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第18話 シンプルイズベスト
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3日後、冒険者ギルドにやってきたタクミたちだが、どうも周囲の冒険者たちが自分たちを見る目がこれまでと違うような気がしてならない。掲示板の周りに集まっている冒険者たちの仲間内の会話に耳を傾けてみると…
「おい、あれが例のドラゴンスレイヤーだよな」
「ああ、間違いねぇな。俺はたまたま買い取りカウンターに近くにいてワイバーンの素材の受取証をやり取りしているのを見ちまったんだ」
「それにしてもずいぶん若いじゃないか。それに冒険者登録してからまだ数日だって聞いているぞ」
「ところがだな、どうもあのパーティーは他国でかなり実績を上げてこの国にやってきたらしいんだよ」
「ああ、なるほどな。それなら納得がいくぜ」
「若くて才能があれば、どこの国のギルドでも引っ張りだこだろうからな」
どうやらタクミたちが、討伐したワイバーンを持ち込んだ件がかなり広まっているよう。ちなみに最初の男が口にした「ドラゴンスレイヤー」というフレーズだが、本来ならば本物のドラゴンを倒した人間だけに与えられる称号。だがここ150年ほどの間、このローデシア大陸にはドラゴンの出没例がまったく報告されていない。そこで同じ竜種なのだが数段格が落ちるワイバーンを倒した人間を便宜上「ドラゴンスレイヤー」と呼んでいる。
まあそれはともかく、本日のストレンジャーは草原での訓練には出掛けずに午後からの重役出勤。ワイバーンの素材を受け取りにギルドに顔を出している。
「それじゃあ、タクミ。私たちは先に昼食を摂っているわね」
「ああ、先に食べてていいぞ」
女子たちが飲食コーナーに消えていくのを見送ると、タクミは建物の裏手にある解体場に向かう。
「よう、兄さん、待っていたぜ!」
声がする方向には先日買い取りカウンターにいた中年の係員の姿。彼が立っている横には机が2台くっつけて並べられており、その上には丁寧に丸められたワイバーンの飛膜と革が置いてある。隣の床には広げたシートの上に骨付きの人の背丈よりも大きな肉の塊。さすがは15メートル級のワイバーンだけある。この肉の塊だけでもステーキにすると100人前ではきかないであろう。
「いい仕事ぶりだな」
「当たりめぇよ! この道15年の俺様が直々に解体の指揮を執ったんだ。お前さんの要望にキッチリと応えたぜ」
「それは感謝する。これはチップだ。解体に携わった職員で一杯やってくれ」
タクミは金貨を1枚取り出して係員に手渡す。
「兄さん、さすがだぜ。その気前の良さだったらさぞかし女にモテるだろう」
「あいにくだが、世の中そうそう上手くはいかない。それじゃあ、素材はもらっていく」
タクミはテーブルに置かれている飛膜と革、それからシートの上の肉の塊を次々にアイテムボックスに収納していく。
「収納魔法かい。若いのに魔法の腕も大したもんだな。でなければワイバーンなんか倒せねぇか」
「収納に関してはあまり話を広めないでもらいたい。ほら、これは口止め料だ」
さらにもう1枚係員に金貨を手渡すと、彼は二ッと白い歯を見せて笑う。
「もちろん喋ったりしねぇから安心してくれ。それから買い取りカウンターで代金が受け取れるから忘れないで立ち寄ってくれよ。ワイバーン丸ごとだったら金貨350枚だったんだが、兄さんが一高く売れる部位を自分の手元に引き取ったから、結局150枚になっちまったぜ」
「それほど金に困っているわけではないから別に構わない。それよりも素材のほうが重要だ」
「そうかい… ああ、防寒具や革鎧を仕立てるならロジャーの革工房がおススメだぜ。店構えはさほど大きくはないが、店主の仕立ての腕は王都でもピカ一だ」
「それは助かる。王都の右も左もわからないから貴重な情報だ」
「いいってことよ。ギルドの前の道を真っ直ぐに城門のほうに向かって、二つ目の辻を右に曲がってすぐだ」
「わかった。昼食を済ませたら立ち寄ってみよう」
革製品の工房に関する情報をゲットしたタクミはカウンターに立ち寄って買い取り代金を受け取ってから飲食コーナーに向かう。すでに女子たちはすっかり昼食を済ませたようで、春名ひとりがたっぷりのクリームが乗っかったパンケーキを美味しそうに頬張っている。
「待たせてすまなかった」
「全然待ってませんから安心してください」
「春名が言うんじゃないわよ! ひとりだけデザートまで注文して、太っても知らないからね!」
「甘いものは別腹ですから大丈夫ですよ~」
とろけそうな表情でパンケーキを味わう春名。その頃ペットのシロはサッと茹でたホーンラビットの肉で昼食を済ませて美咲の膝の上でグッスリ寝ている。自分のペットを人任せにして、なんとも春名はいい気なもの。
「タクミ、この後の予定はどうするの?」
「腕のいい革製品の工房を紹介してもらったから、そちらで色々と仕立ててもらう」
圭子は納得した表情。その横から美咲が…
「あの~、新鮮な野菜類が少なくなってきたので市場にも寄りたいんですが」
「いいんじゃないか。ワイバーンの代金が入ったから店ごと買い占めても大丈夫だ」
景気のいいタクミの発言に春名が…
「もしかして宿のグレードアップですか?」
「誰がそこまで贅沢をしていいと言った!」
美智香に却下されてガックリと肩を落としている。パンケーキを我慢して節約に徹していれば、ひょっとしたら美智香も首を縦に振ったかもしれないのに…
ともあれタクミも大急ぎで昼食を摂ると、紹介された革製品の工房に向かう。係員から聞かされた通りに道を進むと、小さな看板が掛かるいかにも個人が営んでいるという雰囲気の建物が見つかる。
「ここだな」
「ずいぶんこじんまりした店だけど、本当に大丈夫なの?」
「それは店主と話をしてみないと何とも言えない。とりあえず入ってみよう」
ということでタクミを先頭にしてパーティーメンバーがゾロゾロと店内へ。店のカウンターには不愛想な男が立っている。
「冷やかしならお断りだぜ」
「冒険者ギルドの買い取りカウンターの職員に訊いて来た。この素材で雨除け用のマントと、それからこちらの革でアンダーアーマーを仕立ててもらえないか?」
「何だ、ボブの紹介か… おい、一体この革は何だってんだ? それにこっちの飛膜は… ひょっとしてこれはワイバーンから採ったものか?」
「その通りだ」
「こりゃあ真剣に話を聞かねぇとならないようだな。人数分のマントと革鎧を仕立てるのか?」
「アンダーアーマーについては4人分でいい。なるべく早くダンジョンに向かいたいから急ぎで頼む」
タクミのこの発言は、彼と圭子に関してはすでに自前の防具を所持しているから必要ないという意味。ダンジョンにアタックする際に、この2名を除いた女子たちが着用する防具があったほうがいいだろうというタクミの判断が働いている。安全が金で買えるなら惜しみなく使うというのは、3回の異世界召喚を経験したタクミのポリシーでもある。
「う~ん。これだけの高級素材だからな。丁寧に扱わねぇとならないから、それなりに時間がかかるぜ」
「どのくらいだ?」
「一月半といったところかな」
「3週間で頼む。その分仕立て代は弾む」
「おいおい、無茶を言う客だな。3週間か… よし、やってやろうじゃないか! このロジャー様が最高の逸品を仕立ててやるぜ」
ということで店主の奥さんや工房の従業員たち総出で採寸が始まる。最高級の素材のオーダーメイドということで、工房の従業員一同かなり緊張した表情を浮かべて万にひとつの間違いもないように慎重に寸法を測っていく。その分かなりの時間を要して、全員の採寸が終わったのは2時間後となる。
「それじゃあ出来上がりを楽しみにしろよ!」
店に入ってきた時点とは打って変わった店主の見送りの言葉を背中に受けてタクミたちは通りに出ていく。この日は美咲の要望で市場に向かって食料品を大量に仕入れてから宿に戻っていくのだった。
◇◇◇◇◇
翌日、1日間が空いた分を取り返そうとタクミたちはいつもの草原へと足を運ぶ。街道を歩く一行、その中で春名や美咲にまとわりつくようにシロがシッポを振りながらメンバーたちに歩調を合わせて歩く微笑ましい光景も目に入ってくる。飼い主である春名に懐くのはわかるのだが、シロにとって美咲はいつも美味しいご飯をくれる人という認識があるよう。推定で生後半年~1年未満という幼さが抜け切れていない分ヤンチャ盛りではあるが、愛嬌たっぷりな仕草や行動で皆の気分を和ませてくれる。
草原に到着するといつものように圭子と美咲はホーンラビット狩り、美智香と春名は魔法の練習と、それぞれに分かれて訓練開始。
「う~ん、やっぱり電流が飛んでいきませんよ~」
「魔法術式によって発生している電流じゃないから、さすがに俺もどうなっているのかわからないな~」
順調に魔法が上達している美智香と比べて、春名の謎の能力は相変わらず足踏み状態。ちなみに何か他の能力はできないのかと氷だの炎だのを試してみるが、今のところ春名の力については電流限定でしか発揮できないよう。
そこに圭子と美咲がひと休みしに戻ってくる。
「春奈ちゃんはまだ苦戦しているんですか?」
「タレちゃん、実はそうなんです。こんな感じで電流は出せるのに、美智香ちゃんみたいに的に向かって飛んでくれないんです」
「そうなんですか。私は生活魔法は使えますけど、難しい理論とかはまったくわからないので全然お役に立てそうもありません」
美咲が申し訳なさそうに返事をしている。圭子はシロにお手とお座りを仕込んでいる最中。絶賛シロを構っている圭子に春名から声が掛けられる。
「圭子ちゃんは何かいいアイデアはありませんか?」
「は? 春名、ひょっとしてあんたは魔法少女の夢が破れた私にケンカを売ってるの? 小指の先ほども魔法スキルがないことを知っているでしょうが!」
「ですから、ここはワラにも縋る気持ちというか。神様に断られるくらいに魔法スキルが絶望的な圭子ちゃんでも、もしかしたら何か思いつくんじゃないかと思ったんですよ~」
「絶対にケンカ売っているよね。間違いなく売ってるよね」
大事なことなので2回口にする圭子。
「売ってませんから。とにかく私の能力を見て何か気付いたことがあったら教えてください」
「ったく、しょうがないわね」
渋々ながら春名の謎能力の観察を開始する圭子。春名はまず右手の先に電流の渦を創り出して、それからレールガンの要領で撃ち出していくところまで実演する。
「なんだ、ちゃんと飛ばせるじゃないのよ」
「いまのは私の能力じゃなくって電流によって発生した磁力で屑鉄を飛ばしただけです。美智香ちゃんが理屈を教えてくれました」
「磁力? 磁石ってくっつくものでしょう。なんで飛ばせるのよ?」
「S極同士やN極同士を近づけると反発しますよ~」
「そうだったっけ? ずいぶん昔に習ったからすっかり忘れていたわ」
これが圭子の頭脳の限界らしい。清々しいほどの勢いで脳ミソが筋肉で出来上がっている。だがここで圭子があることに気付く。
「ハルハル、ひょっとして電流が渦を巻いているから飛び出さないんじゃないの? だってどこが先頭でどこが一番後ろだかわからないじゃないのよ」
圭子は単純に春名の能力の見たままを口にしただけ。以前タクミから「シンプルな思考」と表現された通りの単純明快さで言ってのけている。
この遣り取りを聞いているタクミはしばし考えこんだ後におもむろに口を開く。
「確かに圭子の発言には一理あるかもしれないな。春名、電流が出現した時っていうのは最初から渦を巻いていたのか?」
「はい、最初からこんな感じでした」
「それじゃあ、今度は長さ1メートルくらいのヒモになるようなイメージで能力を発動してみるんだ」
「わかりました。やってみます」
ということで春名は真剣な表情で右手の先に電流を発生させていく。すると…
「わぁ~! スゴイですよ~! ビリビリしたヒモみたいになっています」
「それじゃあ、その電流のヒモを的までどんどん伸ばしてみるんだ」
「はい」
春名が脳内で念じると、細い電流のヒモは周囲に放電しながら空中をジグザグに進んでついに的まで到達する。
バリバリ!
小さな落雷のような音がして的がスパークすると、黒い焦げ跡を残して電流は消失。
「今度はもっと早くやってみるんだ。電流を飛ばすんじゃなくて素早く伸ばすイメージだぞ」
「はい」
圭子の偶然による発案が何だか上手くいって気を良くしている春名。一度成功しているだけに頭の中にイメージがしっかりと残っている。
「放電」
春名の右手にヒモ状の電流が形成される。
「一気に伸びろぉぉ!」
バリバリバリバリ!
先程はゆっくりと的に到達した電流だが、今度は瞬時に的に着弾。周囲に放電して消え去るエネルギーロスが減少した分威力が上昇している。これには周りで見ていたメンバーたちもビックリ。
「やりましたぁぁぁ! これで私も学園都市レベル5の仲間入りですぅぅぅ!」
「一回できたくらいで調子に乗るんじゃないわよぉぉぉ!」
すっかり舞い上がったところに圭子によって頭から冷水をぶっかけられる春名であった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「面白かった」
「続きが気になる」
「早く投稿して!」
と感じていただいた方は是非とも【お気に入り登録】や、すぐ下にあるハート型のアイコンの【いいねボタン】などをポチッとしていただくと作者のモチベーションに繋がります。もちろん連打も大歓迎です! 皆様の応援を心よりお待ちしております。
なおこちらの小説と同時に連載しております【異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!】もどうぞよろしくお願いいたします。こちらは現代ファンタジーの作品になりますが、この作品と同等のクオリティーで楽しめる内容となっています。目次のページの左下にジャンプできるアイコンがありますので、お暇な時間にお読みいただけたら幸いです。
「おい、あれが例のドラゴンスレイヤーだよな」
「ああ、間違いねぇな。俺はたまたま買い取りカウンターに近くにいてワイバーンの素材の受取証をやり取りしているのを見ちまったんだ」
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「ところがだな、どうもあのパーティーは他国でかなり実績を上げてこの国にやってきたらしいんだよ」
「ああ、なるほどな。それなら納得がいくぜ」
「若くて才能があれば、どこの国のギルドでも引っ張りだこだろうからな」
どうやらタクミたちが、討伐したワイバーンを持ち込んだ件がかなり広まっているよう。ちなみに最初の男が口にした「ドラゴンスレイヤー」というフレーズだが、本来ならば本物のドラゴンを倒した人間だけに与えられる称号。だがここ150年ほどの間、このローデシア大陸にはドラゴンの出没例がまったく報告されていない。そこで同じ竜種なのだが数段格が落ちるワイバーンを倒した人間を便宜上「ドラゴンスレイヤー」と呼んでいる。
まあそれはともかく、本日のストレンジャーは草原での訓練には出掛けずに午後からの重役出勤。ワイバーンの素材を受け取りにギルドに顔を出している。
「それじゃあ、タクミ。私たちは先に昼食を摂っているわね」
「ああ、先に食べてていいぞ」
女子たちが飲食コーナーに消えていくのを見送ると、タクミは建物の裏手にある解体場に向かう。
「よう、兄さん、待っていたぜ!」
声がする方向には先日買い取りカウンターにいた中年の係員の姿。彼が立っている横には机が2台くっつけて並べられており、その上には丁寧に丸められたワイバーンの飛膜と革が置いてある。隣の床には広げたシートの上に骨付きの人の背丈よりも大きな肉の塊。さすがは15メートル級のワイバーンだけある。この肉の塊だけでもステーキにすると100人前ではきかないであろう。
「いい仕事ぶりだな」
「当たりめぇよ! この道15年の俺様が直々に解体の指揮を執ったんだ。お前さんの要望にキッチリと応えたぜ」
「それは感謝する。これはチップだ。解体に携わった職員で一杯やってくれ」
タクミは金貨を1枚取り出して係員に手渡す。
「兄さん、さすがだぜ。その気前の良さだったらさぞかし女にモテるだろう」
「あいにくだが、世の中そうそう上手くはいかない。それじゃあ、素材はもらっていく」
タクミはテーブルに置かれている飛膜と革、それからシートの上の肉の塊を次々にアイテムボックスに収納していく。
「収納魔法かい。若いのに魔法の腕も大したもんだな。でなければワイバーンなんか倒せねぇか」
「収納に関してはあまり話を広めないでもらいたい。ほら、これは口止め料だ」
さらにもう1枚係員に金貨を手渡すと、彼は二ッと白い歯を見せて笑う。
「もちろん喋ったりしねぇから安心してくれ。それから買い取りカウンターで代金が受け取れるから忘れないで立ち寄ってくれよ。ワイバーン丸ごとだったら金貨350枚だったんだが、兄さんが一高く売れる部位を自分の手元に引き取ったから、結局150枚になっちまったぜ」
「それほど金に困っているわけではないから別に構わない。それよりも素材のほうが重要だ」
「そうかい… ああ、防寒具や革鎧を仕立てるならロジャーの革工房がおススメだぜ。店構えはさほど大きくはないが、店主の仕立ての腕は王都でもピカ一だ」
「それは助かる。王都の右も左もわからないから貴重な情報だ」
「いいってことよ。ギルドの前の道を真っ直ぐに城門のほうに向かって、二つ目の辻を右に曲がってすぐだ」
「わかった。昼食を済ませたら立ち寄ってみよう」
革製品の工房に関する情報をゲットしたタクミはカウンターに立ち寄って買い取り代金を受け取ってから飲食コーナーに向かう。すでに女子たちはすっかり昼食を済ませたようで、春名ひとりがたっぷりのクリームが乗っかったパンケーキを美味しそうに頬張っている。
「待たせてすまなかった」
「全然待ってませんから安心してください」
「春名が言うんじゃないわよ! ひとりだけデザートまで注文して、太っても知らないからね!」
「甘いものは別腹ですから大丈夫ですよ~」
とろけそうな表情でパンケーキを味わう春名。その頃ペットのシロはサッと茹でたホーンラビットの肉で昼食を済ませて美咲の膝の上でグッスリ寝ている。自分のペットを人任せにして、なんとも春名はいい気なもの。
「タクミ、この後の予定はどうするの?」
「腕のいい革製品の工房を紹介してもらったから、そちらで色々と仕立ててもらう」
圭子は納得した表情。その横から美咲が…
「あの~、新鮮な野菜類が少なくなってきたので市場にも寄りたいんですが」
「いいんじゃないか。ワイバーンの代金が入ったから店ごと買い占めても大丈夫だ」
景気のいいタクミの発言に春名が…
「もしかして宿のグレードアップですか?」
「誰がそこまで贅沢をしていいと言った!」
美智香に却下されてガックリと肩を落としている。パンケーキを我慢して節約に徹していれば、ひょっとしたら美智香も首を縦に振ったかもしれないのに…
ともあれタクミも大急ぎで昼食を摂ると、紹介された革製品の工房に向かう。係員から聞かされた通りに道を進むと、小さな看板が掛かるいかにも個人が営んでいるという雰囲気の建物が見つかる。
「ここだな」
「ずいぶんこじんまりした店だけど、本当に大丈夫なの?」
「それは店主と話をしてみないと何とも言えない。とりあえず入ってみよう」
ということでタクミを先頭にしてパーティーメンバーがゾロゾロと店内へ。店のカウンターには不愛想な男が立っている。
「冷やかしならお断りだぜ」
「冒険者ギルドの買い取りカウンターの職員に訊いて来た。この素材で雨除け用のマントと、それからこちらの革でアンダーアーマーを仕立ててもらえないか?」
「何だ、ボブの紹介か… おい、一体この革は何だってんだ? それにこっちの飛膜は… ひょっとしてこれはワイバーンから採ったものか?」
「その通りだ」
「こりゃあ真剣に話を聞かねぇとならないようだな。人数分のマントと革鎧を仕立てるのか?」
「アンダーアーマーについては4人分でいい。なるべく早くダンジョンに向かいたいから急ぎで頼む」
タクミのこの発言は、彼と圭子に関してはすでに自前の防具を所持しているから必要ないという意味。ダンジョンにアタックする際に、この2名を除いた女子たちが着用する防具があったほうがいいだろうというタクミの判断が働いている。安全が金で買えるなら惜しみなく使うというのは、3回の異世界召喚を経験したタクミのポリシーでもある。
「う~ん。これだけの高級素材だからな。丁寧に扱わねぇとならないから、それなりに時間がかかるぜ」
「どのくらいだ?」
「一月半といったところかな」
「3週間で頼む。その分仕立て代は弾む」
「おいおい、無茶を言う客だな。3週間か… よし、やってやろうじゃないか! このロジャー様が最高の逸品を仕立ててやるぜ」
ということで店主の奥さんや工房の従業員たち総出で採寸が始まる。最高級の素材のオーダーメイドということで、工房の従業員一同かなり緊張した表情を浮かべて万にひとつの間違いもないように慎重に寸法を測っていく。その分かなりの時間を要して、全員の採寸が終わったのは2時間後となる。
「それじゃあ出来上がりを楽しみにしろよ!」
店に入ってきた時点とは打って変わった店主の見送りの言葉を背中に受けてタクミたちは通りに出ていく。この日は美咲の要望で市場に向かって食料品を大量に仕入れてから宿に戻っていくのだった。
◇◇◇◇◇
翌日、1日間が空いた分を取り返そうとタクミたちはいつもの草原へと足を運ぶ。街道を歩く一行、その中で春名や美咲にまとわりつくようにシロがシッポを振りながらメンバーたちに歩調を合わせて歩く微笑ましい光景も目に入ってくる。飼い主である春名に懐くのはわかるのだが、シロにとって美咲はいつも美味しいご飯をくれる人という認識があるよう。推定で生後半年~1年未満という幼さが抜け切れていない分ヤンチャ盛りではあるが、愛嬌たっぷりな仕草や行動で皆の気分を和ませてくれる。
草原に到着するといつものように圭子と美咲はホーンラビット狩り、美智香と春名は魔法の練習と、それぞれに分かれて訓練開始。
「う~ん、やっぱり電流が飛んでいきませんよ~」
「魔法術式によって発生している電流じゃないから、さすがに俺もどうなっているのかわからないな~」
順調に魔法が上達している美智香と比べて、春名の謎の能力は相変わらず足踏み状態。ちなみに何か他の能力はできないのかと氷だの炎だのを試してみるが、今のところ春名の力については電流限定でしか発揮できないよう。
そこに圭子と美咲がひと休みしに戻ってくる。
「春奈ちゃんはまだ苦戦しているんですか?」
「タレちゃん、実はそうなんです。こんな感じで電流は出せるのに、美智香ちゃんみたいに的に向かって飛んでくれないんです」
「そうなんですか。私は生活魔法は使えますけど、難しい理論とかはまったくわからないので全然お役に立てそうもありません」
美咲が申し訳なさそうに返事をしている。圭子はシロにお手とお座りを仕込んでいる最中。絶賛シロを構っている圭子に春名から声が掛けられる。
「圭子ちゃんは何かいいアイデアはありませんか?」
「は? 春名、ひょっとしてあんたは魔法少女の夢が破れた私にケンカを売ってるの? 小指の先ほども魔法スキルがないことを知っているでしょうが!」
「ですから、ここはワラにも縋る気持ちというか。神様に断られるくらいに魔法スキルが絶望的な圭子ちゃんでも、もしかしたら何か思いつくんじゃないかと思ったんですよ~」
「絶対にケンカ売っているよね。間違いなく売ってるよね」
大事なことなので2回口にする圭子。
「売ってませんから。とにかく私の能力を見て何か気付いたことがあったら教えてください」
「ったく、しょうがないわね」
渋々ながら春名の謎能力の観察を開始する圭子。春名はまず右手の先に電流の渦を創り出して、それからレールガンの要領で撃ち出していくところまで実演する。
「なんだ、ちゃんと飛ばせるじゃないのよ」
「いまのは私の能力じゃなくって電流によって発生した磁力で屑鉄を飛ばしただけです。美智香ちゃんが理屈を教えてくれました」
「磁力? 磁石ってくっつくものでしょう。なんで飛ばせるのよ?」
「S極同士やN極同士を近づけると反発しますよ~」
「そうだったっけ? ずいぶん昔に習ったからすっかり忘れていたわ」
これが圭子の頭脳の限界らしい。清々しいほどの勢いで脳ミソが筋肉で出来上がっている。だがここで圭子があることに気付く。
「ハルハル、ひょっとして電流が渦を巻いているから飛び出さないんじゃないの? だってどこが先頭でどこが一番後ろだかわからないじゃないのよ」
圭子は単純に春名の能力の見たままを口にしただけ。以前タクミから「シンプルな思考」と表現された通りの単純明快さで言ってのけている。
この遣り取りを聞いているタクミはしばし考えこんだ後におもむろに口を開く。
「確かに圭子の発言には一理あるかもしれないな。春名、電流が出現した時っていうのは最初から渦を巻いていたのか?」
「はい、最初からこんな感じでした」
「それじゃあ、今度は長さ1メートルくらいのヒモになるようなイメージで能力を発動してみるんだ」
「わかりました。やってみます」
ということで春名は真剣な表情で右手の先に電流を発生させていく。すると…
「わぁ~! スゴイですよ~! ビリビリしたヒモみたいになっています」
「それじゃあ、その電流のヒモを的までどんどん伸ばしてみるんだ」
「はい」
春名が脳内で念じると、細い電流のヒモは周囲に放電しながら空中をジグザグに進んでついに的まで到達する。
バリバリ!
小さな落雷のような音がして的がスパークすると、黒い焦げ跡を残して電流は消失。
「今度はもっと早くやってみるんだ。電流を飛ばすんじゃなくて素早く伸ばすイメージだぞ」
「はい」
圭子の偶然による発案が何だか上手くいって気を良くしている春名。一度成功しているだけに頭の中にイメージがしっかりと残っている。
「放電」
春名の右手にヒモ状の電流が形成される。
「一気に伸びろぉぉ!」
バリバリバリバリ!
先程はゆっくりと的に到達した電流だが、今度は瞬時に的に着弾。周囲に放電して消え去るエネルギーロスが減少した分威力が上昇している。これには周りで見ていたメンバーたちもビックリ。
「やりましたぁぁぁ! これで私も学園都市レベル5の仲間入りですぅぅぅ!」
「一回できたくらいで調子に乗るんじゃないわよぉぉぉ!」
すっかり舞い上がったところに圭子によって頭から冷水をぶっかけられる春名であった。
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弟のお前は無能だからと勇者な兄にパーティを追い出されました。実は俺のおかげで勇者だったんですけどね
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兄は知らない、俺を無能だと馬鹿にしあざ笑う兄は真実を知らない。
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どれだけ無能であっても、俺が勇者に選んだ者は途端に有能な勇者になるのだ。
だがそれを知らない兄は俺をお荷物と追い出した。
ならば俺も兄は不要の存在となるので、勇者の任を解いてしまおう。
かくして勇者では無くなった兄は無能へと逆戻り。
当然のようにパーティは壊滅状態。
戻ってきてほしいだって?馬鹿を言うんじゃない。
俺を追放したことを後悔しても、もう遅いんだよ!
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【第16回ファンタジー小説大賞】にて一次選考通過の[奨励賞]いただきました
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フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
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400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
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そんな主人公のゆったり成長期!!
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いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!
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二人の勇者を主人公に、ブルガス王国のアリクレース公国の大戦を描いた超大作ノベルゲーム『国家大戦・クライシス』。ブラック企業に勤務する久我哲也は、日々の疲労が溜まっている中、そのゲームをやり込んだことにより過労死してしまう。
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そんな努力の甲斐あってか、カイムは規格外の魔力と実力を手にすることとなり、さらには原作知識で次々と殺される運命だった者達を助け出して、一大勢力の頭へと駆け上る!
これは、死ぬ運命だった悪役モブが、最凶へと成り上がる物語だ。
本作は小説家になろう、カクヨムでも公開しています
他サイトでのタイトルは、『いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!~チート魔法で無双してたら、一大勢力を築き上げてしまったんだが~』となります
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突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。
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