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7.エロスの下ごしらえ
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大夢は怯える様にぎこちなく、しかし次第にしっかりと横に頭を振る。
「や……、嫌ですよっ」
「そうですよね……。男に身体を狙われて触られてたなんて……」
「いやいやいやっ、逆っ! 逆です!」
さっきまで甘くて蕩ける素敵な朝を過ごしていたのに、何故か今、別れ話になっている。
過去にどんなやり取りがあったのか記憶もないのに、今の幸せを壊されるなんてふざけてる。
「……逆?」
「そうですっ。俺だって煌人さんのこと好きなんですよっ? その煌人さんからずっとアプローチ掛けられてたなんていう話聞いて、なんで別れ話になるんですかっ。むしろ嬉しいに決まってるじゃないですか!」
「……やっぱり優しいですね」
無理しなくても、と悲しそうに笑う市井の顔がかっこいい。
(ほんと、この人どんな表情してもイケメンだなっ。かっこよすぎて、なんかだんだん話が頭に入って来なくなるぞっ)
「ほんとにほんとですっ。逆に聞きますけど、じゃあ、俺が許さない、酷いって言ったら、煌人さん、俺の事忘れちゃうんですかっ?」
大夢にしては強気の質問だが、これだけ自分の事を好きだと話してくれた後だったから聞けただけである。今じゃなければ、市井が離れてしまいそうなこんな危険な質問は絶対にしないし、したくない。
ぱん、と突きつけられた大夢の質問に、市井はやっぱり悲しそうに微笑んだ。
「大夢の前に現れないように誠心誠意……努力します。すみません……、俺は、大夢を忘れられないです……。これは、大夢に好意を寄せてから、何度も自問したんです。もう俺は、手遅れなんです」
「だったらっ、こんな悲しい話しないで、俺を夢中にさせ続けてくださいっ。苦痛も嫌悪もないし、過去の、俺も覚えてない事なんてもう時効ですっ。乳首開発? 結果として良かったですよっ。だって、気持ちいいし、市井さんを虜にしちゃってるしっ。あと何でしたっけ? 素股とお尻に指……でしたか、ほんと……ほんと煌人さんイケメンなのに、むっつりスケベで、――大好きっ!!」
ガバッと市井に飛びかかるみたいに大夢が抱きついてキスをする。
チュッチュッと市井の頬や耳に唇を当てて、髪の中に指を入れるとクシャクシャにして撫で回した。
「他に、隠してることはないですか? 俺、今大好きな人から熱烈な告白されて、すごく気分良いんで、なんでも許しちゃいますよ? どんな質問にも答えちゃうし、悩み相談でもいいですし、煌人さん自身の事でも。とにかく煌人さんが話したい事、話してくださいっ」
「大夢……」
大夢のハグは市井が思ったよりも大きくて、男らしい力強さを感じさせた。
ときおり大夢は男らしさを出そうと努力する様子を見せるが、そんなことをしなくても大夢は偶に、自然に男性としての格好良さを見せてくれることを市井は十分理解している。ただ、それに気づかず頑張っている姿が可愛らしいので、教えてはあげない。
「……何でもいいんですか?」
「なんでもっ」
「……じゃあ……、面倒くさがりなのに、どうして手間のかかるコーヒーサーバーなんて持ってたんですか」
「えーっ、そんなことですかっ。えーと、あれはですね、東京に来た直後くらいに、美味しいコーヒーが飲みたいって佐藤と話してたら、次の週明けに佐藤の同期が結婚したとかで、その引き出物を佐藤がくれてですね」
「また佐藤さんですか」
呆れたように市井が言うのを見て、大夢はこれが市井の言っていたヤキモチの原因かと分かって、クスクス笑う。
「また佐藤ですよ。だって、上京して仕事しかしてこなかったから、友達佐藤だけなんですよ。一応佐藤の方が、一年入社が早いんで先輩なんですけど、面倒見よくて、垣根が無いタイプっていうか、仕事でも私生活でもフォローしてくれて」
大夢の話に、市井は佐藤が会社から特命を受けていた事を思い出して納得する。会社の体裁のためだけとはいえ、佐藤は大夢を公私にわたりしっかり支えてきている。大夢の性格を考えると、きっと上京したてのころは危うく見えて目が離せない事が多かっただろう。現在の二人の関係を考えると、佐藤は絶妙な距離感を取り続けていたようだ。単に大夢との年齢が近いから担当になったのかと思っていたが、会社は佐藤の能力の高さを見極めて当てている事を感じさせた。
「まあ、そんな奴なんで、煌人さんと最初に会った日も見舞いに来てくれてて。でも、佐藤と今みたいな感じになったのは煌人さんが来て、三人でご飯を食べ始めてからですよ? それまでは、俺も出来るだけ迷惑掛けないようにして距離を取ってたんで」
そんな大夢の言い方に、市井は大夢も佐藤のもう一つの仕事に気付いていたのではと思った。これ以上この話を掘り下げるつもりはないが、二人の気遣い合ってきた時間に、やっぱり少しだけ嫉妬するのは許して欲しい。
「はい、他に聞きたいことは?」
大夢も話題を切り替えてきたので、市井もそれに乗る。
「じゃあ、……俺の収入は低くて、不安定ですけど、それでも俺と一緒にいてくれますか?」
これは市井が元カノにフラれた一番の理由なのだが、やはり愛だけでは食べていけないのも現実で、当時の彼女を責めるつもりはない。
大夢はそこそこ給料をくれる会社で働いているので、市井を養ってくれる可能性もあるが、何と言うのか、聞いてみたかった。
大夢は少し拗ねたように答える。
「……俺は、煌人さんがどんな仕事でも一緒にいたいです。でも、収入が少ないとか、不安定とかは俺が男なので、あまり気にならないのに敢えてしたってことを考えると、それは元カノさんに言われたんですね?」
過去の恋人の影に嫉妬させてしまったのは思わぬ誤算だ。謝る意味でも大夢の背を再び撫でて宥める。
その仕草に図星だったのだと理解した大夢は、市井を許してその胸に頬を預けた。
「その人がそんな理由で煌人さんを諦めてくれたおかげで今、俺が横に居れるんで。まあ、結果的にヨシです」
言われれば確かにそのとおりで、市井に彼女がいた状態で大夢と出会って惹かれていったら、ドロ沼展開だっただろう。
珍しく市井の過去の話になったことで、そわそわした大夢が、我慢できずに質問した。
「煌人さんは、今の仕事に就く前にどこかで働いていましたか?」
自分へ何でも聞いてと言っていたのに逆質問してしまい、答えてくれるかな、と思いつつ聞いてみたのだが、あっさり答えてくれた。
「親族の会社で、二年ほどスーツを着てました」
市井のスーツという言葉に、大夢がちょっと嬉しそうな顔をしたのは、楽しい妄想でもしたのだろう。
その妄想の世界から帰ってきた大夢が、咳払いして続ける。
「そこを辞めてでも、今のお仕事をしたかったんですよね? まあ、あれだけ美味しい料理を作れるんですから、確かに天職ですよ。スーツでは勿体ないです」
うんうん、としきりに頷いてくれる大夢に、市井は転職をしたいと思った最初の気持ちを思い出した。
「天職、というか……、料理は祖母と暮らしていた時に教えてもらった事が役に立っているんですけど、その時に影響を受けたのが、誰かのために何かをする喜びがあるっていう考え方で……。今の仕事には、それを感じれるんです。以前は身内の膝元で能力をそこそこ認められて、次々渡される案件を処理して、交渉に使うデータを集めて。毎日疲れ果てて家に帰ると眠るだけでした。……今の大夢と似てますね」
優しく大夢を見つめ、市井は大夢を労うように頬を撫でて、話を続ける。
「確かに利益を上げれば会社や同僚から評価はされましたけど、俺は、顔も見えない相手と仕事をして貰う評価じゃなくて、とにかく誰かに直接喜んでもらえている姿が見たかった。子どもみたいなことを言っているのは分かっています。でも、今の仕事を始めて、料理をすれば美味しいと言ってもらえ、掃除をすれば綺麗になったと喜ばれる。毎回言われるわけじゃないし、良い事ばかりでもないですけど、でも、お年寄りに涙ぐんで感謝されたり、子育てに疲れたお母さんがほっとした顔を見せてくれたり、テーブルに料理が美味しかったってメモを残してくれる人がいたり……。仕事をしたあと喜ばれて感謝されるそんな嬉しさは、会社ではどれだけ頑張っても得られなかったんです。それが、ただの逃げ道に今の仕事を見つけたと言われたこともあったけど、本当にそのとおりで……。親に会社にはいつでも戻ってこいなんて言われるのも重なって、余計に意地になって続けているだけなのかもしれません……。でも、そうですね……けじめをつける時期が来たんだと思います」
「けじめ……?」
「はい。大夢に黙ってしてきたエッチな事もやっと話せて、……許してもらえて。話さないと前に進めないって、痛感しました。だから……家族にも、いろいろ向き合わなきゃだめなんだと思える事ができました」
大夢にしてきた隠し事を話すあたりから不安に揺れていた市井の目が、いつもの煌きを取り戻していくのを見て、大夢はその顔を惚れ惚れと眺める。
いつまでも眺めていられたが、今日という一日は限られた時間しかない。だから、大夢は直ぐに効果のある仲直りの仕上げを提案した。
「お風呂、一緒に入りましょう? 俺、煌人さんのスケベなところ大好きなんで。お風呂でエッチな事……してほしいな」
市井の胸元からの上目遣いのお願いに、市井の喉がこくんと上下する。
「そんなに甘やかしたら……、引くぐらい、エッチなことしちゃいますよ?」
「……っ、そんなセリフ言うのに、その完璧なスマイルいらないですっ」
優位に立って誘ったつもりが、もうすでに逆転している。
慌てる大夢を楽しそうに見つめて、市井はソファから上体を起こすと、大夢を膝の上に乗せたまま、その左手を取って、薬指に口付けた。
「――大夢……愛してます。俺を、貴方の彼氏にしてください」
二人の関係は大夢からの告白で既に恋人となっていたが、市井は大夢への後ろめたさがあったから、はっきりとした言葉で言えずにいた。そんな隠し事がなくなって、ようやく伝える事が出来た言葉に、市井はありったけの気持ちを乗せた。
「――はいっ」
改めてこんな告白をされるなんて思っていなかった大夢は、幸せいっぱいの気持ちで、初めて出来た彼氏に了承の言葉を伝えて、キスをする。
もう何度目か分からない市井との甘いキスを受けたり返したりしながら、大夢は市井に言われた、いつかの言葉を思い出す。
狭いトイレで乳首を吸われた、あの夜の言葉だ。
――八木沢さまは、唇は好きな人にだけって決めて、守ればいいんです。
(……俺、守ったよ。大好きな人にだけ、キスできてるよ)
市井にチュッと唇を味わわれながら、腕を上げられ、服の袖から抜かれる。着ている大きなトレーナーの裾を上げて脱がそうとしていることが分かって、大夢も市井の服に手を伸ばした。お互いの服を脱がし合い、大夢がトレーナーを首から抜くときに唇が一旦離れてしまっても、またすぐに合わせて奪われる。
「んっ、んぅ……~~っ」
上着を脱ぐと流石に寒くて、ぶるりと震えてしまった。それを見た市井が大夢の身体を抱き上げると、あっという間に風呂場まで運んでしまう。
湯気の立ち込める暖かい浴室に入って再び肌をくっつけて抱き合い、高い位置にセットしたシャワーヘッドから降り注ぐお湯を二人で頭からかかって、まだ脱げていなかった下着を脱がせ合うと、溺れそうになりながらキスを再開させる。
「煌人さんっ、あははッ、さすがに、ぷはっ、息できない」
立ったままの姿勢がまだ少し辛い大夢が、市井の首に腕を回してぶら下がるように抱きつく格好で見上げ、濡れた顔をこしこし擦る。
「大夢から抱きついて来てくれる体勢だから、これ好きなんですけど……」
残念そうにシャワーを止めると、大夢と同じように濡れた髪の先から滴を落としている市井が、片手で髪をかき上げ大夢を悩殺した。
(うわぁ、今のカッコいい!)
すぐにマネをして大夢もかき上げてみたが、七三分けの前髪になっただけの自分が横にある鏡に映っているのが見えて、コレジャナイと、くしゃくしゃにして無かったことにする。
そんな水遊びをする大夢を見逃さず愛でていた市井は、サマになるように大夢の前髪をかき上げてやり、出てきた可愛いおでこにキスを落とした。
「じゃあ、お湯に浸かりながら、ふやかすことにしましょうか」
そう言われ、両手の親指の腹で乳首をふにふにされたら、大夢は甘い吐息を小刻みに漏らして、乳首の先端を硬くさせていく。
「こんなに小さな場所で、期待してることを教えてくれる大夢は、本当に優しいです……」
「またっ……そんな言い方……ッ。煌人さんが開発っン、したんでしょっ」
「そうでしたね。虜にされてますから」
さっき大夢に言われた言葉を使って、市井は愛しそうにきゅむきゅむとピンクの弾力を指先で可愛がりながら、先に湯船に足を入れた。
市井に手を伸ばされて、誘導される様に大夢も片足をお湯につける。
「でも、乳首だけじゃなくて、首も、背中も……」
ゆっくりと身体を引っ張られながら、もう片方の足もお湯に入れ市井に近づいていくと、首を舐められ、背中は指先でツイッと縦に線を引かれるように下ろされ腰で止まると撫でられる。
市井が大夢より先に座れば、まだ立っている大夢の太ももに市井の目線が来て、そこへ舌を這わされ、外側から次第に内側の柔らかな場所へ寄せてこられて、大夢は甘い痺れにゾクゾクしてしまった。
「……太ももだってこれからもっと気持ちよくなっていきますよ」
舌を太ももに当てたまま、視線を上げて大夢と目を合わせ、ぺろんと最後に袋を舐められて、足の力を抜かれた大夢がパシャンと膝から落ちる。市井の目の高さに丁度大夢の胸がきて、そのまま吸い寄せられるように市井が右の粒にむしゃぶりついた。
浴室で反響する可愛い声に耳を癒される思いで、市井の愛撫がいつまでも続く。
「ハァッ、あん……っ、……んぅ~っ……いつまで……する、ンっ、ですかっ」
「言ったじゃないですか。ふやけるまでです」
「なっ……」
確かに言っていたが、湯船に浸かってイチャイチャ触られて、お湯にふやかされると思っていた。
まさか唾液でふやかすなんて、さっきのやり取りで分かるわけがない。
「アッ……も、ふやけましたっ。だから終わり――アンッ、アッアッ、やんっ、……ちょっ、ラストスパートみたいに早く吸わないでっンーッ、またあとで、アゥッ、いっぱい吸っていいからっ、今はもうおしまい!」
チュパチュパと音を立てられて、恥ずかしさに市井の肩をグイグイ押しているのに離れない。やっと止まったと思ったら、拗ねたように乳首を舐めながらの市井に念を押された。
「……ぜったいレすよ」
「なんなんですかっ、その執着はっ」
「俺の半年間の想いです」
「……それはあとどれくらいで落ち着くんですか……?」
毎回この吸引力を使われては乳首がもげてしまいそうに思えて、恐る恐る尋ねてみる。
市井は大夢と乳首を交互に見て、真面目な顔で答えた。
「……大夢と乳首が離れたら、でしょうか」
(もぐつもりだっ!)
冗談で流させない真剣な眼差しが、無駄にカッコいい。
呆れるどころか、そんな市井にもキュンとしてしまうのは、大夢だって恋われれば嬉しいからだ。
「もう……そこばっかり構わないで、ちゃんと俺を抱いてください」
自分の乳首に妬いて、お湯をちゃぷんと揺らし、大夢は市井に抱きついて、お湯に潜らせた右手を彼の足の付け根で淫らに動かして誘う。
こんな状態でよく乳首を弄るだけで我慢できていたなと思うほど、しっかり勃ち上がっていた市井の男根が、大夢に直接触られたことで、身体の負担を気遣って先へ進めなかった行為を続ける許しを得たと歓喜した。
シャワーの時と比べて濃厚になった市井のキスに、この後身体を繋ぐ行為に移るのだと期待が昂まる。
市井がそっと手を伸ばした湯船の縁の先に、薄いゴムが入った正方形のパッケージが幾つかと、オレンジ色のキャップの付いたローションが用意されていることに初めて気づいて、此処でも準備万端にしていたのかと恐れ入った。
「あっ、……はンッ、んんっんんっ、……あぁっ」
市井が腰を奥へ突く度に大夢の膝が震えて水面がチャプチャプと揺れる。浴槽に手をついて丸いお尻を市井に突き出す格好は、二人が繋がる場所のそばにある大夢のほくろを市井にはっきり見せて視覚を楽しませた。
(こうやってバスタブに掴まってくれてると、大夢の腰が逃げようとしても逃げ場がなくて、ずっと奥を突き続けられるから、気持ちよくて腰が溶けそうっ)
昨夜から使い続けた大夢のお尻は、市井を包み込むように柔らかく受け入れ、沈むたびに甘く締め付けて、どこまでも呑み込んでくれる。
前回、中出ししたものを掻き出したときにおあずけを食った分、それを取り戻す勢いで大夢を貪った。
「煌人さ、ンっ、……もぅ、ァ……のぼせちゃう……っ」
室温と運動の熱気に頭をぼぅっとさせた大夢が、美味しそうに市井を咥え込んだまま振り向いて、口から涎を垂らして訴える。
「……っ、湯船から上がりましょうか」
大夢を気遣う言葉を言いつつ、上気した大夢の表情に煽られて、市井は大夢の上半身を起こすと、後ろ抱きに繋がったままその両足を持ち上げ、言葉どおりに湯船から出すと、自分が湯船の縁に座り、大夢を大股開きにして容赦なく突き上げ、抜き挿しを続ける。
「あああっ、これっ深……ぃぃ、んあっ、あうぅっ」
「すごいっ、俺のをこんなに咥え込んでっ、悦んでるのっ、丸見えっ……!」
最奥を突かれ、迫る射精感に喘ぐ大夢が、背後から耳元で囁く市井の言葉に違和感を覚え、何が丸見えなのかと涙で滲む目の焦点を合わせると、目の前の壁の端から端まで横長に取り付けられている鏡に、二人の絡み合うあられもない姿がはっきり映されていた。
市井が昨日の掃除で特に拘った鏡の掃除が、功を奏しているのだが、彼の技術力がここまであることを大夢はまだ教えてもらっていない。
「やっ……えっ、なんでっ、なんで湯気で曇ってないの!?」
のぼせるほど浴室は湯気が立ち込めているのに、二人の結合している部分に、透明だったローションが生クリームみたいな色になって泡立ち、あんなに大きくて赤黒いモノが簡単に出たり入ったりしている。そしてその上で自分のモノも充血して赤くパンパンに張っていて、突かれるたびに揺れて、糸を引いて汁を垂らしていた。その淫らな部分から目が離せない。
「くっ……、急に締め付けが強く……っ」
「アッ……、やだやだっ、隠してっ、恥ずかしいっ」
「いやっ、身体のナカはめちゃくちゃ喜んでますけどっ」
「しっ知らないっ、あんっ、あんンっ、うそっ、ちょっ……大っきくなった! 喜んでるの煌人さんでしょっ」
「当たり前ですよっ! こんなエッチな姿見れて、ちんこギュウギュウ締め付けられてっ。もうちょっとっ、もうちょっとだけっ、大夢の奥に挿れさせてっ」
「~~っ、エッチすぎるっ」
「引くくらいするって、宣言済みですっ! あとで残ったローションで、体も洗いっこしましょうねっ」
「――どこまで本気なんですかっ!?」
どこまでも本気だった市井にメロメロにされて、仲直りのお風呂は大成功となり、午後から出かけた買い物で、二人はお揃いの指輪を購入し、翌日佐藤に盛大に呆れられるのであった。
……Next, final episode
「や……、嫌ですよっ」
「そうですよね……。男に身体を狙われて触られてたなんて……」
「いやいやいやっ、逆っ! 逆です!」
さっきまで甘くて蕩ける素敵な朝を過ごしていたのに、何故か今、別れ話になっている。
過去にどんなやり取りがあったのか記憶もないのに、今の幸せを壊されるなんてふざけてる。
「……逆?」
「そうですっ。俺だって煌人さんのこと好きなんですよっ? その煌人さんからずっとアプローチ掛けられてたなんていう話聞いて、なんで別れ話になるんですかっ。むしろ嬉しいに決まってるじゃないですか!」
「……やっぱり優しいですね」
無理しなくても、と悲しそうに笑う市井の顔がかっこいい。
(ほんと、この人どんな表情してもイケメンだなっ。かっこよすぎて、なんかだんだん話が頭に入って来なくなるぞっ)
「ほんとにほんとですっ。逆に聞きますけど、じゃあ、俺が許さない、酷いって言ったら、煌人さん、俺の事忘れちゃうんですかっ?」
大夢にしては強気の質問だが、これだけ自分の事を好きだと話してくれた後だったから聞けただけである。今じゃなければ、市井が離れてしまいそうなこんな危険な質問は絶対にしないし、したくない。
ぱん、と突きつけられた大夢の質問に、市井はやっぱり悲しそうに微笑んだ。
「大夢の前に現れないように誠心誠意……努力します。すみません……、俺は、大夢を忘れられないです……。これは、大夢に好意を寄せてから、何度も自問したんです。もう俺は、手遅れなんです」
「だったらっ、こんな悲しい話しないで、俺を夢中にさせ続けてくださいっ。苦痛も嫌悪もないし、過去の、俺も覚えてない事なんてもう時効ですっ。乳首開発? 結果として良かったですよっ。だって、気持ちいいし、市井さんを虜にしちゃってるしっ。あと何でしたっけ? 素股とお尻に指……でしたか、ほんと……ほんと煌人さんイケメンなのに、むっつりスケベで、――大好きっ!!」
ガバッと市井に飛びかかるみたいに大夢が抱きついてキスをする。
チュッチュッと市井の頬や耳に唇を当てて、髪の中に指を入れるとクシャクシャにして撫で回した。
「他に、隠してることはないですか? 俺、今大好きな人から熱烈な告白されて、すごく気分良いんで、なんでも許しちゃいますよ? どんな質問にも答えちゃうし、悩み相談でもいいですし、煌人さん自身の事でも。とにかく煌人さんが話したい事、話してくださいっ」
「大夢……」
大夢のハグは市井が思ったよりも大きくて、男らしい力強さを感じさせた。
ときおり大夢は男らしさを出そうと努力する様子を見せるが、そんなことをしなくても大夢は偶に、自然に男性としての格好良さを見せてくれることを市井は十分理解している。ただ、それに気づかず頑張っている姿が可愛らしいので、教えてはあげない。
「……何でもいいんですか?」
「なんでもっ」
「……じゃあ……、面倒くさがりなのに、どうして手間のかかるコーヒーサーバーなんて持ってたんですか」
「えーっ、そんなことですかっ。えーと、あれはですね、東京に来た直後くらいに、美味しいコーヒーが飲みたいって佐藤と話してたら、次の週明けに佐藤の同期が結婚したとかで、その引き出物を佐藤がくれてですね」
「また佐藤さんですか」
呆れたように市井が言うのを見て、大夢はこれが市井の言っていたヤキモチの原因かと分かって、クスクス笑う。
「また佐藤ですよ。だって、上京して仕事しかしてこなかったから、友達佐藤だけなんですよ。一応佐藤の方が、一年入社が早いんで先輩なんですけど、面倒見よくて、垣根が無いタイプっていうか、仕事でも私生活でもフォローしてくれて」
大夢の話に、市井は佐藤が会社から特命を受けていた事を思い出して納得する。会社の体裁のためだけとはいえ、佐藤は大夢を公私にわたりしっかり支えてきている。大夢の性格を考えると、きっと上京したてのころは危うく見えて目が離せない事が多かっただろう。現在の二人の関係を考えると、佐藤は絶妙な距離感を取り続けていたようだ。単に大夢との年齢が近いから担当になったのかと思っていたが、会社は佐藤の能力の高さを見極めて当てている事を感じさせた。
「まあ、そんな奴なんで、煌人さんと最初に会った日も見舞いに来てくれてて。でも、佐藤と今みたいな感じになったのは煌人さんが来て、三人でご飯を食べ始めてからですよ? それまでは、俺も出来るだけ迷惑掛けないようにして距離を取ってたんで」
そんな大夢の言い方に、市井は大夢も佐藤のもう一つの仕事に気付いていたのではと思った。これ以上この話を掘り下げるつもりはないが、二人の気遣い合ってきた時間に、やっぱり少しだけ嫉妬するのは許して欲しい。
「はい、他に聞きたいことは?」
大夢も話題を切り替えてきたので、市井もそれに乗る。
「じゃあ、……俺の収入は低くて、不安定ですけど、それでも俺と一緒にいてくれますか?」
これは市井が元カノにフラれた一番の理由なのだが、やはり愛だけでは食べていけないのも現実で、当時の彼女を責めるつもりはない。
大夢はそこそこ給料をくれる会社で働いているので、市井を養ってくれる可能性もあるが、何と言うのか、聞いてみたかった。
大夢は少し拗ねたように答える。
「……俺は、煌人さんがどんな仕事でも一緒にいたいです。でも、収入が少ないとか、不安定とかは俺が男なので、あまり気にならないのに敢えてしたってことを考えると、それは元カノさんに言われたんですね?」
過去の恋人の影に嫉妬させてしまったのは思わぬ誤算だ。謝る意味でも大夢の背を再び撫でて宥める。
その仕草に図星だったのだと理解した大夢は、市井を許してその胸に頬を預けた。
「その人がそんな理由で煌人さんを諦めてくれたおかげで今、俺が横に居れるんで。まあ、結果的にヨシです」
言われれば確かにそのとおりで、市井に彼女がいた状態で大夢と出会って惹かれていったら、ドロ沼展開だっただろう。
珍しく市井の過去の話になったことで、そわそわした大夢が、我慢できずに質問した。
「煌人さんは、今の仕事に就く前にどこかで働いていましたか?」
自分へ何でも聞いてと言っていたのに逆質問してしまい、答えてくれるかな、と思いつつ聞いてみたのだが、あっさり答えてくれた。
「親族の会社で、二年ほどスーツを着てました」
市井のスーツという言葉に、大夢がちょっと嬉しそうな顔をしたのは、楽しい妄想でもしたのだろう。
その妄想の世界から帰ってきた大夢が、咳払いして続ける。
「そこを辞めてでも、今のお仕事をしたかったんですよね? まあ、あれだけ美味しい料理を作れるんですから、確かに天職ですよ。スーツでは勿体ないです」
うんうん、としきりに頷いてくれる大夢に、市井は転職をしたいと思った最初の気持ちを思い出した。
「天職、というか……、料理は祖母と暮らしていた時に教えてもらった事が役に立っているんですけど、その時に影響を受けたのが、誰かのために何かをする喜びがあるっていう考え方で……。今の仕事には、それを感じれるんです。以前は身内の膝元で能力をそこそこ認められて、次々渡される案件を処理して、交渉に使うデータを集めて。毎日疲れ果てて家に帰ると眠るだけでした。……今の大夢と似てますね」
優しく大夢を見つめ、市井は大夢を労うように頬を撫でて、話を続ける。
「確かに利益を上げれば会社や同僚から評価はされましたけど、俺は、顔も見えない相手と仕事をして貰う評価じゃなくて、とにかく誰かに直接喜んでもらえている姿が見たかった。子どもみたいなことを言っているのは分かっています。でも、今の仕事を始めて、料理をすれば美味しいと言ってもらえ、掃除をすれば綺麗になったと喜ばれる。毎回言われるわけじゃないし、良い事ばかりでもないですけど、でも、お年寄りに涙ぐんで感謝されたり、子育てに疲れたお母さんがほっとした顔を見せてくれたり、テーブルに料理が美味しかったってメモを残してくれる人がいたり……。仕事をしたあと喜ばれて感謝されるそんな嬉しさは、会社ではどれだけ頑張っても得られなかったんです。それが、ただの逃げ道に今の仕事を見つけたと言われたこともあったけど、本当にそのとおりで……。親に会社にはいつでも戻ってこいなんて言われるのも重なって、余計に意地になって続けているだけなのかもしれません……。でも、そうですね……けじめをつける時期が来たんだと思います」
「けじめ……?」
「はい。大夢に黙ってしてきたエッチな事もやっと話せて、……許してもらえて。話さないと前に進めないって、痛感しました。だから……家族にも、いろいろ向き合わなきゃだめなんだと思える事ができました」
大夢にしてきた隠し事を話すあたりから不安に揺れていた市井の目が、いつもの煌きを取り戻していくのを見て、大夢はその顔を惚れ惚れと眺める。
いつまでも眺めていられたが、今日という一日は限られた時間しかない。だから、大夢は直ぐに効果のある仲直りの仕上げを提案した。
「お風呂、一緒に入りましょう? 俺、煌人さんのスケベなところ大好きなんで。お風呂でエッチな事……してほしいな」
市井の胸元からの上目遣いのお願いに、市井の喉がこくんと上下する。
「そんなに甘やかしたら……、引くぐらい、エッチなことしちゃいますよ?」
「……っ、そんなセリフ言うのに、その完璧なスマイルいらないですっ」
優位に立って誘ったつもりが、もうすでに逆転している。
慌てる大夢を楽しそうに見つめて、市井はソファから上体を起こすと、大夢を膝の上に乗せたまま、その左手を取って、薬指に口付けた。
「――大夢……愛してます。俺を、貴方の彼氏にしてください」
二人の関係は大夢からの告白で既に恋人となっていたが、市井は大夢への後ろめたさがあったから、はっきりとした言葉で言えずにいた。そんな隠し事がなくなって、ようやく伝える事が出来た言葉に、市井はありったけの気持ちを乗せた。
「――はいっ」
改めてこんな告白をされるなんて思っていなかった大夢は、幸せいっぱいの気持ちで、初めて出来た彼氏に了承の言葉を伝えて、キスをする。
もう何度目か分からない市井との甘いキスを受けたり返したりしながら、大夢は市井に言われた、いつかの言葉を思い出す。
狭いトイレで乳首を吸われた、あの夜の言葉だ。
――八木沢さまは、唇は好きな人にだけって決めて、守ればいいんです。
(……俺、守ったよ。大好きな人にだけ、キスできてるよ)
市井にチュッと唇を味わわれながら、腕を上げられ、服の袖から抜かれる。着ている大きなトレーナーの裾を上げて脱がそうとしていることが分かって、大夢も市井の服に手を伸ばした。お互いの服を脱がし合い、大夢がトレーナーを首から抜くときに唇が一旦離れてしまっても、またすぐに合わせて奪われる。
「んっ、んぅ……~~っ」
上着を脱ぐと流石に寒くて、ぶるりと震えてしまった。それを見た市井が大夢の身体を抱き上げると、あっという間に風呂場まで運んでしまう。
湯気の立ち込める暖かい浴室に入って再び肌をくっつけて抱き合い、高い位置にセットしたシャワーヘッドから降り注ぐお湯を二人で頭からかかって、まだ脱げていなかった下着を脱がせ合うと、溺れそうになりながらキスを再開させる。
「煌人さんっ、あははッ、さすがに、ぷはっ、息できない」
立ったままの姿勢がまだ少し辛い大夢が、市井の首に腕を回してぶら下がるように抱きつく格好で見上げ、濡れた顔をこしこし擦る。
「大夢から抱きついて来てくれる体勢だから、これ好きなんですけど……」
残念そうにシャワーを止めると、大夢と同じように濡れた髪の先から滴を落としている市井が、片手で髪をかき上げ大夢を悩殺した。
(うわぁ、今のカッコいい!)
すぐにマネをして大夢もかき上げてみたが、七三分けの前髪になっただけの自分が横にある鏡に映っているのが見えて、コレジャナイと、くしゃくしゃにして無かったことにする。
そんな水遊びをする大夢を見逃さず愛でていた市井は、サマになるように大夢の前髪をかき上げてやり、出てきた可愛いおでこにキスを落とした。
「じゃあ、お湯に浸かりながら、ふやかすことにしましょうか」
そう言われ、両手の親指の腹で乳首をふにふにされたら、大夢は甘い吐息を小刻みに漏らして、乳首の先端を硬くさせていく。
「こんなに小さな場所で、期待してることを教えてくれる大夢は、本当に優しいです……」
「またっ……そんな言い方……ッ。煌人さんが開発っン、したんでしょっ」
「そうでしたね。虜にされてますから」
さっき大夢に言われた言葉を使って、市井は愛しそうにきゅむきゅむとピンクの弾力を指先で可愛がりながら、先に湯船に足を入れた。
市井に手を伸ばされて、誘導される様に大夢も片足をお湯につける。
「でも、乳首だけじゃなくて、首も、背中も……」
ゆっくりと身体を引っ張られながら、もう片方の足もお湯に入れ市井に近づいていくと、首を舐められ、背中は指先でツイッと縦に線を引かれるように下ろされ腰で止まると撫でられる。
市井が大夢より先に座れば、まだ立っている大夢の太ももに市井の目線が来て、そこへ舌を這わされ、外側から次第に内側の柔らかな場所へ寄せてこられて、大夢は甘い痺れにゾクゾクしてしまった。
「……太ももだってこれからもっと気持ちよくなっていきますよ」
舌を太ももに当てたまま、視線を上げて大夢と目を合わせ、ぺろんと最後に袋を舐められて、足の力を抜かれた大夢がパシャンと膝から落ちる。市井の目の高さに丁度大夢の胸がきて、そのまま吸い寄せられるように市井が右の粒にむしゃぶりついた。
浴室で反響する可愛い声に耳を癒される思いで、市井の愛撫がいつまでも続く。
「ハァッ、あん……っ、……んぅ~っ……いつまで……する、ンっ、ですかっ」
「言ったじゃないですか。ふやけるまでです」
「なっ……」
確かに言っていたが、湯船に浸かってイチャイチャ触られて、お湯にふやかされると思っていた。
まさか唾液でふやかすなんて、さっきのやり取りで分かるわけがない。
「アッ……も、ふやけましたっ。だから終わり――アンッ、アッアッ、やんっ、……ちょっ、ラストスパートみたいに早く吸わないでっンーッ、またあとで、アゥッ、いっぱい吸っていいからっ、今はもうおしまい!」
チュパチュパと音を立てられて、恥ずかしさに市井の肩をグイグイ押しているのに離れない。やっと止まったと思ったら、拗ねたように乳首を舐めながらの市井に念を押された。
「……ぜったいレすよ」
「なんなんですかっ、その執着はっ」
「俺の半年間の想いです」
「……それはあとどれくらいで落ち着くんですか……?」
毎回この吸引力を使われては乳首がもげてしまいそうに思えて、恐る恐る尋ねてみる。
市井は大夢と乳首を交互に見て、真面目な顔で答えた。
「……大夢と乳首が離れたら、でしょうか」
(もぐつもりだっ!)
冗談で流させない真剣な眼差しが、無駄にカッコいい。
呆れるどころか、そんな市井にもキュンとしてしまうのは、大夢だって恋われれば嬉しいからだ。
「もう……そこばっかり構わないで、ちゃんと俺を抱いてください」
自分の乳首に妬いて、お湯をちゃぷんと揺らし、大夢は市井に抱きついて、お湯に潜らせた右手を彼の足の付け根で淫らに動かして誘う。
こんな状態でよく乳首を弄るだけで我慢できていたなと思うほど、しっかり勃ち上がっていた市井の男根が、大夢に直接触られたことで、身体の負担を気遣って先へ進めなかった行為を続ける許しを得たと歓喜した。
シャワーの時と比べて濃厚になった市井のキスに、この後身体を繋ぐ行為に移るのだと期待が昂まる。
市井がそっと手を伸ばした湯船の縁の先に、薄いゴムが入った正方形のパッケージが幾つかと、オレンジ色のキャップの付いたローションが用意されていることに初めて気づいて、此処でも準備万端にしていたのかと恐れ入った。
「あっ、……はンッ、んんっんんっ、……あぁっ」
市井が腰を奥へ突く度に大夢の膝が震えて水面がチャプチャプと揺れる。浴槽に手をついて丸いお尻を市井に突き出す格好は、二人が繋がる場所のそばにある大夢のほくろを市井にはっきり見せて視覚を楽しませた。
(こうやってバスタブに掴まってくれてると、大夢の腰が逃げようとしても逃げ場がなくて、ずっと奥を突き続けられるから、気持ちよくて腰が溶けそうっ)
昨夜から使い続けた大夢のお尻は、市井を包み込むように柔らかく受け入れ、沈むたびに甘く締め付けて、どこまでも呑み込んでくれる。
前回、中出ししたものを掻き出したときにおあずけを食った分、それを取り戻す勢いで大夢を貪った。
「煌人さ、ンっ、……もぅ、ァ……のぼせちゃう……っ」
室温と運動の熱気に頭をぼぅっとさせた大夢が、美味しそうに市井を咥え込んだまま振り向いて、口から涎を垂らして訴える。
「……っ、湯船から上がりましょうか」
大夢を気遣う言葉を言いつつ、上気した大夢の表情に煽られて、市井は大夢の上半身を起こすと、後ろ抱きに繋がったままその両足を持ち上げ、言葉どおりに湯船から出すと、自分が湯船の縁に座り、大夢を大股開きにして容赦なく突き上げ、抜き挿しを続ける。
「あああっ、これっ深……ぃぃ、んあっ、あうぅっ」
「すごいっ、俺のをこんなに咥え込んでっ、悦んでるのっ、丸見えっ……!」
最奥を突かれ、迫る射精感に喘ぐ大夢が、背後から耳元で囁く市井の言葉に違和感を覚え、何が丸見えなのかと涙で滲む目の焦点を合わせると、目の前の壁の端から端まで横長に取り付けられている鏡に、二人の絡み合うあられもない姿がはっきり映されていた。
市井が昨日の掃除で特に拘った鏡の掃除が、功を奏しているのだが、彼の技術力がここまであることを大夢はまだ教えてもらっていない。
「やっ……えっ、なんでっ、なんで湯気で曇ってないの!?」
のぼせるほど浴室は湯気が立ち込めているのに、二人の結合している部分に、透明だったローションが生クリームみたいな色になって泡立ち、あんなに大きくて赤黒いモノが簡単に出たり入ったりしている。そしてその上で自分のモノも充血して赤くパンパンに張っていて、突かれるたびに揺れて、糸を引いて汁を垂らしていた。その淫らな部分から目が離せない。
「くっ……、急に締め付けが強く……っ」
「アッ……、やだやだっ、隠してっ、恥ずかしいっ」
「いやっ、身体のナカはめちゃくちゃ喜んでますけどっ」
「しっ知らないっ、あんっ、あんンっ、うそっ、ちょっ……大っきくなった! 喜んでるの煌人さんでしょっ」
「当たり前ですよっ! こんなエッチな姿見れて、ちんこギュウギュウ締め付けられてっ。もうちょっとっ、もうちょっとだけっ、大夢の奥に挿れさせてっ」
「~~っ、エッチすぎるっ」
「引くくらいするって、宣言済みですっ! あとで残ったローションで、体も洗いっこしましょうねっ」
「――どこまで本気なんですかっ!?」
どこまでも本気だった市井にメロメロにされて、仲直りのお風呂は大成功となり、午後から出かけた買い物で、二人はお揃いの指輪を購入し、翌日佐藤に盛大に呆れられるのであった。
……Next, final episode
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