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※夜這い3
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身構えたと同時に、耳元に低く囁き込まれる。
「後悔するなよ」
忠告された直後、足が浮く。脇の下に手のひらを差し込まれ、軽々と持ち上げられていた。あっという間にレオンハルトの肩の上に担ぎ上げられる。
――高い。
浮遊感と急に視界が広がったことで、くらりと眩暈がした。
レオンハルトが歩み始めたので、ベアトリーチェは慌てて身体を折り曲げて、彼のたくましい肩にすがりつく。落とされでもしたら、ただでは済まない。
「や、やめ」
「黙っていろ、舌を噛むぞ」
一刻も早く下ろしてほしいというのが本心だったが、確かに振動で舌を噛みかねない。ベアトリーチェが口を閉じたのを確認すると、レオンハルトが歩き出す。
部屋からつまみ出されるのかと思ったが、扉はどんどん遠くなっていく。振り向くと向かう先に寝台があるのが見えた。
思惑が叶ったのかと信じられない思いでいるうちに、ベッドにおろされる。背中を支えられながらシーツ上に身体を横たえられ、気づけば天井を仰いでいた。
鮮やかな手口に感心していると、下肢に冷気を感じる。目線を向けると、なんとレオンハルトの手がネグリジェの裾を割っているではないか。
まくり上げられた布がたぐまって、かなりきわどい部分まで露出してしまっている。
「下着を着けていないのか?」
大きくてさらりと乾いた手のひらが、腰の横を撫でさすった。
「ぁ……」
羞恥で頬に熱が集まる。指摘された通り、ネグリジェの下は何も身に着けていない。これもまた、マダムの入れ知恵だった。
どうやら仕込み武器としての役割を果たしたらしい。これから閨に臨むとは思えないような冷めた表情をしていたレオンハルトがぎらりと獰猛な目つきに変わった。
脚の付け根に向かって手のひらが這い上がり、思わず膝が閉じる。けれど、そんなささやかな抵抗はあえなく阻まれてしまった。
逆に外側に足を倒されて、秘部がさらけだされる。
「や、だめ、」
とっさに手を伸ばして大事な部分を守ろうと試みるが、その手は難なく囚われる。
「だめ? 今さらだろう」
両手首を取られた状態で顔を寄せられて、レオンハルトの吐く熱い息が頬を撫でた。猛獣に食べられる寸前の獲物にでもなったような気がして背筋がそわりとする。
せっかく彼がその気になっているのだから、その流れに乗るべきなのかもしれない。
「お願いします」
打算的な自分を顧みて少しだけ自責の念にかられながら、ゆるゆるとレオンハルトを見上げる。すると、戒められていた手首が解放された。急いでまくり上がった裾に手を伸ばす。「貴女は本当に……」
腰の周りを覆うことで頭がいっぱいな中、レオンハルトが何事かを言いかける。なんだろう、と意識が逸れ、うっかり手の甲が彼の身体に触れてしまった。
明らかに硬質な何かが皮膚を突き、ぎょっとする。目線を下げると、レオンハルトの下履きが内側から押し上げられていた。
「後悔するなよ」
忠告された直後、足が浮く。脇の下に手のひらを差し込まれ、軽々と持ち上げられていた。あっという間にレオンハルトの肩の上に担ぎ上げられる。
――高い。
浮遊感と急に視界が広がったことで、くらりと眩暈がした。
レオンハルトが歩み始めたので、ベアトリーチェは慌てて身体を折り曲げて、彼のたくましい肩にすがりつく。落とされでもしたら、ただでは済まない。
「や、やめ」
「黙っていろ、舌を噛むぞ」
一刻も早く下ろしてほしいというのが本心だったが、確かに振動で舌を噛みかねない。ベアトリーチェが口を閉じたのを確認すると、レオンハルトが歩き出す。
部屋からつまみ出されるのかと思ったが、扉はどんどん遠くなっていく。振り向くと向かう先に寝台があるのが見えた。
思惑が叶ったのかと信じられない思いでいるうちに、ベッドにおろされる。背中を支えられながらシーツ上に身体を横たえられ、気づけば天井を仰いでいた。
鮮やかな手口に感心していると、下肢に冷気を感じる。目線を向けると、なんとレオンハルトの手がネグリジェの裾を割っているではないか。
まくり上げられた布がたぐまって、かなりきわどい部分まで露出してしまっている。
「下着を着けていないのか?」
大きくてさらりと乾いた手のひらが、腰の横を撫でさすった。
「ぁ……」
羞恥で頬に熱が集まる。指摘された通り、ネグリジェの下は何も身に着けていない。これもまた、マダムの入れ知恵だった。
どうやら仕込み武器としての役割を果たしたらしい。これから閨に臨むとは思えないような冷めた表情をしていたレオンハルトがぎらりと獰猛な目つきに変わった。
脚の付け根に向かって手のひらが這い上がり、思わず膝が閉じる。けれど、そんなささやかな抵抗はあえなく阻まれてしまった。
逆に外側に足を倒されて、秘部がさらけだされる。
「や、だめ、」
とっさに手を伸ばして大事な部分を守ろうと試みるが、その手は難なく囚われる。
「だめ? 今さらだろう」
両手首を取られた状態で顔を寄せられて、レオンハルトの吐く熱い息が頬を撫でた。猛獣に食べられる寸前の獲物にでもなったような気がして背筋がそわりとする。
せっかく彼がその気になっているのだから、その流れに乗るべきなのかもしれない。
「お願いします」
打算的な自分を顧みて少しだけ自責の念にかられながら、ゆるゆるとレオンハルトを見上げる。すると、戒められていた手首が解放された。急いでまくり上がった裾に手を伸ばす。「貴女は本当に……」
腰の周りを覆うことで頭がいっぱいな中、レオンハルトが何事かを言いかける。なんだろう、と意識が逸れ、うっかり手の甲が彼の身体に触れてしまった。
明らかに硬質な何かが皮膚を突き、ぎょっとする。目線を下げると、レオンハルトの下履きが内側から押し上げられていた。
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