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vol.4
別れの時
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「……藍は渡さない!」
「ならばここで灰となり、その身を風に散らすがいい!」
深紅の瞳が濃くなると同時に、翡翠色の瞳もまた鮮やかに光る。
「きゃあああっ!!」
瞬く間に狼に姿を変えた翠狼が物凄い勢いで律に飛びかかり、律がそれに応戦するために私を素早く突き飛ばした。
ヴァンパイアである律の早さと力の強さに耐えられず、私はテーブルに腰を強打して倒れた。
痛くて……身体に……力が入らない……。
でも、でも……翠狼が……!
ガタン、ドタン!と、普段の図書室からは想像もできないほど激しい音が響き、私は必死で身を起こそうとした。
「クソッ!」
次第に律の荒い息が大きくなり、それに重なって翠狼の声が響いた。
「俺がお前に負けるわけがないだろう。お前と俺では胸に抱く覚悟も、守るべきものの大きさもまるで違うんだ」
律がそんな翠狼を鼻で笑った。
「所詮、お前も人ならざる者。なにが覚悟だ。何が守るべきものだ!カッコつけてもお前だって化け物だ。人狼とヴァンパイアは同じなんだよ」
ここからじゃ姿は見えないけど、律が笑ったのが声で分かった。
「覚悟しろ。その美味くない血を身体から絞り出してやる!」
低く身構えた翠狼が、一瞬私の視界に入った。
……翠狼……!
翡翠の瞳が一層濃い光を放っていて、私はその鮮やかさに圧倒されて瞬きを忘れた。
「うわあああっ!」
翠狼が地を蹴った直後、律が叫び声をあげドスンと床が揺れた。
……律……!
歯を食い縛り、顔をしかめて漸く身を起こした私の眼に、息を飲む光景が広がっていた。
翠狼……!
「は、はなせっ!やめろっ!」
律の絶叫が響き渡り、私は心臓が止まりそうになりながら二人を凝視するしかなかった。
翠……狼……!
口を覆った両手が小刻みに震え、止めることができない。
なんと視線の先には、狼に姿を変えた翠狼が律の背中にのしかかり、今にも彼の首に噛みつこうとしているところだったのだ。
「嫌だ、止めてくれ……!」
血を吐くような律の声が私の耳にも届いた。
直後に翠狼が地を這うような声を放つ。
「もう手遅れだ。これは人狼とヴァンパイアの因縁だ。咬まれた方が死ぬしかない」
律がギュッと眼を閉じた。
「嫌だ……灰にはなりたくない……」
「恨むなら人狼との協定を破った己を恨め」
ゆっくりと眼を開けた律の瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
それから彼の眼が私を捉える。
「せめて藍には……見られたくない……」
律……!
眼を見張る私の前で、律の瞳から徐々に赤みが消えていった。
ルビーのような瞳がその輝きを失う頃、律がフワリと笑った。
「……藍、藍」
「り、つ」
翠狼が大きく口を開けた。
「うっ!」
涙で辺り一面が滲んだ。
ギュッと両目をきつく閉じたけど、律の呻き声は私の耳に届き、それが私に彼との別れを告げていた。
律……律。
もう、力が残っていなかった。
身を起こして立ち上がろうとしたのに、気力も体力も私の中から全てなくなってしまっていたのだ。
さよなら……律。
私は身体を起こすのを諦めると、頬にカーペットの感覚を受けながらゆっくりと眼を閉じた。
****
気を失ったのはほんの数分のようで、気がつけば私は人に戻った翠狼に抱きかかえられていた。
場所はまだ図書室だったけど、私の目の前には瀬里がいて、翠狼は脇に立っていた仲間らしき人に指示を出していた。
……見たことのある人だ。確か、教会で……。
「藍ちゃん……」
瀬里の声で翠狼が私を覗き込んだ。
「海狼、後は任せた」
海狼と呼ばれた人が無言で頷き、翠狼が瀬里を見下ろした。
「瀬里、俺は藍を連れて帰る。お前は白狼に報告を頼む」
「分かった。じゃあ藍ちゃん、後で行くからね」
僅かに頷くと、瀬里は少しだけ笑った。
「歩けるか?」
翠狼の問いかけに、私はうん、と返事をした。
……派手な音がしたわりには乱闘の形跡は感じられず、私はさっきの出来事が夢なんじゃないかと思った。
でもすぐに、本当にすぐに、私は現実だったと思い知らされた。
何故なら、翠狼に左の頬をぶたれたから。
「……っ!」
一瞬何が起きたのか分からなかったけど、私を見下ろした翠狼は凄く怒っていた。
「二度と人間の女に手をあげないと瀬里に約束していたが、今はそれが守れない」
違和感のある頬に手をやりながら硬直する私を見て、翠狼が怒鳴った。
「どれだけ心配したか分かってるのか!」
大声に身体がビクリと震える。
「俺がどれだけ心配したか……!」
言うなり翠狼は私を荒々しく引き寄せて胸に抱いた。
「なにが『律と行く』だ!バカか、お前はっ!」
怒鳴り声とは裏腹に私を抱き締める両腕が優しい。
翠狼の身体は温かくて、私の胸はキュッとして、息をするのも忘れた。
「翠、狼……」
「……」
……心配してくれたの?こんな私を。
出会って日も浅い私を、あなたは腹が立つ程に心配してくれたの?
ユルユルと、私の心の中の硬い殻のようなものがひび割れ、それがボロボロと崩れていくような気がした。
「翠狼……私、迷惑じゃない?」
声が震えて、涙が出そうだ。
翠狼が私を抱き締めたまま答えた。
「ちっとも迷惑じゃない」
太陽を浴びたように、胸の中がジワリとあたたかくなってゆく。
「私の事、嫌じゃないの?だって私、誰からも好かれてなくて、」
「そんなのは、お前の思い込みだ」
でも、だけど……。
「……」
「じゃあ、試してやる。来い」
「え?きゃあっ」
言うや否や、翠狼は私を抱き上げると図書室の引き戸を足で開けた。
とたんに人払いのために立っていた仲間が振り向き、
「翠狼、そろそろ結界を解くぞ」
「ああ」
短い会話を終えると、翠狼はそのまま廊下を突き進んだ。
当然、まだ下校していない生徒達が私達に気付き、見つめる。
「あれ!?松下さんどうしたの?!」
同じクラスの高橋くんが、私と翠狼を交互に見て眼を丸くした。
そこに丁度、本を胸の前で抱えた内藤さんに出くわす。
「……どなたですか?私、藍さんのクラスメートですがなにかあったんですか?」
内藤さんが、不審そうに翠狼を見上げて、スカートのポケットからスマホを取り出そうとした。
「あ、あの、大丈夫。この人は兄で……」
「え、お兄さん?やだ、具合悪くなって迎えに来てもらったとか?!あー、焦ったあ!心配したよぉ」
心……配……?
胸を突かれて何も言えないでいる私の代わりに、翠狼が二人に頭を下げた。
「藍がいつもお世話になりありがとうございます」
するとそんな翠狼に二人は照れたように笑った。
「いえ、こちらの方こそいつもお世話になってるんです。松下さんは勉強教えるのが凄く上手いし、いつも冷静で、クラスの中で一番頼れる存在なんです」
信じられなかった。
そんな風に思ってもらえてたの?
驚く私の前で高橋くんと内藤さんがホッとしたように私に笑いかけた。
「貧血かもよ?栄養摂って今日は帰ったら早く寝なよ?」
「明日はさよなら会の打ち合わせあるからね」
私は慌てて頷いた。
「う、うん。じゃあ、また明日ね」
「ん!ばいばい!」
二人を見送ったあと、翠狼が私の顔を少しだけ見た。
「……皆がお前を好きじゃないなんて思わなくていい」
「……うん……」
泣きそうになるのを我慢したくて、私はぎこちなく笑った。
「歩いて帰れるよ。……ありがとう」
翠狼にゆっくりと下ろされると、私は彼に一歩近づいてその顔を見上げた。
「翠狼、ありがとう」
もう……律はいない。
私は瀬里の言葉を思い返した。
起きてしまったことはもう変えられない。
この短期間の間に私の周りで目まぐるしく起こった出来事は、無かったことには出来ないのだ。
ヴァンパイアや人狼という存在を、目の当たりにした事実も。
まだまだ苦しいけれど、私は前を向かなきゃならない。
前に進まなければならないのだ。
翠狼が私を見下ろして少しだけ笑った。
「さあ、帰るぞ」
「うん」
私は翠狼の背中を見つめて歩く速度をあげた。
「ならばここで灰となり、その身を風に散らすがいい!」
深紅の瞳が濃くなると同時に、翡翠色の瞳もまた鮮やかに光る。
「きゃあああっ!!」
瞬く間に狼に姿を変えた翠狼が物凄い勢いで律に飛びかかり、律がそれに応戦するために私を素早く突き飛ばした。
ヴァンパイアである律の早さと力の強さに耐えられず、私はテーブルに腰を強打して倒れた。
痛くて……身体に……力が入らない……。
でも、でも……翠狼が……!
ガタン、ドタン!と、普段の図書室からは想像もできないほど激しい音が響き、私は必死で身を起こそうとした。
「クソッ!」
次第に律の荒い息が大きくなり、それに重なって翠狼の声が響いた。
「俺がお前に負けるわけがないだろう。お前と俺では胸に抱く覚悟も、守るべきものの大きさもまるで違うんだ」
律がそんな翠狼を鼻で笑った。
「所詮、お前も人ならざる者。なにが覚悟だ。何が守るべきものだ!カッコつけてもお前だって化け物だ。人狼とヴァンパイアは同じなんだよ」
ここからじゃ姿は見えないけど、律が笑ったのが声で分かった。
「覚悟しろ。その美味くない血を身体から絞り出してやる!」
低く身構えた翠狼が、一瞬私の視界に入った。
……翠狼……!
翡翠の瞳が一層濃い光を放っていて、私はその鮮やかさに圧倒されて瞬きを忘れた。
「うわあああっ!」
翠狼が地を蹴った直後、律が叫び声をあげドスンと床が揺れた。
……律……!
歯を食い縛り、顔をしかめて漸く身を起こした私の眼に、息を飲む光景が広がっていた。
翠狼……!
「は、はなせっ!やめろっ!」
律の絶叫が響き渡り、私は心臓が止まりそうになりながら二人を凝視するしかなかった。
翠……狼……!
口を覆った両手が小刻みに震え、止めることができない。
なんと視線の先には、狼に姿を変えた翠狼が律の背中にのしかかり、今にも彼の首に噛みつこうとしているところだったのだ。
「嫌だ、止めてくれ……!」
血を吐くような律の声が私の耳にも届いた。
直後に翠狼が地を這うような声を放つ。
「もう手遅れだ。これは人狼とヴァンパイアの因縁だ。咬まれた方が死ぬしかない」
律がギュッと眼を閉じた。
「嫌だ……灰にはなりたくない……」
「恨むなら人狼との協定を破った己を恨め」
ゆっくりと眼を開けた律の瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
それから彼の眼が私を捉える。
「せめて藍には……見られたくない……」
律……!
眼を見張る私の前で、律の瞳から徐々に赤みが消えていった。
ルビーのような瞳がその輝きを失う頃、律がフワリと笑った。
「……藍、藍」
「り、つ」
翠狼が大きく口を開けた。
「うっ!」
涙で辺り一面が滲んだ。
ギュッと両目をきつく閉じたけど、律の呻き声は私の耳に届き、それが私に彼との別れを告げていた。
律……律。
もう、力が残っていなかった。
身を起こして立ち上がろうとしたのに、気力も体力も私の中から全てなくなってしまっていたのだ。
さよなら……律。
私は身体を起こすのを諦めると、頬にカーペットの感覚を受けながらゆっくりと眼を閉じた。
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気を失ったのはほんの数分のようで、気がつけば私は人に戻った翠狼に抱きかかえられていた。
場所はまだ図書室だったけど、私の目の前には瀬里がいて、翠狼は脇に立っていた仲間らしき人に指示を出していた。
……見たことのある人だ。確か、教会で……。
「藍ちゃん……」
瀬里の声で翠狼が私を覗き込んだ。
「海狼、後は任せた」
海狼と呼ばれた人が無言で頷き、翠狼が瀬里を見下ろした。
「瀬里、俺は藍を連れて帰る。お前は白狼に報告を頼む」
「分かった。じゃあ藍ちゃん、後で行くからね」
僅かに頷くと、瀬里は少しだけ笑った。
「歩けるか?」
翠狼の問いかけに、私はうん、と返事をした。
……派手な音がしたわりには乱闘の形跡は感じられず、私はさっきの出来事が夢なんじゃないかと思った。
でもすぐに、本当にすぐに、私は現実だったと思い知らされた。
何故なら、翠狼に左の頬をぶたれたから。
「……っ!」
一瞬何が起きたのか分からなかったけど、私を見下ろした翠狼は凄く怒っていた。
「二度と人間の女に手をあげないと瀬里に約束していたが、今はそれが守れない」
違和感のある頬に手をやりながら硬直する私を見て、翠狼が怒鳴った。
「どれだけ心配したか分かってるのか!」
大声に身体がビクリと震える。
「俺がどれだけ心配したか……!」
言うなり翠狼は私を荒々しく引き寄せて胸に抱いた。
「なにが『律と行く』だ!バカか、お前はっ!」
怒鳴り声とは裏腹に私を抱き締める両腕が優しい。
翠狼の身体は温かくて、私の胸はキュッとして、息をするのも忘れた。
「翠、狼……」
「……」
……心配してくれたの?こんな私を。
出会って日も浅い私を、あなたは腹が立つ程に心配してくれたの?
ユルユルと、私の心の中の硬い殻のようなものがひび割れ、それがボロボロと崩れていくような気がした。
「翠狼……私、迷惑じゃない?」
声が震えて、涙が出そうだ。
翠狼が私を抱き締めたまま答えた。
「ちっとも迷惑じゃない」
太陽を浴びたように、胸の中がジワリとあたたかくなってゆく。
「私の事、嫌じゃないの?だって私、誰からも好かれてなくて、」
「そんなのは、お前の思い込みだ」
でも、だけど……。
「……」
「じゃあ、試してやる。来い」
「え?きゃあっ」
言うや否や、翠狼は私を抱き上げると図書室の引き戸を足で開けた。
とたんに人払いのために立っていた仲間が振り向き、
「翠狼、そろそろ結界を解くぞ」
「ああ」
短い会話を終えると、翠狼はそのまま廊下を突き進んだ。
当然、まだ下校していない生徒達が私達に気付き、見つめる。
「あれ!?松下さんどうしたの?!」
同じクラスの高橋くんが、私と翠狼を交互に見て眼を丸くした。
そこに丁度、本を胸の前で抱えた内藤さんに出くわす。
「……どなたですか?私、藍さんのクラスメートですがなにかあったんですか?」
内藤さんが、不審そうに翠狼を見上げて、スカートのポケットからスマホを取り出そうとした。
「あ、あの、大丈夫。この人は兄で……」
「え、お兄さん?やだ、具合悪くなって迎えに来てもらったとか?!あー、焦ったあ!心配したよぉ」
心……配……?
胸を突かれて何も言えないでいる私の代わりに、翠狼が二人に頭を下げた。
「藍がいつもお世話になりありがとうございます」
するとそんな翠狼に二人は照れたように笑った。
「いえ、こちらの方こそいつもお世話になってるんです。松下さんは勉強教えるのが凄く上手いし、いつも冷静で、クラスの中で一番頼れる存在なんです」
信じられなかった。
そんな風に思ってもらえてたの?
驚く私の前で高橋くんと内藤さんがホッとしたように私に笑いかけた。
「貧血かもよ?栄養摂って今日は帰ったら早く寝なよ?」
「明日はさよなら会の打ち合わせあるからね」
私は慌てて頷いた。
「う、うん。じゃあ、また明日ね」
「ん!ばいばい!」
二人を見送ったあと、翠狼が私の顔を少しだけ見た。
「……皆がお前を好きじゃないなんて思わなくていい」
「……うん……」
泣きそうになるのを我慢したくて、私はぎこちなく笑った。
「歩いて帰れるよ。……ありがとう」
翠狼にゆっくりと下ろされると、私は彼に一歩近づいてその顔を見上げた。
「翠狼、ありがとう」
もう……律はいない。
私は瀬里の言葉を思い返した。
起きてしまったことはもう変えられない。
この短期間の間に私の周りで目まぐるしく起こった出来事は、無かったことには出来ないのだ。
ヴァンパイアや人狼という存在を、目の当たりにした事実も。
まだまだ苦しいけれど、私は前を向かなきゃならない。
前に進まなければならないのだ。
翠狼が私を見下ろして少しだけ笑った。
「さあ、帰るぞ」
「うん」
私は翠狼の背中を見つめて歩く速度をあげた。
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