始まりの恋

第1章 はじまり

第八十五話: 踊る心音楽

新しい学期が始まり、美咲は音楽の授業での発表会が近づいていることを知った。「今回はみんなの前で何か特別な演奏をするらしいよ」と悠斗が言った。「本格的な舞台だね、楽しみだな！」と美咲は目を輝かせた。

美咲は幼い頃から音楽が大好きだった。ピアノを習い始めてからというもの、彼女の心の中で音楽が生き生きと踊るようになった。友達と一緒に合唱することも好きで、「心の音楽をみんなで楽しむ瞬間が最高なんだ！」と常々思っていた。

授業の中で、先生が発表会のテーマについて説明した。「今年のテーマは『心の音楽』です。自分の心の中で鳴る音を表現する曲を選びましょう」と言うと、美咲は心が躍る思いだった。「私の心の音楽って、どんな音なんだろう？」と考え始めた。

放課後、友達と一緒に音楽室に集まった。美咲はピアノの前に座り、自分の感じる音楽を探し始めた。「何か、自分を表現できる曲があればいいな」と思いつつ、手を鍵盤に置いた。

最初は不安な気持ちもあったが、音を出していくうちに心が落ち着いてきた。「あ、これだ！」と彼女は思った。自分の心の中にある思いを音楽に乗せて表現する感覚が、次第に大きくなっていく。

「この曲が私の心音楽だ！」と決めたのは、思い出のあるメロディだった。それは、幼い頃に母と一緒に歌った曲で、美咲にとって特別な意味があった。「みんなにこの気持ちを伝えたい！」と、彼女は心に決めた。

発表会の前日、美咲は緊張と興奮が入り混じる思いで眠れない夜を過ごした。舞台の上で自分の音楽を表現できるのか、少し心配になったが、同時にワクワクした気持ちもあった。

いよいよ当日、緊張しながらも楽屋で待機する美咲。友達から「頑張れ！」と励まされる中、彼女は心の中で繰り返しメロディを思い描いた。「私はこの瞬間を大切にしたい。みんなに私の心音楽を届けるんだ！」

そして、舞台に上がる瞬間が訪れた。美咲は深呼吸をして、ピアノの前に座った。観客の視線を感じながら、手を鍵盤に置き、心の中で感じるままに音楽を奏で始めた。音が広がるにつれ、彼女の心も躍り出すようだった。

「これが私の心の音楽！」と、美咲は自信を持って演奏を続けた。音楽は彼女の思いを伝えるための言葉であり、観客たちの心にも響いていると感じた。演奏が終わると、拍手が鳴り響き、彼女は安堵と喜びに包まれた。

舞台を終えた美咲は、友達や家族と喜びを分かち合いながら「これからも、心の音楽を大切にしていきたい」と心に決めた。新しい年の始まりとともに、彼女の心には踊る音楽が生き続けていた。