先生と俺

みなと劉

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第19話

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その日の放課後、帰り支度をしていると、先生に呼び止められた。
「正彦くん、少しお時間ありますか?」
先生の優しい声に、俺は足を止めて振り返った。
「どうしましたか?」
と尋ねると、先生は微笑みながら言った。
「今度の土曜日、前に正彦くんと会った『カフェ』に行きませんか?」

その言葉に俺は一瞬、心臓が止まりそうになった。

あの日、偶然の出会いから、俺はなぜか先生に対して特別な気持ちを感じるようになっていた。
だけど、それが何なのかまだ自分でもはっきりわかっていなかった。
ただ、今、先生がそのカフェに一緒に行こうと言った瞬間、胸が高鳴るのを感じた。
「え…あのカフェですか?」
思わず聞き返してしまう俺。声が少し震えていたかもしれない。
先生はそのまま穏やかな表情でうなずいた。
「ええ、あの日はゆっくりお話しできなかったですし、正彦くんともう少し話したいことがあったんです。それに、あのカフェ、すごく雰囲気が良かったですよね?」
俺は戸惑いながらも、その提案に心惹かれている自分を感じた。

あのカフェで、また先生と二人で話すことができるなんて…。
でも、その一方で、この気持ちが何なのかを考えると、胸の中が少し複雑になった。
「…わかりました。じゃあ、土曜日に。」
俺は少し緊張しながらも、なんとか答えた。
「楽しみにしていますね。」
先生はそう言って、優しく微笑んだ。
その瞬間、俺の心臓はまたドキリとした。
これが、どういう気持ちなのか、まだわからない。
だけど、土曜日が待ち遠しく感じたのは確かだった。

その日の夜、俺はベッドに横たわりながら、頭の中は土曜日のことでいっぱいだった。
先生とカフェで過ごす時間を思うと、早くその日が来ないかと待ち遠しく感じた。
でも、カレンダーを思い浮かべてみると、今日はまだ火曜日だ。土曜日までにはまだ数日ある。
「土曜日までは、まだ長いな…」
と俺はため息をつきながら、心の中でつぶやいた。
土曜日のことを考え続けても仕方ないし、今は明日のことに集中しよう。
そう思い直して、俺は先生との次の会話の話題を考えることにした。

「明日は何を話そうかな…」
俺はふと今日の授業や話した内容を思い返した。最近、先生との会話はますます興味深くなっていて、学ぶことが楽しくなっている。
そういえば、今日はトンテキの話をして、そこから食文化について広がったんだよな。
食べ物の話題は面白いけど、次は何かもっと違うことを聞いてみるのもいいかもしれない。
たとえば…歴史や神話についてはよく聞いてきたけど、もっと日常的なこと、たとえば先生自身の好きなことや、最近読んでいる本について聞いてみるのもいいかもしれない。
そういった話から、新しい知識を得られることもあるし、先生の意外な一面が見られるかもしれない。
俺はそんなことを考えながら、少しずつ意識が遠のいていった。
明日はどんな話ができるだろう。先生と話すのが楽しみで、ますます学校に行くのが待ち遠しくなっていた。
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