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6月
第6帖。三色丼。(味噌汁。賀茂ナスの焼いたの。イワシ。わらび餅。)
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目が覚める。
慧太は時計を見た。午前6時17分。ものすごく早い朝。そして頭が痛い。昨夜も寝酒をやってしまったのか、この頭痛は。慧太は寝酒すると昨日のことを忘れやすい。
「あ」
天井を見る。部屋の電気が点けっぱなしである。昨日あれほどけーこに注意されたというのに。
トイレのために立つ。足がふらつく。頭が痛い。頭が痛い完全に二日酔いである。台所で水を飲み、またベッドに戻る。
見る。パソコンの前にはツマミを食べるのに使った皿と箸が置かれている。そうだ、昨日作ったタケノコとイカの木の芽和え。そうだ、こいつを酒のツマミにしたんだった。その横の小皿にはカツオの削り節を醤油で和えたツマミが残っている。
ウマかったから明日のオカズにするんだ。そう言い訳して、けーこに残しておいてもらったものを、酒のアテにしてまった慧太だった。
もともと酒に強くないクセに飲んでしまう。結果がこの二日酔いだ。慧太はベッドでごろごろする。どこかで玄関扉がガチャンと閉まる音がした。誰かが出かけたか。あるいは帰宅したのか。こんな朝早くからご苦労なこって。
――ま、僕には関係ないけど。
うとうとと眠りに落ちつつある慧太。まもなく二度寝の世界に向かったのだった。
◆
けーこは玄関扉を閉め、鍵もかける。ランニングから帰ったのである。
――ふう。
いい汗かいた。
実際けーこは汗まみれである。シャワーを浴びるため風呂場に向かう。日課のランニングを済ませてシャワーを浴びる。これが転生する前からの常であり、転生後けーこもそれを踏襲しているのだった。
天下を獲るも失うも体力から。帝学ではそう教えられた記憶がある。人の2倍、3倍努力をしなければ天下は獲れない。そのためには丸3日寝ずとも戦えるようでなければならない。至言だとけーこは思っている。
浴び終え、タオルで体を拭く。それからストレッチをする。下着姿で。大股開きで床にペタンと座る。左足に上半身を傾斜さす。ピッタリくっつく。体は柔らかい。
次いで右足に上半身を委ねる。
「んっ、あっ、んんぅ」
あえぎ声とともにけーこは上半身をストレッチ。今日も健康バッチリだ、とけーこは上機嫌になり、腰を振りながら喜びのダンスを踊るのだった。
日課を終えたけーこは炊飯器をのぞく。炊きたてのご飯がけーこを見ていた。お椀に盛る。
朝食はご飯、即席味噌汁。ベーコンと目玉焼き。もし昨日のオカズがあればここに加わるが、慧太に残してきたので今朝は何もない。
「イタダキマス」
言って、7分後には食べ終えた。1人で食べると、どんな食事も味気ないとけーこは思う。それにさみしい。
「けいたがいればなー」
けーこがつぶやいた。
◆
昼過ぎ、慧太はむっくり起き上がる。
――もう昼か。
大アクビ。大学を休学して良かったと思うのはこの瞬間である。朝、起きなくていい。これは精神衛生上、体に非常に良いのだった。
朝、起きなくていいのは今日だけではない。あと1年弱ある。まだ休学届を出していないが、気分はすでに休学中の慧太。三度寝しようと思った。が、思ったより頭が冴えているのでやむなく布団から出るのだった。
それからボンヤリした頭をかき、フケが舞うのを見る。けーこの顔が目に浮かぶ。
「シャワーでも浴びるかな」
それから床屋にも行こうと思う。いつまでもボサボサ頭のままでは、またけーこに何か言われてしまうではないか。
◆
夕方。
カラスが鳴く時刻、けーこは川原の遊歩道を歩いている。赤い夕日が沈みしな、大地を己と同じ色に染め沈む。
――どこで見ても太陽は太陽じゃのう。
けーこは道ばたの石ころを蹴飛ばした。石ころは2、3回、地面を跳ね、最後はポチャリと川に消える。
けーこには転生前の故郷の記憶がある。バルコニーから見える山なみを赤々と染め上げる夕日に感動した。そのときの太陽と、今見ている太陽は大きさも色もずいぶん似通っている。似ているどころかほぼ同一。
だからこそ、けーこの心に故郷を思う気持ちが湧き出でたのだ。ポタリ、と涙1滴。
――女々しいぞ、ワシ。
けーこは空を仰いだ。涙がこぼれぬように見上げた空もやはり赤い。そのせいで雲も、カラスも、赤色に上塗りされている。
視線を前に戻す。
「おや」
野菜の無人販売所。その前に、見覚えのあるボサボサ頭がある。
田んぼが近いから、このあたりには野菜の無人販売所が数ヶ所ある。
そー……と近付く。
「わっ!」
「おわああ??」
「あはは、驚き過ぎじゃぞ、けいた」
慧太は垂直に飛び上がり、反動でしりもちをついたのだった。
「なっ、けー、けーこか」
「あんまり驚くでない。こっちがビックリするではないか」
「いきなり大声出されて驚かんはずがないでしょ!」
「そう怒るな。ここは無人販売所か。見たことこそあれ買ったことはないが、よく寄るのか?」
「僕の話を全然聞かないね。いいや、ヒマだから見てるだけだ」
まず目に入るのは真っ赤なトマト。はちきれんばかりの果実は夏の雰囲気を漂わせる。他にもナス。トウモロコシ。ものによってはこっちで買った方が安い。ただし形が悪いしときにはキズものもあるが、これはご愛嬌だ。
「おや、このでっかいナスはなんじゃ。小ネコほどもあるぞ」
ずんぐりしたナスが鎮座している。値段は他のナスよりも高い。他のナスが5、6本100円のところをこのナスは1本で100円もするのだった。全体お尻みたいに丸い。
賀茂ナス、と説明されている。この時期が旬のもので、手榴弾みたいな形だから一目で見分けがつく。米ナスとはまた違う上品さがある。
「さすが京都の野菜じゃのう」
「京都産なの? 1本で100円もするのか……」
「ナスとしては高いの。でも賀茂ナスとしては安い。お買い上げじゃ。おかずが増えるぞ」
それからすぐ隣のインゲン1袋も買うけーこ。計200円を箱に入れた。箱の中で別の硬貨とぶつかり、ちゃりんチャリンと鳴った。
「売られている野菜も毒が入っているわけではない。形が整っていなかったり、ところどころ日に焼けているだけでちゃんと食えるのだ。ああいう無人販売所はありがたいのう」
見るからに上機嫌のけーこ。
一緒に帰宅の途についた。
◆
けーこはエプロンを身に付ける。
「さーてけいた。マンガでも読んでおるのじゃ」
「はーい」
けーこは料理を開始する。
冷凍庫から取り出したトリひき肉はラップに包まれている。3つある。計300グラムだ。2人で食べるにはやや多めである。けーこはこれを解凍した。
冷蔵庫でわずかに余っていた土ショウガをサイコロ状に切り刻む。フライパンに油を引く。傾けると油はさぁーと留まることなく流れる。フライパンが温まった証拠だ。
土ショウガを入れる。いい音を立ててショウガが炒められる。フライ返しで炒める。ショウガの香りが一気に広がる。これもまた夏の香り。
ショウガが透明性を帯びてきたところでけーこはトリ挽き肉を入れた。フライ返しで形を崩したあと、菜箸を2膳、つごう4本の箸でかき混ぜながら焼く。菜箸の先端にときおりくっつくトリ挽き肉をはがしはがし炒める。トリひき肉はダマになることなく炒められる。
ぽろぽろして来たところで砂糖大さじ3をまず入れ、酒大さじ4、醤油大さじ3を入れた。フライパンの中はこれら調味料で海となった。解凍したときに出た水分もフライパンには入っている。
けーこは菜箸を止めない。これら調味料の海が干上がるまで炒めなければならない。すなわち煮しめる。それまで、けーこは菜箸でかき混ぜ続けなければならない。煮しめきれば1色目が完成する。今日の夕飯は三色丼である。
これと併行してけーこはグリルに火を入れ、イワシを焼くのだった。金網の上に銀紙を敷き、イワシを乗せた。下ごしらえしてあるからただ乗せるだけでいい。あらかじめ下ごしらえをしておくと楽が出来る。これも料理をする上では大切だった。
けーこは続いて2色目を作るのだった。小さな器に卵を1つ割る。殻もなく異常もないことを見、大きめの器に移す。これを2回。3つの卵を割り、箸でかき混ぜる。黄身を突き、白身の段差の部分を突き、底の方から混ぜる。空気を適度に入れる。
ここに砂糖小さじ2を入れ、酒大さじ1と塩適量を投じ、さらに混ぜる。この間にフライパンを熱し、油を引く。温まったことを確認してからとき卵を流す。じゅわっピチピチぴちっと卵が焼ける。固まりきってはいけない。けーこは再び菜箸2膳、すなわち4本の菜箸で以てかき混ぜるのだった。こちらもぽろぽろになるまで炒める。
卵のにおいに砂糖の甘いにおいが混ざる。すっかり空腹を刺激するのだった。焼け終えたら粗熱を取るため器に移した。
「さーて」
デザート作りだ。今日はわらび餅を作るのだ。といってもわらび粉から作るのではない。寒天が余っているので在庫処理も兼ねて「わらび餅モドキ」を作るのだった。
小鍋に水を張り、沸かす。ここに寒天を投入した。あとは焦げたりダマになったりせぬようしゃもじでかき混ぜる。マッチ棒みたいな寒天がお湯に溶け、たちまち形を失くす。
抵抗なくかき混ぜられていたのが、やや抵抗をもってかき混ぜられるようになる。よし、完成だ。思っていたより簡単で早かった。
沸騰する前に火を止めて手頃な大きさのタッパーに移した。熱い。せめて粗熱を取るべきだったかとけーこは思う。タッパーのプラスチックが溶ける気がしたが、入れてしまったものはもう戻らない。覆水不返盆。このまま冷蔵庫に入れると庫内の温度が上がってしまう。なのでやむなくそのあたりに置いたままにした。
寒天を溶かして固めただけでは味がまったくない。本物のわらび粉であれば、ほんのり甘みがあるという。食べたことないのでけーこには分からないが。その代わり、きな粉と黒蜜を準備しているので、これらをかけて食べることになる。
三色丼の続きだ。小鍋にお湯を沸かす。上下のヒゲを取ったインゲンを入れる。くつくつと煮込む間、けーこは賀茂ナスの料理法を考えた。ナスに一番合うのは油を使う料理法だ。ナスが油を吸ってウマくなる。
普通に油をしいて焼こうか。ここにカツオブシと醤油をかければそれだけで1品ものになる。焼くだけでウマい賀茂ナス。賀茂ナスは焼くことにしよう。うん、楽だしウマい作り方だ。
その前に湯がかれたインゲンを金属ザルにあけ、冷ましておくことにした。
さてナス料理に移る。
賀茂ナスを軽く洗う。ヘタを切り落とす。薄くないが厚くもない幅で輪切りにした。シンプル・イズザ・ベスト。切って焼くだけ。フライパンを火にかける。しばらくのち、水を一滴落とす。パチパチッと音を立てて蒸発した。
よし、フライパンは温まっている。油をやや多めにぐるりと、フライパン内を一周する勢いでしく。
賀茂ナスを置く。パチッとナスに付着した水分が油はねした。危なかった。
やがて紫色のふちが油で揚がる。なんだか焼いているというよりは油で揚げている気分になる。パチリ! とまた水がはねた。
「熱い!」
「どうしたけーこ!」
「な、何でもない。油がはねた」
「危ないなあ」
「料理をする上では仕方のないことじゃ。マンガを読んでおれ」
「はーい」
さて賀茂ナスの1枚をひっくり返して見た。良い色加減である。キツネ色によく焼けている。賀茂ナス断面の凹凸に沿って、あたかも古代イスラムの名器ラスター彩陶のごとき美しさではないか。我ながらウマい焼き加減だ、とけーこは手前味噌。
焼きながらけーこは味噌汁を温め直す。油ものをやっているときは、味噌汁鍋のフタを開けない。飛び散った油が鍋に入ってしまう。
すべて焼け終えたナスを陶皿に乗せる。油ものは陶器に入れれば洗い物が楽になる。削りカツオブシを振りかける。さらに醤油を垂らし、ちょっぴり酢をかける。
「よーし。焼けたぞー」
「なんだかいいにおいがするね」
「完成じゃぞ! ご飯をよそうのじゃ」
「はーい」
「あ、けいた。今日はご飯茶碗じゃなくて丼の方によそうのじゃ
「ドンブリに?」
「左様。今日は三色丼じゃからの」
「さんしょく」
「うむ。さあドンブリによそえ」
コタツ机の上に夕飯が並んだ。
三色丼、味噌汁。賀茂ナスの焼いたの。イワシ。
三色丼は、なるほど三色である。ご飯の白。トリそぼろの茶色、いり卵の黄色で三色なのだ。
「ん、そうすると上に乗っけられたインゲンの緑は勘定に入ってないのか」
「そういえばそうじゃのう。それを入れると四色丼じゃの」
「どっちにしても美しいのに違いはないね」
賀茂ナスの輪切りの、振りかけられたカツオブシが踊っている。カツオブシが動いているのは熱のせいだが、見ているだけで楽しい。これには醤油と酢がふってある。
「お、イワシがまたある」
「うむ。これワシ好きじゃ。魚の中ではイワシが一番ウマい。旬じゃしのう。さーて、イタダキマス」
けーこは箸を取る。
さっそく三色丼に食らいついた。
トリそぼろをぱくり。トリ挽き肉はしっかり炒められている。噛むほどにしっとりし、煮しめられた醤油、酒、砂糖がじゅわっとトリの旨味に閉じ込められている。そこに土ショウガの香りが続く。ああ、これはウマい。けーこは心の中で感じたのだった。
いり卵を口に含む。甘い。こちらもよく炒られているが、甘い。これが卵とは思えなかった。
最後に三食すべてをいっぺんに口に入れた。トリの旨み。いり卵の甘み。ご飯に絶妙にマッチ。
「ウマいぞ三色丼」と、けーこは口を絶えず動かしながら言うのだった。
「うん、確かにウマい」
「じゃろう。トリそぼろにショウガが良い。味がまとまっておるわ。それにいり卵の甘いこと。うむ。ご飯との相性は良くない。これは3つが一緒になるとちょうど味がまとまる。不思議じゃ。インゲンの緑色も見目鮮やかじゃ」
「賀茂ナスもウマいぞ」
「ほう。どうれ」
けーこは熱に揺れ動くカツオブシをいじくってひとしきり遊ぶ。
――ふむう。面白い。
オモチャを与えられたが遊び方の分からない子猫になった心境だった。熱でカツオブシが踊る。仕組みが分かれど、やはり面白い。それから箸でひときれつまみ、ふーふーと冷まして食べた。
――ウマい。
噛むほどに油のしみたナス。それにカツオブシの風味と醤油が塩気を与えている。ほんの少しだけかけられた酢が、塩気を引き立てている。三位一体。ここでも三者が三様の姿をしていても、食べ物としては一体となっていた。
「うーむ。なんということだ。ナスに油がしみ込んでウマい。これはウマい。ナスが程よく油を吸って醤油とからみ合っておる。飯に合うぞ。醤油は万能じゃのう。醤油万歳! マッタク〝さしすせそ〟は万能じゃ」
「聞いたことはあるが、何だったっけ。さは砂糖か」
「左様。しが塩。すが酢。せは醤油。そは味噌。この5つさえあればどんな料理も万全じゃぞ。だいたいのものは出来る」
「せうゆ? 醤油のことか」
「正しくは醤油じゃけどのう、完全に当て字みたいなもんじゃ」
けーこはガツガツとかっこむ。三色丼はアッ……という間になくなり、焼いたナスもなくなった。すべてがけーこの腹に収まったとき、けーこはようやく箸を止める。
「ゴチソウサマデシタ」
「ごちそうさま。ふー、ウマかった。今日の1食目」
言って、慧太は慌てて口をつぐんだ。だが地獄耳たるけーこの耳はゴマカせない。キッとにらむや、言うのだった。
「1食目じゃと? お主、飯を食うておらぬのか。ワシとの約束はどうなっておる!」
「もももちろんじゃないか! 食べてる食べてる! ジョークだよ」
「本当じゃな」
「もちろんもちろん! けーこは今日の朝、何を食べたんだ」
露骨な話題そらしにも、けーこはちゃんと答える。
「ワシか。今朝方ベーコンと卵を焼いたぞ。うむ。あとご飯を炊いた。やむなく即席の味噌汁じゃ。おっと、デザートあるぞ。食べよう。けいた、冷蔵庫から出してたもれ」
「はいはい」
「わらび餅じゃ。夏っぽいデザートじゃろう」
「わらび餅? そんなものまで作ったのか!」
「モドキじゃがの」
慧太は冷蔵庫からタッパーを出す。すっかり冷えている。蓋を開けた。やや濁った透明のぷるぷるしたモノ。慧太はスプーンで1口サイズにすくい、器に盛る。これくらいならば慧太にも出来る。
「おおっ」
けーこは身を乗り出して目を輝かせた。ガラス容器に盛られたわらび餅。ぷるぷるした見た目はそれだけで涼しげだった。慧太がきな粉と黒蜜をたらす。けーこはそれを眺めている。
黄色の粉がぷるぷるの上に降られた。あたかも色の着いた雪のように、あまねく。隔たりなく。黒蜜はどろりとしている。黒蜜のかおりがけーこに届く。
「けーこ、よだれ」
「あれっ。じゅるる。ウマそうでのう。食べようぞ」
ぱくり。
「げほっ」
咳き込むのだった。きな粉が一気に気道に入り反射が起こった。しばらく咳き込むけーこ。
「大丈夫か」
「う、うむ。ちょっと急いだわい。ぱくり。もちもちした食感がいいのう。きな粉の香りも黒蜜も合う。これはウマい」
「本当だ。へー、知らなかった。わらび餅って作れるものなのか。けーこは何でも作れるのう」
「レシピとさしすせそがあれば何とかなるわい」
「なるほど。他に何かあるか。どんなデザートを作れるんだ。ケーキとか?」
「いやー、さすがにケーキは作ったことない」
「今度作ってよ」
「いいけど、寝るときはちゃんと電気消そうね」
「え?」
「昨日けいた電気消さずに寝とったじゃろう。ワシが消しといてやったんじゃぞ。感謝せよ」
「そ、そうだったのか……。うーん、酩酊しない程度に」
「本当かのう。ウソくさいぞ。やっぱりけいたはワシが見張っとらんと心配じゃ」
けーこは笑う。あたかも子供をたしなめる慈母のごとく。
慧太は時計を見た。午前6時17分。ものすごく早い朝。そして頭が痛い。昨夜も寝酒をやってしまったのか、この頭痛は。慧太は寝酒すると昨日のことを忘れやすい。
「あ」
天井を見る。部屋の電気が点けっぱなしである。昨日あれほどけーこに注意されたというのに。
トイレのために立つ。足がふらつく。頭が痛い。頭が痛い完全に二日酔いである。台所で水を飲み、またベッドに戻る。
見る。パソコンの前にはツマミを食べるのに使った皿と箸が置かれている。そうだ、昨日作ったタケノコとイカの木の芽和え。そうだ、こいつを酒のツマミにしたんだった。その横の小皿にはカツオの削り節を醤油で和えたツマミが残っている。
ウマかったから明日のオカズにするんだ。そう言い訳して、けーこに残しておいてもらったものを、酒のアテにしてまった慧太だった。
もともと酒に強くないクセに飲んでしまう。結果がこの二日酔いだ。慧太はベッドでごろごろする。どこかで玄関扉がガチャンと閉まる音がした。誰かが出かけたか。あるいは帰宅したのか。こんな朝早くからご苦労なこって。
――ま、僕には関係ないけど。
うとうとと眠りに落ちつつある慧太。まもなく二度寝の世界に向かったのだった。
◆
けーこは玄関扉を閉め、鍵もかける。ランニングから帰ったのである。
――ふう。
いい汗かいた。
実際けーこは汗まみれである。シャワーを浴びるため風呂場に向かう。日課のランニングを済ませてシャワーを浴びる。これが転生する前からの常であり、転生後けーこもそれを踏襲しているのだった。
天下を獲るも失うも体力から。帝学ではそう教えられた記憶がある。人の2倍、3倍努力をしなければ天下は獲れない。そのためには丸3日寝ずとも戦えるようでなければならない。至言だとけーこは思っている。
浴び終え、タオルで体を拭く。それからストレッチをする。下着姿で。大股開きで床にペタンと座る。左足に上半身を傾斜さす。ピッタリくっつく。体は柔らかい。
次いで右足に上半身を委ねる。
「んっ、あっ、んんぅ」
あえぎ声とともにけーこは上半身をストレッチ。今日も健康バッチリだ、とけーこは上機嫌になり、腰を振りながら喜びのダンスを踊るのだった。
日課を終えたけーこは炊飯器をのぞく。炊きたてのご飯がけーこを見ていた。お椀に盛る。
朝食はご飯、即席味噌汁。ベーコンと目玉焼き。もし昨日のオカズがあればここに加わるが、慧太に残してきたので今朝は何もない。
「イタダキマス」
言って、7分後には食べ終えた。1人で食べると、どんな食事も味気ないとけーこは思う。それにさみしい。
「けいたがいればなー」
けーこがつぶやいた。
◆
昼過ぎ、慧太はむっくり起き上がる。
――もう昼か。
大アクビ。大学を休学して良かったと思うのはこの瞬間である。朝、起きなくていい。これは精神衛生上、体に非常に良いのだった。
朝、起きなくていいのは今日だけではない。あと1年弱ある。まだ休学届を出していないが、気分はすでに休学中の慧太。三度寝しようと思った。が、思ったより頭が冴えているのでやむなく布団から出るのだった。
それからボンヤリした頭をかき、フケが舞うのを見る。けーこの顔が目に浮かぶ。
「シャワーでも浴びるかな」
それから床屋にも行こうと思う。いつまでもボサボサ頭のままでは、またけーこに何か言われてしまうではないか。
◆
夕方。
カラスが鳴く時刻、けーこは川原の遊歩道を歩いている。赤い夕日が沈みしな、大地を己と同じ色に染め沈む。
――どこで見ても太陽は太陽じゃのう。
けーこは道ばたの石ころを蹴飛ばした。石ころは2、3回、地面を跳ね、最後はポチャリと川に消える。
けーこには転生前の故郷の記憶がある。バルコニーから見える山なみを赤々と染め上げる夕日に感動した。そのときの太陽と、今見ている太陽は大きさも色もずいぶん似通っている。似ているどころかほぼ同一。
だからこそ、けーこの心に故郷を思う気持ちが湧き出でたのだ。ポタリ、と涙1滴。
――女々しいぞ、ワシ。
けーこは空を仰いだ。涙がこぼれぬように見上げた空もやはり赤い。そのせいで雲も、カラスも、赤色に上塗りされている。
視線を前に戻す。
「おや」
野菜の無人販売所。その前に、見覚えのあるボサボサ頭がある。
田んぼが近いから、このあたりには野菜の無人販売所が数ヶ所ある。
そー……と近付く。
「わっ!」
「おわああ??」
「あはは、驚き過ぎじゃぞ、けいた」
慧太は垂直に飛び上がり、反動でしりもちをついたのだった。
「なっ、けー、けーこか」
「あんまり驚くでない。こっちがビックリするではないか」
「いきなり大声出されて驚かんはずがないでしょ!」
「そう怒るな。ここは無人販売所か。見たことこそあれ買ったことはないが、よく寄るのか?」
「僕の話を全然聞かないね。いいや、ヒマだから見てるだけだ」
まず目に入るのは真っ赤なトマト。はちきれんばかりの果実は夏の雰囲気を漂わせる。他にもナス。トウモロコシ。ものによってはこっちで買った方が安い。ただし形が悪いしときにはキズものもあるが、これはご愛嬌だ。
「おや、このでっかいナスはなんじゃ。小ネコほどもあるぞ」
ずんぐりしたナスが鎮座している。値段は他のナスよりも高い。他のナスが5、6本100円のところをこのナスは1本で100円もするのだった。全体お尻みたいに丸い。
賀茂ナス、と説明されている。この時期が旬のもので、手榴弾みたいな形だから一目で見分けがつく。米ナスとはまた違う上品さがある。
「さすが京都の野菜じゃのう」
「京都産なの? 1本で100円もするのか……」
「ナスとしては高いの。でも賀茂ナスとしては安い。お買い上げじゃ。おかずが増えるぞ」
それからすぐ隣のインゲン1袋も買うけーこ。計200円を箱に入れた。箱の中で別の硬貨とぶつかり、ちゃりんチャリンと鳴った。
「売られている野菜も毒が入っているわけではない。形が整っていなかったり、ところどころ日に焼けているだけでちゃんと食えるのだ。ああいう無人販売所はありがたいのう」
見るからに上機嫌のけーこ。
一緒に帰宅の途についた。
◆
けーこはエプロンを身に付ける。
「さーてけいた。マンガでも読んでおるのじゃ」
「はーい」
けーこは料理を開始する。
冷凍庫から取り出したトリひき肉はラップに包まれている。3つある。計300グラムだ。2人で食べるにはやや多めである。けーこはこれを解凍した。
冷蔵庫でわずかに余っていた土ショウガをサイコロ状に切り刻む。フライパンに油を引く。傾けると油はさぁーと留まることなく流れる。フライパンが温まった証拠だ。
土ショウガを入れる。いい音を立ててショウガが炒められる。フライ返しで炒める。ショウガの香りが一気に広がる。これもまた夏の香り。
ショウガが透明性を帯びてきたところでけーこはトリ挽き肉を入れた。フライ返しで形を崩したあと、菜箸を2膳、つごう4本の箸でかき混ぜながら焼く。菜箸の先端にときおりくっつくトリ挽き肉をはがしはがし炒める。トリひき肉はダマになることなく炒められる。
ぽろぽろして来たところで砂糖大さじ3をまず入れ、酒大さじ4、醤油大さじ3を入れた。フライパンの中はこれら調味料で海となった。解凍したときに出た水分もフライパンには入っている。
けーこは菜箸を止めない。これら調味料の海が干上がるまで炒めなければならない。すなわち煮しめる。それまで、けーこは菜箸でかき混ぜ続けなければならない。煮しめきれば1色目が完成する。今日の夕飯は三色丼である。
これと併行してけーこはグリルに火を入れ、イワシを焼くのだった。金網の上に銀紙を敷き、イワシを乗せた。下ごしらえしてあるからただ乗せるだけでいい。あらかじめ下ごしらえをしておくと楽が出来る。これも料理をする上では大切だった。
けーこは続いて2色目を作るのだった。小さな器に卵を1つ割る。殻もなく異常もないことを見、大きめの器に移す。これを2回。3つの卵を割り、箸でかき混ぜる。黄身を突き、白身の段差の部分を突き、底の方から混ぜる。空気を適度に入れる。
ここに砂糖小さじ2を入れ、酒大さじ1と塩適量を投じ、さらに混ぜる。この間にフライパンを熱し、油を引く。温まったことを確認してからとき卵を流す。じゅわっピチピチぴちっと卵が焼ける。固まりきってはいけない。けーこは再び菜箸2膳、すなわち4本の菜箸で以てかき混ぜるのだった。こちらもぽろぽろになるまで炒める。
卵のにおいに砂糖の甘いにおいが混ざる。すっかり空腹を刺激するのだった。焼け終えたら粗熱を取るため器に移した。
「さーて」
デザート作りだ。今日はわらび餅を作るのだ。といってもわらび粉から作るのではない。寒天が余っているので在庫処理も兼ねて「わらび餅モドキ」を作るのだった。
小鍋に水を張り、沸かす。ここに寒天を投入した。あとは焦げたりダマになったりせぬようしゃもじでかき混ぜる。マッチ棒みたいな寒天がお湯に溶け、たちまち形を失くす。
抵抗なくかき混ぜられていたのが、やや抵抗をもってかき混ぜられるようになる。よし、完成だ。思っていたより簡単で早かった。
沸騰する前に火を止めて手頃な大きさのタッパーに移した。熱い。せめて粗熱を取るべきだったかとけーこは思う。タッパーのプラスチックが溶ける気がしたが、入れてしまったものはもう戻らない。覆水不返盆。このまま冷蔵庫に入れると庫内の温度が上がってしまう。なのでやむなくそのあたりに置いたままにした。
寒天を溶かして固めただけでは味がまったくない。本物のわらび粉であれば、ほんのり甘みがあるという。食べたことないのでけーこには分からないが。その代わり、きな粉と黒蜜を準備しているので、これらをかけて食べることになる。
三色丼の続きだ。小鍋にお湯を沸かす。上下のヒゲを取ったインゲンを入れる。くつくつと煮込む間、けーこは賀茂ナスの料理法を考えた。ナスに一番合うのは油を使う料理法だ。ナスが油を吸ってウマくなる。
普通に油をしいて焼こうか。ここにカツオブシと醤油をかければそれだけで1品ものになる。焼くだけでウマい賀茂ナス。賀茂ナスは焼くことにしよう。うん、楽だしウマい作り方だ。
その前に湯がかれたインゲンを金属ザルにあけ、冷ましておくことにした。
さてナス料理に移る。
賀茂ナスを軽く洗う。ヘタを切り落とす。薄くないが厚くもない幅で輪切りにした。シンプル・イズザ・ベスト。切って焼くだけ。フライパンを火にかける。しばらくのち、水を一滴落とす。パチパチッと音を立てて蒸発した。
よし、フライパンは温まっている。油をやや多めにぐるりと、フライパン内を一周する勢いでしく。
賀茂ナスを置く。パチッとナスに付着した水分が油はねした。危なかった。
やがて紫色のふちが油で揚がる。なんだか焼いているというよりは油で揚げている気分になる。パチリ! とまた水がはねた。
「熱い!」
「どうしたけーこ!」
「な、何でもない。油がはねた」
「危ないなあ」
「料理をする上では仕方のないことじゃ。マンガを読んでおれ」
「はーい」
さて賀茂ナスの1枚をひっくり返して見た。良い色加減である。キツネ色によく焼けている。賀茂ナス断面の凹凸に沿って、あたかも古代イスラムの名器ラスター彩陶のごとき美しさではないか。我ながらウマい焼き加減だ、とけーこは手前味噌。
焼きながらけーこは味噌汁を温め直す。油ものをやっているときは、味噌汁鍋のフタを開けない。飛び散った油が鍋に入ってしまう。
すべて焼け終えたナスを陶皿に乗せる。油ものは陶器に入れれば洗い物が楽になる。削りカツオブシを振りかける。さらに醤油を垂らし、ちょっぴり酢をかける。
「よーし。焼けたぞー」
「なんだかいいにおいがするね」
「完成じゃぞ! ご飯をよそうのじゃ」
「はーい」
「あ、けいた。今日はご飯茶碗じゃなくて丼の方によそうのじゃ
「ドンブリに?」
「左様。今日は三色丼じゃからの」
「さんしょく」
「うむ。さあドンブリによそえ」
コタツ机の上に夕飯が並んだ。
三色丼、味噌汁。賀茂ナスの焼いたの。イワシ。
三色丼は、なるほど三色である。ご飯の白。トリそぼろの茶色、いり卵の黄色で三色なのだ。
「ん、そうすると上に乗っけられたインゲンの緑は勘定に入ってないのか」
「そういえばそうじゃのう。それを入れると四色丼じゃの」
「どっちにしても美しいのに違いはないね」
賀茂ナスの輪切りの、振りかけられたカツオブシが踊っている。カツオブシが動いているのは熱のせいだが、見ているだけで楽しい。これには醤油と酢がふってある。
「お、イワシがまたある」
「うむ。これワシ好きじゃ。魚の中ではイワシが一番ウマい。旬じゃしのう。さーて、イタダキマス」
けーこは箸を取る。
さっそく三色丼に食らいついた。
トリそぼろをぱくり。トリ挽き肉はしっかり炒められている。噛むほどにしっとりし、煮しめられた醤油、酒、砂糖がじゅわっとトリの旨味に閉じ込められている。そこに土ショウガの香りが続く。ああ、これはウマい。けーこは心の中で感じたのだった。
いり卵を口に含む。甘い。こちらもよく炒られているが、甘い。これが卵とは思えなかった。
最後に三食すべてをいっぺんに口に入れた。トリの旨み。いり卵の甘み。ご飯に絶妙にマッチ。
「ウマいぞ三色丼」と、けーこは口を絶えず動かしながら言うのだった。
「うん、確かにウマい」
「じゃろう。トリそぼろにショウガが良い。味がまとまっておるわ。それにいり卵の甘いこと。うむ。ご飯との相性は良くない。これは3つが一緒になるとちょうど味がまとまる。不思議じゃ。インゲンの緑色も見目鮮やかじゃ」
「賀茂ナスもウマいぞ」
「ほう。どうれ」
けーこは熱に揺れ動くカツオブシをいじくってひとしきり遊ぶ。
――ふむう。面白い。
オモチャを与えられたが遊び方の分からない子猫になった心境だった。熱でカツオブシが踊る。仕組みが分かれど、やはり面白い。それから箸でひときれつまみ、ふーふーと冷まして食べた。
――ウマい。
噛むほどに油のしみたナス。それにカツオブシの風味と醤油が塩気を与えている。ほんの少しだけかけられた酢が、塩気を引き立てている。三位一体。ここでも三者が三様の姿をしていても、食べ物としては一体となっていた。
「うーむ。なんということだ。ナスに油がしみ込んでウマい。これはウマい。ナスが程よく油を吸って醤油とからみ合っておる。飯に合うぞ。醤油は万能じゃのう。醤油万歳! マッタク〝さしすせそ〟は万能じゃ」
「聞いたことはあるが、何だったっけ。さは砂糖か」
「左様。しが塩。すが酢。せは醤油。そは味噌。この5つさえあればどんな料理も万全じゃぞ。だいたいのものは出来る」
「せうゆ? 醤油のことか」
「正しくは醤油じゃけどのう、完全に当て字みたいなもんじゃ」
けーこはガツガツとかっこむ。三色丼はアッ……という間になくなり、焼いたナスもなくなった。すべてがけーこの腹に収まったとき、けーこはようやく箸を止める。
「ゴチソウサマデシタ」
「ごちそうさま。ふー、ウマかった。今日の1食目」
言って、慧太は慌てて口をつぐんだ。だが地獄耳たるけーこの耳はゴマカせない。キッとにらむや、言うのだった。
「1食目じゃと? お主、飯を食うておらぬのか。ワシとの約束はどうなっておる!」
「もももちろんじゃないか! 食べてる食べてる! ジョークだよ」
「本当じゃな」
「もちろんもちろん! けーこは今日の朝、何を食べたんだ」
露骨な話題そらしにも、けーこはちゃんと答える。
「ワシか。今朝方ベーコンと卵を焼いたぞ。うむ。あとご飯を炊いた。やむなく即席の味噌汁じゃ。おっと、デザートあるぞ。食べよう。けいた、冷蔵庫から出してたもれ」
「はいはい」
「わらび餅じゃ。夏っぽいデザートじゃろう」
「わらび餅? そんなものまで作ったのか!」
「モドキじゃがの」
慧太は冷蔵庫からタッパーを出す。すっかり冷えている。蓋を開けた。やや濁った透明のぷるぷるしたモノ。慧太はスプーンで1口サイズにすくい、器に盛る。これくらいならば慧太にも出来る。
「おおっ」
けーこは身を乗り出して目を輝かせた。ガラス容器に盛られたわらび餅。ぷるぷるした見た目はそれだけで涼しげだった。慧太がきな粉と黒蜜をたらす。けーこはそれを眺めている。
黄色の粉がぷるぷるの上に降られた。あたかも色の着いた雪のように、あまねく。隔たりなく。黒蜜はどろりとしている。黒蜜のかおりがけーこに届く。
「けーこ、よだれ」
「あれっ。じゅるる。ウマそうでのう。食べようぞ」
ぱくり。
「げほっ」
咳き込むのだった。きな粉が一気に気道に入り反射が起こった。しばらく咳き込むけーこ。
「大丈夫か」
「う、うむ。ちょっと急いだわい。ぱくり。もちもちした食感がいいのう。きな粉の香りも黒蜜も合う。これはウマい」
「本当だ。へー、知らなかった。わらび餅って作れるものなのか。けーこは何でも作れるのう」
「レシピとさしすせそがあれば何とかなるわい」
「なるほど。他に何かあるか。どんなデザートを作れるんだ。ケーキとか?」
「いやー、さすがにケーキは作ったことない」
「今度作ってよ」
「いいけど、寝るときはちゃんと電気消そうね」
「え?」
「昨日けいた電気消さずに寝とったじゃろう。ワシが消しといてやったんじゃぞ。感謝せよ」
「そ、そうだったのか……。うーん、酩酊しない程度に」
「本当かのう。ウソくさいぞ。やっぱりけいたはワシが見張っとらんと心配じゃ」
けーこは笑う。あたかも子供をたしなめる慈母のごとく。
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よろしくお願い申し上げます。平成27年7月14日、タイトルを変えました。旧称『落ちぶれ大学生と転生JKとは並んで台所に立つ。』新称『制服エプロン。』突然です。申し訳ありません。
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