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②人生に猫は必要か
最終話 人生に猫は必要か
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この決断に至るまでに沢山考えた。家族との関係も。自立に関しても。僕はもともと何かに依存して生きるたちだった。
自分の評価は、学校の評定や親からの評価、周囲からの評価に頼り、生きる意味すら数ヶ月後には何があるからそれまでは生きなくては、と周囲に依存していた。
猫もその一つだ。猫の可愛さに魅了され可愛がっていることもよく考えれば、僕の精神の安定につながっている。それも、猫と触れ合えなくなったら、どう不安に対処すればよいか分からないくらいにだ。
それに気づいてしまった僕は、少し短絡的に考えているかもしれないと、より一層悩んだ。
本当に? 本当にそうなのだろうか。猫がいなければ僕は生きていけないのだろうか。
答えはノーだった。
丁度家族との関係が悪くなり、家族といることが苦痛になった時と志望校選びの後半の時期が重なった。当然県外に出て寮で暮らす際、家族で飼っている猫を連れて行くわけにはいかないから、猫とは離れることになる。だが不思議とその状況は、無条件に拒否されるものではなくなっていた。猫と離れることを避けるよりも、猫と離れてもいいから家族と離れたいと思ったのだ。
「もしかして僕、猫がいなくても生きていける?」
ふと脳裏に浮かんだ言葉だ。信じられなかった。猫は僕の人生に深く食い込んできていて、もう猫がいなかった頃の生活が思い出せないほどだ。それなのに、県外の大学に進学する選択肢は、不思議と嫌なものではないと感じた。それで結局、その他様々な条件を比べて県外の志望校を第一志望校にしたのだ。
ある意味この悩んだことは、人生の岐路だったのかもしれない。様々なものからの自立の一歩にすらなったと言える。自分が依存しているものがなくとも、案外なんとかなるのではないかという仮定が自分の中で生まれた。猫の件もその一つだ。
しかし、なくて生きていける仮定が生まれたとして、仮にそれが正しいものだったとして、不安になったり、悲しくならないことでは無いと思う。苦しみながらも、なんとかもがいて生きていくのだろう。ないなら探してしまうのだろう。それでなんとかならなければ、くたばるまでだ。
考えはまだまとまっていない。だが、ようは猫は豊かな人生には必要だけど、最低限もがき苦しんで生きる時に居なくてもなんとかなるかもしれないと思った。
勿論猫が可愛くて可愛くて仕方ないという気持ちは変わっていない。だがそれが純粋な愛情なのか、歪な依存が愛情の皮をかぶって、まともな顔をしているのかは判断不能だ。だけどどちらにしろ、僕は存外猫が居なくても生きていけるのかもしれない。でもきっと、居なくなったらその姿を、その鳴き声を探してしまうだろう。
自分の評価は、学校の評定や親からの評価、周囲からの評価に頼り、生きる意味すら数ヶ月後には何があるからそれまでは生きなくては、と周囲に依存していた。
猫もその一つだ。猫の可愛さに魅了され可愛がっていることもよく考えれば、僕の精神の安定につながっている。それも、猫と触れ合えなくなったら、どう不安に対処すればよいか分からないくらいにだ。
それに気づいてしまった僕は、少し短絡的に考えているかもしれないと、より一層悩んだ。
本当に? 本当にそうなのだろうか。猫がいなければ僕は生きていけないのだろうか。
答えはノーだった。
丁度家族との関係が悪くなり、家族といることが苦痛になった時と志望校選びの後半の時期が重なった。当然県外に出て寮で暮らす際、家族で飼っている猫を連れて行くわけにはいかないから、猫とは離れることになる。だが不思議とその状況は、無条件に拒否されるものではなくなっていた。猫と離れることを避けるよりも、猫と離れてもいいから家族と離れたいと思ったのだ。
「もしかして僕、猫がいなくても生きていける?」
ふと脳裏に浮かんだ言葉だ。信じられなかった。猫は僕の人生に深く食い込んできていて、もう猫がいなかった頃の生活が思い出せないほどだ。それなのに、県外の大学に進学する選択肢は、不思議と嫌なものではないと感じた。それで結局、その他様々な条件を比べて県外の志望校を第一志望校にしたのだ。
ある意味この悩んだことは、人生の岐路だったのかもしれない。様々なものからの自立の一歩にすらなったと言える。自分が依存しているものがなくとも、案外なんとかなるのではないかという仮定が自分の中で生まれた。猫の件もその一つだ。
しかし、なくて生きていける仮定が生まれたとして、仮にそれが正しいものだったとして、不安になったり、悲しくならないことでは無いと思う。苦しみながらも、なんとかもがいて生きていくのだろう。ないなら探してしまうのだろう。それでなんとかならなければ、くたばるまでだ。
考えはまだまとまっていない。だが、ようは猫は豊かな人生には必要だけど、最低限もがき苦しんで生きる時に居なくてもなんとかなるかもしれないと思った。
勿論猫が可愛くて可愛くて仕方ないという気持ちは変わっていない。だがそれが純粋な愛情なのか、歪な依存が愛情の皮をかぶって、まともな顔をしているのかは判断不能だ。だけどどちらにしろ、僕は存外猫が居なくても生きていけるのかもしれない。でもきっと、居なくなったらその姿を、その鳴き声を探してしまうだろう。
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