始まりの恋

第2章 友情の軌跡

第170話: 思い出のアルバム

季節はすっかり秋が深まり、木々の葉も鮮やかな紅葉に染まっていた。千秋、美咲、あかりの三人は、学校での帰り道、近くの小さなカフェに立ち寄ることにした。秋の夕暮れに包まれた街並みの中、彼女たちの笑顔と楽しそうな声が周囲に響く。

カフェに入ると、そこは温かい雰囲気に満ちており、秋らしい栗やかぼちゃのデザートがショーケースに並んでいた。三人はそれぞれ好きなケーキと温かい紅茶を注文し、窓際の席に腰掛けた。

「この時期って、なんか写真をいっぱい撮りたくならない？」と美咲がふいに言い出す。彼女のカメラは、友達との大切な思い出を残すためにいつも持ち歩いているものだった。

「わかる！なんか、紅葉とか空とか、全部が綺麗に見えるよね」とあかりも共感するようにうなずく。そして、彼女はスマホを取り出し、「ちょっと撮ってみようか」と言って、千秋と美咲をカメラに収める準備をした。

三人は様々なポーズを取りながら、笑い合い、写真を撮り続けた。ピースサインや変顔、真面目な顔など、どの写真にも彼女たちの個性が詰まっている。写真に収められた笑顔は、まるでその瞬間を永遠に閉じ込めるかのようだった。

「いつか、この写真を見返して、笑える日が来るんだろうね」と千秋が微笑みながら呟いた。彼女の言葉には、今この瞬間を大切にしたいという気持ちが込められている。

美咲はその言葉に頷き、「うん、いつまでもこうして一緒にいられるといいな」と言った。彼女の声にはほんの少しの寂しさが含まれており、いつか別れが訪れるのではないかという不安もあった。

あかりは二人に微笑みかけ、「私たち、ずっと一緒だよね？」と、再び確認するように尋ねた。彼女の言葉には友情への信頼と、未来への希望がこもっていた。

「もちろん！」千秋と美咲が同時に答え、三人はまた笑顔を交わした。その瞬間、温かい紅茶の香りと甘いケーキの味が、彼女たちの友情をさらに深めていく。

彼女たちはその後もカフェで過ごし、アルバムに新たな思い出を刻むように会話を続けた。どんな時も共に過ごし、どんな思いも共有する——そんな彼女たちの友情が、これからも続いていくことを確信しながら。

外に出ると、街は夕闇に包まれ始め、冷たい風が頬を撫でる。三人は肩を寄せ合いながら歩き、再び笑い声を響かせた。その光景は、まるで秋の一ページに刻まれる大切な瞬間のようだった。