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国の行く末
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扉の閉まる音が聴こえた後、続き部屋からレオンハルトが姿を現す。
彼がゆっくりと近づいてくる様子を、ベアトリーチェは緊張の面持ちで見つめた。
「少し質問してもいいだろうか。貴女の今後に関わる話だ」
「はい。なんなりと」
改まった様子で切り出され、ベアトリーチェも背筋を正し、話を聞く体勢を整えた。
その間にレオンハルトは室内に据え置かれた椅子をベッドサイドまで運び、腰かける。
「不躾だが、この国の財政状況はどうなっている」
「それは……」
王女の虚栄心を満足させるために湯水のように金が使われているというのが世間一般での認識だ。
それに関して今さら言い訳をする気はない。
「宰相に任せきりで」
「恐らくだが、国庫は空だろうな」
想像していた通りのことを聞かされて、ベアトリーチェは面目なさに首をうなだれさせる。
かつては豊かだったヴァレンツァだが、度重なる戦乱で商業も農業もかなり縮小されてしまっている。宰相をはじめとする大臣たちは自分達の懐を肥やすばかりで、民を守る考えはなかった。
賠償金の支払い能力がないと判断されてしまったかもしれない。
そうしたら、どうなるのだろうか。代わりに国土の分割で贖うとしたら、産業が盛んな土地は帝国の傘下に入り生き延びられる。昼間に行った話し合いでも、彼らはそう望んでいた。
けれどその他の土地は? このまま捨て置かれれば、ますます民は困窮するだろう。
「ヴァレンツァは、どうなるのでしょう」
思わず弱気な言葉を漏らすと、シーツの上に硬く握った手に大きな手が重なった。
「できる限りのことはするつもりだ」
落ち着いた声で告げられて、瞼を震わせる。
「ヴァレンツァは気候も良いし、産業も盛んだ。港もある。整備すれば、すぐにとはいかないが復興は望める。その暁には、我が国の良い貿易相手になってくれるだろう」
「それじゃ、手を貸していただけるのですか」
「ああ。元々そうするつもりだった」
その答えを聞き、ベアトリーチェは暗灰色の瞳からほろりと透明な雫を溢れさせた。それを見たレオンハルトはぎょっとした表情を浮かべる。同時に温かな手のひらが離れていった。
「どうして泣く」
戸惑ったような表情で覗き込まれ、手のひらで顔を覆う。
「申し訳ありません、ほっとして……」
国の存亡の危機はひとまずなくなった。安堵のあまり、涙が止まらない。
しゃくりあげるごとに、身体の奥に疼痛が走る。それでも礼を失したくないとベッドから出て、深く頭を下げた最敬礼を取った。
「ありがとうございます、クリューガー閣下」
震える声で告げると、レオンハルトはベアトリーチェの身体をそっとベッドの方に押し戻した。
「わかったからベッドに戻れ。まだ本調子ではないのだろう」
元通りにベッドに寝かされ、気遣いに感謝を伝える。
彼がゆっくりと近づいてくる様子を、ベアトリーチェは緊張の面持ちで見つめた。
「少し質問してもいいだろうか。貴女の今後に関わる話だ」
「はい。なんなりと」
改まった様子で切り出され、ベアトリーチェも背筋を正し、話を聞く体勢を整えた。
その間にレオンハルトは室内に据え置かれた椅子をベッドサイドまで運び、腰かける。
「不躾だが、この国の財政状況はどうなっている」
「それは……」
王女の虚栄心を満足させるために湯水のように金が使われているというのが世間一般での認識だ。
それに関して今さら言い訳をする気はない。
「宰相に任せきりで」
「恐らくだが、国庫は空だろうな」
想像していた通りのことを聞かされて、ベアトリーチェは面目なさに首をうなだれさせる。
かつては豊かだったヴァレンツァだが、度重なる戦乱で商業も農業もかなり縮小されてしまっている。宰相をはじめとする大臣たちは自分達の懐を肥やすばかりで、民を守る考えはなかった。
賠償金の支払い能力がないと判断されてしまったかもしれない。
そうしたら、どうなるのだろうか。代わりに国土の分割で贖うとしたら、産業が盛んな土地は帝国の傘下に入り生き延びられる。昼間に行った話し合いでも、彼らはそう望んでいた。
けれどその他の土地は? このまま捨て置かれれば、ますます民は困窮するだろう。
「ヴァレンツァは、どうなるのでしょう」
思わず弱気な言葉を漏らすと、シーツの上に硬く握った手に大きな手が重なった。
「できる限りのことはするつもりだ」
落ち着いた声で告げられて、瞼を震わせる。
「ヴァレンツァは気候も良いし、産業も盛んだ。港もある。整備すれば、すぐにとはいかないが復興は望める。その暁には、我が国の良い貿易相手になってくれるだろう」
「それじゃ、手を貸していただけるのですか」
「ああ。元々そうするつもりだった」
その答えを聞き、ベアトリーチェは暗灰色の瞳からほろりと透明な雫を溢れさせた。それを見たレオンハルトはぎょっとした表情を浮かべる。同時に温かな手のひらが離れていった。
「どうして泣く」
戸惑ったような表情で覗き込まれ、手のひらで顔を覆う。
「申し訳ありません、ほっとして……」
国の存亡の危機はひとまずなくなった。安堵のあまり、涙が止まらない。
しゃくりあげるごとに、身体の奥に疼痛が走る。それでも礼を失したくないとベッドから出て、深く頭を下げた最敬礼を取った。
「ありがとうございます、クリューガー閣下」
震える声で告げると、レオンハルトはベアトリーチェの身体をそっとベッドの方に押し戻した。
「わかったからベッドに戻れ。まだ本調子ではないのだろう」
元通りにベッドに寝かされ、気遣いに感謝を伝える。
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更新お待ちしてました~♪
更新うれしいです〜以外とマジメなレオンハルト様との今後の行方が楽しみです(๑♡⌓♡๑)
こちら、知りませんでしたー!!出遅れたましたがエブ同様に応援してまーす。◕‿◕。続きが気になります〜更新お待ちしてます(。♡‿♡。)
こちらまで出張いただいてありがとうございます〜(*^◯^*)
俄然やる気が出ました!