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第1章:空をも切り裂く角
第36話 攻略後
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光が収まるとレイジの入り口にいた。
『あっ、お二人共おかえりなさい! どうでしたか?』
『とりあえず攻略完了してきたぜ』
あんたじゃねえだろ、とツッコみたくなるのを遥斗はぐっと我慢する。
『え!? ほんとですか?! あれ見せてもらえたりします?』
『もちろんだ』
遥斗は”あれ”という存在に首を傾げる。話の流れからして、ダンジョン攻略を示す何かだろうが、遥斗はそんなものに心覚えはない。
ガルムはステータスを開き、自分の名前の部分をタップする。
すると、攻略ダンジョン一覧が表示される。
(……え、なにそれ?!)
冒険者になって1年と少し。遥斗は初めての機能に感動する。
『おっ! ほんとに書いてある! おめでとうございます!』
『おう!』
とりあえず遥斗はガルムの足を蹴っておく。
☆
続いて2人は達成報酬交換所にやって来た。
ここではガルムの15階層フロアボスの討伐クエストの達成報酬と初攻略の報奨金がもらえる。
どうやら先程と同じく名前をタップしたあと、討伐魔物一覧の表示もできるようだ。そこには時間と場所まで書かれてあるため、これを見せることで達成になるらしい。
遥斗が倒したのになぜ記録されてるか不思議ではあるが、どうせガルムのことだ。ダメージにはならない程度に攻撃を入れていたのだろう。
遥斗たちハイドは誰かしらが既に攻略したものにしか行っていなかったので、今回が初の報奨金となる。
その額1人に付き日本円でなんと30万円。Bランクの初攻略ではこれほどもらえた。さらにこの後、16階層以上の情報開示をしたらプラスでもらえるらしい。Bランクダンジョンでは攻略時のパーティーにそれぞれ階層×2000円がもらえるようなので、2人合わせて合計78万円だ。
交換所内からのものすごい量の視線が突き刺さる中、2人は交換所を後にする。
そのホテルへの帰り道。
「遥斗」
「なんですか?」
「お前、もしかしてあれ以上の魔法も打てたりすんのか?」
「いやいや、1週間しか練習してない剣士には上級魔法が限界ですよ! まぁ、他の上級魔法ならもう少し打てますけど」
「マジかよ……。うちのミュウでも最上級魔法が限界なんだからな……」
「え? それはミュウさんも隠してるだけじゃないですか? だって紬でさえ──」
と、そこまで言ったところで紬の声が聞こえてくる。
「お兄ちゃーんっ!」
「おぉ紬! ちょうど同じ時間になったな。観光楽しめたか?」
「うん! もうね、なんかね、すごかった!」
「よかったよかった。今日は臨時収入入ったから、観光で使ったお金はお兄ちゃんが渡してあげよう」
「え、それはさすがに悪いよー」
「気にするな。こういうときの優しさは受け取っておいた方がいいことだってあるんだぞ?」
「うーん……ん! それじゃ、お言葉に甘えてっ! ありがと、お兄ちゃん!」
そう言って紬は満面の笑みを浮かべる。
「ね、ガルムさん。この笑顔見れたらいくらでも頑張れる気がしません?」
「なんだこの仲良しすぎる兄妹は……」
『あっ、お二人共おかえりなさい! どうでしたか?』
『とりあえず攻略完了してきたぜ』
あんたじゃねえだろ、とツッコみたくなるのを遥斗はぐっと我慢する。
『え!? ほんとですか?! あれ見せてもらえたりします?』
『もちろんだ』
遥斗は”あれ”という存在に首を傾げる。話の流れからして、ダンジョン攻略を示す何かだろうが、遥斗はそんなものに心覚えはない。
ガルムはステータスを開き、自分の名前の部分をタップする。
すると、攻略ダンジョン一覧が表示される。
(……え、なにそれ?!)
冒険者になって1年と少し。遥斗は初めての機能に感動する。
『おっ! ほんとに書いてある! おめでとうございます!』
『おう!』
とりあえず遥斗はガルムの足を蹴っておく。
☆
続いて2人は達成報酬交換所にやって来た。
ここではガルムの15階層フロアボスの討伐クエストの達成報酬と初攻略の報奨金がもらえる。
どうやら先程と同じく名前をタップしたあと、討伐魔物一覧の表示もできるようだ。そこには時間と場所まで書かれてあるため、これを見せることで達成になるらしい。
遥斗が倒したのになぜ記録されてるか不思議ではあるが、どうせガルムのことだ。ダメージにはならない程度に攻撃を入れていたのだろう。
遥斗たちハイドは誰かしらが既に攻略したものにしか行っていなかったので、今回が初の報奨金となる。
その額1人に付き日本円でなんと30万円。Bランクの初攻略ではこれほどもらえた。さらにこの後、16階層以上の情報開示をしたらプラスでもらえるらしい。Bランクダンジョンでは攻略時のパーティーにそれぞれ階層×2000円がもらえるようなので、2人合わせて合計78万円だ。
交換所内からのものすごい量の視線が突き刺さる中、2人は交換所を後にする。
そのホテルへの帰り道。
「遥斗」
「なんですか?」
「お前、もしかしてあれ以上の魔法も打てたりすんのか?」
「いやいや、1週間しか練習してない剣士には上級魔法が限界ですよ! まぁ、他の上級魔法ならもう少し打てますけど」
「マジかよ……。うちのミュウでも最上級魔法が限界なんだからな……」
「え? それはミュウさんも隠してるだけじゃないですか? だって紬でさえ──」
と、そこまで言ったところで紬の声が聞こえてくる。
「お兄ちゃーんっ!」
「おぉ紬! ちょうど同じ時間になったな。観光楽しめたか?」
「うん! もうね、なんかね、すごかった!」
「よかったよかった。今日は臨時収入入ったから、観光で使ったお金はお兄ちゃんが渡してあげよう」
「え、それはさすがに悪いよー」
「気にするな。こういうときの優しさは受け取っておいた方がいいことだってあるんだぞ?」
「うーん……ん! それじゃ、お言葉に甘えてっ! ありがと、お兄ちゃん!」
そう言って紬は満面の笑みを浮かべる。
「ね、ガルムさん。この笑顔見れたらいくらでも頑張れる気がしません?」
「なんだこの仲良しすぎる兄妹は……」
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