先生と俺

第61話

昼休憩に入り
俺は、教室で母さんと一緒に作ったお弁当を食べる。
今日は唐揚げに挑戦したのだ。
揚げ物は実は苦手なのだが母さんと一緒に作ると何でも出きる感じがして勇気が出てくるのだ。
唐揚げを一口食べると、カリッとした衣の食感とジューシーな鶏肉の味が口の中に広がった。
自分で作ったという達成感と、母さんと一緒に作った楽しさが、さらにこの唐揚げの味を引き立てている気がする。
「美味しい…」
と思わず声に出してしまった。周りの友達がその声に気づき
「何食べてるの？」と興味を示した。
俺は少し恥ずかしそうにお弁当の中身を見せると
「お、唐揚げじゃん！いいなぁ」
とみんなが口々に言った。

「母さんと一緒に作ったんだ」
と言うと
「お前、すごいじゃん！手作りなんて尊敬するわ」
と褒められて、少し照れくさくなった。 
昼休みの間、俺は唐揚げを楽しみながら、友達と一緒にお弁当を囲んで過ごした。
母さんとの楽しい時間が詰まったお弁当を食べることで、授業の疲れもどこか吹き飛んだ気がする。
残りの授業もこの勢いでがんばろうと、気持ちを新たにした。

五時間目の体育が始まり、まずは準備運動として柔軟とストレッチが行われることになった。
みんながそれぞれの場所に散らばり、マットの上に座ったり立ったりして準備を整える。
先生は教室でもお世話になっている同じ先生で、体育館でもその頼りがいがあり、注意深い目で生徒たちを見守っていた。
「柔軟もストレッチも、きちんとした型を正しい方法でやらないと筋を痛めたりして実は危ないんですよ」
と先生が注意を促す。
俺はその言葉を聞き、普段何気なくやっていたストレッチも、しっかり意識してやらなければと気を引き締めた。

先生は前に出て、基本的なストレッチの動きを示してくれた。
脚を伸ばして前屈する姿勢、肩を回してほぐす動き、一つひとつがゆっくりと丁寧に行われた。
「痛みを感じるところで止めて、無理に伸ばさないように」
とのアドバイスがあり、俺は自分の体の状態をよく確認しながら、無理をせずに動いていく。
少しずつ体が温まってくると、柔軟性も増していくのを感じた。
呼吸を整えながらゆっくりと体を伸ばすと、筋肉が伸びていく感覚が心地よくなってきた。

先生の指導のもと、クラス全員が落ち着いた雰囲気の中でストレッチを行い、体をほぐしていった。
授業の終わりには、体全体が軽くなった気がして、これまでの疲れもどこか和らいでいた。
「柔軟をしっかりやると、こんなに気持ちいいものなんだな」
と感じながら柔軟とストレッチの大切さと無理なことをしないことも大切なのだと知った。