ハズレ合コン救世主〜理系男子の溺愛は不言実行

乃木ハルノ

文字の大きさ
上 下
26 / 30

*おやすみさせない・その3

しおりを挟む
その時、彼の言葉が脳裏に思い出される。
――すっごい我慢してる。
今夜はお預けかと思った時に、切実な声音で告げられたそれが今の表情と重なって、たまらない気持ちになった。
早くひとつになりたい。彼のものにしてほしい。ともすれば閉じようとしていた脚を自ら広げて、彼が腰を進めやすいようにする。
ようやく最後まで収めきることができた時は、安堵でくたりとシーツに身体を預けた。それを見た友紀は軽く口元をつり上げた。
「今からでしょ」
囁きながら軽く腰を揺らめかされて、意思に反して高い声があがり、つま先がピンと持ち上がる。
「痛くない?」
「ぅ、ん……」
時間をかけてもらったからか、痛いとか怖いという感覚はまったくない。どちらかというと、予想外に気持ちが良くて困ってしまう。
初々しさというか、こういうことに慣れていると思われたら嫌だな、と思う。
「っ、あ」
そこで軽く腰を打ち付けられて、思考が途切れる。じわっと奥が波打つのもわかった。
「はぁ、もう、……」
不明瞭な呟きも途中で聴こえなくなる。まとわりつく蜜ごと引き出され、中が切なく疼いた。再び満たされると、粘膜が押し込められた熱杭にまとわりつく。歓迎するように締め付けて、それが新たな刺激になる。
「あぁ、ん、ぁ……」
ゆっくりされているのに、それともゆっくりされているからか、柔い襞が埋められたもののおうとつまでをしっかり感知して食い締める。
もったいぶるような動きで優しく抽挿が繰り返されると、下腹部の深いところに集まって留まる甘い熱が今にも弾けそうで、少しだけ足りなくて、訳が分からなくなっていく。
「ちょっとがまん、して」
声をかけられて目を開くと、友紀の顔が近くなっていた。
何を?と問い返す間もなく、今までより強く中を穿たれる。自分の中から何かが引きずり出されるようで、生理的な涙が目の縁ににじんだ。
「っあぅ、ひ、やあ……!」
感極まるに従って、声が抑えきれなくなる。嬌声にまじって荒い息遣いが耳に届き、さらに煽られていく。
シーツの上で身もだえながら与えられる快楽に溺れる時間がどれくらい続いただろうか。
一番深くまで入った熱杭がさらに奥にせり出そうと動くので、勝手に身体が逃げようとする。けれど上から腰を強く押し付けられているためにその場から動けない。
「あ、んぅ、あああっ」
ひときわ高い声がほとばしり、つま先に力がこもる。恥骨同士がぐり、と押し合うくらい密着して、身体の奥深くを叩かれたかと思うと、彼が深く息を吐いた。
胸が重なり、呼吸と共にしっとりと濡れた肌が触れ合う。
「はー、……」
乱れた前髪に半分隠された瞳は情事の名残りに濡れて、こちらをじっと注視している。長いまつ毛が気だるげに上下して、熱いため息が胸元をかすめた後、腰が引かれた。
「ふ、っう」
胎内を埋めていたものがずるりと抜け落ちて、背筋が震える。
解放された隘路がきゅんと疼き、空虚さを訴えた。波動が止められず、腹筋が痙攣してしまう。
顔を横へそらしてこめかみを冷えたシーツに押し付けていると、目元に柔らかいものが触れた。
キスされている、と理解して視線を上げたところ、唇にも口づけが落とされる。
「すき」
まだ肩を上下させながら、やっとという感じのかすれた声で囁かれ、胸の中心がきゅうっと引き絞られる。
情事の後特有のだるさが身体を包むけれど、とても幸せだった。
力の入り切らない腕をやっとの思いで持ち上げて、しっとりと濡れた背中に回す。
身体にかかる重みが心地いい。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

もう君以外は好きになれない

皐月めい
恋愛
一話抜けておりました。 最後までお読みくださった方、申し訳ありません! 不協和音(side橘)、追加しております! ※タイトル変更しました。 旧:離れゆくあなたに、捧げられるものは自由 「はるか西の国では、男が女の指に輪を巻き、永遠の愛を誓うんだ。ずっと一緒にいられるように」 そう言って私の手を取り、指に蛇の抜け殻を巻いた彼の言葉は嘘だった。 大公家の父と、妾の母の間に生まれ蔑まれてきた桜の救いは、幼馴染の橘だった。 しかし、その橘も桜を蔑み「もう会わない」と告げられてしまう。 二度と誰にも蔑まれない、傷つけられない地位に昇りつめるため、桜は皇后を目指すことにした。 皇后候補の四人の姫の一人に選ばれた桜だが、自分の近衛武士に選ばれたのは自分を蔑み嫌った初恋の相手・橘だった。 自分に忠誠を誓い、桜が皇后になるため手を尽くす橘に再び心を惹かれる桜。 しかし彼は、桜が皇后になることを願っている。 だからこの恋は、一生叶うことがない。 すれ違いからお互い嫌い合ってると思い込み、贖罪のために奮闘する幼馴染の男女がハッピーエンドを迎えるまで。 ※平安「風」ファンタジーです。顔も見せるし名前も呼びます。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

ある王国の王室の物語

朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。 顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。 それから 「承知しました」とだけ言った。 ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。 それからバウンドケーキに手を伸ばした。 カクヨムで公開したものに手を入れたものです。

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

処理中です...