上 下
370 / 379

370 翌朝朝食の支度をする

しおりを挟む
目を覚ますと、外はまだ薄暗い。リッカたちの寝息が部屋の隅から聞こえてくる。静かで、穏やかな朝の時間だ。

「ん……おはよう。」
と軽くつぶやきながら、ベッドから起き上がる。
窓の外はまだ夜の残りを引きずり、遠くからは鳥のさえずりが聞こえてくる。昨日の疲れもすっかり取れ、体が軽い。

ベッドメイキングを済ませ、着替えを済ませた後、キッチンに向かう。
部屋の扉を開けると、冷え込んだ空気がふわりと肌を撫でる。キッチンには、夜のうちに片付けた後の食器がまだそのままになっている。

「さて、朝ごはんはどうしようか……」
冷蔵庫を開けると、野菜や卵、そして少しだけ残ったパンが目に入る。
考えた末、シンプルなオムレツを作ることに決めた。

フライパンを火にかけ、オリーブオイルを少し垂らして温める。
その間に卵を溶き、軽く塩胡椒を振りかけて混ぜ合わせる。野菜も刻んで準備する。

「リッカたちは起きてくるかな……」
ぼんやりとそんなことを考えながら、卵液をフライパンに流し込む。
ぷつぷつと泡が立ち始め、ほどなくしてオムレツの香ばしい匂いがキッチンに広がる。

「おはよう、エリクス。」
キッチンに入ってきたエリクスが、まだ半分眠そうな顔でぼんやりと俺を見つめる。

「おはよう、兄貴。今日も早いね。」
「早くない。エリクスがちょっと遅いだけだ。」

そんな軽い会話を交わしながら、エリクスも手伝い始める。
野菜を切り、サラダを準備し始めた。リッカもそろそろ起きてくるだろう。チャリオットも起きてくるのを待つ間、キッチンの作業を続ける。

「朝ごはん、何にする?」
リッカが寝ぼけ眼でキッチンに現れる。まだ眠気が残っている様子で、髪の毛が少し乱れている。

「エリクスがサラダを作ってくれてるみたいだな。」
俺が笑いながら言うと、リッカも笑顔を浮かべた。

「じゃあ、私はトーストを焼いてみようかな。」
リッカが冷蔵庫からパンを取り出し、トースターに入れる。ふわっと香ばしいパンの香りが漂う。

チャリオットも起きてきて、みんなで朝ごはんの準備を手伝う。
エリクスが作ったサラダと、俺の作ったオムレツをテーブルに並べ、簡単な朝食が完成する。

そうしてるとリビングダイニングに家族が揃う。
皆が席に着き俺は

「さあ、みんなでいただきます!」
「いただきます!」

暖かな朝の光が差し込むキッチンで、気持ちの良いひとときが流れた。異世界にいるとは思えないほど、穏やかで普通の日常がここには広がっている。



しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

知らない異世界を生き抜く方法

明日葉
ファンタジー
異世界転生、とか、異世界召喚、とか。そんなジャンルの小説や漫画は好きで読んでいたけれど。よく元ネタになるようなゲームはやったことがない。 なんの情報もない異世界で、当然自分の立ち位置もわからなければ立ち回りもわからない。 そんな状況で生き抜く方法は?

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

処理中です...