長い長い自己紹介

かと姉

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私と釣り。

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 私が釣りを始めたのは、多分30歳くらいのときだ。そのときは出身県にいて、ある日車で漁港に行ってみたところ、幼い頃の記憶が蘇ったのだ。
「私、昔ここで釣りをした!」
 子どものときに家族でこの漁港に来て、サビキでイワシをたくさん釣った。あっという間に時間が経って、親が帰る支度をするのが不満だったっけ。あれを私はもう一度やりたい。

 それで私は、その日からあまり経たないうちに適当に子ども用の釣りセット(竿の長さが160cmしかない!)とサビキ仕掛けを買い、漁港の手前にある釣具店でアミレンガ(アミエビを冷凍した直方体の塊)も買って、一人で漁港へ車を走らせた。
 今となってはもうあまり記憶にないが、大人になってからの初めてサビキ釣りは全く釣れなかったのではないかと思う。そのときイワシは回遊していなかったし、アジ釣りの人もウキをつけて飛ばしサビキをしていた(はずだ。あの漁港で手元ではアジはあまり釣れなかった記憶)。どう考えても釣れるはずがない。

 しかしここで嫌にならないのが私の執念深いところで、どうやったら魚が釣れるのか色々考えた挙句、胴付き仕掛け(2~3本針が付いていて下にオモリを付けるようになっている)にオキアミや青イソメをつけて魚を狙うようになった。これならクジメ(アイナメに似た魚)やらベラやらの小魚は釣れる。たまにカレイやキスなど美味しい魚が釣れたときには、大喜びだった。

 ちなみに、その漁港の近くには別の有名な釣り場があり、そちらにも行っていたが、春になるとカゴ釣りで遠投して大きな真鯛を釣る人もいた。「すごいなあ」と思ったが、当時の私の技量(と道具)では夢のまた夢であった。せいぜい胴付き仕掛けでクジメと遊ぶくらいだ。

 その後、私は関西に引っ越して、明石や垂水辺りでまた同じように胴付き仕掛けや、せいぜい投げ釣り(と言ってもあまり飛ばせないのでいわゆる「チョイ投げ」である)なんかをやっていたが、釣れるのはだいたいカサゴか、たまにやるサビキでイワシ程度であった。神戸市内某所でみんなが一斉にルアーを投げてシーバス(スズキ)を狙っているところに遭遇したこともあったが、そのときはルアーで魚が釣れるというのを信じていなかったので、ただただ横目で通り過ぎるだけであった。

 というわけで、私の釣りが進歩したのは関東に来てからである。関東にきて最初に住んだ都内某所は非常に釣り場へのアクセスが良くなかった。というか、どこで釣りをしたらいいのかも分からない状態だった。そこで本などで調べて、ゆりかもめに乗ってお台場(大江戸温泉物語の近くである。今は釣りができるかどうか不明)へ行くか、横浜方面へ行くことにした。
 横浜は、いわゆる「根岸」という釣り場と、あとは山下公園、赤レンガ倉庫である。当初は根岸でチョイ投げばかりしていて、夏にキスが釣れた。それ以外の時期はヒイラギやダボハゼばかり。昔は遠投すればカレイが釣れたようだが、今はイマイチらしい。始発でわりと熱心に通ってみたが、そんなに良い思いはしていない(楽しかったけど)。山下公園と赤レンガ倉庫に関しては、今もたまに行くので別の機会に書く。

  一方、お台場であるが、ここは夏になるとサッパ(ママカリ)がわくので、サビキで入れ食い状態になる。関東の人は小骨の多いサッパを嫌うようなのだけど、私は酢じめにすると美味しいので喜んで大量に釣っていた。そのうち、私の投げるスキルが向上して、ウキサビキでそれなりに飛ばせるようになり、サバなんかが釣れたシーズンもあった。
 また、夕方になるとヘチ釣り(岸壁の際に仕掛けを落とす釣り)師のおじさんが来て、スズキを狙っていた。見よう見まねでやってみたら、私もセイゴが釣れた。フッコサイズのものを何度かバラして、この辺りから「いつかデカい魚を釣る!」という野心が出てきた。

 ちなみに、ウキにケミホタルをつけたり電気ウキを使ったりして、夜釣りする楽しみを覚えたのはこの頃である。そのシーズンはサバが夜まで釣れた(というか、夕方から夜にかけてよく釣れた)ので、夜釣りをする必要があったのだ。
 私は電気ウキがスーッと沈み込む瞬間が好きだ。そのときのために夜釣りをしていると言っても過言ではない。あと、夜釣りだとそう早起きしなくて済むし、休日の午前中に用事を済ませて夕方から釣り場に行けば良い、というのも利点である。
 初めはサバ狙いだったので、ウキサビキのウキにケミホタルをつけただけだったが、いつしか電気ウキに一本針でメバルやセイゴ・フッコを狙うようになっていた。

 ちなみに、地元県や関西でやっていた胴付き仕掛けでは、東京湾沿岸ではほとんど魚が釣れない。地方だと胴付き仕掛けでも魚が遊んでくれるのだが、東京湾のようなシビアな場所だとどうもよろしくないようである(すれた魚の目には仕掛けが不自然に映るのではないか、と私は推測している)。

 そのようなことで、皮肉なことに地方の海ではなく、釣り人がいっぱいいて魚がすれた東京湾こそが私の釣りの幅を広げてくれたのであった。
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