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40話
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それが気持ち良いのか目を細めてとても心地良さそうにしていた。
それを微笑ましく見ていたアゼルレッド達だったが俺がずっとこのままというわけにもいかないため離れることにした。
だがクロエちゃんはすぐには泣き止んでくれずしばらくの間そのままの状態が続いた。
***
それからしばらくしてやっと落ち着いたようなので再び話し始めることにしよう。
ちなみにクロエがここまで落ち着いていられる理由としては、彼女が元々人よりも感情の起伏が激しくないということもあるのだろうがそれよりも、彼女の母親がかなりの実力者でありさらに母親の方が遥かに強くその上彼女に対して愛情を持って接していたという理由があった。
そんな母親の教育方針として彼女は常に物事に対して客観的に見ることを徹底的に学ばされていたのだ。
なのでこの状況であっても焦ることなく落ち着くことができたのである。
そんなことは拓海はもちろん知る由もない。
だが拓海にとっては幸運なことであった。
もしもそのことが無ければ拓海の頭は大パニックに陥っていただろうからである。何故ならクロエは美少女と言って差し支えのないほどの見た目をしているのだから。
そして今はその容姿端麗のクロエが自分の膝の上に座っているという状況が彼を緊張させていたのであった。
そのおかげでいつも通りに振舞うことができていたとも言える。
ただしクロエは拓海のことを好意的に見ている為でこのような行動をとってしまったのであるが。
とはいえ流石に慣れて来たようで会話が出来るまでには回復したのだが。「それでそろそろいいかしら?あなたたちのことについて教えて欲しいのだけど」
リーシャ王妃様はようやく話が聞けるとばかりな口調で言ってきた。
ただそれを受けて答えるのは難しい質問でもあった。
というのも今の状況を説明しようにもその方法がないし仮に説明ができたとしても信じることなどできないだろうと思う。
なにせ今この世界には勇者と呼ばれる人間がいるのだから。
そして彼らは魔王を倒しにいったはずなのだから。
そして何より俺達が生きているということはありえないことであるし。
「そうですね。信じてもらえないでしょうがまず私たちは異世界からやってきたんです」
そこで俺はとりあえず嘘をつくことにすることに決めた。
別に本当であることを正直に言う必要はどこにも無いと判断したのだ。
むしろその話をすると確実に警戒されてしまい最悪殺される可能性もあると思ったのだ。
ただでさえ俺の力が異常なのはもう皆がわかってるんだからな。
もちろんそれだけじゃないが。
だから一番簡単な方を選ぶ事にしたのである。
それに今の状況を整理するという意味も込めて一旦頭の中を真っ白にしたかったのだ。
だからこの国についての知識が無いということをうまく使えれば何かぼろを出してくれるのではないかという希望もある。
ただ問題はその知識が全く無いというのがバレた場合だな。
まぁなんとかなると信じたいところではあるがもしそうでなければその時考えればいいか。
今はそれよりも情報を手に入れないといけないし。
「あちらの世界の言葉で言えば召喚されたということになりますね」
さすがにこの一言だけでは足りないと思い、更に追加していく。
そしてここで問題なのはどの単語で話すかということだ。
なるべく俺の世界の言葉に置き換えていきたいがそれもまた難しいものがある。
なんたって言葉自体を知らない可能性があるのだから。
(どうするか・・。そもそも漢字や平仮名なんて存在しないかもしれないんだよな。それにカタカナにしても知らない可能性が高い)
そうなってくると考えられるのは日本という国の固有名詞を使うことである。
つまり俺が住んでいた日本の名前を使ってしまうということ。
そうすれば少なくとも俺たちに敵意がないことぐらいはわかるはずだ。
そう思った俺は日本人ならばほぼ知っているであろう名前を言ってみることにした。
「日本には昔から妖怪や神様といった類の存在がいたとされているんですよ。その中には当然ですが俺たちのような普通の人間もいました。なのでそういう意味で言ったらこっちでいう所の妖精とか精霊と同じ扱いになりますかね」
そう、この世界にもいるとされる空想上の生き物や神などの存在。
だがそれらは全て想像上であるはずだ。
だからこそこの言葉が使えると考えた。
「そういえばそちらのお嬢さん方はお二人とも背中にある羽根のようなものが見えているのですけど」
すると突然後ろを振り向いたかと思ったらこちらを見つめてくる。
もしかして見えるのか?
もしかしたら見えないと思ってたんだけどやっぱり普通に見えるんだな? でもアゼルレッド王の反応をみる限り見えてるというよりは気付いてたという表現が正しいんだろうな。
確かに言われてみればこんな子供にまでその存在を隠したりする意味がないよな。
いやまて、待て!
もしかして、もしかしなくてもアゼルレッド王にはまだばれてないとかいうオチはないよね?
まさか本当に俺にしかみえてなかったりしないかな?
うわーまじですか。
それは結構精神的にきついですよ。
だってまだ小さい女の子にそんなもの見えたら気味悪がられてお嫁にいけないかもしれませんから!
よし、決めたぞ。
この件については絶対に言わないようにしよう。
それがいい!
うん絶対そうした方がいい!
というかこれはある一種の賭けだったりするからな。
「えっとすみません。俺には彼女達の羽は見れていないのでわからないですね」
とぼけることで何とか誤魔化すことに成功したようだ。
ふぅ~良かったぜ。
これで変に怪しまれて殺されなくて済むからな。
いや流石にそんなことは起きないだろうが念のためだ。
ちなみにその後リーシャ王妃様に色々と聞かれたが適当に答えることでやり過ごすことができた。
ただこの世界のことについては何も知らなかったことが露呈してしまったがそれでも大体の情報を手に入れることができた。
その中でも特に重要なことをいくつかピックアップしてまとめていこうと思う。
まず一つ目はこの国はレイリア王国といい。
ここの国の王がアゼルレッド=アースレットという名前だということだ。
そして次に魔法という概念が存在していることだろう。
なんでも魔物と戦うために開発された力なんだそうだ。
そして最後にこれが一番驚いたのだがこの世界では人以外の動物達全てが魔力を持っているのだという。
そして彼らが持つ能力の中には空を飛ぶことができる者もいるのだそうだ。
もちろんただ飛ぶだけではないらしいのだが。
(例えば犬なら匂いをたどることが可能だとか馬なら走る速度が速くなったりとか。鳥は空中での高速移動が可能な他風を読むこともできるのだとか)
ただ中には例外もあって。
それを微笑ましく見ていたアゼルレッド達だったが俺がずっとこのままというわけにもいかないため離れることにした。
だがクロエちゃんはすぐには泣き止んでくれずしばらくの間そのままの状態が続いた。
***
それからしばらくしてやっと落ち着いたようなので再び話し始めることにしよう。
ちなみにクロエがここまで落ち着いていられる理由としては、彼女が元々人よりも感情の起伏が激しくないということもあるのだろうがそれよりも、彼女の母親がかなりの実力者でありさらに母親の方が遥かに強くその上彼女に対して愛情を持って接していたという理由があった。
そんな母親の教育方針として彼女は常に物事に対して客観的に見ることを徹底的に学ばされていたのだ。
なのでこの状況であっても焦ることなく落ち着くことができたのである。
そんなことは拓海はもちろん知る由もない。
だが拓海にとっては幸運なことであった。
もしもそのことが無ければ拓海の頭は大パニックに陥っていただろうからである。何故ならクロエは美少女と言って差し支えのないほどの見た目をしているのだから。
そして今はその容姿端麗のクロエが自分の膝の上に座っているという状況が彼を緊張させていたのであった。
そのおかげでいつも通りに振舞うことができていたとも言える。
ただしクロエは拓海のことを好意的に見ている為でこのような行動をとってしまったのであるが。
とはいえ流石に慣れて来たようで会話が出来るまでには回復したのだが。「それでそろそろいいかしら?あなたたちのことについて教えて欲しいのだけど」
リーシャ王妃様はようやく話が聞けるとばかりな口調で言ってきた。
ただそれを受けて答えるのは難しい質問でもあった。
というのも今の状況を説明しようにもその方法がないし仮に説明ができたとしても信じることなどできないだろうと思う。
なにせ今この世界には勇者と呼ばれる人間がいるのだから。
そして彼らは魔王を倒しにいったはずなのだから。
そして何より俺達が生きているということはありえないことであるし。
「そうですね。信じてもらえないでしょうがまず私たちは異世界からやってきたんです」
そこで俺はとりあえず嘘をつくことにすることに決めた。
別に本当であることを正直に言う必要はどこにも無いと判断したのだ。
むしろその話をすると確実に警戒されてしまい最悪殺される可能性もあると思ったのだ。
ただでさえ俺の力が異常なのはもう皆がわかってるんだからな。
もちろんそれだけじゃないが。
だから一番簡単な方を選ぶ事にしたのである。
それに今の状況を整理するという意味も込めて一旦頭の中を真っ白にしたかったのだ。
だからこの国についての知識が無いということをうまく使えれば何かぼろを出してくれるのではないかという希望もある。
ただ問題はその知識が全く無いというのがバレた場合だな。
まぁなんとかなると信じたいところではあるがもしそうでなければその時考えればいいか。
今はそれよりも情報を手に入れないといけないし。
「あちらの世界の言葉で言えば召喚されたということになりますね」
さすがにこの一言だけでは足りないと思い、更に追加していく。
そしてここで問題なのはどの単語で話すかということだ。
なるべく俺の世界の言葉に置き換えていきたいがそれもまた難しいものがある。
なんたって言葉自体を知らない可能性があるのだから。
(どうするか・・。そもそも漢字や平仮名なんて存在しないかもしれないんだよな。それにカタカナにしても知らない可能性が高い)
そうなってくると考えられるのは日本という国の固有名詞を使うことである。
つまり俺が住んでいた日本の名前を使ってしまうということ。
そうすれば少なくとも俺たちに敵意がないことぐらいはわかるはずだ。
そう思った俺は日本人ならばほぼ知っているであろう名前を言ってみることにした。
「日本には昔から妖怪や神様といった類の存在がいたとされているんですよ。その中には当然ですが俺たちのような普通の人間もいました。なのでそういう意味で言ったらこっちでいう所の妖精とか精霊と同じ扱いになりますかね」
そう、この世界にもいるとされる空想上の生き物や神などの存在。
だがそれらは全て想像上であるはずだ。
だからこそこの言葉が使えると考えた。
「そういえばそちらのお嬢さん方はお二人とも背中にある羽根のようなものが見えているのですけど」
すると突然後ろを振り向いたかと思ったらこちらを見つめてくる。
もしかして見えるのか?
もしかしたら見えないと思ってたんだけどやっぱり普通に見えるんだな? でもアゼルレッド王の反応をみる限り見えてるというよりは気付いてたという表現が正しいんだろうな。
確かに言われてみればこんな子供にまでその存在を隠したりする意味がないよな。
いやまて、待て!
もしかして、もしかしなくてもアゼルレッド王にはまだばれてないとかいうオチはないよね?
まさか本当に俺にしかみえてなかったりしないかな?
うわーまじですか。
それは結構精神的にきついですよ。
だってまだ小さい女の子にそんなもの見えたら気味悪がられてお嫁にいけないかもしれませんから!
よし、決めたぞ。
この件については絶対に言わないようにしよう。
それがいい!
うん絶対そうした方がいい!
というかこれはある一種の賭けだったりするからな。
「えっとすみません。俺には彼女達の羽は見れていないのでわからないですね」
とぼけることで何とか誤魔化すことに成功したようだ。
ふぅ~良かったぜ。
これで変に怪しまれて殺されなくて済むからな。
いや流石にそんなことは起きないだろうが念のためだ。
ちなみにその後リーシャ王妃様に色々と聞かれたが適当に答えることでやり過ごすことができた。
ただこの世界のことについては何も知らなかったことが露呈してしまったがそれでも大体の情報を手に入れることができた。
その中でも特に重要なことをいくつかピックアップしてまとめていこうと思う。
まず一つ目はこの国はレイリア王国といい。
ここの国の王がアゼルレッド=アースレットという名前だということだ。
そして次に魔法という概念が存在していることだろう。
なんでも魔物と戦うために開発された力なんだそうだ。
そして最後にこれが一番驚いたのだがこの世界では人以外の動物達全てが魔力を持っているのだという。
そして彼らが持つ能力の中には空を飛ぶことができる者もいるのだそうだ。
もちろんただ飛ぶだけではないらしいのだが。
(例えば犬なら匂いをたどることが可能だとか馬なら走る速度が速くなったりとか。鳥は空中での高速移動が可能な他風を読むこともできるのだとか)
ただ中には例外もあって。
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