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第16話 耳寄りな情報
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【おしらせ】 さりげなくタイトルに再び手を加えました。
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夕方前に王都に戻ってタクミ達は冒険者ギルドにやってくる。
「捕ってきた獲物の買取りはここでいいのか?」
最も奥にあるカウンターでタクミは、その外見からいってどうやら冒険者上がりの係員の中年男性に尋ねる。
「ああ、ここだよ。何を捕ってきたんだ」
「依頼のホーンラビットが18羽と、あと馬鹿デカイのをまるごと持って帰ってきた」
タクミがそう答えると中年の係員はやや小馬鹿にした表情を浮かべている。なにしろストレンジャーは冒険者登録してから2日目というパーティーで、この本部のギルドマスターといったごく限られた関係者を除くと見覚えのない新顔という扱いなのは当然。ましてやこの買い取りカウンターに来るのは今日が初めてなので尚更だろう。
「デカイってどのくらいあるんだ?」
タクミが提示したFランクのカードを見ながら係員が聞いてくる。Fラン風情の若造が一体何を討伐したのだろうと不審な目を向けている。
「それなんだが… 15メートルぐらいのワイバーンだ」
「なんだってぇぇぇ! もういっぺん言ってみろ!!」
食いついてくるような勢いで係員が口角から泡を飛ばしている。その目は先程とは打って変わって真剣そのもの。
「だから何度も言わせるなよ。15メートルくらいのワイバーンだよ」
改めて聞いてから係員は呆れたような表情。それと同時にFランクの駆け出しが一体どうやってワイバーンを仕留めたのだろうという疑問が浮かぶ。だが細かい事情を聴き出すのは彼の業務内容ではない。もっと上の人間が担当するので、もしタクミの話が本当だったら報告を上げなければならないと気を引き締めている。
「わかった、とりあえずホーンラビットだけここに出してくれ。そのワイバーンとやらは後回しだ」
タクミに代わって圭子がアイテムボックスに収納していたホーンラビットを次々とカウンターに並べていく。
「確認したらすぐに金と依頼達成のサインをした証明書を渡すからちょっと待っていろ」
そう言われてタクミが近くのベンチに座っていると突然入り口の方向から彼らに向かって声が掛けられる。
「圭子じゃないか! お前たちも冒険者になったのか?」
そちらの方を向くと例の体育会系男子のパーティーが5人で立っている。声をかけてきたのはリーダーの林勇造。
勇造の奥に目を遣ると、ラグビー部の二名が丸太に吊るした100キロ級のイノシシを担いでいる。こんな重たい獲物を丸ごと担いで運ぶという発想そのものがパーティー全体の脳筋度合いを示しているといっていいだろう。普通の冒険者ならばその場で解体して価値の高い部分のみを持ち帰ってくるはず。彼らの行動に思わず圭子が突っ込んでいる。
「あんたたちバカじゃないの? ステータス画面にアイテムボックスって記載があったでしょう。わざわざ担いでこなくたってアイテムボックスに収納すれば楽に持ち帰れるじゃないの」
「えっ、そうだったのか? 初めて聞いたぞ。どうやって使うんだ?」
「こうするのよ。ちゃんと覚えておきなさい」
圭子がカウンターに置いてあるホーンラビットを使ってアイテムボックスに実際に収納してみせると、勇造は感心した表情を向けている。もちろん取り出し方法もしっかりと実演。何しろこの体育会系脳筋集団は説明を聞いただけでは内容が右から左に抜けていってしまう。実演してしっかりその目に焼き付かせないといけないから余計に手がかって仕方がない。
「これでわかったでしょう」
「ああ、これからの活動が楽になるぜ」
「食料や水もアイテムボックスに収納すれば楽ななるわよ。時間停止型だから生ものを長時間入れっぱなしでも腐ったりしないわ」
「へぇ~、そりゃまたますます助かるじゃないか。ところで圭子たちの獲物はそこに置いてあるやつか?」
「ええ、そうよ。たった今戻ってきたところで、今日はホーンラビット狩りにチャレンジしてきたわ」
「1日でそれだけの数が仕留められるなんてさすがは圭子だな」
「えっ、勇造は何言ってるの? こんな簡単なお仕事に丸1日かけるはずないでしょう。全部まとめてざっと20分で終わったわよ」
「またまた、圭子は冗談が上手くなったなぁ~」
圭子と勇造が喋っている間にラグビー部員がカウンターにイノシシを降ろそうとするが、中年係員に「直接解体場に運べ」と指示されて通路の奥に姿を消していく。彼ら2名の他にも腰にホーンラビットを腰に括り付けているメンバーがいるのでかなりの大漁といえるだろう。
「どうだ俺たちの成果は! 一日でこれだけってのは大したものだろう!!」
勇造が自慢げに胸を張っている。確かに冒険者になったばかりでこの収穫は大したものかもしれない。
「そこそこやるわね。危ない目には遭わなかったの?」
「あのイノシシは結構ヤバかったな。突っ込んでくるスピードが半端なかったが、あの二人がガッチリ受け止めて最後に俺が仕留めたぜ!!」
さすがは体力自慢の体育会系集団。そんな会話をしているうちにタクミの分の清算が終わる。
「はいよ、ホーンラビット18羽で銀貨3枚と大銅貨4枚だ。ああ、そっちのイノシシの兄さんたちも一旦解体場に来てくれ」
ホーンラビットの代金は日本円にして〆て1万円少々。頷きながら金を受け取るタクミをよそに勇造が圭子に話しかける。
「おい、大物って何だよ? なんだか気になるじゃないか」
「見て驚くんじゃないわよ」
そのまま中年係員の案内に従って裏の解体場に入るタクミたち。勇造たちが仕留めたイノシシも片隅に置かれている。
「それじゃあ、ここに出してくれ」
係員の許可が出たのでタクミは収納からワイバ-ンを取り出す。
ドシーーン!
頭から尻尾の先まで15メートルはある灰色の巨体が出現する。しかもほぼ無傷で仕留めている点がより一層係員を驚かせている。そしてこの中年係員に負けず劣らずで驚愕の表情を浮かべているのは勇造たちに他ならない。
「なんだこりゃ! どうやって倒したんだ?」
「よくぞ聞いてくれました! 私ひとりで仕留めたのよ」
ドヤ顔の圭子に対し勇造は何とか声を出せたが、他の男たちは目を丸くして口をポカンと開いたまま呆けている。いきなりBランク以上の冒険者が30人体制でやっと仕留められるワイバーンがこの場に現れたのだから無理もない。
「圭子以外のメンバーは何をしていたんだ?」
「安全な場所に避難していたわ。タクミには援護を頼んだけど」
勇造がチラリとタクミに視線を送ると無言のまま頷いている。どうやら圭子の言葉が本当だと理解したよう。
「圭子、お前っていつからそこまで強くなったんだ?」
勇造は空手部に所属しており、圭子は同じ空手の道を歩む者同士で時々学校の道場で組手をする仲。勇造としては、自らは圭子に比べて技の多彩さでは劣るものの、そのパワーで常に互角の勝負を繰り広げている良きライバルだと認識している。もちろん圭子が学園内で拳神として全力を出しているはずもなく、思いっきり力を隠して勇造の相手をしていただけなのだが…
それでも圭子と互角に立ち合えるという時点で勇造もかなりの化け物だし、他のメンバーも皆似たり寄ったりでかなり優秀なパーティーといえる。
とここで、中年係員がタクミに声を掛けてくる。
「目立った傷もないしこれはかなりの値段がつくぜ。こちらで解体していいのかい?」
「ああ、解体は任せる。ただし飛膜は全部こちらが受け取る。それから後ろ足1本分の肉と革の半分もこちらがもらうぞ」
「そうなると買い取り金額がだいぶ減るけどいいいのかい?」
「せっかく防具用の手頃な素材が手に入ったんだから、パーティーの装備を充実させたい」
「そうか… まあ、そういう考え方もあるよな。お前さんは冒険者としては長生きできる部類の人間だ。そういう先々を見越した読みがこの稼業にはなくてはならないんだ」
「ではよろしく頼む」
「素材の受け取り書類を作るから、もうしばらくしたら買い取りカウンターに顔を出してもらえるか」
「わかった。1時間後でいいか?」
「いいぜ、それまでには準備をしておく」
「そうだった、この場で魔法を使用してもいいか?」
「魔法? 何をするつもりだ?」
「肉や内臓が痛まないように氷温で保存する魔法だ。どうせ解体には2~3日は掛かるんだろう」
「お前さん、そんな便利な魔法が使えるのかい? そりゃあ、いいや! 是非ともやってくれよ」
中年係員の許可を得たので、タクミはアイテムボックスからハンドガンを取り出す。見慣れぬ物体を取り出したタクミに係員が不審な目を向けるが、タクミはまったく頓着することなく術式を構築。
(属性は氷、威力は中、照準はマニュアル)
術式の構築を終えると、躊躇わずに引き金を引く。銃口から飛び出した魔力弾はワイバーンに着弾すると、その体を包み込むように覆い始めて極めて効率よく熱を奪っていく。やがて巨大なその体の表面が薄っすらと霜に覆われていって、これでしばらくの間は氷温保存が可能となる。
「兄さん、こりゃぁ、驚いたぜ。今までこんな魔法は見たことがないぞ」
「そうか? まあ、それほど大した魔法ではない」
「まったく今日は驚かされっ放しの一日だぜ。ああ、それからそっちの兄さん! イノシシの検分がまだ終わっていないから1時間後にこの兄さんと一緒にカウンターに顔を出してくれよな」
「おう、わかったぜ!」
圭子と喋っていた勇造が振り返ってデカい声で返事をしている。これで当面の用件は片付いたのだが、タクミは圭子以外のメンバーの姿がいつの間にか消えていることにようやく気付く。
「圭子、他のメンバーはどこにいったんだ?」
「ああ、みんなは建物に入った途端に飲食コーナーに消えたわ」
「気楽なもんだな。どうせ春名辺りが言い出したに違いない」
タクミもずいぶん女子たちの性格がわかってきたよう。それはそうとしてしばらくの間ギルドで待っていなければならないので、タクミ、圭子、体育会系パーティーのメンバーはゾロゾロと飲食コーナーに向かう。
「よう! 城を出て以来だな」
勇造が声をかけた時、女子たちが座っている席の横で見知らぬ男性冒険者がしつこくナンパをしていたらしく、美咲にアイアンクローを掛けられて悶絶している最中。このままでは男性冒険者の頭蓋骨が粉砕される恐れがあるので、タクミが割って入り美咲を押し留める。ちなみにその冒険者は美咲が手を離した瞬間に泡を吹いてその場に崩れ落ちたのは言うまでもない。
「あれ、勇造君たちじゃないですか。冒険者になったんですね」
「冒険は男のロマンだろう。もうちょっと冒険者生活に慣れたら俺達はここから50キロぐらい北にあるダンジョンを目指すつもりだぜ」
その言葉を聞いた春名の目が怪しく輝いている。彼女の様子に気がついたタクミは心の中で「また余計なことを!」と叫んでいるが、すでに後の祭り。こんな耳よりな情報をを聞きつけた女子たちが「ダンジョンに向かおう」と言い始めるのは目に見えている。
ひとしきり体育会系パーティーと立ち話をすると「俺たちはあっちの席に座るから」と言って彼らは場所を移す。ここですかさず春名が…
「皆さん聞きましたか? ダンジョンがあるそうですよ!!」
待ってましたと言わんばかりの表情で切り出す。
「行くしかないでしょう!」
圭子が賛同する。
「かなり興味を惹かれる」
慎重派の美智香までが賛成に回っている。どうやら本日の訓練によって魔法の目途がついたせいで気が大きくなっているよう。
「まてまて、ダンジョンに行くにしてもすぐは無理だぞ」
敢えてここはタクミが慎重な意見を述べる。でないとこの女子達はどこまでも突っ走っていきそうな予感がしてならない。
「ええー! すぐに行きたいですよ~」
春名が頬を膨らます。天然賢者の割にはヤル気だけはあるからこれはこれで手に負えない。
「ワイバーンの解体に少なくとも2~3日かかるし、雨用のマントとか動きやすい革製の防具を揃える必要があるから、少なくとも3週間は王都に滞在するぞ」
「ええー! そんなに待たないといけないんですか…」(春名)
「確かに装備は整えないとね」(圭子)
「うむ、タクミの意見は一理ある」(美智香)
「お料理の材料もたくさん購入しないといけないですしね」(岬)
「クックック、我はこの地に理想郷を見つけた。誰が何と言おうとこの場から離れるつもりはない」(空)
「空、ダンジョンにもガチムチの冒険者は大勢いるわよ」
「クックック、圭子よ! なぜそれを先に言わぬか。見聞を広める意味でそのダンジョンとやらに顔を出してやらぬでもないぞ」
「あんたって子は、一体どこまでも自分の欲望に忠実なのよ!」
いつものように圭子が空に突っ込む大きな声が飲食コーナーに響くのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「面白かった」
「続きが気になる」
「早く投稿して!」
と感じていただいた方は是非とも【お気に入り登録】や、すぐ下にあるハート型のアイコンの【いいねボタン】などをポチッとしていただくと作者のモチベーションに繋がります。もちろん連打も大歓迎です! 皆様の応援を心よりお待ちしております。
なおこちらの小説と同時に連載しております【異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!】もどうぞよろしくお願いいたします。こちらは現代ファンタジーの作品になりますが、この作品と同等のクオリティーで楽しめる内容となっています。目次のページの左下にジャンプできるアイコンがありますので、お暇な時間にお読みいただけたら幸いです。
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夕方前に王都に戻ってタクミ達は冒険者ギルドにやってくる。
「捕ってきた獲物の買取りはここでいいのか?」
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「ああ、ここだよ。何を捕ってきたんだ」
「依頼のホーンラビットが18羽と、あと馬鹿デカイのをまるごと持って帰ってきた」
タクミがそう答えると中年の係員はやや小馬鹿にした表情を浮かべている。なにしろストレンジャーは冒険者登録してから2日目というパーティーで、この本部のギルドマスターといったごく限られた関係者を除くと見覚えのない新顔という扱いなのは当然。ましてやこの買い取りカウンターに来るのは今日が初めてなので尚更だろう。
「デカイってどのくらいあるんだ?」
タクミが提示したFランクのカードを見ながら係員が聞いてくる。Fラン風情の若造が一体何を討伐したのだろうと不審な目を向けている。
「それなんだが… 15メートルぐらいのワイバーンだ」
「なんだってぇぇぇ! もういっぺん言ってみろ!!」
食いついてくるような勢いで係員が口角から泡を飛ばしている。その目は先程とは打って変わって真剣そのもの。
「だから何度も言わせるなよ。15メートルくらいのワイバーンだよ」
改めて聞いてから係員は呆れたような表情。それと同時にFランクの駆け出しが一体どうやってワイバーンを仕留めたのだろうという疑問が浮かぶ。だが細かい事情を聴き出すのは彼の業務内容ではない。もっと上の人間が担当するので、もしタクミの話が本当だったら報告を上げなければならないと気を引き締めている。
「わかった、とりあえずホーンラビットだけここに出してくれ。そのワイバーンとやらは後回しだ」
タクミに代わって圭子がアイテムボックスに収納していたホーンラビットを次々とカウンターに並べていく。
「確認したらすぐに金と依頼達成のサインをした証明書を渡すからちょっと待っていろ」
そう言われてタクミが近くのベンチに座っていると突然入り口の方向から彼らに向かって声が掛けられる。
「圭子じゃないか! お前たちも冒険者になったのか?」
そちらの方を向くと例の体育会系男子のパーティーが5人で立っている。声をかけてきたのはリーダーの林勇造。
勇造の奥に目を遣ると、ラグビー部の二名が丸太に吊るした100キロ級のイノシシを担いでいる。こんな重たい獲物を丸ごと担いで運ぶという発想そのものがパーティー全体の脳筋度合いを示しているといっていいだろう。普通の冒険者ならばその場で解体して価値の高い部分のみを持ち帰ってくるはず。彼らの行動に思わず圭子が突っ込んでいる。
「あんたたちバカじゃないの? ステータス画面にアイテムボックスって記載があったでしょう。わざわざ担いでこなくたってアイテムボックスに収納すれば楽に持ち帰れるじゃないの」
「えっ、そうだったのか? 初めて聞いたぞ。どうやって使うんだ?」
「こうするのよ。ちゃんと覚えておきなさい」
圭子がカウンターに置いてあるホーンラビットを使ってアイテムボックスに実際に収納してみせると、勇造は感心した表情を向けている。もちろん取り出し方法もしっかりと実演。何しろこの体育会系脳筋集団は説明を聞いただけでは内容が右から左に抜けていってしまう。実演してしっかりその目に焼き付かせないといけないから余計に手がかって仕方がない。
「これでわかったでしょう」
「ああ、これからの活動が楽になるぜ」
「食料や水もアイテムボックスに収納すれば楽ななるわよ。時間停止型だから生ものを長時間入れっぱなしでも腐ったりしないわ」
「へぇ~、そりゃまたますます助かるじゃないか。ところで圭子たちの獲物はそこに置いてあるやつか?」
「ええ、そうよ。たった今戻ってきたところで、今日はホーンラビット狩りにチャレンジしてきたわ」
「1日でそれだけの数が仕留められるなんてさすがは圭子だな」
「えっ、勇造は何言ってるの? こんな簡単なお仕事に丸1日かけるはずないでしょう。全部まとめてざっと20分で終わったわよ」
「またまた、圭子は冗談が上手くなったなぁ~」
圭子と勇造が喋っている間にラグビー部員がカウンターにイノシシを降ろそうとするが、中年係員に「直接解体場に運べ」と指示されて通路の奥に姿を消していく。彼ら2名の他にも腰にホーンラビットを腰に括り付けているメンバーがいるのでかなりの大漁といえるだろう。
「どうだ俺たちの成果は! 一日でこれだけってのは大したものだろう!!」
勇造が自慢げに胸を張っている。確かに冒険者になったばかりでこの収穫は大したものかもしれない。
「そこそこやるわね。危ない目には遭わなかったの?」
「あのイノシシは結構ヤバかったな。突っ込んでくるスピードが半端なかったが、あの二人がガッチリ受け止めて最後に俺が仕留めたぜ!!」
さすがは体力自慢の体育会系集団。そんな会話をしているうちにタクミの分の清算が終わる。
「はいよ、ホーンラビット18羽で銀貨3枚と大銅貨4枚だ。ああ、そっちのイノシシの兄さんたちも一旦解体場に来てくれ」
ホーンラビットの代金は日本円にして〆て1万円少々。頷きながら金を受け取るタクミをよそに勇造が圭子に話しかける。
「おい、大物って何だよ? なんだか気になるじゃないか」
「見て驚くんじゃないわよ」
そのまま中年係員の案内に従って裏の解体場に入るタクミたち。勇造たちが仕留めたイノシシも片隅に置かれている。
「それじゃあ、ここに出してくれ」
係員の許可が出たのでタクミは収納からワイバ-ンを取り出す。
ドシーーン!
頭から尻尾の先まで15メートルはある灰色の巨体が出現する。しかもほぼ無傷で仕留めている点がより一層係員を驚かせている。そしてこの中年係員に負けず劣らずで驚愕の表情を浮かべているのは勇造たちに他ならない。
「なんだこりゃ! どうやって倒したんだ?」
「よくぞ聞いてくれました! 私ひとりで仕留めたのよ」
ドヤ顔の圭子に対し勇造は何とか声を出せたが、他の男たちは目を丸くして口をポカンと開いたまま呆けている。いきなりBランク以上の冒険者が30人体制でやっと仕留められるワイバーンがこの場に現れたのだから無理もない。
「圭子以外のメンバーは何をしていたんだ?」
「安全な場所に避難していたわ。タクミには援護を頼んだけど」
勇造がチラリとタクミに視線を送ると無言のまま頷いている。どうやら圭子の言葉が本当だと理解したよう。
「圭子、お前っていつからそこまで強くなったんだ?」
勇造は空手部に所属しており、圭子は同じ空手の道を歩む者同士で時々学校の道場で組手をする仲。勇造としては、自らは圭子に比べて技の多彩さでは劣るものの、そのパワーで常に互角の勝負を繰り広げている良きライバルだと認識している。もちろん圭子が学園内で拳神として全力を出しているはずもなく、思いっきり力を隠して勇造の相手をしていただけなのだが…
それでも圭子と互角に立ち合えるという時点で勇造もかなりの化け物だし、他のメンバーも皆似たり寄ったりでかなり優秀なパーティーといえる。
とここで、中年係員がタクミに声を掛けてくる。
「目立った傷もないしこれはかなりの値段がつくぜ。こちらで解体していいのかい?」
「ああ、解体は任せる。ただし飛膜は全部こちらが受け取る。それから後ろ足1本分の肉と革の半分もこちらがもらうぞ」
「そうなると買い取り金額がだいぶ減るけどいいいのかい?」
「せっかく防具用の手頃な素材が手に入ったんだから、パーティーの装備を充実させたい」
「そうか… まあ、そういう考え方もあるよな。お前さんは冒険者としては長生きできる部類の人間だ。そういう先々を見越した読みがこの稼業にはなくてはならないんだ」
「ではよろしく頼む」
「素材の受け取り書類を作るから、もうしばらくしたら買い取りカウンターに顔を出してもらえるか」
「わかった。1時間後でいいか?」
「いいぜ、それまでには準備をしておく」
「そうだった、この場で魔法を使用してもいいか?」
「魔法? 何をするつもりだ?」
「肉や内臓が痛まないように氷温で保存する魔法だ。どうせ解体には2~3日は掛かるんだろう」
「お前さん、そんな便利な魔法が使えるのかい? そりゃあ、いいや! 是非ともやってくれよ」
中年係員の許可を得たので、タクミはアイテムボックスからハンドガンを取り出す。見慣れぬ物体を取り出したタクミに係員が不審な目を向けるが、タクミはまったく頓着することなく術式を構築。
(属性は氷、威力は中、照準はマニュアル)
術式の構築を終えると、躊躇わずに引き金を引く。銃口から飛び出した魔力弾はワイバーンに着弾すると、その体を包み込むように覆い始めて極めて効率よく熱を奪っていく。やがて巨大なその体の表面が薄っすらと霜に覆われていって、これでしばらくの間は氷温保存が可能となる。
「兄さん、こりゃぁ、驚いたぜ。今までこんな魔法は見たことがないぞ」
「そうか? まあ、それほど大した魔法ではない」
「まったく今日は驚かされっ放しの一日だぜ。ああ、それからそっちの兄さん! イノシシの検分がまだ終わっていないから1時間後にこの兄さんと一緒にカウンターに顔を出してくれよな」
「おう、わかったぜ!」
圭子と喋っていた勇造が振り返ってデカい声で返事をしている。これで当面の用件は片付いたのだが、タクミは圭子以外のメンバーの姿がいつの間にか消えていることにようやく気付く。
「圭子、他のメンバーはどこにいったんだ?」
「ああ、みんなは建物に入った途端に飲食コーナーに消えたわ」
「気楽なもんだな。どうせ春名辺りが言い出したに違いない」
タクミもずいぶん女子たちの性格がわかってきたよう。それはそうとしてしばらくの間ギルドで待っていなければならないので、タクミ、圭子、体育会系パーティーのメンバーはゾロゾロと飲食コーナーに向かう。
「よう! 城を出て以来だな」
勇造が声をかけた時、女子たちが座っている席の横で見知らぬ男性冒険者がしつこくナンパをしていたらしく、美咲にアイアンクローを掛けられて悶絶している最中。このままでは男性冒険者の頭蓋骨が粉砕される恐れがあるので、タクミが割って入り美咲を押し留める。ちなみにその冒険者は美咲が手を離した瞬間に泡を吹いてその場に崩れ落ちたのは言うまでもない。
「あれ、勇造君たちじゃないですか。冒険者になったんですね」
「冒険は男のロマンだろう。もうちょっと冒険者生活に慣れたら俺達はここから50キロぐらい北にあるダンジョンを目指すつもりだぜ」
その言葉を聞いた春名の目が怪しく輝いている。彼女の様子に気がついたタクミは心の中で「また余計なことを!」と叫んでいるが、すでに後の祭り。こんな耳よりな情報をを聞きつけた女子たちが「ダンジョンに向かおう」と言い始めるのは目に見えている。
ひとしきり体育会系パーティーと立ち話をすると「俺たちはあっちの席に座るから」と言って彼らは場所を移す。ここですかさず春名が…
「皆さん聞きましたか? ダンジョンがあるそうですよ!!」
待ってましたと言わんばかりの表情で切り出す。
「行くしかないでしょう!」
圭子が賛同する。
「かなり興味を惹かれる」
慎重派の美智香までが賛成に回っている。どうやら本日の訓練によって魔法の目途がついたせいで気が大きくなっているよう。
「まてまて、ダンジョンに行くにしてもすぐは無理だぞ」
敢えてここはタクミが慎重な意見を述べる。でないとこの女子達はどこまでも突っ走っていきそうな予感がしてならない。
「ええー! すぐに行きたいですよ~」
春名が頬を膨らます。天然賢者の割にはヤル気だけはあるからこれはこれで手に負えない。
「ワイバーンの解体に少なくとも2~3日かかるし、雨用のマントとか動きやすい革製の防具を揃える必要があるから、少なくとも3週間は王都に滞在するぞ」
「ええー! そんなに待たないといけないんですか…」(春名)
「確かに装備は整えないとね」(圭子)
「うむ、タクミの意見は一理ある」(美智香)
「お料理の材料もたくさん購入しないといけないですしね」(岬)
「クックック、我はこの地に理想郷を見つけた。誰が何と言おうとこの場から離れるつもりはない」(空)
「空、ダンジョンにもガチムチの冒険者は大勢いるわよ」
「クックック、圭子よ! なぜそれを先に言わぬか。見聞を広める意味でそのダンジョンとやらに顔を出してやらぬでもないぞ」
「あんたって子は、一体どこまでも自分の欲望に忠実なのよ!」
いつものように圭子が空に突っ込む大きな声が飲食コーナーに響くのであった。
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俺の能力は、自分を守ってくれる勇者を生み出すもの。
どれだけ無能であっても、俺が勇者に選んだ者は途端に有能な勇者になるのだ。
だがそれを知らない兄は俺をお荷物と追い出した。
ならば俺も兄は不要の存在となるので、勇者の任を解いてしまおう。
かくして勇者では無くなった兄は無能へと逆戻り。
当然のようにパーティは壊滅状態。
戻ってきてほしいだって?馬鹿を言うんじゃない。
俺を追放したことを後悔しても、もう遅いんだよ!
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本作は小説家になろう、カクヨムでも公開しています
他サイトでのタイトルは、『いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!~チート魔法で無双してたら、一大勢力を築き上げてしまったんだが~』となります
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