先生と俺

第27話

昼食を外で済ませた後、俺は家に戻って少しのんびりすることにした。
部屋に入ると、ふっと力が抜けて、リラックスした気分になる。
棚に並んだ漫画を見て、今日はどれを読もうかと考えながら手に取る。お気に入りのシリーズの新刊が出ていたことを思い出し、それを読むことに決めた。
ソファに腰を下ろして、ページをめくる。
物語の世界にすぐに引き込まれ、時間が経つのも忘れるほど夢中になる。
漫画の登場人物たちが繰り広げる冒険や日常の出来事に、自分もその世界の一員になったような気分だ。

物語の展開に時々笑ったり、ハラハラしたりしながら、ゆったりとした時間が流れていく。
外では風が吹き、窓の外からは鳥のさえずりが聞こえてくるけれど、俺はそんなことも気にせず、ただ漫画の世界に没頭していた。
夕飯の時間が近づいてくると、時計をちらっと確認して、本を閉じた。
まだ読み終えていない部分もあるけれど、それはまた明日のお楽しみにとっておくことにする。
夕食の時間が来るまで、俺はもう少しソファで寛ぎながら、今日一日の出来事や明日の予定をぼんやりと考えていた。

夕飯を食べ終え、お風呂で体を温めた後、俺は自分の部屋に戻り、ベッドに横たわった。
布団の感触が心地よく、体中の力が抜けていくのを感じる。
目を閉じると、今日一日がゆっくりと頭の中で再生される。
図書館で読んだ本、外で食べた昼食、そして家でのんびりと過ごした時間。
どれも穏やかで、特別なことはなかったけれど、心に余裕ができたような気がした。

明日のことを少し考える。
月曜日から始まる新しい週、先生との会話、授業で学ぶこと。まだ眠るには早いけれど、心地よい疲れが体を包み込んで、眠気が少しずつ襲ってくる。
「明日もいい日になるといいな…」
と心の中でつぶやきながら、俺はそのまま静かな眠りに落ちていった。

その夜、俺は不思議な夢を見た。

夢の中で俺は、広い図書館の中にいた。
天井は高く、どこまでも続く本棚が並んでいる。棚には、見たこともないような古い本や、豪華な装丁の本がずらりと並んでいて、どれも手に取ってみたくなる。
ふと、遠くの方で誰かが俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
声の方へと歩みを進めると、そこには先生が立っていた。
普段の授業中とは違い、先生は白いローブのような服をまとい、穏やかで神秘的な笑みを浮かべている。

「ここは知識の世界だよ、正彦くん」
と、先生は優しく語りかけてくる。

先生の言葉に導かれるように、俺は本棚の間を歩き始めた。
そこには、世界中の歴史や神話、科学や文学、あらゆる分野の知識が詰まっている。
先生は一冊一冊の本について説明しながら、まるで俺をこの世界の案内をしているようだった。
気がつけば、俺は手に一冊の本を持っていた。
その表紙には「夢の歴史」と書かれている。
先生は微笑みながら
「それは君自身の夢の記録だよ」と教えてくれた。

俺は本を開き、ページをめくる。
そこには、これまで見た夢や、夢の中で感じた感情がすべて記されていた。
ページをめくるたびに、懐かしい気持ちや新しい発見が胸に広がる。
先生と一緒に本を読んでいると、図書館全体が柔らかい光に包まれていく。
それはまるで、朝日が昇る前のような優しい光だ。
「正彦くん、そろそろ目を覚ます時間だよ」
と先生が静かに言う。
その言葉と同時に、光がさらに強まり、図書館の景色が少しずつ消えていく。
そして、俺はゆっくりと目を覚ました。
夢の中の出来事がまだ鮮明に頭の中に残っていて、まるで本当に先生と一緒に過ごしていたような気分だった。
夢から覚めた現実の世界でも、先生との会話や知識の探求が、俺の中でますます大切なものになっていくように感じられた。