先生と俺

第69話

先生が黒板の前に立ち、教室全体を見渡す。

「それでは、回答の時間に入りましょう。
各問題の解説も交えながら進めていきますので、しっかり聞いてくださいね」
と、先生の柔らかい声が教室に響く。
先生は最初の問題から始めた。
「問題1、日本が江戸時代に輸入していた品物の中で、最も影響力があったものは何か、という質問ですね。
正解は、**3番の蘭学書**です。」
黒板に大きく「3. 蘭学書」と書き込みながら、先生は続ける。
「江戸時代、日本は鎖国政策を取っていましたが、唯一オランダと貿易を続けていました。
オランダからは様々な西洋の知識が書かれた書物が輸入され、その中でも蘭学書は特に影響力が大きく、日本の学問や技術の発展に大きく貢献しました。
これが、後の明治維新にもつながる重要な要素だったんです。」

先生の丁寧な説明に、俺はあらためて蘭学書の重要性を理解し、うなずいた。

次に、先生は2番目の問題に進む。
「問題2、明治時代に日本が最初に輸出を始めた大きな産業は何か、という質問でしたね。
正解は、**2番の生糸**です。」
「明治時代、日本は急速に産業を発展させる必要があり、そのために重要だったのが生糸の輸出です。
日本の生糸は高品質で、特にアメリカやヨーロッパで大変人気がありました。
これが、日本の近代化を支えた一つの柱と言えます。」
俺はこの問題も正解だったことに安心し、さらに先生の解説を心に刻んだ。
次の問題に進む先生。
「問題3、日本が最初にコーヒーを飲み始めた時期についてですね。正解は、**2番の明治時代初期**です。」

「コーヒーは、明治時代の西洋文化の流入とともに、日本にもたらされました。
当時、外国人が多く住んでいた横浜や神戸などの港町で、まずは飲まれるようになったんです。
日本で最初のコーヒー店が開かれたのもこの頃です。」
俺は、先生が以前話してくれたカフェの話を思い出しながら、また一つ知識が深まったことを実感した。
そして、先生は4番目の問題に進んだ。
「問題4、鎖国時代の日本で唯一、貿易を行っていた国はどこか、という質問ですね。
正解は、**2番のオランダ**です。」
「鎖国時代、日本は長崎の出島を通じてオランダと貿易を続けていました。
この貿易が、日本に西洋の最新情報や技術をもたらし、後の日本の近代化の土台となったんです。」

先生の説明を聞きながら、鎖国政策の中でも、オランダとの関係がいかに重要だったかを再確認した。

最後に、先生は5番目の問題に進んだ。
「問題5、日本で最も古い学校の一つとして知られる、奈良時代に設立された学校はどれか、という質問でした。
正解は、**2番の足利学校**です。」
「足利学校は、日本の学問の中心地として、中世から続いている歴史ある学校です。
古代からの教育施設として、全国から多くの学者や学生が集まりました。」
先生の解説が終わると、教室の中には満足そうな表情が広がった。
俺も、テストで正解を出せたことに自信を持つとともに、先生の教えをより深く理解できたことに感謝の気持ちが湧いてきた。

「では、これで小テストの解説は終わりです。
皆さん、よく頑張りましたね」
と、先生が最後に優しく声をかけてくれた。
俺は、これからも勉学に励むことにした。
大好きな先生のためにも…。