先生と俺

みなと劉

文字の大きさ
上 下
20 / 89

第20話

しおりを挟む
朝起きて、カレンダーを確認すると今日は水曜日。
土曜日まであと数日あることを改めて認識した。
待ち遠しい気持ちがありつつも、今は今日一日をどう過ごすかに集中することにした。

「今日は何を話そうかな…」

とベッドから起き上がりながら考えた。
昨日の夜、いろいろな話題が頭をよぎったが、今朝ふと浮かんだのは「花火の歴史」についてだった。
夏の風物詩である花火がどのようにして始まったのか、そして日本に伝わった経緯を知るのは面白そうだと感じた。
「そうだ、今日は花火の歴史について先生に聞いてみよう」
と決めて、俺は学校へと向かった。
教室に着くと、先生はいつものように早くから来ていて、今日の授業の準備をしていた。
俺は軽く挨拶をして、早速話題を切り出した。

「先生、おはようございます。今日は少し聞きたいことがあるんですけど…」

先生は微笑んで、手を止めて俺に視線を向けた。
「おはようございます、正彦くん。どうしましたか?」
「今日は、花火の歴史について教えてもらえませんか?花火って、いつから日本にあるんですか?それとも、どこか他の国から伝わってきたものなんでしょうか?」
先生は少し考えるようにしてから、興味深そうに答えた。
「花火の歴史ですね。それは面白い質問ですね。実は花火の起源は、中国にまで遡ることができるんですよ。
紀元前に発明された火薬を使ったものが、やがて花火として発展していきました。そして、江戸時代には日本でも花火が盛んに楽しまれるようになりました。」
俺はその話を聞きながら、花火がどんな歴史を辿ってきたのか、そして日本の花火文化がどのように発展してきたのかに興味を持った。
「へえ、そうだったんですね…」
俺はますます興味が湧いて、さらに質問を重ねた。
「じゃあ、花火大会っていうのも、江戸時代からあったんですか?」

先生はうなずきながら続けた。
「そうですね。特に、隅田川の花火大会は有名です。
これは、1733年に行われた『水神祭』が起源で、江戸時代の人々にとって大切な夏の行事となりました。
そこから、各地で花火大会が行われるようになり、今でも夏の風物詩として親しまれています。」
「なるほど…」
俺はその話に感心しつつ、花火がただの夏のイベントではなく、歴史と文化の深い背景を持っていることに気づかされた。

俺は花火の話を聞いているうちに、ふと思い出したことがあった。
夏の花火大会で、観客が「たまや!」って掛け声を上げるのをよく耳にする。その掛け声にも何か由来があるんだろうか。
「先生、『たまや!』っていう掛け声も歴史があるんですか?」と、俺は興味津々で先生に尋ねた。
先生は軽くうなずいて、にこやかに答えた。
「ええ、『たまや』というのは、江戸時代に実在した花火職人の屋号なんです。
江戸時代には、いくつかの花火職人がいて、彼らがそれぞれの技術を競い合いながら花火を打ち上げていました。
その中でも『たまや』と『かぎや』という二つの屋号が特に有名だったんですよ。」

俺は初めて聞く話に驚いた。
「そうなんですか!『たまや』って、そんな背景があったんですね。」
「そうです。」
先生は続けた。
「江戸の人々は、彼らが打ち上げる花火を見て、『たまや!』とか『かぎや!』といった掛け声をかけていたんです。特に『たまや』は人気があったので、その名残として、今でも花火大会で『たまや!』と叫ぶことがあるんですよ。」

俺はその話を聞きながら、当時の江戸の人々が、夜空に広がる花火を見上げて楽しんでいた光景を思い浮かべた。

「なるほど…」
俺は感心しながら言った。
「ただの掛け声だと思っていたけど、そんなに歴史があったなんて知らなかったです。」
先生は満足げに微笑んだ。
「こういった伝統が今でも残っているのは、とても素敵なことですよね。花火だけでなく、その背景にある文化や歴史を知ると、また違った楽しみ方ができます。」
俺はその言葉にうなずきながら、もっといろんなことを知りたくなった。
今日も先生から新しいことを教えてもらえて、とても充実した気持ちになった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

クラスメイトに死ねコールをされたので飛び降りた

ああああ
恋愛
クラスメイトに死ねコールをされたので飛び降りた

処理中です...