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第1章
24話 冒険者ギルド
しおりを挟む『テオ、見えてきたよ!』
多くの人たちが行き交う街の中を歩いて行くと、目当ての建物へとたどり着くことができた。
そこは街の中でも、目立つところに建っている建物だった。
冒険者ギルド。それは依頼を受け、報酬を得ることができる場所である。
魔物退治、素材の採取、その他にも雑用など、様々な依頼があるそうだ。
「とりあえず中に入ろう」
『テオ、気をつけてね……!』
建物の中へと足を踏み入れる。
入ってすぐに見えたのは受付。
他には食堂もあり、今は昼ということもあって、そこで食事を摂っている者が多くいる。
俺が向かうのは受付だ。
たどり着くと、そこにいたのは制服に身を包んだ女性の職員さんだった。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか……?」
「あの、ギルドに登録をしようと思いまして……」
「ああ、新人さんでしたか! どおりで、可愛らしい子だと思いました!」
顔を綻ばせてくれる20代ほどのお姉さん。
『テ~オ~?』
「…………」
腕輪を通じて、頬を膨らませているテトラの気持ちが伝わってくる。
俺はそっと腕輪を撫でた。
それでもつつがなく登録が進み、軽い説明をしてもらった。
冒険者にはランクがありEランクからSランクまである。
依頼を受けるためには、それに見合ったランクが必要になる。
そのランクはギルドへの貢献度や能力によって、上げることができるらしい。
そういう説明を終えた後は、登録のために必要なことを紙に記入することになった。
名前はテオ。
代筆をしてもらい、そう記入してもらった。
「これでいいかな……?」
「あ、はい……。代筆していただき、ありがとうございます」
「ふふっ、どういたしましてっ。テオくんは丁寧な態度で接してくれるから、こっちも気持ちよく対応できて、なんでもしてあげたいなって思うわっ」
受付の女性はそう言うと、見守るように微笑んだ。
それは優しい笑みで、俺も頭を下げる。
……その時だった。
「けっ。あいつ……ぜってえ冒険者に向いてねえよな」
「ああ、見ただけで分かるぜ」
「なのに、我らが癒しのジェシカちゃんに気に入られて、ムカつくぜ」
くつくつと笑い声が聞こえてきた。
酒場のテーブルのところ。そこには数人の冒険者がいた。
「テオさん、お気になさらないでください。あれはただのやっかみです。新人のテオさんがカッコいいから、ただひがんでるだけでしょう」
「「「な”……!?」」」
受付の女性は手を伸ばし、俺の頭を撫でてきた。
その顔には、優しげな笑みが浮かんでおり、彼女は背筋を伸ばすとこんな宣告を行なうことになる。
「なにより、この街であんな暴言を吐くのは厳禁です。聖女ソフィア様の加護を受けている身でありながら、その意に反するのは許されないでしょう。よって、彼らの身には死に等しい不幸が降り注ぐことになるでしょう……。そうですね……彼らは次の冒険で大変な目に会うでしょう……」
「「「もっ、申し訳ございませんでした……!!」」」
ガバッと立って、頭を下げてくる冒険者たち。
「おい、あの新人……Bランク冒険者に頭を下げさせてるぜ……。一体何者なんだ!?」
「ああ……あれはすげぇ……。見ただけで、普通のやつじゃないと分かるぜ……。何より、あのジェシカちゃんに気に入られているのが、その証拠だ……!」
「「「す、すげえやつが来やがった……!!」」」
ギルド内の視線が一斉に集まった。
ざわざわとギルド内が喧騒に包まれる。
「…………」
……どうやらこの前ソフィアさんが教えてくれたことは、本当みたいだ。
この街はソフィアさんの加護で守られている。だから治安もよくなっている。
なんにしても、これで登録の準備は終わったらしい。
「あとは軽い試験があります。冒険者としての最低限の能力を見るための試験ですので、頑張ってください」
・薬草×10本
・スライムの討伐×3
これが登録するために必要なことのようだった。
「あの、いろいろ親切に教えてくださりありがとうございました」
「いえいえっ。テオさんには期待してますからね……! それでも安全には十分に気をつけて、必ず帰って来てください! 私、待ってますから!」
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