先生と俺

みなと劉

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第82話

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学校の校門に着くと、教頭先生が立っていた。
いつも厳しそうな表情をしている教頭先生だが、今日は少し穏やかに見える。

「おはようございます、正彦くん」

と教頭先生が声をかけてくる。俺は少し驚きながらも、
「おはようございます」
と挨拶を返した。

教頭先生はしばらく俺を見つめてから
「最近、授業に一生懸命取り組んでいるようですね。先生方からもいい報告を受けています」
と優しく言ってくれた。その言葉に少し照れくさくなりながらも
「ありがとうございます」
と返事をした。
教頭先生はさらに
「勉強も大事ですが、友達との時間も大切にしてくださいね。バランスが重要ですから」
と付け加えた。

その言葉を聞いて、俺は一瞬立ち止まって考えた。
確かに、勉強に夢中になるあまり、友達との時間を少し疎かにしていたかもしれない。
教頭先生の言葉が胸に響き、これからもっと意識して友達と過ごす時間も大切にしようと心に決めた。
「はい、ありがとうございます。気をつけます」と、俺は素直に答えた。
教頭先生は微笑みを浮かべて
「それでは、今日も頑張ってください」
と言い、校門の前に立つ姿に戻った。
俺はそのまま校舎に向かいながら、教頭先生の言葉を胸に、今日の一日をどう過ごすかを考えていた。

(教頭先生が言っていたこと…勉強も必要だけど、友達との交流も大切だよな)
と考えながら校舎に向かって歩いていると、不意に背中を叩かれた。
「おはよう、正彦!」
と元気な声が聞こえてくる。
振り返ると、同じクラスの友達、健太が笑顔で立っていた。
「お、おはよう、健太」
と少し驚きながら挨拶を返す。

健太は軽く肩を叩きながら
「今日はどうしたんだよ、何か考え事してたみたいだけど?」
と尋ねてくる。
俺は少し考えてから
「教頭先生に言われたんだ。勉強も大事だけど、友達との時間も大切にしろって。それで、ちょっとどうしようかなって思ってた」
と素直に答えた。
健太はしばらく俺の顔を見つめてから
「そっか。でもさ、そんなに深刻に考えなくてもいいんじゃない?一緒に遊んだり話したりするだけで、自然に友達との時間を大事にできると思うよ」
と、明るく笑って言った。

その言葉に少しホッとしながら
「そうだな。ありがとう、健太」
と笑顔を返す。
「よし、今日は一緒に昼休みに外で遊ぼうぜ!」と健太が提案する。
「うん、いいね。じゃあ、放課後も何か一緒にしようか」
と俺も答えた。
こうして、健太とのやりとりで少しずつ気持ちが軽くなり、友達との時間も大切にしようと心の中で決めた。
教頭先生の言葉が頭に浮かびながら、健太と一緒に教室に向かって歩き始めた。

教室に入ると、先生はすでに授業の準備を始めていた。黒板に書かれた今日のテーマを見て、俺は健太と一緒に先生に挨拶をした。

「おはようございます、先生!」と健太が元気に声をかける。
「おはよう、健太くん、正彦くん。今日はどんな話があるのかな?」
と先生が優しく返してくれる。
俺は少し迷ったが、昨日の夜のことと今朝のことを話すことにした。

「先生、昨日の夕飯、父さんが早く帰ってきたんで、牛肉ステーキだったんです。
父さんの給料日だったのかもしれませんね。それから、今朝は不思議な夢を見たんです。
夢の中で満点の星空の下、流星群を見ていたら、一人の男性に声をかけられたんですが、彼は話し終えると粒子となって消えてしまったんです。そして、草原を歩いていると兎がやってきて、俺にすり寄ってきました。
すごくかわいくて、背中を撫でてあげたら、兎が喜んで鼻を鳴らしていました。で、その瞬間に目覚まし時計が鳴って現実に戻されたんですよ」

先生は俺の話をじっくりと聞きながら、優しい目で微笑んでいた。

「正彦くん、夢の中での出来事は、時に現実とリンクしていることがあるんですよ。
満天の星空や流星群、兎の姿などは、あなたの心の中の何かを象徴しているのかもしれません。兎があなたにすり寄ってきたというのは、もしかしたら、あなたの心が温かさや癒しを求めているのかもしれませんね。そして、現実に戻された時の感覚は、あなたが夢と現実の狭間で何かを考えている証拠かもしれません」
と、先生は穏やかな声で話してくれた。
「夢は時に、私たちに何かを伝えようとしていることがあります。だから、正彦くんが感じたことや見たことを大切にして、日常生活に活かすことも重要ですよ」
と、先生は続けた。

俺は先生の言葉を聞きながら、夢の中での出来事が持つ意味を少しずつ考え始めた。
そして、今日も一日、何か新しい発見があるかもしれないと期待しながら、授業の準備を進めた。
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