東風の饗宴

双龍島への旅立ち

天京の事件を解決し、わずかな休息を得た李凌たち。
しかし、次なる冒険の呼び声は早々に彼らを追い立てることとなる。

一行の元に届いたのは、東方の地「双龍島（そうりゅうとう）」からの招待状だった。
送り主は双龍島の領主、沈蓮（しんれん）という名の女性で、島に伝わる伝説の料理「双龍宴（そうりゅうえん）」の復活に協力してほしいという依頼が記されていた。

沈蓮の手紙には、こう記されていた。

「双龍宴は、我が島の誇り。しかし、その秘伝の技法は失われ、近年では『龍珠の災厄』と呼ばれる怪異が宴の準備を阻むようになりました。食材の調達すらままならない状況です。貴殿らの力を借り、宴の復活を成し遂げたい。」

興味をそそられた李凌たちは、早速旅支度を整え、双龍島へ向かうことを決意する。

双龍島は天京から東に位置し、船で二日ほどの距離にあった。一行は、天京の港で用意された船「蒼天丸（そうてんまる）」に乗り込み、波間を進む。

航海中、李凌はふと気配を感じ、甲板に出ると何者かが潜んでいるのを見つける。正体は、双龍島の伝説を聞きつけた盗賊の一味だった。一行は襲撃者を撃退し、無事に双龍島へ到着する。

双龍島に足を踏み入れた一行を待っていたのは、青い海と豊かな自然に囲まれた島の美しい風景だった。島では龍の形をした山々が並び立ち、天空には龍雲と呼ばれる独特な雲が浮かんでいる。

迎えに来た沈蓮は凛々しくも気品のある女性で、島の人々から深い信頼を寄せられていた。彼女は一行を館に招き入れ、双龍宴についてさらに詳しい話を始めた。

「双龍宴は、東龍と西龍を象徴する二つの大皿料理を中心とした宴です。ですが、今やその食材は幻となり、さらに島のあちこちに現れる『龍珠の災厄』が復活を妨げています。」

沈蓮によれば、「龍珠の災厄」とは、双龍の伝説にちなんだ怪異現象で、双龍島の自然や人々に害を及ぼしているという。

双龍宴の復活には、以下の特別な食材が必要だとされていた。

1. 東龍の角藻（とうりゅうのかくそう）：島の東部の海中にのみ生える、角のような形状をした藻。


2. 西龍の火果（せいりゅうのひか）：島の西側にある火山地帯に生息する希少な果実。


3. 双龍の心米（そうりゅうのしんまい）：双龍山の山腹でのみ栽培される特別な米。


4. 天龍の蜜珠（てんりゅうのみつたま）：島の天空に浮かぶ龍雲が消えた時にだけ採取できる結晶状の蜜。

「この食材を集める間にも、島の各地で龍珠の災厄が広がっています。一刻も早く行動しなければなりません。」

李凌たちはそれぞれの食材を求め、沈蓮の案内で島の冒険に乗り出す。

最初に向かったのは、島の東部に広がる「碧龍の海（へきりゅうのうみ）」。角藻は深海にしか生息せず、採取には特別な技術と勇気が必要だった。

しかし、碧龍の海には「水龍の幻影」と呼ばれる海の怪物が潜んでおり、近づく者を次々と飲み込んでいた。李凌たちは陳琥の作った火薬を水中で活用し、幻影を消し去ることに成功。無事に角藻を手に入れる。

次に訪れたのは、島の西端にそびえる「炎龍峰（えんりゅうほう）」。この地には火山活動による灼熱の地形が広がり、火果の木々は溶岩の近くでしか育たない。

一行は溶岩を避けながら進むが、途中で火山の守護者である「炎龍の精霊」に遭遇する。李凌の剣技と白珠の知識を駆使し、精霊を鎮めて火果を手に入れることに成功する。

双龍山の山腹には、心米を栽培する棚田が広がっていた。しかし、そこには龍珠の災厄によって誕生した「影龍（えいりゅう）」が棲みついていた。一行は影龍との激しい戦闘を繰り広げ、ついに心米を手にする。

最後の蜜珠は、島特有の龍雲が消えた時だけ現れる。その条件を待つ間、一行は島中の人々と協力し、龍雲を晴らす儀式を行う。やがて天に輝く蜜珠を手に入れ、双龍宴の食材が揃った。

李凌たちが沈蓮と共に作り上げた双龍宴は、壮大な形で島民に振る舞われた。双龍宴の完成により、龍珠の災厄は消え去り、島には平穏が戻る。

双龍宴の目玉である二つの大皿はこうだった。

東龍の角藻と海鮮の蒸し物：深海の旨味を活かした清涼感ある一品。

西龍の火果と肉の煮込み：灼熱の地で育った果実の甘みと辛味が際立つ料理。

宴の後、沈蓮は李凌たちに感謝の意を示し、再び島を訪れるよう約束する。