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2謀濤編
2謀濤編-1
しおりを挟む序
特別地域/アヴィオン海/北緯二八度二〇分・東経一四度五八分
ロンデル標準時一八四四時――
特地アヴィオン海の怪物『鎧鯨』の群れの襲撃により、下腿を失ったオデット・ゼ・ネヴュラは、突如浮上した海上自衛隊特地派遣潜水艦隊所属『きたしお』に収容された。
潜水艦の通路は人間一人がなんとか通れる程度の横幅しかない。
誰かと行き会ったら身体を横にしてようやくすれ違えるほどだ。
白い翼人の娘を抱きかかえた海上自衛隊二等海曹、徳島甫は叫ぶ。
「通路を空けてくれ!」
「お、おうっ!」
女の子一人抱きかかえていてはなおのこと通りづらい。だが、臑から下を失ったオデットの姿を見た乗組員達は、潜航準備で忙しいというのに逃げるようにして道を空けてくれた。さらにゴムシートを敷き詰めた床に点々と落ちた彼女の血液を掃布(モップ)で拭くことすらしてくれたのだった。
「先生!」
士官食堂は緊急時には手術室となる。全ての支度は連絡が入った段階で衛生員の手で済まされており、医官の湊三等海佐が患者を待っていた。
しかしオデットの姿を診た瞬間、湊三佐は盛大に舌打ちした。
「両下肢のギロチン式切断なんて聞いてないぞ! しかもこの娘、翼背負ってるじゃないか!?」
「何か問題があるんですか? 翼皇種だと治療できないとか?」
オデットを治療台に横たわらせた徳島の問いに、湊は答えた。
「骨の作りが微妙に違うんだそうだ。どれどれ……患部の両下肢断端からは頸骨、腓骨が見えて、それを包むように下腿の筋肉、その隙間からは前頸骨動脈、深腓骨神経、頸骨動脈、後頸骨動脈、頸骨神経等々が見える……患部については俺達と全く同じだな。なら、やることも同じでいいってことか。それじゃラインの確保と輸液! 生食のパックをごっそり持ってこい。それと誰か艦長にこのまま手術すると伝えろ! 麻酔をするぞ!」
その言葉を合図に、医官の助手でもある衛生員が弾かれたように仕事にとりかかった。
まず止血に使っていたロープを外して床に捨てるとカフ式ターニケットで脚の血流を抑える。
医官は傍らに突っ立ってオデットの傷口に見入っていた徳島に命じた。
「おい、徳島。ぼやっとしとらんで今の時間をそこらの壁に書け!」
「は、はい?」
「ターニケットで止血した時間だ。定期的に血を通わせないと組織が壊死してしまうからそれを防ぐための記録だ。分単位で正確にな!」
「は、はい」
徳島は言われるままにグリスペンを取ると、士官食堂の壁に「止血開始1848」と大書する。慌てて書いたせいか、酷く形の歪んだ字になってしまった。
「徳島、この娘に何があった? 機械か何かに巻き込まれたのか? それともサメにでも食いつかれたのか?」
「サメみたいなもんです。海に引きずり込まれるかどうかの瀬戸際で、斬るしか仕方がなくって」
徳島は、重苦しい表情で腰の骨裁ち鉈に軽く右手をあてる。そして鞘の中で包丁がカタカタと音を立てたことでようやく気付いた。手が震えているのだ。壁に書いた字が歪んだのも、この震えのせいだった。
もちろん理由は分かっている。オデットを二度と歩けない身体にしてしまったからだ。
それしか方法がなかったのだから仕方がない。仕方がなかったと自分に言い聞かせてはいるが、骨裁ち鉈を振り下ろした瞬間のゴリッという骨を断つ感触は嫌でも手に残っていた。そしてその時の彼女の悲鳴も、耳に残って消えない。正しいからといって何も感じない訳ではないのだ。
しかし医官は言い放った。
「よくやった、お前は最善を尽くした! 後はこっちで何とかしてやる。命だけだがな!」
衛生員が生食――生理食塩水のパックを抱えられるだけ持ってくると医官は早速手を伸ばした。
「こっちにも生食のパックを一個よこせ」
「は、はい」
医官は衛生員から受け取った生理食塩水のパックに、鋏を突き立てる。そしてオデットの足に浴びせて臑の断端を洗い始めた。
どばどばと傷口に生食をかけていくと、どす黒く固まった血で汚れた彼女の患部が洗われ、その下から鮮やかな薄桃色をした肉と白い骨が姿を現す。
徳島は思わず目を背けた。
「くっ……」
職業柄、肉だの骨だのには慣れているはずなのに、それがよく見知った人物のものであると思うと疑似的な痛みに襲われてしまうのだ。
「おい徳島、お前はもういい。科員食堂にでも引っ込んでろ」
医官はアンプルに注射器を刺し、薬剤を吸わせながら言った。
「でも、やったのは俺ですし。何か手伝えることがあるなら……」
「お前、この娘と親しいんだろ? それじゃ何も出来んよ。ここで役に立つには生きた人間をメスで切って、針で刺して、ヤスリで骨を削って、糸で縫う……そんな残酷なことを平気な顔でこなせる奴だけだ。この娘を心配する気持ちは理解できる。だが、それは別の時、別の場所で満たすんだ。ここから先は俺達に任せておけ。いいな?」
そう言われると否も応もない。徳島に出来ることは本当に何もないのだから。
その間にも、湊医官はオデットを側臥位にさせる。そして徳島の存在などもう忘れてしまったかのように、オデットの背中を丸めさせ腰骨の隙間に刺さるよう麻酔の針を突き立てた。
「あ、後をよろしくお願いします」
返事すらない。
「麻酔完了! 直ちにオペを開始するぞ」
忙しく立ち働く医官達の様子に後ろ髪を引かれながら、徳島は重い足取りで士官食堂を出たのだった。
徳島は梯子段を降りると科員食堂へ向かった。
見ると短艇から収容されたプリメーラ達がテーブルを囲んでいた。
科員食堂には詰めれば六人座れるテーブルと四人座れるテーブルが、艦首側と艦尾側、二列に並べられている。皆は、その艦尾側――調理室寄りのテーブルに身を寄せて座っていた。
与えられた毛布に身を包み、一言も口を利くことなく静かにしている様子は、まるでお通夜のようですらあった。
だがそれも無理のない話だ。自分の乗っていた船が沈没し、海に転落したり、溺死しかけたりした。その上、鎧鯨の群れに襲われ他の乗組員達が次々と食われていくところを目のあたりにしたのだから。助かった悦びを味わうよりも先に、放心してしまうのも当然だった。
例外なのは、艦首側のテーブルでアクアスの人魚達と話し込んでいる一等海佐江田島五郎、そして徳島自身くらいだろう。だが徳島やその上司の江田島とて、多くの犠牲が出たことに何も感じていない訳ではない。ただ、今は成さなければならないことがあるから、それを優先しているだけなのである。
今、徳島がしなければならないこと。
その一つが救出作戦の目標であった米国籍ジャーナリストの監視だった。そもそも徳島と江田島はこの男の身柄を確保するためにアヴィオン海まで出張ってきたのだ。
華人系米国籍ジャーナリストのエドモンド・チャンは、四人テーブルの調理場側に座り、どこか傍観者めいた余裕の態度で日本の潜水艦の様子を興味深げに見渡している。
セーラー服の上衣をまとった人魚達に強い関心を抱いているらしく、江田島とケミィ達の会話に聞き耳を立てて何度も視線を送っていた。江田島もそれを意識しているのか何でもないようなことばかりを話題にしている。
次いですべきことは、収容された特地人の状態確認だ。
徳島はプリメーラへ目を向ける。
『碧海の美しき宝珠ティナエ』の統領の娘にして、旧アヴィオン王国王族の末裔たる彼女は、ピンク色の髪をたくし上げると隣のアマレットに上体を預け、市場に並んだ魚のような眼差しを中空に漂わせていた。
衣服が濡れて冷えているせいか、あるいは繰り返し襲ってきた命の危機のせいか、青みがかった唇を小刻みに震わせている。そして溺者用に用意されたブランデーの入ったカップを両手で抱え、チビチビ舐めるように飲んでいた。
その隣で彼女を支えるアマレットは、プリメーラ付きの主任メイドだ。
主の隣に座り甲斐甲斐しくも乾いたタオルで髪を拭いてあげている。だがそうやって一心不乱に役目を果たそうとしている姿は、自分の役割に没入することで不安や恐怖から目を背けているように見えなくもなかった。
一方、ティナエ海軍所属オデット号艦長のシュラ・ノ・アーチは、プリメーラの正面でテーブルに肘を突きじっと頭を抱えていた。
徳島に背を向けて座っているため表情こそ分からないが、その丸まった背中からは、艦長として指揮を執っていた船と乗組員を失った罪の意識に必死になって耐えている様子が窺えた。
プリメーラの侍従にして、ティナエ共和国の防諜機関『黒い手』の一員でもある少年オー・ド・ヴィは、チャンと向かい合う席に座っていた。
この得体の知れない潜水艦と称する船と、見慣れない設備に囲まれて神経を昂らせている様子だ。これだけの船をいつの間にティナエ近海まで進出させたのか。それを成し得た日本という国に対する警戒心が掻き立てられているのかもしれない。
「あ、司厨長」
そんなオー・ド・ヴィが徳島の姿を認めて声を上げた。
『司厨長』とは、沈んだティナエ海軍オデット号における徳島の役職だった。いろいろな事情と経緯と目的により身分を隠して船に乗り込んだ徳島は、やれることをやっていた結果いつの間にかそういうことになっていた。
そしてそれは江田島も同じであった。オデット号の副長となり、若いシュラが艦長の職務を遂行するのを補佐する立場になっていたのだ。
ヴィの呼びかけに反応して、シュラが反射的に立ち上がる。
「ト、トクシマ司厨長! オディは? まさか……」
その時、徳島のティナエ海軍仕様の船員服はオデットの流した血で真っ赤に染まっていた。
士官食堂で止血帯代わりのロープを解いた際、オデットの傷口から溢れた出血を浴びてしまったのだ。
その鮮烈な赤を見たシュラは、最悪の事態を予想したのか表情を険しくする。
「今、手術中です。医師が診てくれています」
徳島はシュラが安心できるよう、出来る限り笑顔を作ってテーブルに歩み寄った。
「つまり、無事なんだね?」
「はい、医師は任せておけと請け合ってくれました」
シュラはホッと胸を撫で下ろす。
すると今度はプリメーラが念を押すように言った。
「本当に大丈夫なんですね?」
「はい、大丈夫のはずです」
徳島は、プリメーラの強い視線に気圧されたように立ちすくんだ。
ブランデーが効いて、『酔姫』モードに入っているらしい。
この状態になると、親しい相手以外目を見て会話することも出来ないコミュ障娘から、ずけずけと思ったことを遠慮会釈なく口にする強気な姫になるのだ。
「何をへらへらと笑っているのですか? 貴方のしたことでしょう!」
「は……はい」
罪悪感を強く刺激された徳島は、申し訳なさに項垂れる。
徳島は、断じてプリメーラが言うようにへらへら笑ったのではない。ただ彼女達を安心させたかっただけなのだ。
しかしプリメーラは徳島の表情を不真面目さの表れと受け止めた。徳島を批難する瞳は罪人を必ず罰してやるという陰のある意思で輝いていた。
「もしあの娘に万が一のことがあったら、わたくしは貴方のことを絶対に許しません」
「……っ」
徳島は歯を食いしばる。オデットの骨を断つ感触と、彼女の悲鳴がありありと蘇って身体が震えた。
だがその時、シュラが割って入りプリメーラを叱った。
「プリム! そういうことは口にするものじゃない。司厨長だって好きでああした訳じゃないんだ。あの場では他に方法がなかった。仕方がなかったんだ」
「でも、あの娘はこれから生涯不自由を背負うのですよ! もし司厨長がもっと優秀で、他の手立てを思い付いていたら、あの子の未来は台無しにならずに済んだのに」
だがシュラは頭を振った。
「他に方法はなかった! 誰であっても彼女の脚を切り落とすことしか出来なかった。もしボクがあの場にいたとしてもそうしていた。だからプリム、君は司厨長を詰るべきではないんだ。逆に感謝すべきなんだよ。あの時、あの瞬間、司厨長が少しでも躊躇っていたらオデットは命を失っていたんだからね」
「でも! あの子はもう二度と心から笑うことが出来なくなってしまいました!」
「どうしてそう決めつけるのさ? 生きてさえいれば笑うことなんていくらでも出来る」
「どうやって? どうやってこれから人並みの幸せを手にすればいいんですか? 身体が不自由になってしまったあの娘は、もう船守りとして働き続けることは出来ないでしょう。恋をして誰かの妻になることも難しい。子を生して育てることだって大きく制限されます。それでどうして屈託なく笑うことが出来るの? あの子の綺麗な笑顔がもう見られなくなってしまうと思うと、わたくしは、わたくしは……」
プリメーラはそう言うと、こみ上げてくる悲しみを堪えるように口を手で覆い顔を伏せた。
だがシュラはプリメーラの両肩に手を添えて言い聞かせる。
「君の言いたいことはよく分かるよ。オデットが心配なんだね。けど、それは司厨長の責任ではないよ、プリム。そこだけは履き違えたらダメなんだ」
「でも、オディの足に骨裁ち鉈を振り下ろしたのは司厨長なんですよ!」
するとシュラは目をすっと細めた。
「分かった。よく分かった。君がそのつもりなら、ボクもこの際だからはっきり言わせてもらうよ。君が司厨長を詰るのはね、責任転嫁したいからだよ!」
「せ、責任転嫁ですって?」
「そう、君は責任を感じてるんだ。そもそも自分がシーラーフ侯爵公子を探したいなんて言い出さなければ、こんなことは起きなかったとね!」
「シュ、シュラ、こうなったのはわたくしのせいだとおっしゃるつもりなの?」
「まさか! ボクがそんなこと思うはずがないよ。そもそも船で起こる全てのことは艦長であるボクの責任なんだからね。だから、オデットの身に起きたことで詰られるなら、ボクであるべきなんだ。けど君自身が、他の誰でもない君こそが、全てを自分のせいだと感じてしまっている。でもその責任は一人ではとても背負いきれるもんじゃない。だから君は、オディを傷つけた罪だけはせめて誰かに着せたいんだ。司厨長はその誰かにされてしまっただけなんだ!」
「そ、そんなこと……」
「ない、と言い張れるかい?」
「……」
プリメーラはしばしシュラとの間で強い感情を込めた視線をぶつけ合う。だが、程なくして力なく視線を落とした。
「分かってくれたみたいだね? さあ、司厨長に謝るんだ」
だがプリメーラは頭を振った。
「嫌です。絶対に分かったりしません。謝りません」
そしてこの話題を続けることを拒むように、顔を伏せてしまった。
シュラは、頑なな態度をとるプリメーラを見て深々と嘆息した。そして仕方なさそうに徳島を振り返る。
「すまないね、司厨長。本来はもっと聞き分けのいい娘なんだけど……きっと疲れてるからだと思う。気が動転しているんだ。凄くね。元気を取り戻せば、この娘だって君に責任がないことは分かるはずだ。だから悪く思わないであげて欲しい」
シュラに言われて徳島は大きく嘆息した。そして仕方ないことだと肩を竦める。
「大丈夫ですよ。何故姫様がこんな態度をとったのかさえ分かっていれば我慢できますから」
するとシュラは、眼帯を着けていない左の瞼を驚いたように瞬かせ、ニヤリと笑った。
「へぇ……」
その反応に今度は徳島が驚く。
「何か?」
「いや、君が許す許さないではなく、我慢と口にしたからさ。そうかそういうことなのか。だとするとプリムがこんな態度をとった理由も分からないでもないかな」
「何を言ってるんです、艦長?」
意味が分からない。徳島はシュラの真意を確かめようと問いかけた。
だが答えを得る時間は与えられなかった。艦内に「潜航! 潜航!」の号令とそれを復唱する声が行き交ったからだ。
「艦橋ハッチ閉鎖!」
「艦橋閉鎖、空気出せ」
発令所で行き交うその号令とともに、密閉された艦内の空気圧が上がっていった。
艦内の気圧上昇は、艦内にいる全員に例外なく襲いかかった。
この気圧変化は人間の鼓膜に異常を生じさせる。
高速で走行する電車が長いトンネルに突入した時、あるいは高層階へ上がる高速エレベーターに乗っている時などに起こる耳の違和感がそれだ。
これは鼓膜を挟んだ体内外の気圧に差が生じ、気圧の低いほうに鼓膜が膨らむことで起こる現象である。この違和感は鼻と喉の奥、解剖学的には咽頭鼻部と称する部位の耳管口を開くことで解消されるのだ。
いわゆる『耳抜き』である。潜水員でもある徳島はこれを自在に出来るので無意識に解消していた。
徳島だけではない。潜水艦の乗組員はこうした気圧の変化に対応できることが必須の資質であるため全員が平然とした表情のままであった。
だが、期せずして潜水艦の乗客となったプリメーラやシュラ達は違った。
予告なく発生したこの現象に大いに戸惑い、不安に陥る。
顔を伏せていたプリメーラも、耳の違和感に頭を上げた。主の異変を見たアマレットは、皆が同じような体験をしていると理解して声を上げる。
「な、なんか耳が変です!」
「それは艦内の気圧が上がっているからです。唾を呑み込むと耳が通って楽になりますよ」
江田島が落ち着き払った口調で説明した。
「唾を?」
「そうです」
アマレットが唇をきゅっと閉じて唾を呑み下そうとする。
プリメーラもシュラも、チャンも揃って同様にしている。
すると程なく解消したようで、皆ホッとした顔つきをしていた。
だがオー・ド・ヴィだけは、いくら唾を呑み込んでも耳が通らないらしい。表情がどんどん険しくなっていく。高くなる空気圧に、耳の苦痛が耐えがたくなってきたようだ。
そこで徳島が他の方法を告げた。
「口をパカッと開いてもいい感じで抜けますよ。顎を左右にずらしてもいい」
するとオー・ド・ヴィは必死になって何度も何度も顎をしゃくった。そしてようやく空気が抜けたらしく、ホッとした表情を見せたのだった。
* *
「とめ!」
発令所の潜航指揮官が、突き出した右の掌をぎゅっと握った。手の合図を添えるのは噴出する空気音に紛れて号令が聞こえない時のためでもある。陸・海・空それぞれの戦闘組織が、独特の符丁、言い回しを用いるのは、爆音轟く戦場で命に関わる聞き間違いを防ぐための工夫なのである。
「とめ」
合図を受け潜航管制員が艦内を縦横に走るパイプについたハンドルを何回も回していく。次第に空気の流入音が静まり、やがて止まった。
「空気とめた!」
そしてしばらくしても艦内の空気圧が下がっていかない――つまり艦内が完全に密閉された状態である――ことを確認した潜航指揮官は哨戒長に告げた。
「閉鎖よし」
二番潜望鏡にとりついて艦の周囲三六〇度を確認していた哨戒長は、発令所の最後部で椅子に腰を掛けている艦長に告げる。
「艦長、危険な目標は潜望鏡視界内にありません。潜航します」
「了解」
黒川艦長が頷くと哨戒長が令する。
「潜航せよ!」
「ベント開け!」
大量の海水の流れこむ音が艦内に響く。メインタンクに海水が満ちていこうとしているのだ。それによって艦は浮力を少しずつ失い、海面下に潜り込んでいく。
「深さ一八、ダウン三度」
哨戒長から操舵員に、目標とすべき深度と姿勢角が指示される。
「ダウン三度」
操舵手の木内海士長が復唱して舵を押す。すると『きたしお』が前に傾いていった。
「ダウン三度。入り始めた」
黒い艦体が海面を切り裂いて水面下へと潜り込んでいく。艦首部分から、艦の中程、そして最後にセイル部分が海面下へと没していった。
「ベント閉め」
「ベント閉鎖」
「深さ一八。横舵中央!」
「艦長。ツリムよし」
発令所内で様々な命令と復唱が行き交い、艦体が海面下で安定したことを確認して一段落する。
黒川は水測員に尋ねた。
「鎧鯨の群れの様子はどうか?」
『先ほどの襲撃で、鎧鯨S八九とS九〇が三一三度の方角に逃げて行きました。その後は遠方で鰭進音がうろついています。びっくりして一目散に逃げていき、一息ついて何が起こったのか冷静に考えている……という感じです』
水測員、松橋二等海曹の返答は相変わらず分かりやすい。
黒川はそれを聞くとくすりと笑った。
「つまり落ち着いたら反撃してくるという訳だな。では、今のうちに深深度潜航してしまおう」
黒川が新たな命令を発すると、艦内では慌ただしく準備が進められていった。
「艦長、深深度潜航配置よし」
哨戒長の報告に黒川は頷いた。
「潜航!」
黒川が目指すべき深度と姿勢角を操舵手に告げる。
「深さ四〇〇、ダウン二〇度」
その時、黒川は医官が手術中であることを思い出して、艦の傾く角度を和らげるべきかと考えた。だが、湊医官であればこの程度の傾斜は問題にしないだろうと思い切ることにする。
「ダウン二〇! ……深さ五〇、六〇、七〇……」
艦体が再び大きく前方に傾き、操舵手が十メートル毎に深度を読み上げていく。
「一二〇、一三〇……」
乗組員達はあちこちのバーや手すりに掴まり身体を支えていた。二〇度というのは何かに掴まらなくては立っているのが不安になる傾斜なのだ。
船殻の周囲をとりまくメインタンクへ流れこむ水音が、さらに艦内に響き渡る。水圧が増すとタンク内の空気が圧縮されて容積が減るため、浮力が倍々の勢いで減っていく。そして海水の猛烈な圧力を受けた艦体が時折ミシミシと音を立てるのである。
* *
「今、何が起きてるんだい?」
科員食堂では、シュラが皆を代表して状況の解説を江田島に求めた。
外の見えない船倉の奥深くに連れ込まれたと思ったら突然耳が痛くなり、テーブルにしがみつかなければならないほど船が傾いた。
さらには艦体がミシミシと音まで立て始めたのである。
水がどんどん流れ込んでくる音は、船体が破れて海水が浸入してきているようにも感じられるから鳥肌が立ってしまう。いくらこの船が海に潜れるものだと聞かされていても地獄に引きずり込まれるような不安と恐怖に駆られてしまうのである。
オデット号が沈んだばかりということもあって、とても楽観視できる状況ではなかった。
「副長、報告。ボクは何が起きているか知る必要があるんだ。ボクにはみんなを守る義務があるんだからね」
プリメーラ、アマレット、オー・ド・ヴィが不安そうに、そしてチャンが興味深そうな表情で江田島の回答を待った。
シュラの言葉を聞き、自分が彼女を支える部下であったことを思い出した江田島は語り始めた。
「とりあえず現状を申し上げますと、この艦は今、海の奥深くにまで潜ろうとしているのです」
慎重に言葉を選んでいるのが誰にでも分かる口ぶりだった。だが口にした言葉が嘘にならないようにする配慮そのものが不安を生んでしまう。
「深くってどのくらい?」
シュラはさらに問いかけた。
「かなり深く、としか申し上げられません」
「また浮かび上がれるのですよね? 大丈夫なんですよね?」
アマレットが我慢しきれないといった表情で確約を求めた。
その時、アマレットの不安げな質問に被せるようにチャンが言った。
「おい、エダジマよ。そもそもこの潜水艦はどれくらい潜れるんだ?」
「実は深さ一万メートルまで行けます」
江田島は間髪を容れずに答えた。
「い、一万だと?」
予想外の数字に目を丸くするチャン。だが江田島は真顔で頷いた。
「まさか、そんな……あり得ない」
「どうしてあり得ないと分かるのですか? 我が国では、潜水艦がどこまで潜れるかは非常に重要な防秘であり誰にも開示されていないというのに。チャンさん、もしかして誰かから聞いたことがあるのですか? もしよかったらその誰かを教えていただけると嬉しいのですが」
江田島の執拗な追及にチャンは言葉を濁した。
「い、いや、取材源の秘匿はジャーナリストの義務だから言えるはずないだろ。それに本当に知らないんだ。知っていたら聞くはずがない」
そこまで口にして、チャンは江田島の真意を理解した。
潜水艦の可潜深度は国家機密なのだから教えられるはずがない。当然、江田島が本当のことを口にするはずもないのだ。
とはいえ江田島の言葉が嘘だとしても、それを嘘だと指摘できるのは真実を知っている場合に限られる。つまり一万という数値がたとえ与太話であったとしても、一般人はそれをそのまま受け入れるしかないのである。
「しかし物事には常識ってものがある。ロシア製の原潜ですら一〇〇〇メートルが限界だと聞くぞ」
「どうして我が国の潜水艦建造技術がロシアより劣っていると思うのですか?」
「そ、それはそうだが……」
「我が国の極超々高張力鋼NS1100はそれほどに凄いのですよ。何しろ国家機密ですので」
「極超々高張力鋼NS1100なんて聞いたことがない。ホントにあるのか?」
ない。実在するのは、現段階では高張力鋼NS110である。
それに本当に凄いのは溶接作業員を含めた造船所スタッフの工作技術のほうだ。
海上自衛隊は、彼らの技能を維持、発展、継承させるために、毎年一隻の潜水艦を就航させていると言っても過言ではないほどだ。昭和三十五年初代『おやしお』就航以来、何十年も試行錯誤を積み重ねてたどり着いたこの境地は、他所から成功の果実を盗んで工業国となったと言い張るような成り上がり者には、決してたどり着くことは出来ないものなのである。
だが結局江田島は、真偽を口にすることなくしらばっくれた。
「秘密です。可潜深度の具体的な数字も秘密です。ですからもし何か記事に起こすようなことがありましたら私が一万メートル以上と答えたことを思い出してくださいね」
「それにしても一万かよ!? 世界で一番深いマリアナ海溝ですら深さが一万一〇〇〇くらいなんだぞ!? 量産型の潜水艦がそんなだなんて、いくらなんでもありえないだろう!?」
江田島とチャンのやりとりを見て、それまで不安な顔をしていたアマレット達もポカンとしてしまった。交わされている会話の意味は解さなくとも、少なくともこうして言い合いをしている余裕があるということだけは彼女達にも伝わったらしい。
実を言うと百万言を費やした説明なんかより、こうしたくだけた雰囲気のほうが人間を安心させる力があったりする。人間の感情は、言葉の内容よりも人間の発する気配の影響を強く受けるからだ。その意味では江田島が生来持っている気配はどうやっても人をホッとさせるものではなかった。それがチャンのおかげでずいぶんと緩んだのである。
「統括もなかなかやる」
チャンが気付かぬ間に、科員食堂に設置された深度計にガムテープを貼って表示を隠す作業をしていた徳島は、チャンを煙に巻きつつ皆を安心させたことを、江田島の手腕だと勘違いしてニヤリと笑ったのだった。
さて、そんなプリメーラ達のもとに艦長の黒川が姿を現したのは、艦の傾きが解消され、沈んでいく感覚がなくなった後のことである。
その姿を見つけた徳島が告げた。
「統括、黒川艦長がおいでになりました」
「どうぞ座ったままでいてください」
黒川は、咄嗟に立ち上がろうとしたシュラやオー・ド・ヴィを手で制す。
オー・ド・ヴィは黒川の動作の意味を察して腰を下ろしたが、シュラはそれでも立ち上がって深々と頭を下げた。
「Taali ow xantiina……」
特地語を解さない黒川のために、徳島が通訳を始める。
「艦長、乗組員の救助に感謝します。ボクはティナエ海軍所属オデット号艦長、シュラ・ノ・アーチです」
「貴女が?」
江田島にそれは本当かと問いかける黒川。
江田島は軽く頷いて肯定する。すると黒川は目を瞬かせた。
どう見ても十代後半から二十代前半ぐらいの見かけなのに艦長という役職にあること、加えてその態度や言動がとてもしっかりしていることに驚かされたのだ。
制度の整っていない「遅れている」国には、いろいろな点で不合理なところがある。その一つとして、能力や責任感に欠ける人材に、見合わない地位と権限が与えられてしまうことが挙げられる。
もちろん日本でもコネや様々な事情でそういうことは起きる。相応しい人材を相応しいポストに。それこそがあらゆる意味で理想なのだが、なかなか実現できていない。これこそが人類の宿痾なのだろう。
日本では、為政者は選挙、官僚と一般労働者は学歴と試験と年功序列、企業経営の責任者については弱肉強食の生存競争という方法で選別される。だが昨今の大企業で度々起こるように、不適格な人材が人々の生活に影響を与える地位につき、多大な損害をもたらしているところを見ると、優れた人材をどのように育て、選び出すか、その見直しが必要かもしれない。
この特地では、政府の官職や軍の役職、階級はもとより、国によっては貴族の身分すらも金で売買できてしまう。黒川は、この少女もまた実力に見合わぬ地位を与えられた人物なのではないかと思ったのだ。
「乗組員のことを、くれぐれもお願いいたします」
だが、そうではないことは態度の端々から感じられた。
このシュラという少女の五体に詰まっているのは義務を果たそうという使命感と責任感だ。経験や能力はともかくとして、それだけは本物だと理解できた。
海の漢というのは、この精神にもの凄く敏感でたちまち共感してしまう。だから黒川も自然と敬意を抱き、自分の娘よりも若いこの艦長を対等に扱うことにしたのである。
「いえ、我々のほうこそ謝らねばなりません。他の乗組員の方々をお救い出来なかったことをどうぞお許しください」
黒川は力が及ばなかったことを詫びた。
「いえ、鎧鯨と戦闘中である以上、いつまでもあの海域にとどまってはいられないという事情は分かります。分かっているんです」
シュラは分かっていると二度繰り返した。奥歯を噛みしめながら。
その言葉が逆に、全く納得できていないことを言外に告げていた。
シュラはおそらく、もっとあの海域にとどまって生き残りがいないか丹念に探して欲しいと思っているのだ。ただ礼儀正しいから、そして自分が相手の立場ならばやはり同じようにすると理解できてしまうから、命の恩人に食ってかからないだけなのだ。
黒川はそれを感じとった。
しかし、言葉にされない要請ならば、分からないフリをすることが許される。
『きたしお』は鎧鯨と戦闘中であり、選択肢は他にない。相手の懇請を冷たく振り払ったという負い目を背負わさないでくれる年若い艦長に黒川は感謝した。
「何にせよ皆様のことは私が承ります。どうぞご安心ください、艦長」
「ありがとう、艦長」
シュラとの会話を終えた黒川は、江田島と徳島を見て軽く頷いた。
次に若い女性二人、そして男性二人――少年と中年男――に視線を巡らせていく。
「江田島、こちらの男性が例の?」
黒川の視線が最後に捉えたのが中年男――華人系米国人を名乗るチャンだった。
「そうです。こちらがチャンさんです。チャンさん、こちらは海上自衛隊『きたしお』艦長の黒川一等海佐です」
チャンは座ったままぺこりと頭を下げ、癖のある英語で話し出した。
「救出を感謝するクロカワ艦長。しかし日本の自衛隊が特地に潜水艦を持ち込んでいるとは知らなかったな。それとも俺一人のために、わざわざこんなデカ物を持ち出してきたのか? なら、いささか大仰ではないか?」
英語なら黒川も直接やりとり出来る。
「別に貴方のために持ち込んだ訳ではありませんよ、ミスター・チャン。この艦がたまたま特地の海に進出していたからこそ、貴方を救い出すことが出来たのは間違いありませんけどね」
黒川の言葉に江田島が補足する。
「でなければ、貴方はティナエ海軍の漕役奴隷とされて今頃は海の藻屑でした。そのことは貴方もティナエ海軍とシーラーフの艦隊がどうなったかをご覧になった以上、否定できないでしょう?」
「ああ、分かってる。だから感謝してるって言ってるだろ? 礼も何度だって言うさ。だがこれだけは教えてくれ。これから俺をどうするつもりなんだ?」
「今回貴方を連れ帰る作戦は、合衆国政府の依頼に基づいています。なので赤坂の大使館までお送りいたします」
するとチャンは鼻を鳴らした。
「日本政府もまあ随分とサービスがよろしいことだな。しかし別にそこまでしてくれなくていい。行き先はそうだな――アルヌスまででいい。そこから先は自分で帰るから。俺も子供じゃないんでな」
しかし江田島は頭を振った。
「いいえ、そういう訳にはいきませんよ。引き受けた仕事は最後まできちっとこなすのが我々日本人のポリシーですので。それとも行き先はやっぱり赤坂ではなく元麻布がよろしいのですか?」
元麻布には中華人民共和国大使館がある。江田島は、チャンが帰りたいのはそっちのほうではないかと暗に尋ねているのだ。
「どっちも遠慮しておくぜ。ただあんたらの任務は俺の救出なんだろ? それならもう成し遂げられているんじゃないかと思ってね。あんたらはもう役目を終えてるんだ」
すると江田島は、人の悪そうな笑みを浮かべて再度首を横に振った。
「いいえ、まだ終わっていません。貴方を担当者に引き渡すまでが我々の任務です」
「最近じゃあ、適当に手を抜いて自社製品の評判を落とす日本人も多いってのに、真面目な奴だなあ。そんな生き方で息が詰まらないか?」
「性分なので、特に気詰まりを感じたりはしませんよ。それに日本人といってもいろいろな人間がいますので、馬鹿をやらかす輩が時々いることも否定しません。彼らの多くは先人の積み上げた評判だけでやってきた苦労知らずの世代でしてねえ。我々の代が、そのツケの後始末をしなきゃならない時期なんです」
「俺を大使館まで届けるのも、そのツケとやらを清算するための努力って訳か?」
「そういう風にご理解いただけると助かります。もちろん、それだけではありませんよ。こちらにも本音と建前ってものがありますので」
「俺の救出が建前なのか? じゃあ本音はなんだ?」
「端的に申し上げれば、勝手に特地をうろつかれるのは迷惑だからとっとと出て行け、二度と来るな……ということです。それに合衆国政府に貴方を引き渡さないと、救出費用の請求も出来ませんしねえ」
身も蓋もない本音を開陳されて返す言葉もないチャンは、口をぱくぱくとさせつつも辛うじて一言発する。
「救出費用を取ろうってのか?」
「もちろんです。経費はしっかり請求させていただきますよ。この作戦には日本国民の血税が投じられていますからねえ」
「日本政府が善意でしていることじゃないのか?」
「まさか!? 確かに我が国は、気前よくお金をばらまき国際社会の財布なんて言われた時代もありましたが、今の日本にはそこまでの余裕はありません。それに対価は金銭とは限りません。物であったり、情報であったり、交渉の際の貸しとして機能するもので結構なんです。最終的に得られるものが、我々が費やした労力と釣り合うものであるならばね」
チャンは嘆息した。
「つまり俺は、世知辛い外交交渉の贄って訳か……」
「ご自身の立場をご理解いただけたようで何よりです」
チャンが口をつぐむと、黒川の合図とともに腰に拳銃を提げた警衛海曹が一歩前に出た。
「ご納得いただけたようですね。ではこれより、艦内での貴方の行動を制限させていただきます」
「なんでだ、艦長?」
「貴方はアメリカのジャーナリスト。そしてこの艦は我が国の機密の塊。是非、情報保全にご協力いただきたいのですよ」
「おいおい俺だけなのか? 他の連中はどうなんだ?」
どうやら行動制限されるのは自分だけだと理解したチャンは、科員食堂にいる他の特地人を見渡した。
「もちろん、留意しますよ。けれど他の方の母国はこの艦がどのくらい深く潜れるか知ったところでその情報を用いる機会はありません。そもそも、あちこちに表示される我々の文字や数字を読み取れるかどうかも怪しいです。しかしチャンさん、あなたは違う。その意味も価値も、十二分に理解しておいでだ」
「ちっ、しまった。アレが原因か」
この艦の可潜深度についてのやりとりを思い出したチャンは、観念して両手を上げた。
「飯はちゃんとした物を食わせてくれるんだな? トイレやシャワーは?」
「もちろん他の方と同じようにさせていただきます。この措置は、あくまでも艦内を勝手にうろつくな、秘密を覗いて回るなというだけのことですので。基本的には、ここにいる皆さんと一緒にいていただくことになります」
「仕方ない。なら我慢してやるか」
そしてチャンは警衛海曹に付き従われる形でCPO室へ連れて行かれたのである。
以降チャンは、『きたしお』に乗っている限り、食事もトイレも常に警衛海曹の監視を受けることになる。何をするにも必ず傍に誰かが立っているのである。
チャンが科員食堂から立ち去るのを見送った黒川は、江田島を振り返った。
「おい、江田島。これでこの海域での任務は完了だな?」
「ええ、おしまいです」
「なら、取り急ぎこの海域から離れよう」
科員食堂を去る際、黒川は毛布を被っているピンクブロンドの女性とその髪を拭いているメイドの女性を見やる。特にプリメーラやシュラの衣服が濡れたままなのが気になった。
「徳島二曹、彼女達の服をなんとかしてやれ。このままじゃ風邪を引きかねない。いいな?」
「了解」
こうして徳島は、彼女達の着替えをどう調達するかという問題を抱えることになった。
「といっても、海士の服を借りてくるしかないけど」
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