お世話になります ~仕事先で男の乳首を開発してしまいました~

餅月ぺたこ

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5.二人きりの一夜

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 頬に軽く触れる唇の感触にすら期待が高まる。

 再開した行為でも大夢がリードできることはなく、されるがままの大夢を市井が抱きしめ、ただ優しく何度も啄んできた。

(い、市井さんの唇が、顔中に当たって……。こ、これって、キスじゃないのっ? いや、でもっ、唇同士は全ッ然当たらないから市井さん的には違うのかっ? ひょっとして、男同士でも雰囲気出るように女の子とするのと同じようにって、市井さんなりに気をつかってて……って、だったらやっぱりキスなんじゃないのかっ?)

 どちらにしてもこんなに優しくチュッチュされると、まるで女の子のように、大事に扱われているみたいでやっぱり恥ずかしい。一度目を閉じたら、恥ずかしさで開けられなくなってしまった。

(しかもコレ、もし女の子とこんな状況になったら、俺がやりたかったヤツだしっ)

 虚しい話だが、来たるべきもしもの日を何度もシュミレーションし、未だ披露する機会もない、大夢憧れの恋人イチャイチャ。

 思い描いたものと立場が正反対だが、されるととても心地良いことは実感できたから、いつかの機会があればやっぱり絶対やろうと心に誓う。

(まあ、市井さんにしてもらうからこんなにポーッとなるんだろうけど……)

 男相手に一体どんな表情で市井はこんなことをしているのだろうか。目を開けて確認してみたい気持ちはあったが、市井の作る甘い空気にじわじわと浸されて、うっとりしている自覚がある。そんな頬を染めた顔を見られたらあまりにもいたたまれない。

(だって、唇が当たる度に、市井さんにスキって言われてるみたいでっ……。バカみたいだけど、勘違いしてくる……っ)

 もう十分ですっ、と悶えたくなるほど続く小鳥のさえずりのような甘い接触。男の大夢相手に市井が一切手を抜いていなくて、それが逆に今更引き退ることは出来ないのだと、暗に伝えられているようだった。

 しかし、市井が与えてくる刺激は、大夢が望んだものよりずっと焦れったかった。



 続きをしたい。市井はそう言ってくれた。



 だが大夢の望んだ続きとは、途切れることなく身体を疼かせる、この集まり始めた欲望をどうにかしてしまいたい、自分の手でするよりずっと気持ちいい市井の手で続けて欲しい。そんな短絡的な快楽を求めた続きだ。

 それなのに市井は、大夢を甘やかすように優しく抱きしめ、髪や額や瞼、頬や耳に、チュッチュッと短い音を立てて唇を落とし、最初から仕切り直しとでも言わんばかりなのだ。いっそまた舌で舐めまわされた方が、熱に浮かされたままなし崩しで続けられたのに。こんなに丁寧にやり直されては、男同士で触れ合っていることを嫌でも気づかされ、余計に意識させられてしまう。

 恥ずかしさと焦れったさに、市井の服の袖を掴んでいる大夢の指の力がいよいよ入っていく。

 まだかまだかと焦らされ続け、両目をギュっと閉じ、座った姿勢でもじもじと膝を擦り合わせ始めたとき、大夢の背中に回っていた市井の手がようやく動いた。

 大夢のワイシャツは既に全てのボタンが外され、はだけたその先でチラチラと見え隠れしていた薄桃色の小さな二つの粒。

 そこへ市井は親指の腹をそっと当てて、左右同時にクリクリと優しいタッチで円を描く。

「あっ! あ……っ!」

 今や大夢の確実な性感帯となった場所への待ち焦がれた刺激は、たやすくあられもない声を大夢に上げさせた。思わず市井の胸元へ頭を寄せて、髪を乱れさせてしまうほどに。

「あれから……ココ、自分で触りましたか? 俺のこと、思い出してくれましたか……?」

 優しい声で尋ねながら意地悪な言葉と指の動きをする市井に、大夢は喉をキュと締められたような切ない声を上げる。

「ふっ、んぅッ……あぁっ。い、市井さん……ン」

「ほら、ココ、です。自分で弄りましたか?」

 言葉で〝ココ〟と指し示すときにそれが〝ドコ〟なのかを分かりやすく親指の爪で弾いて教えると、その後また指の腹でウニウニと粒を可愛がる。ゆっくりと、大事に、それでいて時おり潰すように捏ねてくる指使いは、大夢の期待にしっかり応えていた。

「ね、教えて……」

「んぅぅっ」

 市井に耳元で低く囁かれ、そのまま耳を舐められて。大夢は腰まで痺れを走らせて、歓喜に呻く。

「あ……ぁ、ゆ、指……しながら耳の、そばで、声……とか舐めるの、ゾクゾクするからッ、やめ……」

「聞きたいです……」

「ひゃっ、ぁも……もぅ……言う……言うからっ」

 胸を弄られるだけで充分気持ちいいのに、覚えたての耳への愛撫を合わせられると、大夢は手加減欲しさに素直に従うしかなかった。

「さ……触っ……りました」

「どうやって?」

「んっ……、だから声ぇ……。耳も、舐めないっ……ンン、でっ」

「でも、全部教えてくれたら、耳にしてること、ココにいっぱいしてあげますよ?」

「んーっ! んあっ……あぁッ」

 また〝ココ〟と言ったときに爪先で粒をカリカリされた。その後耳を舐め回されて穴の中まで舌でぐちゃぐちゃにされれば、それが次にされる場所を想像して胸が高鳴る。その期待だけで、大夢はズボンの中の熱に芯が入ってくるのを感じずにはいられなかった。

 市井は大夢が答えやすいように、具体的な言葉で誘導する。

「例えば、抓ったり、捏ねたり……俺にされたこと思い出したり……。八木沢さまが、ひとりでどんなことしたのか、知りたいです」

 どうして市井が男のそんな姿を知りたいと思うのかと、疑問に思う余裕もない。そんなことより、聞かれたことに答えれば、もっと気持ちよくしてくれるという見返りが今は堪らなく欲しい。

「……俺が、……ひとりで……」

 本当に約束を守ってくれるのかと、閉じていた瞼をそっと開けて、至近距離にある市井の目を見る。不安に瞳を揺らして見つめた大夢を、市井が裏も何もない小さな笑みで受け止めてくれると、今から本人に晒す恥ずかしさすらも興奮材料になってしまった。

「言います……から、して、欲しい……」

 どうして市井は、これほど甘えても受け入れてくれるのか。どうして二人の距離にドキドキさせられるのか。

 大夢にとって市井の存在は、もう確実に家政夫以上になっている。

「ぁ……あれから、市井さんの手、思い出して、つ、抓っ……たり、弄ったり、して……いっぱい……いっぱい、触っ、りました……」

 ひとりでする行為の様子を羞恥に声を震わせながら、期待以上に伝えてくれた大夢に、市井は生唾を呑み込んだ。

「今度、見せてくださいね」

 興奮に声を掠れさせた市井はそう言うと、そっと大夢の身体を床に押し倒し、左右にシャツをはだけさせた大夢の胸元に顔を寄せる。指で揉まれて赤く色づいていた左側のそれへ唇で二度吸い付いてから、レローっとゆっくり舐め回し、乳輪ごと口に含むと、口の中で舌を一気に乱舞させた。耳のときと同じように涎が垂れても、御構い無しに責め立てる。

「ふぅっ、ぅアッ……あーっ、アァッ」

 決して大きな声ではないが、いつも話すより少し高めの声だからか、大夢が一生懸命堪えるように控えめに喘いでいても、市井の耳によく聞こえてきて楽しませてくれる。

(くぅぅッ、八木沢さま、乳首だけでこんな気持ち良さそうに声上げて……! 俺、佐藤さんに負けないくらい頑張りますから!)

 市井がイチから開発し、育て上げた性感帯だが、他人のものだと思い込んでいる市井にとっては、上書きしたい独占欲がフツフツと湧き上がって、やはり今回も熱が入る。

 それにしても、あまりにも気持ちよさそうな声を上げられると、大夢の表情がどうしても見たくなった。

 市井は舌を伸ばして顔の角度を確保すると、硬くした舌先に当たるぷくりとした小さな丸い感触を楽しみながら、上目遣いでそっと見上げる。

 そこには、口で早い呼吸を繰り返す大夢が、視線を乳首に集中させて、蕩けた表情で見つめていた。

(わー、涎垂らすほどイイのかぁ。股間にグッとくるエロい顔してる。……八木沢さまって、乳首を舐められてるところを見るの好きだよなぁ。で、俺は舐められてるのを見て戸惑いつつ感じている八木沢さまを見るのが大好きですっ)

 今回もそんな大好きな表情がばっちり見れて、市井は大満足だ。

 市井はもっと見せつけるように、左の粒で舌をうねらせる。

「やっ、アッ、アッ……やぁぁッ」

 一点に気を取られている大夢とは違い、市井は毎回が最終回のつもりだから貪欲だ。舌も視線も駆使しながら、右に佇むもう一つの突起のことも忘れていない。

 左にばかり気を取られていたところへ市井の人差し指がカリカリと右側を引っ掻いてきて、突然の刺激に大夢が身体を左右に捩らせて慌てる。仰向けに寝転んだ姿勢でいる大夢の、両方の乳首を指と舌でそれぞれしつこくいじめ続け、大夢が堪りかねて背中を床から浮かせ、胸を突き出させるまで責めきった。

「ほんと……乳首だけで……」

 けしからんエッチな悶え方に、市井は顔がニヤけ崩れそうになるのを必死で取り繕わなければならない。

「言、わな…で……ください……。ホントに恥ず、恥ずかしい……から……」

 薄い胸を上下させて息をあげ、くたりとしている大夢の下腹部はもう完全にズボンの生地を押し上げてシミを作り、もたげた形を浮かび上がらせていた。それを満足そうに見て欲情の熱を浮かべる、市井の飢えたような目と表情。そして乳首を舐めたときに溢れ落とした、涎に濡れて光る口元に、大夢は呑み込まれるように体温を上昇させた。

(も……出そう。触りたい)

 ズボンの中でズキズキと脈打つそれへ、大夢は誘われるように手を向かわせる。しかし、おずおずと伸ばした手は、市井に掴まれて持ち上げられると、チュっと指にキスされ止められた。

「い、市井さんっ。俺、もう、あとは一人で……」

 限界が近くて、もうあとは一人で処理してしまえばスッキリ完了なのだ。

 先月と同じような手順で、ここで解放して貰おうとした大夢だったが、今月の市井は逃がすつもりは当然ない。

「もう、八木沢さまだけが、そうなってるわけじゃないんです」

 そう言って大夢を閉じ込めるように跨がってきた市井は、同じように盛り上がった自分のものを、大夢のそこへ押し付けてきた。

「あっ……!」

 乳首とは比べられない、男として明らかに感じる場所をこすり合わせあえば、痛いくらいの気持ちよさを二人一緒に共有できる。

「うわ……八木沢さまの、形までわかる……」

 大夢のものを探るように、ぐにぐにと腰を回して、市井が動かし揺すってくる。

「気持ち、いぃ……」

 大夢は一瞬、自分が発した言葉かと思った。それが、切なそうに大夢を見つめる市井の言葉なのだと理解した途端、驚きと嬉しさが混じった感情が湧いてきた。

(俺だけじゃなかった……。あの市井さんが、俺とこんな状況なのに、気持ちいいって言ってる……っ)

 市井と同じ気持ちというだけで、強く背中を押される思いがしたのだ。

「……俺も、んっ、気持ちいい……」

 うっとりと目を細めて同じように思ったことをそのまま伝えると、腕が市井の背中に回っていた。

 誰かに教えてもらったわけでもないのに、高まった気持ちが相手を求めさせ、自然に動いていた。

 それは経験者の市井も同じなのだろうか。大夢に抱きしめられた途端、大夢を圧迫していたズボン越しの市井の質量が益々増え、露骨に当て擦ってくる。

(市井さんも身体が勝手に動いてるのかな……)

 二人ともが早い呼吸で、興奮に流されていくようで、二人のズボンやベルトに市井が手を掛け、脱がせるのももどかしそうだった。

 熱く硬くなったものが意図せずぶつかりあったときには、もうどちらもズボンや下着を膝に下ろすまでしか待てなくなって、身体を擦り付けあっていた。

「あっ、あっ、アッ、あぁ……っ」

 大夢は目の前が弾けたように光が飛び、頭の中が溶けてしまったようだった。

 先端からじわじわと溢れてくる二人分の先走りが、徐々にニチニチと湿った音を立ててヌルヌルと纏わり付き、滑りをよくしていく。そうなると、どちらともが腹から下をよりピタリと重なり合わせるようにぶつかり合わせ、更に押し付けあった。

 毛量の違う互いの茂みが肌にざらつくのも構わず、とにかく茎のくびれと裏が、硬くて、熱くて、堪らなく気持ちいい。

「ふっ、ぅあ……、何これ……。何これっ、どうしようッ……市井さん、もっとっ……もっとくっ付いて!」

 目眩を感じて大夢が市井に縋り付く。

 市井に倣うように、合わせるように、大夢は夢中で腰を押し付け快感を貪った。

 その大夢の腰使いに、市井が苦悶の表情を浮かべ、奥歯を噛みしめる。

(な、なんかっ、八木沢さまのたどたどしい腰の動きが、学生のころの激しさみたいで……ッ。ちょ、結構ガッついてくるな……っ。ウッ、うあぁぁ、ヤバいヤバいヤバいっ)

 緩急をつけない、盛るだけの大夢の早いペースに、市井はこのままだと何分持つのかと、慌ててぐっと下半身に力を入れた。剥き出しになっている太腿と尻の筋肉が盛り上がり、男らしい筋が浮き出る。

 とにかく、何としてでも大夢より先に吐精することだけは、絶対に避けたかった。

「すごいっ……すごく気持ちいい、ンーッ」

(いや、それ俺のセリフですっ、八木沢さまッ)

 このままでは負けてしまう、と追い込まれた市井が、大夢よりかは豊富な経験値で反撃に出る。

 今や股間一点にしか意識を集中していなかった大夢の、無防備になっていた乳首をキュウゥッと摘まんで、捻り上げてやった。

「やあぁっんッ!」

 あまりにも可愛い、部屋に響き渡るほどの声で叫んだのと同時に、大夢が腰をビクンッと震えさせて硬直させる。

「はっ……ぅ、ぁ……ンんっ……ンッ、はっ、はぁっ……ッ、はぁっ……」

 そこから二度、三度と腰を震えさせると、全身から汗を吹き出して、息をする為に大きく肩を弾ませなければならなかった。

 その一部始終を目の当たりにした市井は、腰の動きも忘れて、見入ってしまった。

 惚けた表情の大夢を見て、喉が灼けるような渇きを感じて、再び市井の腰がゆらゆらと揺れ始める。

 力尽きた大夢が押し上げてこなくなって、腹の間に隙間ができると、大夢のソレが最後まで絞りきろうと、ピクピクと足掻いているのが見えた。その先端から吐き出された白濁は、掬えるほどどろどろで、濃かった。

(気持ちよさが理解できるからか……こんなに喘いで、こんなに涎と精液に塗れて蕩けるなんて……男同士って、エロ過ぎだろっ)

 まさか大夢が乳首の衝撃で吐精するなんて。

 まさか自分が同性のそんな姿に、腹につくほど反りかえらせて、こんなに硬く聳り立たせるなんて。

 大夢の腹に撒かれた精液を、自身の熱棒に擦りつけるように腰を動かし、興奮の最高潮にいた市井は、欲情した男の色気を溢れさせて尋ねた。

「そんな敏感な乳首なのに……どうして今日はアンダーシャツを着ないで仕事してたんです?」

「……っ」

 吐精の疲労で動けない大夢を、市井が見下ろしてくる。その視線に大夢はゾクゾクさせられた。

 市井は自分のリズムで腰を動かしながら、好き勝手にやわやわと指先で大夢の乳首を弄ぶ。

 やっと吐き出すことが出来た熱を、市井がまた呼び戻そうとしてきて、大夢は焦った。早く答えないと、また市井に〝あん〟だの〝やん〟だの聞くに耐えない声を聞かれてしまう。

 こうして考えている間も、市井の指が絶妙な力で摘まんでくるから堪らなかった。

「ぁ……あの、い……今は……ンッ、上にスーツ着てるッ、からぁ……」

 だから、乳首が勃っても大丈夫だろうと、冬場は対策が疎かになっていたと言いたいようだが、語尾は気持ち良さに負けてしまっている。

 市井はなるほどと呟いて、納得の返事を一応返したが――。

「でも心配です……」

 そう言って指先でキュッと強く摘まみあげた。

「あぁっンッ!」

 一捻りで大夢の現状を憂う。

「こんなに可愛くなるんですから」

 心配顔の市井の手によって、コリコリと潰し弄られる強めの刺激。大夢本人も知らない強弱の好みを熟知していて、簡単に目の前をチカチカさせられると呼吸もままならないほどに気持ちいい。

「はっ、はっ……はっ」

 また胸だけで達してしまいそうになって、大夢は呻いて唇を噛んだ。

「も、俺ばっかり、やだ……。早く、市井さんも、……出してぇッ」

 耐えかねた大夢が市井を抱きしめ、その肩に甘く噛み付いた。

 心を寄せる相手に潤む瞳でそんなことを懇願されて、腰に付いているものをスリスリと押し付けて甘えられれば、市井の意地悪ももう降参だった。

「ほんと、甘え上手で可愛いっ。大好きです」

「あっ、か、硬いのがぁッ」

「当たり前ですよっ。どれだけ煽られたと思って……今もクッ、ぅ……ッ」

 大夢の体液で潤ったぬるぬるの二本が再び擦れ合って熱くなっていく。

「市井さ……おれは、もぅいいからぁっ、あ、あ、あ……ぁッ」

「っ、そぅ……太腿ギュって閉じて挟ませて、……あぁ。うん、もっと、もっとエロい顔して……、乳首も、下もどっちも俺のでドロドロにしてあげるから……っ」

「な、何言ってッ……ちょ、これお尻見えるからっ、や、やだやだやだっ」

「その恥ずかしげな感じが、堪らないんですっ」

 腰から下を捻られて、市井に尻を向ける格好で太腿に硬いものを差し込まれて抜き差しを繰り返されている。その度に市井の茎が大夢の袋と裏筋を擦ってきて、大夢の陰嚢がまた重くなって疼いてきた。

「も、ワケ、分かんなっ……イィっ」

「い……くッ」

 全身に響くほど腰を打ちつけてきて、汗を浮かせた端整な顔を顰めさせた市井の表情に大夢は胸が苦しくなった。

(やっぱり、このひと……カッコいい……)

 そんな男と肌を合わせているのが例の夢と重なり、デジャビュをまた見て、大夢はこれが現実なのだと羞恥する。

 幾度と繰り返された市井の律動がより強く尻の肉を打ちつけてズンっと深く穿ってきた。そのままグっと腰を沈め動きを止めた市井が、ぶるりと身体を震わせると、大夢の太腿の間から先端を突き出した市井のそこから、ビュッと勢いよく白いものが大夢の胸目掛けて飛び散った。

 出し切って倒れ込んだ大夢と違ったのはここからで、市井は自分がしたあとに、大夢の勃ち上がり始めたものを手のひらで握りこむことリズミカルに扱き始め、あっという間に昇りつめさせ、二度目の絶頂を世話したのだ。

 大夢が初めて他人と肌を合わせ、予測できない動きで擦り上げられた濃密な快感と時間は、瞬く間に襲ってきた睡魔に呑み込まれ終わったのだが、翌朝、市井の腕枕で恥ずかしい目覚めになることを、大夢はまだ知らない。

 そして、寝不足なのに、寝落ちた大夢の寝顔を見て我慢できなくなったことで、一人でもう一回致したために、大夢のベッドで力尽き、翌朝、大夢に起こされることを、市井もまだ知らない。
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