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第22話 ラフィーヌのダンジョン 4
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11階層に降りてきたタクミたちの目の前に広がる広大な草原と森林のコントラスト。どうやらこの階層は森林エリアとなっているよう。付近の様子を観察してみると、たった今降りてきたばかりの階段周辺はセーフティーゾーンになっているらしく、過去にこの階層に足を踏み入れた冒険者がこの場所で野営用の天幕を立てたり調理用のかまどを築いた跡が残っている。
「時間も時間だし、今日はここでキャンプにしようか」
「そうね、だいぶお腹も減ってきたし、体力に余裕があるうちに休憩に入っておけば明日に疲れを残さないわ」
タクミの提案に圭子が賛成したので、彼は付近を簡単に整地して天幕を張って寝床を確保する。すでに美咲は調理に取り掛かっており、テーブルの上でサラダやスープに用いる野菜を刻み始める。春名はサッとゆでたオークの肉を細かく刻んだものをペット専用の器に乗せてシッポを振って待っているシロに与える。
ダンジョンの内部で予想外の屋外キャンプとなったが、こんな雰囲気で無事にダンジョン初日は終わって各自は眠りに就いていく。
そして翌日、準備を整えてストレンジャー一行は草原を歩き出す。10分ほど歩いたところで遠くに黒いゴマ粒のような点がいくつも見渡せるように。一体なんだろうと思いつつ近付いてみると、1頭が小型乗用車くらいの大きさのワイルドバッファローの群れだと判明する。
「オークのおかげで豚肉はいっぱいあるけど、やっぱり牛肉も食べたくなるわよね~」
「あれだけの数を倒せばステーキが食べ放題ですよ~」
食欲旺盛な圭子と春名がヨダレを垂らさんばかりの表情でワイルドバッファローの群れを見ている。圭子はともかくとして春名もすっかりこの世界に順応しきっているようで、草原で魔物に遭遇したにも拘らず食材ゲットの絶好のチャンスだと捉えているよう。
「それじゃあ、タクミに全部任せるから」
「俺に丸投げする気か?」
「いいでしょう。銃でチャッチャっと片付けてよ」
確かに圭子の言い分はもっともかもしれない。通常の冒険者であったら20頭規模のワイルドバッファローの群れなど間違いなく避けて通るだろうが、ストレンジャー一行に限っては秒殺可能な食材程度にしか映っていない。
「仕方ないな。経験値稼ぎの必要もあるからなるべく離れないでついてきてくれ」
ということで、全員がワイルドバッファローの群れがのんびりと草を食んでいる場所に向かって歩き出す。ある程度接近すると群れのリーダーがタクミたちに気が付いたようで、これまでののどかな雰囲気をかなぐり捨てて群れ全体が猛然と突進を開始。
(属性はナシ、威力は強、照準はオート)
すでにタクミの腕にはサブマシンガン。100メートルほどの距離になるまで群れを引き付けてから盛大に魔力弾を撒き散らす。
タタタタタタタタ!
軽快な機械音と共に必殺の魔力弾がワイルドバッファローの群れに放たれていくと、体中にいくつもの銃創を穿たれた個体はドウという音を立てて頭から草原に転倒していく。わずか5秒ほどのサブマシンガンの掃射で群れは全滅という恐ろしい結果に。
「ヤッタね! 牛肉ゲットよ!」
「骨付きなので美味しいスープが取れそうです」
圭子が大喜びする傍らで美咲が50キロちかくありそうな塊の肉を片手でヒョイヒョイ持ち上げてはアイテムボックスに収納していく。この光景を目撃したシロはシッポを両足の間に挟み込んでどう見ても怯えた態度。美咲のあまりの怪力ぶりを見せつけられて今後は絶対服従になるのは間違いなさそう。
ひと狩り終わったところでさらに30分歩くとどうやら草原は終わりとなって、そこから先は鬱蒼と茂る森が続く。
「どこに危険が潜んでいるかわからないから注意するんだぞ」
タクミの声はいつにもまして真剣さを帯びている。これまでも王都付近の森林を訓練がてら歩いたことはあったが、これほど木々や下草が生い茂っている森というのは初めて。視界が遮られる場所が多いのでタクミの言葉通り慎重に歩を進める。もっとも魔物が近づくとシロが唸り声をあげて教えるので、こちらに関してはさほど警戒をする必要はなさそう。
一度通った所は木に目印をつけながら美智香がノートに記録していく。こうしてマッピングしていかないとどこを歩いているのか全くわからなくなるほどの広大な森を歩く一行。
森に足を踏み入れて20分ほど経過すると、シロが突然吼えだして魔物の接近を知らせる。木の陰から現れたのはワイルドウルフで、地球にいる狼よりも二回りは大きくその顎には獰猛な牙がギッシリと生えている。
唸り声を上げながらゆっくりと近づいてくるワイルドウルフに対して今度は圭子が立ちはだかる。
急に速度を上げて彼女に向かって襲い掛る魔物。だが圭子はその表情に余裕の笑みを浮かべつつ、飛び掛ってくるタイミングに合わせて顎下を蹴り上げると、ワイルドウルフは2回転半して後ろの木に叩き付けられていく。
「圭子、いつにも増して技の切れ味が鋭いな」
「まあね、タクミにばっかりいい格好させてもしょうがないし」
当然と言わんばかりの表情で残心を解く圭子。
圭子のひと蹴りで絶命して魔物の姿が消えると、そこには毛皮がドロップアイテムとして残されている。大した値段がつくわけではないが、せっかくなので回収しておく。ちなみにこの階層は森の中なので、当然森にいる魔物が出現する。特にワイルドウルフは群れで襲い掛かってくることがあり、冒険者達にとっては厄介な敵だといえる。今回のように1体が単独で出現するのは大抵の場合群れの偵察役というケースが多い。となると近くにワイルドウルフの群れが潜んでいる公算が高くなるのは必定。
周囲を警戒しながら進んでいくとどこからともなく狼の遠吠えが聞こえて、どうやら周囲はビッシリと包囲されている状況に。
「美智香、火は使うなよ。下手に周囲に燃え移ると自分たちが逃げ場を失う」
「わかった」
「春名は念のために電撃の準備だけはしておくんだ。美智香は必要に応じて春名に攻撃の指示を出してくれ」
「私の出番がきたんですね~」
「春名、そこで調子に乗るんじゃない」
「美咲は空をしっかりと守ってくれ。接近してきた魔物は任せる」
「わかりました」
「圭子、好きに暴れていいが、俺の銃や魔法の射線には注意してくれ」
「バッチこいよ!」
どうやら周囲を取り囲む気配からして、ワイルドウルフの群れは少なくとも50頭はいそう。そんな大群に取り囲まれるプレッシャーというのは並大抵のレベルではないはず。ところがこの期に及んでもストレンジャー一行の誰ひとり怯んだ様子が見当たらない。それは絶対的な戦闘力を誇るタクミと圭子という二人の尋常ならざる能力と、この2名に引っ張られるようにして高度な戦闘訓練をこなしてきた女子たちの自信が、どんな場合でも平常心で戦いに臨むという戦闘時の初歩的な心構えを見失わせていないのだろう。
そして戦いの口火はタクミの自動小銃の銃口から飛び出した魔力弾で切って落とされる。タクミはこの場面で連射性は犠牲にしても敢えて照準が正確な小銃を選択している。そして彼の小銃から飛び出す銃弾は文字通り一発必中を成し遂げていく。
圭子はタクミの銃撃の邪魔にならないように彼が掃討を終えた場所に自分から踊り込んでは、付近にまだ潜んでいるワイルドウルフを片っ端から血祭りにあげていく暴れっぷり。圭子が飛び出していった間隙には美咲が入り込んで、ダンジョンに入ってから初めて2本の大剣を器用に操っては飛び掛かってくるワイルドウルフを真っ二つに切り裂いている。
「アイスアロー!」
美智香は両手から氷魔法の乱れ撃ち。自らの魔法の範囲外にワイルドウルフの姿を認めると…
「春名、右手の3頭に電撃!」
「お任せください。いっけぇぇぇぇ!」
そこいらに生えている木々まで丸ごと焦がしながら電流の帯がワイルドウルフに向かって飛び出して、あっという間に感電死させる。
戦闘開始後わずか1分でワイルドウルフたちの包囲網には大きな穴が開いて、そこに飛び出していった圭子が背後から襲い掛かってはまだ生き残っている個体を掃討する。2分後には包囲網は各所で寸断されて包囲の体をなくし、重ねてその背後を圭子に攻め立てられてさらに被害が増えていく。そして3分後にはワイルドウルフの攻勢は完全に沈黙して、あとは圭子に居場所を突き止められて狩られるだけの存在になり果てる。
「なんだか呆気なさすぎるわね~」
戻ってきた圭子はシロを連れてドロップアイテムの回収のために再び森に姿を消していく。
「全員ケガはないか?」
「はい、大丈夫ですよ~」
「こちらも問題ない」
「私も空ちゃんも無事です」
春名、美智香、美咲の順に無事な返事が返ってくる。こんな調子で森の中での初の本格的な戦闘は終わりを迎えるが、この先も何度か同規模の魔物との戦いがストレンジャーを待ち構える。当然圧倒的な戦闘力で悉く撃破していくタクミたちだが、散々森の内部を歩き回ってみるものの、中々次の階層に進んでいく手掛かりに行きあたらない。
そして丸二日かけて隅々まで森を歩き回った結果、中心部の少し開けた場所ににストーンサークルのように丸く石で囲った箇所を発見する。
「どうやらここしか目印になる場所はないようだが、みんなはどう思う?」
「こうしてここに存在する以上は、何らかの手掛かりと考えて方が良さそう」
美智香もこれが次の階層に進むためのカギを握っていると考えているようだが、地面に並んでいる石を様々な角度から観察しても特にこれといったものは見当たらない。
その時周辺を嗅ぎ回っていたシロが中心にある石の前でキャンキャン吼えだし始める。
「この石をどうにかするんじゃない?」
圭子が石を叩いてみるが何も起きない。次に足で蹴り付けるが、やはり変化がないまま円形の平たい石がそこに置かれているだけ。
「回せばいいのではないでしょうか?」
春名が思いついたように提案する。美智香によれば「春名の勘はアテにならない」らしいが、この際やってみるのも手だろう。
タクミが両腕に力を込めて右に回してみるがビクともしない。ならばと、反対に回してみるとあっけなく石は一回転して「ゴゴゴゴーーー」と少し離れた場所から音が鳴り出す。
音が鳴りだした場所に行ってみると、地面にポッカリ空いた穴の下に階段らしき構造物が暗闇に浮かび上がっている。
2メートルくらいの深さの穴にまずタクミが降りて様子を確認するとどうやら階段は下の階層に繋がっているよう。
「ここから行けるみたいだから、順番に降りてきてくれ」
タクミの声でまずは空が穴に飛び込む。彼女の軽い体をタクミが受け止める。
「クックック、我を受け止めた褒美ゆえに、今ひと時このまま抱き留めてよいぞ」
どうせその間にタクミの大胸筋に顔を埋めて悦に浸ろうという空の下心が透けて見える。こんな腐女子の思い通りにはさせないとばかりにタクミは秒で彼女の体を地面のに降ろすと、次々に穴に飛び込んでくる他の女子を受け止める。
そして最後の残るのは圭子。
「圭子は自分で降りられるだろう」
確かに彼女の身体能力を考えるとこの高さから飛び降りることなど造作もないはず。だがここで圭子がガラにもないことを言い出す。
「どうしてよ? こんな時くらい私を女の子扱いしなさいよ!!」
自分から「女子扱いしろ」と求めるのはどうなんだろう? このような疑問がタクミの胸中に過るが、ここで圭子が拗ねては元も子もない。
「わかった。しっかり受け止めるから飛び降りるんだ」
「最初からそういう態度でいればいいのよ」
穴の上で腰に手を当ててタクミを指さす圭子がいる。彼女はこの時点でまだ知らない。この言動が思いっ切りフラグを立ててしまったことなど…
「それじゃあ、いくわよ」
タクミに向かって声をかけてなぜか一歩下がる圭子。どうやらイタズラ心でちょっとだけ勢いをつけてタクミを驚かそうと企んだよう。だがこの一歩が悲劇を招く。穴に向かって足を踏み出して飛び降りようとしたまではよかったのだが、後ろに残った左足の爪先がたまたま地面に埋まっていた小石に引っ掛かって圭子の体が大きくバランスを崩す。
その勢いのままに圭子は雪崩式ダイビングヘッドバッドの要領で頭からタクミに突っ込んでいく。
「ちょ、圭子、おま…」
タクミは慌てて頭から落ちてくる圭子をなんとかしようと足掻くが、あまりにも時間が足りなくて、敢え無く落ちてくる圭子と下で待ち受けるタクミの頭同士が激しく衝突して、二人の体が重なり合ったまま崩れ落ちるように地面に叩きつけられていく。
(痛たたた… はぁ~、ハデに失敗しちゃったわね)
元来石頭で頭突きで瓦割りが出来る圭子はどうやら無事な様子。ゆっくりと彼女が目を開いていくと、しっかりと焦点が定まらない視界の真正面にはタクミの顔が。
(あれっ? どゆこと?)
意識があるとはいっても衝撃で頭が回らない圭子は状況を把握するのに少々手間取っているよう。その間にこの事件を目の前で目撃した他の女子はといえば…
「ああ~、圭子ちゃんやらかしちゃいましたねぇ~」
「まさかこんなタイミングで」
「圭子ちゃん、タクミ君が完全にダウンしていますよ」
「クックック、まさか圭子が我に妄想のネタを提供するとは…」
女子たちの声が耳には届いているものの、彼女たちが何を言いたいのか今ひとつピンとこない圭子。ようやくピントが合ってきた視野で改めて観察すると、間近の距離に目を閉じているタクミの顔がある。それだけならまだしも、自らの唇に触れる何か柔らかい感触。これはもしかして… 現実はその通りで、何の偶然が働いたのかは知らないが、タクミと圭子の唇がピッタリと重なり合っている。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ようやく何が起きなのかを理解した圭子は、タクミに覆い被さったまま絶叫を上げる。そこに春名からの無情な宣告が…
「圭子ちゃん、まさかこんな場所で堂々とタクミ君とキスするなんて」
「ヤメてぇぇぇぇぇ!」
「いくらなんでもタレちゃんに申し訳ないんじゃないですか?」
「ゴメンナサイィィィィ! 本当にそんなつもりじゃないかったのよぉぉぉ!」
「ひょっとしてこれが圭子ちゃんのファーストキスですか?」
「こ、こ、こ、こんなのノーカンよ! 私は絶対に認めないから!」
「それよりも早くそこを退いた方がいいんじゃないですか?」
「ハッ、そうだったわ。私ったら気が動転しすぎて…」
春名に散々イジられた圭子は真っ赤な顔のまま立ち上がる。タクミは依然として目を閉じたまま床に横たわっている。
「空ちゃん、早く回復魔法を」
「クックック、もうちょっと激しい妄想ネタを所望したいが、この場はこれで良しとしよう。回復」
空が手を翳すと、宿屋のベッドで美咲に突き飛ばされた時と同様に柔らかな光がタクミの体を包み込んでいく。
そのまま様子を見ていると、タクミがゆっくりと目を開く。
「あれ? なぜ俺がこんな場所で寝ているんだ? 確か圭子が上から降ってきたような…」
「忘れろぉぉぉぉ! お願いですからその件は忘れてください!」
圭子の絶叫が響くと、他の女子たちのニマニマした笑いを含んだ表情がいつまでもタクミに向けられるのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「面白かった」
「続きが気になる」
「早く投稿して!」
と感じていただいた方は是非とも【お気に入り登録】や、すぐ下にあるハート型のアイコンの【いいねボタン】などをポチッとしていただくと作者のモチベーションに繋がります。もちろん連打も大歓迎です! 皆様の応援を心よりお待ちしております。
なおこちらの小説と同時に連載しております【異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!】もどうぞよろしくお願いいたします。こちらは現代ファンタジーの作品になりますが、この作品と同等のクオリティーで楽しめる内容となっています。目次のページの左下にジャンプできるアイコンがありますので、お暇な時間にお読みいたけると幸いです。
「時間も時間だし、今日はここでキャンプにしようか」
「そうね、だいぶお腹も減ってきたし、体力に余裕があるうちに休憩に入っておけば明日に疲れを残さないわ」
タクミの提案に圭子が賛成したので、彼は付近を簡単に整地して天幕を張って寝床を確保する。すでに美咲は調理に取り掛かっており、テーブルの上でサラダやスープに用いる野菜を刻み始める。春名はサッとゆでたオークの肉を細かく刻んだものをペット専用の器に乗せてシッポを振って待っているシロに与える。
ダンジョンの内部で予想外の屋外キャンプとなったが、こんな雰囲気で無事にダンジョン初日は終わって各自は眠りに就いていく。
そして翌日、準備を整えてストレンジャー一行は草原を歩き出す。10分ほど歩いたところで遠くに黒いゴマ粒のような点がいくつも見渡せるように。一体なんだろうと思いつつ近付いてみると、1頭が小型乗用車くらいの大きさのワイルドバッファローの群れだと判明する。
「オークのおかげで豚肉はいっぱいあるけど、やっぱり牛肉も食べたくなるわよね~」
「あれだけの数を倒せばステーキが食べ放題ですよ~」
食欲旺盛な圭子と春名がヨダレを垂らさんばかりの表情でワイルドバッファローの群れを見ている。圭子はともかくとして春名もすっかりこの世界に順応しきっているようで、草原で魔物に遭遇したにも拘らず食材ゲットの絶好のチャンスだと捉えているよう。
「それじゃあ、タクミに全部任せるから」
「俺に丸投げする気か?」
「いいでしょう。銃でチャッチャっと片付けてよ」
確かに圭子の言い分はもっともかもしれない。通常の冒険者であったら20頭規模のワイルドバッファローの群れなど間違いなく避けて通るだろうが、ストレンジャー一行に限っては秒殺可能な食材程度にしか映っていない。
「仕方ないな。経験値稼ぎの必要もあるからなるべく離れないでついてきてくれ」
ということで、全員がワイルドバッファローの群れがのんびりと草を食んでいる場所に向かって歩き出す。ある程度接近すると群れのリーダーがタクミたちに気が付いたようで、これまでののどかな雰囲気をかなぐり捨てて群れ全体が猛然と突進を開始。
(属性はナシ、威力は強、照準はオート)
すでにタクミの腕にはサブマシンガン。100メートルほどの距離になるまで群れを引き付けてから盛大に魔力弾を撒き散らす。
タタタタタタタタ!
軽快な機械音と共に必殺の魔力弾がワイルドバッファローの群れに放たれていくと、体中にいくつもの銃創を穿たれた個体はドウという音を立てて頭から草原に転倒していく。わずか5秒ほどのサブマシンガンの掃射で群れは全滅という恐ろしい結果に。
「ヤッタね! 牛肉ゲットよ!」
「骨付きなので美味しいスープが取れそうです」
圭子が大喜びする傍らで美咲が50キロちかくありそうな塊の肉を片手でヒョイヒョイ持ち上げてはアイテムボックスに収納していく。この光景を目撃したシロはシッポを両足の間に挟み込んでどう見ても怯えた態度。美咲のあまりの怪力ぶりを見せつけられて今後は絶対服従になるのは間違いなさそう。
ひと狩り終わったところでさらに30分歩くとどうやら草原は終わりとなって、そこから先は鬱蒼と茂る森が続く。
「どこに危険が潜んでいるかわからないから注意するんだぞ」
タクミの声はいつにもまして真剣さを帯びている。これまでも王都付近の森林を訓練がてら歩いたことはあったが、これほど木々や下草が生い茂っている森というのは初めて。視界が遮られる場所が多いのでタクミの言葉通り慎重に歩を進める。もっとも魔物が近づくとシロが唸り声をあげて教えるので、こちらに関してはさほど警戒をする必要はなさそう。
一度通った所は木に目印をつけながら美智香がノートに記録していく。こうしてマッピングしていかないとどこを歩いているのか全くわからなくなるほどの広大な森を歩く一行。
森に足を踏み入れて20分ほど経過すると、シロが突然吼えだして魔物の接近を知らせる。木の陰から現れたのはワイルドウルフで、地球にいる狼よりも二回りは大きくその顎には獰猛な牙がギッシリと生えている。
唸り声を上げながらゆっくりと近づいてくるワイルドウルフに対して今度は圭子が立ちはだかる。
急に速度を上げて彼女に向かって襲い掛る魔物。だが圭子はその表情に余裕の笑みを浮かべつつ、飛び掛ってくるタイミングに合わせて顎下を蹴り上げると、ワイルドウルフは2回転半して後ろの木に叩き付けられていく。
「圭子、いつにも増して技の切れ味が鋭いな」
「まあね、タクミにばっかりいい格好させてもしょうがないし」
当然と言わんばかりの表情で残心を解く圭子。
圭子のひと蹴りで絶命して魔物の姿が消えると、そこには毛皮がドロップアイテムとして残されている。大した値段がつくわけではないが、せっかくなので回収しておく。ちなみにこの階層は森の中なので、当然森にいる魔物が出現する。特にワイルドウルフは群れで襲い掛かってくることがあり、冒険者達にとっては厄介な敵だといえる。今回のように1体が単独で出現するのは大抵の場合群れの偵察役というケースが多い。となると近くにワイルドウルフの群れが潜んでいる公算が高くなるのは必定。
周囲を警戒しながら進んでいくとどこからともなく狼の遠吠えが聞こえて、どうやら周囲はビッシリと包囲されている状況に。
「美智香、火は使うなよ。下手に周囲に燃え移ると自分たちが逃げ場を失う」
「わかった」
「春名は念のために電撃の準備だけはしておくんだ。美智香は必要に応じて春名に攻撃の指示を出してくれ」
「私の出番がきたんですね~」
「春名、そこで調子に乗るんじゃない」
「美咲は空をしっかりと守ってくれ。接近してきた魔物は任せる」
「わかりました」
「圭子、好きに暴れていいが、俺の銃や魔法の射線には注意してくれ」
「バッチこいよ!」
どうやら周囲を取り囲む気配からして、ワイルドウルフの群れは少なくとも50頭はいそう。そんな大群に取り囲まれるプレッシャーというのは並大抵のレベルではないはず。ところがこの期に及んでもストレンジャー一行の誰ひとり怯んだ様子が見当たらない。それは絶対的な戦闘力を誇るタクミと圭子という二人の尋常ならざる能力と、この2名に引っ張られるようにして高度な戦闘訓練をこなしてきた女子たちの自信が、どんな場合でも平常心で戦いに臨むという戦闘時の初歩的な心構えを見失わせていないのだろう。
そして戦いの口火はタクミの自動小銃の銃口から飛び出した魔力弾で切って落とされる。タクミはこの場面で連射性は犠牲にしても敢えて照準が正確な小銃を選択している。そして彼の小銃から飛び出す銃弾は文字通り一発必中を成し遂げていく。
圭子はタクミの銃撃の邪魔にならないように彼が掃討を終えた場所に自分から踊り込んでは、付近にまだ潜んでいるワイルドウルフを片っ端から血祭りにあげていく暴れっぷり。圭子が飛び出していった間隙には美咲が入り込んで、ダンジョンに入ってから初めて2本の大剣を器用に操っては飛び掛かってくるワイルドウルフを真っ二つに切り裂いている。
「アイスアロー!」
美智香は両手から氷魔法の乱れ撃ち。自らの魔法の範囲外にワイルドウルフの姿を認めると…
「春名、右手の3頭に電撃!」
「お任せください。いっけぇぇぇぇ!」
そこいらに生えている木々まで丸ごと焦がしながら電流の帯がワイルドウルフに向かって飛び出して、あっという間に感電死させる。
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「なんだか呆気なさすぎるわね~」
戻ってきた圭子はシロを連れてドロップアイテムの回収のために再び森に姿を消していく。
「全員ケガはないか?」
「はい、大丈夫ですよ~」
「こちらも問題ない」
「私も空ちゃんも無事です」
春名、美智香、美咲の順に無事な返事が返ってくる。こんな調子で森の中での初の本格的な戦闘は終わりを迎えるが、この先も何度か同規模の魔物との戦いがストレンジャーを待ち構える。当然圧倒的な戦闘力で悉く撃破していくタクミたちだが、散々森の内部を歩き回ってみるものの、中々次の階層に進んでいく手掛かりに行きあたらない。
そして丸二日かけて隅々まで森を歩き回った結果、中心部の少し開けた場所ににストーンサークルのように丸く石で囲った箇所を発見する。
「どうやらここしか目印になる場所はないようだが、みんなはどう思う?」
「こうしてここに存在する以上は、何らかの手掛かりと考えて方が良さそう」
美智香もこれが次の階層に進むためのカギを握っていると考えているようだが、地面に並んでいる石を様々な角度から観察しても特にこれといったものは見当たらない。
その時周辺を嗅ぎ回っていたシロが中心にある石の前でキャンキャン吼えだし始める。
「この石をどうにかするんじゃない?」
圭子が石を叩いてみるが何も起きない。次に足で蹴り付けるが、やはり変化がないまま円形の平たい石がそこに置かれているだけ。
「回せばいいのではないでしょうか?」
春名が思いついたように提案する。美智香によれば「春名の勘はアテにならない」らしいが、この際やってみるのも手だろう。
タクミが両腕に力を込めて右に回してみるがビクともしない。ならばと、反対に回してみるとあっけなく石は一回転して「ゴゴゴゴーーー」と少し離れた場所から音が鳴り出す。
音が鳴りだした場所に行ってみると、地面にポッカリ空いた穴の下に階段らしき構造物が暗闇に浮かび上がっている。
2メートルくらいの深さの穴にまずタクミが降りて様子を確認するとどうやら階段は下の階層に繋がっているよう。
「ここから行けるみたいだから、順番に降りてきてくれ」
タクミの声でまずは空が穴に飛び込む。彼女の軽い体をタクミが受け止める。
「クックック、我を受け止めた褒美ゆえに、今ひと時このまま抱き留めてよいぞ」
どうせその間にタクミの大胸筋に顔を埋めて悦に浸ろうという空の下心が透けて見える。こんな腐女子の思い通りにはさせないとばかりにタクミは秒で彼女の体を地面のに降ろすと、次々に穴に飛び込んでくる他の女子を受け止める。
そして最後の残るのは圭子。
「圭子は自分で降りられるだろう」
確かに彼女の身体能力を考えるとこの高さから飛び降りることなど造作もないはず。だがここで圭子がガラにもないことを言い出す。
「どうしてよ? こんな時くらい私を女の子扱いしなさいよ!!」
自分から「女子扱いしろ」と求めるのはどうなんだろう? このような疑問がタクミの胸中に過るが、ここで圭子が拗ねては元も子もない。
「わかった。しっかり受け止めるから飛び降りるんだ」
「最初からそういう態度でいればいいのよ」
穴の上で腰に手を当ててタクミを指さす圭子がいる。彼女はこの時点でまだ知らない。この言動が思いっ切りフラグを立ててしまったことなど…
「それじゃあ、いくわよ」
タクミに向かって声をかけてなぜか一歩下がる圭子。どうやらイタズラ心でちょっとだけ勢いをつけてタクミを驚かそうと企んだよう。だがこの一歩が悲劇を招く。穴に向かって足を踏み出して飛び降りようとしたまではよかったのだが、後ろに残った左足の爪先がたまたま地面に埋まっていた小石に引っ掛かって圭子の体が大きくバランスを崩す。
その勢いのままに圭子は雪崩式ダイビングヘッドバッドの要領で頭からタクミに突っ込んでいく。
「ちょ、圭子、おま…」
タクミは慌てて頭から落ちてくる圭子をなんとかしようと足掻くが、あまりにも時間が足りなくて、敢え無く落ちてくる圭子と下で待ち受けるタクミの頭同士が激しく衝突して、二人の体が重なり合ったまま崩れ落ちるように地面に叩きつけられていく。
(痛たたた… はぁ~、ハデに失敗しちゃったわね)
元来石頭で頭突きで瓦割りが出来る圭子はどうやら無事な様子。ゆっくりと彼女が目を開いていくと、しっかりと焦点が定まらない視界の真正面にはタクミの顔が。
(あれっ? どゆこと?)
意識があるとはいっても衝撃で頭が回らない圭子は状況を把握するのに少々手間取っているよう。その間にこの事件を目の前で目撃した他の女子はといえば…
「ああ~、圭子ちゃんやらかしちゃいましたねぇ~」
「まさかこんなタイミングで」
「圭子ちゃん、タクミ君が完全にダウンしていますよ」
「クックック、まさか圭子が我に妄想のネタを提供するとは…」
女子たちの声が耳には届いているものの、彼女たちが何を言いたいのか今ひとつピンとこない圭子。ようやくピントが合ってきた視野で改めて観察すると、間近の距離に目を閉じているタクミの顔がある。それだけならまだしも、自らの唇に触れる何か柔らかい感触。これはもしかして… 現実はその通りで、何の偶然が働いたのかは知らないが、タクミと圭子の唇がピッタリと重なり合っている。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ようやく何が起きなのかを理解した圭子は、タクミに覆い被さったまま絶叫を上げる。そこに春名からの無情な宣告が…
「圭子ちゃん、まさかこんな場所で堂々とタクミ君とキスするなんて」
「ヤメてぇぇぇぇぇ!」
「いくらなんでもタレちゃんに申し訳ないんじゃないですか?」
「ゴメンナサイィィィィ! 本当にそんなつもりじゃないかったのよぉぉぉ!」
「ひょっとしてこれが圭子ちゃんのファーストキスですか?」
「こ、こ、こ、こんなのノーカンよ! 私は絶対に認めないから!」
「それよりも早くそこを退いた方がいいんじゃないですか?」
「ハッ、そうだったわ。私ったら気が動転しすぎて…」
春名に散々イジられた圭子は真っ赤な顔のまま立ち上がる。タクミは依然として目を閉じたまま床に横たわっている。
「空ちゃん、早く回復魔法を」
「クックック、もうちょっと激しい妄想ネタを所望したいが、この場はこれで良しとしよう。回復」
空が手を翳すと、宿屋のベッドで美咲に突き飛ばされた時と同様に柔らかな光がタクミの体を包み込んでいく。
そのまま様子を見ていると、タクミがゆっくりと目を開く。
「あれ? なぜ俺がこんな場所で寝ているんだ? 確か圭子が上から降ってきたような…」
「忘れろぉぉぉぉ! お願いですからその件は忘れてください!」
圭子の絶叫が響くと、他の女子たちのニマニマした笑いを含んだ表情がいつまでもタクミに向けられるのであった。
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なおこちらの小説と同時に連載しております【異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!】もどうぞよろしくお願いいたします。こちらは現代ファンタジーの作品になりますが、この作品と同等のクオリティーで楽しめる内容となっています。目次のページの左下にジャンプできるアイコンがありますので、お暇な時間にお読みいたけると幸いです。
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「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
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だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
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本作は小説家になろう、カクヨムでも公開しています
他サイトでのタイトルは、『いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!~チート魔法で無双してたら、一大勢力を築き上げてしまったんだが~』となります
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