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31 物語は中盤まできました

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警察の警部らしき人が出てきて
森の変死体について聞いて回るのです。
警部はなんかいけ好かない感じに役者が味を出す。
「この警部とやらいけ好かないである」
「この人はこういう感じの役柄が多いんだよ。でも役者としてはもう20年もやっているベテランさんなんだよ」
「なかなかであるな」

その後のやり取りの後主人公とそのパートナーは特にお咎め無しであった。
だが第1発見者である青年の知り合いは一度警察で取り調べを行う形となってしまう。
俺とメセタは真剣にこの部分を観ていた。
「これはどういう事なんですか?」
メセタが聞いてくるので
「警察の第1調査はまず『第1発見者の存在を先ず疑え』とある。あとはこの後に分かるかもだが『完璧すぎるアリバイ』は有り得ないというもの」
「ふーん……最初に発見したからと言って犯人とは分からないが真実から目を背ける前に一つ一つピースを繋ぐという訳ですね」
(メセタ……めっちゃ賢いやん)

こんな他愛のない会話を2人でしている。
俺は箸でキャベツのおかか和えを摘み食べる。
メセタは皿に乗っているプレーンスコーンを食べている。
ドラマは進行して物語は第2の犯行に移る。
今回第2の犯行は部屋内での密室殺人であった。

「部屋には鍵も掛けてあり、犯行はどのように行われたのでしょうかね?」
「これが『密室の殺人トリック』」
「『密室の殺人トリック』?」
メセタは真剣に聞き直す。

「俺も過去にある物語で語られて知ったんだがミステリーにはある定義があると知ったんだ。それがミステリー小説にはひとつ以上『密室』という現場を作る必要性があると」
「要は犯行が行われたが部屋の状態で簡単には解けないトリックというパズルピースがあるという事ですね」
「そういうこと」

物語は第2の犯行の行われた場所近くにいた主人公とパートナー、両隣の部屋のお客と向かいの部屋のお客、そしてこの温泉郷宿屋の従業員と女将さんが容疑対象に。
事件の犯人が主人公とパートナー出ないことをメセタには伝えた。
「なぜ?」
「この作品はこの2人で事件解決を行う小説が原作……それを覆すとなると相当悪意を感じる」

原作小説を願うと
ぽんっ
テーブルの上に
『湯けむり温泉郷殺人事件~由紀かおるの事件簿』という小説が出る。
これをメセタに見せる。
「由紀かおるってこのドラマの主人公!!我が君の好みのタイプの女性」
「な、ななな!?だから……ちげえって言ってるだりょが!?……っ」
ぽんぽんと肩を叩きメセタが
「いやいや……素直になってもいいんですよ……我が君」
(くそこいつ)
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