先生と俺

第67話

今日の夕飯は棒々鶏（バンバンジー）だった。俺は母さんに作り方を教わりながら、一緒に料理をした。
まずは鶏胸肉を柔らかく茹でることから始めた。母さんが
「鶏胸肉は火を通しすぎないように気をつけてね」と言って、茹でる時間をしっかりと見ていた。
鶏肉がちょうどいい柔らかさになったら、氷水にとって冷やし、それから細く裂いてお皿に盛りつけた。
次に、胡麻ダレを作る。
すり胡麻に醤油、酢、砂糖、そして少しのラー油を加えて混ぜ合わせる。
母さんは
「このタレが棒々鶏の味を決めるから、しっかり味見しながら調整してね」
と言ってくれたので、俺も少しずつ味を調えながら混ぜた。

最後に、細切りにしたきゅうりとレタスを鶏肉の上に乗せ、胡麻ダレをたっぷりとかけた。
見た目も彩りが良くて、作った甲斐があると思えた。
「棒々鶏、簡単だけど美味しいでしょ？」
と、母さんが笑顔で言った。
俺は自分で作った料理を見て
「うん、美味しそうだし、作るのも楽しかったよ」
と答えた。
一緒に作った棒々鶏を家族で食べながら、今日も充実した一日だったなと感じた。

夕飯を食べ終えた後、お風呂に入ってすっきりした俺は、一階リビングのソファで寛ぎながらテレビを見ていた。
テレビでは『ノルウェーサーモンの驚くべき生態』というタイトルのドキュメンタリーが流れていて、俺はその番組に引き込まれていった。
ノルウェーサーモンが、厳しい北欧の海でどのように成長していくのか、またその特有の鮭の赤色がいかにして生まれるのかについて説明されていた。
サーモンが長い旅を経て、産卵のために元の川に戻る過程や、その途中でのさまざまな生態系との関わりが映像で紹介され、俺はその壮大な自然の営みに感心していた。

また、サーモンが持つ優れた方向感覚や、過酷な環境での生き残り術が紹介されるたびに、自然の力強さと神秘さを改めて感じた。
まるでサーモンの旅路を一緒に体験しているかのような感覚で、俺は画面に釘付けになっていた。
このドキュメンタリーを見終わったとき、俺はサーモンに対して、今までとは違う尊敬の念を抱くようになった。
食卓に並ぶサーモンも、こうして生き抜いてきた命の一部なんだと実感し、自然の恵みをもっと大切にしようと心の中で思った。
その後、俺は少し眠気を感じ始めたので、テレビを消して寝る準備を始めることにした。

次の日、学校に着くと、俺はいつものように教室に入り、先生に挨拶をした。
先生はすでに授業の準備を進めていて、いつも通りの優しい笑顔で俺に応えてくれた。
俺は、昨日の夕飯が棒々鶏だったことをまず話し始めた。
「昨日、母さんと一緒に棒々鶏を作って食べたんです。作り方も教わりながらだったけど、結構美味しくできました。」
先生は興味深そうに頷きながら
「棒々鶏、美味しそうですね。家庭料理の時間みたいで楽しかったんじゃないですか？」
と微笑んだ。

「はい、すごく楽しかったです。
でも、もっと驚いたのはその後にテレビで見たノルウェーサーモンのドキュメンタリーでした。」
俺は続けて、昨日のテレビ番組について話し始めた。
「ノルウェーサーモンがどれだけ厳しい環境で生きているのかとか、その色がどうして赤いのかとか、すごく興味深かったんです。」
先生はその話を聞いて目を輝かせ
「ノルウェーサーモンは本当に驚くべき魚ですね。
彼らの旅路や生態系の中での役割を知ると、私たちが普段何気なく食べているものにも、もっと感謝の気持ちを持てるようになりますよね。」
と感想を述べてくれた。
俺も先生の言葉に同意しながら
「そうなんです。食卓に並ぶものが、ただの料理じゃなくて、その背後にある自然の偉大さを感じさせてくれるんだなって改めて思いました。」
と話した。

先生は優しく微笑んで
「その感覚を持つことがとても大切なんですよ。
食べ物の背後にあるストーリーを知ることで、より深い理解と感謝が生まれるんです。」
と言ってくれた。
俺は先生の言葉を心に刻みつつ、次の授業の準備をし始めた。
今日もまた、学びの多い一日になりそうだと感じながら、席に戻って授業に集中することにした。