなことを言う。
「まぁまぁ二人とも落ち着いて。今から『大勇者』を説得するのじゃから喧嘩なんかしてどうするのですか」
ん!?ちょっと待て、俺の説得?そんなものできるわけが無いだろう。というかさっきの話からなぜ俺を説得するということになったのだ……。
とにかく『大魔王軍・魔王軍連合軍』は壊滅したものの天空界まで来ることができた。あとはこの天空界を制圧してしまえばこの世界を支配できるところまではきたが、その前にどうしても確かめなければならないことがある。この神殿の最奥の部屋にある神の座の玉座に座っている者の正体が何なのかということである。
なので俺は、『境界魔法』を使った。すると予想通り、ここにいる全ての者たちが動きを止めた状態で現れた。俺はすかさず、
「神よ。あなたの力の一部を使って、あなたたちをこの場所で監視させていただいておりました」
「あともう一つ。俺の力は普通ではないかもしれませんが、他の者たちも全員強力な力を授かっているはずですのであまり驚かないでください」
「わかりました」
『勇者パーティー』全員がそう答えたので一安心だと思っていたところへ、『境界魔法』を使ったことで現れるという約束になっている仲間たちが、この場の空気を読んでなのか『時空移動』によって姿を現した。
『時空転移魔法』を使える者は限られている。なぜなら俺のようにLv1000以上に到達している者が極めて少ないからだ。しかも『時空間魔法』の『賢者スキル』は、その道のスペシャリストにしか与えられないのでさらに稀少性が増す。なので必然的にこの場にいる『勇者パーティー』の仲間たちは、『魔界軍四天王』よりも遥かに貴重なメンバーという位置づけになるというわけだ。
そして『勇者』たちは皆、『勇者パーティー』たちの顔を見渡して驚いている様子だ。どうやら『聖勇者』とその仲間のことを思い出したようである。
『勇者』と『聖勇者』が仲間になる。つまりそれは、もう魔王に勝ち目は無いということを指している。それが意味している事は、世界平和が近づいたということである。つまり喜ぶべきことである。だがしかし、これから世界を支配する魔王にとっては嬉しくないことであろう。俺にだって世界支配をしようとしている魔王を倒そうとしていたのに、それを阻止されてしまったようなものだ。なので、喜んで良いのかどうか微妙な心境になってしまう。でも今は、そういうことを考えていてもしょうがないだろう。気持ちを切り替えて天空界を制圧しにいこう。
ちなみに天空界で魔王軍が天使長に殺されていたら困るため、この場で天使族には待機していてもらうようにした。俺の仲間が到着したら、天使族は神殿の中に入ってきてもらって構わないと伝えている。
それなら、なぜこの場に来たのかという疑問が出てくるが、そのことについて天使族の長に尋ねられたので答える。
「俺にできる限り、あなたたちが傷つかない方法で天空界を掌握したいと思ったからです。魔王はおそらく死にましたが、部下が生き残ってる可能性があります。その者たちは天空界にも攻め込んできてもおかしくないと思いました。だからこそ天空界の人たちを護れるように俺が来たのです」
「流石は勇者様ですね。ご立派です。我々も天空界から協力致しますのでどうかお気をつけてくださいませ」
そう言ってくれた天使族の長だが、おそらく大丈夫だろう。『魔界軍』は魔王軍を殲滅させたほど強くなった『勇者パーティー』の精鋭メンバーと、天空界から援軍に来るらしい天使族たちのおかげで簡単に掌握することができると思う。
そんなわけで俺の仲間たちとともに、神殿の奥へと入って行った。そして神がいると思われる部屋に向かって歩き出したのであった。
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俺は神の部屋に着いてすぐに、祈りを始めた。
しかしなかなか返事が返ってこない。だが、このタイミングで話しかけられても困るからまだこのままにしておいたほうがいいのかもしれないと思って俺は待つことにした。しかしそれからしばらく待っても全く返事がない。そこで思い切って、直接確認することにしてみた。念話を送れば良かったと気づいたのは、ずっと後になってからだった。
「もしもーし。神さま~、聞こえてますか?」
俺は大声で叫んでみる。もちろん心の中で思うだけではなくて実際に口に出して話したのである。しかしいくら呼びかけても返答がなかった。もう一度同じようにやってみるがやはり応答はない。仕方がない、とりあえず目の前にある大きな扉を開けることにした。
その先にいたのは神ではなくて、女型の悪魔だった。そして俺は『勇者』と同じような装備をしていることに驚きを隠せなかった。まさか、この世界のどこかにいる魔王がこの悪魔の力を授けているというのか?だとすれば厄介なことこの上ないが……。
『勇者』と悪魔が戦うことになるとは夢にも思っていなかったが、俺は一応、悪魔と戦うことにした。というより悪魔を倒すために『勇者』の格好をしてここへ来たのだから。でも俺一人の力で倒すことはできなさそうな気がしたため、まずは他のみんなに戦わせて様子をみることにしたのである。
ということで『勇者パーティー』の仲間たちに頼んだところ快く引き受けてくれたので、俺以外の者が相手をすることにした。するとあっという間に倒したようで俺は少し驚いた。というより安心感が溢れてきた。なので俺は、安心しきった顔になっていたと思う。するとそんな俺の顔を見た『聖剣士』が話しかけてくる。
「なぁ『剣聖』よ。一つ聞いても良いだろうか?」
そんな問いかけを受けたので、答えられる質問であれば答えるつもりだったので「ああ、いいぞ。何でも言ってくれ!」と言っておく。というより俺が質問しまくっているような状態だったから、逆に何か質問してくれないかなあ、なんて思っていたりしたんだけどね。
「どうしておまえはそんなに強いのに一人で魔王を倒しに行こうとしたんだ?」
そう聞かれてしまったので正直に話すことにする。
「俺は自分のことが強いなんてこれっぽっちも思ってねえぜ!だから他のみんなと協力して戦おうと考えていたけど、この世界に召喚されてからずっと一人で戦っていたんだ」
「なんでそんなに強がりをいうんだよ」と『聖剣士』に言われてしまいそうだが、これは本当のことなんだからしょうがないだろう。
そして、『聖賢者』が突然こんなことを言う。
「まぁまぁ二人とも落ち着いて。今から『大勇者』を説得するのじゃから喧嘩なんかしてどうするのですか」
ん!?ちょっと待て、俺の説得?そんなものできるわけが無いだろう。というかさっきの話からなぜ俺を説得するということになったのだ……。
とにかく『大魔王軍・魔王軍連合軍』は壊滅したものの天空界まで来ることができた。あとはこの天空界を制圧してしまえばこの世界を支配できるところまではきたが、その前にどうしても確かめなければならないことがある。この神殿の最奥の部屋にある神の座の玉座に座っている者の正体が何なのかということである。
なので俺は、『境界魔法』を使った。すると予想通り、ここにいる全ての者たちが動きを止めた状態で現れた。俺はすかさず、
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