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第12話 人騒がせな朝
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冒険者ギルドからの帰り道、タクミたちは街中でこれから必要になりそうな物品を購入して回っている。
「冒険者として活動するからには、色々と準備しないといけないからな。特に着替えと汗拭き用の布、それから絶対に忘れてはならないのは水の用意だ」
「ひとまずお城からもらったお金があるし、着替えは各自で選んでよね。水筒やタオルの代わりの布はさっきギルドでもらったお金から出すわ」
ということで全員で古着屋に入って服を選びだす。この世界では衣服というのは大変高価で庶民は古着を購入するのがごく普通の生活習慣となっている。
「魔法使い用のローブばっかり着ているわけにもいかないですし、やっぱり普段着も必要ですよね。ところで空ちゃんはそんな修道服じゃ動きにくくありませんか?」
「クックック、聖女たる者は片時も神への信仰を忘れてはならない。よって我は修道服以外身にまとうつもりはない」
「空ちゃんはすっかりこの世界に染まっちゃってますよ~」
どうやら空は(変態)聖女という立場に馴染み切っているよう。これには脳内お花畑の春名も少々呆れ気味。そんな聖女様に対して圭子から…
「空が信仰する神様ってそもそもが怪しすぎるでしょう。しょっちゅう口にする聖典だってどうせガチホモ本なんだから」
「クックック、我が聖典を信じぬ者には神の怒りの鉄槌が下る。心して待っているがよい」
「はいはい、私には興味のない世界だから、好きなだけ変態の道を究めなさい」
さすがの圭子も空を持て余し気味のよう。ここまでガッツリ厨2病に蝕まれているところにもってきて腐女子という属性が加わると、さすがに手の付けようがないのだろう。
「タレちゃんは服を買わないの?」
「私はお城からメイド服を3着支給してもらいましたので当分は大丈夫です」
ちなみに生徒たち全員は異世界召喚特典でアイテムボックスが付与されている。美咲は城で受け取ったメイド服をしっかり保管しているのだろう。
「タクミは服はいらないの?」
「なにしろ前回の召喚から戻ってきて2週間でこの世界に飛ばされたからな。アイテムボックスを整理する暇もなかったんだ。前の世界の衣服と基本的なデザインは変わらないから、十分この世界で着回せるだろう。それに服にも色々と防御魔法陣を組み込んであるし」
「ふ~ん、そんな便利なモノがあるんだ」
「圭子は異世界にいたのにこんな基本的なことも知らないのか?」
「私は魔法陣なんて面倒なモノをいじくっている暇があったら体を鍛えるっていう方針でずっとやってきたから」
「やっぱり」(美咲)
「いかにも圭子ちゃんらしい発想です」(春名)
「さすがは何も考えない脳筋女子」(美智香)
「クックック、女子の筋肉にはさしたる興味はない」(空)
とまあこんな具合に女子たちから総ツッコミを食らう圭子。ここでタクミがふと何かに気付いたように春名のほうを向く。
「賢者っていうのはひょっとして物品に魔法属性を付与できたりするんじゃないのか?」
「ええええ! そんなことが出来るんですか。これはいっぱい勉強する必要がありそうです」
「春名は努力するのが一番苦手だから、私がお尻を引っ叩いてでも属性付与を覚えさせる」
「ヒィィィ! 美智香ちゃん、乱暴はヤメてください! 私は痛いのが一番嫌いなんですぅぅ!」
勉学に関して美智香は鬼のように厳しいのは春名は百も承知。というのも先日の中間テストで思いっ切り怠けていた彼女になんとか合格点を取らせたのは美智香の手柄に他ならない。ちなみにそんな鬼教官の美智香でも圭子の学力に関してはとうに匙を投げている。
ひと通り服の購入が終わると、今度は雑貨屋を巡って食器やコップを購入していく。もちろんナイフやフォークなどもまとめてお買い上げしていく。店内に目ぼしい品がないか回っていると、ふと美咲が足を止める。彼女の前には木製の中々造りの良さそうなテーブルが置いてある。
「皆さん、野外でのお食事の時にこのテーブルはとっても便利そうです」
「そうね、これなら8人か、詰めれば10人は座れそうね」
「ちょっと値が張るけど椅子とセットで買っておいて損はなさそう」
美咲の提案に圭子と美智香が乗っかったのでこれも無事に購入の運びとなる。
その他にも美咲は洗い桶だの鍋だフライパンだのと調理用品一式も選んでいる。どうやら野外で本格的な調理を始めるつもりらしい。
「あとはこの魔道式のコンロですね」
実は魔石を利用した調理用のコンロは最近この国でも普及が始まったばかりという品。お値段は金貨15枚という結構な金額。
「まあいいんじゃないか。野外でも温かい食事が取れればそれだけリラックスした気分になれる」
というタクミのひと言で購入が決まる。つい先程ギルドでもらった報奨金を使い果たす形となったが、これらもいわば先行投資だと考えると仕方がない。
その後は市場を回って塩漬けの肉や生鮮野菜、ハーブ、岩塩等々食材などを大量に買い込んでから宿屋に戻ってくる。
「いやいや、ずいぶん大量に買い込んだねぇ~」(圭子)
「でもアイテムボックスに収納すれば持ち運びの手間がいらないから楽」(美智香)
「これだけあれば1週間くらいは街の外でキャンプが出来そうですよ~」(春名)
「私は料理と洗濯の担当で頑張ります」(美咲)
女子たちが買い物の感想を口々に述べている頃、空は自分のベッドに寝転がって愛読書を読み耽って妄想の世界にトリップしている。
夕暮れが迫る頃には夕食の時間となって、ストレンジャー一行は1階の食堂へ降りていく。
「さすがにお城の料理と比べると見劣り感が半端ないわね」
「これがこの世界の庶民の食事なんですね。なんだか世知辛くなってきます」
圭子と春名が少々ガッカリした表情でテーブルに着く。用意されているメニューは野菜のスープと堅焼きの黒パン、それから得体の知れない肉の煮込み料理となっている。
「このお肉は何でしょうか?」
「ハルハル、たぶんオークの肉よ」
この世界の事情に疎い春名の問い掛けに圭子が答えている。
「オーク? なんですかそれは?」
「ぶっちゃけて言えばイノシシを擬人化した魔物ね。こういう世界では割とポピュラーな食材よ」
「ええええ! 魔物の肉なんか本当に食べられるんですか?」
「普通の豚肉と変わらないわよ。騙されたと思って食べてみなさい」
城で出された食事、ことに肉料理に関してはニワトリや羊肉が用いられていたので春名たちもさほど抵抗なく口にしていた。ところが魔物の肉と聞いて急に及び腰になって恐々煮込み料理を口にする。その結果…
「あれっ、意外とイケますねぇ~。ただの豚肉というか、時間をかけてじっくり煮込んであるから口の中でフワッとほぐれるような味わいです」
春名の感想を聞いて美智香、美咲、空の3人も慎重な面持ちでスプーンを口に運ぶ。そしてその口から飛び出した感想は揃って春名と同様のモノ。
「異世界の食事もバカにしたものじゃないでしょう。慣れれば何でも食べられるようになるわよ」
「圭子ちゃん、ちなみにですけどオークの他にどんな食材があるんですか?」
「そうねぇ~… 大ナマズなんて蒲焼にするとウナギとそっくりの味だし、グリーンフロッグは上品な鶏のササミって感じかな」
「そうなんですか。異世界のお料理っていうのも奥が深いんですね」
「要は料理人の腕次第というわけよ。その点私はタレちゃんに期待しているわ」
「はい、頑張ります」
こんな感じで異世界の食材事情に関する談議が交わされる。全員なんやかんや言いながら提供された食事をペロリと食べ終えると、次はお風呂タイム。女子たちは宿の選定をする際に風呂付きであること、この一点に関しては絶対に譲らなかった。
「それじゃあタクミ、先にひとっ風呂浴びてくるわよ。覗きに来たらブッ飛ばすからね!」
「誰も覗いたりしないから安心しろ」
軽口を叩く圭子を先頭にして女子たちが部屋を出ていくと、タクミにとっては久方ぶりのひとりの時間が訪れる。
「アイテムボックスの確認でもするか」
そう呟いてベッドに腰を下ろして収蔵品のリストを開くタクミであった。
◇◇◇◇◇
しばらくして部屋の外から女子たちの賑やかな声がこちらに近づいてくる。
「いや~、タレちゃんは服の上からでもスゴイと思っていたけど、実際に本物を見ちゃうと完敗を認めざるを得ないわ」
「圭子ちゃんは胸まで筋肉なんですから、最初から勝負の土俵には立っていませんよ」
「なにを~! そういう春名だって全然大したことないじゃないのよ!」
「そんなことありません! 私はこれから成長期を迎えるんです」
「くだらないことでケンカはしない!」
「なによ、美智香だってタレちゃんを見て悔しそうな顔していたじゃないの!」
「私まで下々の争いに巻き込むな」
「まあいいわ。どっちみち一番下には空がいるんだし」
「クックック、圭子よ。神の使徒たる我に対して何たる不遜な言葉。そなたにはベッドの角に足の小指をぶつける呪いをかけてくれるわ」
このような賑やかなテンションで部屋に入ってくる女子たち。先頭の圭子がタクミに向かって…
「お待たせ、タクミも風呂に行ってきなよ」
その瞬間…
ガコン!
「痛たぁぁぁぁぁ!」
「クックック、聖女の力を思い知ったか」
圭子がベッドの角に足の小指をぶつけて床を転がり回っている。偶然なのか、はたまた呪いの産物なのかは定かではない。
そんなこんなですっかり夜も更けて、タクミたちが城の外で迎える初めての夜も就寝の時間となる。
「それじゃあランプを消すよ」
「「「「おやすみなさ~い」」」」」
この日はギルドの手続きと買い物がメインだったので、全員それほど疲れてはいない。とはいうもののこのところ快食快眠の生活を送っていることもあって、明かりを消すとあっという間に睡魔が襲ってくる。
その日の夜中…
美咲はふと目を覚ます。なんだか喉の渇きを覚えたので、テーブルの上に水差しがあったのを思い出す。
「ライト」
メイドの固有スキルである生活魔法で指先に小さな明かりを灯してやや覚束ない足取りでテーブルに向かう。ちなみに生活魔法というのは明かりの他に桶に水を張って水流を起こして洗濯したり、緩やかな風を起こしてホコリを窓の外に飛ばしたりと、結構便利に使える。
コップの水を飲み干した美咲は再び覚束ない足取りでベッドに戻る。実は彼女はやや低血圧気味で、目が覚めてしばらくの間ボーっとするケースが多い。そのまま崩れるように自分のベッドにダイブしていく。そう、本人は自分のベッドに戻ったつもりだった。だがそこは美咲のベッドのひとつ奥、つまりタクミが寝ているベッド。だがボーっとしたままの美咲は何も考えずにそのままタクミの横でスヤスヤ寝息を立て始めるのだった。
◇◇◇◇◇
圭子の朝は早い。誰よりも早く起き出して外で体を動かすのが長年身に染みついた日課となっている。この日もムクッと起き上がると軽く頭を振ってシャッキリと目を覚ます。
「ああ、そうだった。みんなと一緒に宿屋に泊まったんだったわね」
しばらく騎士団の宿舎の個室で寝ていたのが、昨日からガラリと環境が変化しているのを寝起きの頭が辛うじて覚えているよう。
「さてと」
掛け声とともに立ち上がって部屋を見渡すと、一番奥のベッドが何やら様子がおかしい。布団をかけて寝ているのは他のベッドと一緒なのだが、その布団のふくらみが異常に大きいように映る。しかも枕の上には顔がふたつ乗っかっている。
「これは朝から面白いものを発見!」
圭子は音を立てないように小声で春名、美智香、空を起こしにかかる。
「う~ん、圭子ちゃん、朝っぱらからどうしたんですか~?」
「しーっ、声を出さないようにしてゆっくり起きてよ」
渋々春名が起き出すと、圭子は部屋の一番奥を指さす。
「ありゃりゃ、初日からタレちゃんは大胆ですね~」
その頃には美智香と空も圭子によって起こされて、眠い目を擦りながら一番奥のベッドを見つめている。
「タクミのヤツめ、ついに本性を現したか」
「クックック、我は聖典に帰依する身ではあるが、時には嗜好を変えてノンケを愛でるのもいいモノ」
いつの間にか圭子と春名はテーブルに着いて、美智香と空はベッドで身を起こしながらニマニマした目で一番奥のベッドを見遣っている。
しばらくすると朝の光に次第に目が覚めたのか美咲がモゾモゾ動き出して半分しか開かない目で周囲を見渡す。するとこちらをニマニマ見ている女子4人の姿が。
一体どうしたんだろうと反対側に目を遣ると、そこにはまだ寝ているタクミの姿。その瞬間、美咲の全身が硬直する。
そしてタイミングの悪いことに自分が寝ている隣でモゾモゾ動き出した美咲のせいでタクミも目を覚ます。
「あれっ、なんで俺のベッドに美咲が寝ているんだ?」
その瞬間、低い数値だった美咲の血圧が正常値をすっ飛ばして臨界点まで急上昇。その顔は恥ずかしさのあまり真っ赤になって、頭の中はすっかりパニック状態。
「イヤァァァァァァァァァ!」
宿屋中に響き渡る悲鳴を上げたかと思ったら、あろうことか寝起きのタクミを両手で思いっ切り突き飛ばす。火事場の馬鹿力なのか、タクミの体はフワッと浮き上がって頭から壁に突っ込んでいく。そのままタクミは意識を失って力なくベッドに横たわる。
初めて異世界の召喚されて以来、これほど鮮やかにタクミが意識を刈り取られたケースはなかった。今ではレベル4000オーバーでその防御力の高さゆえに、仮に寝ていたとしてもこれほどのダメージを食らうなど到底考えられない事態。
いくらパニック状態だったとはいえタクミを失神KOに追い込んだ美咲はどうやら只者ではなさそう。そんな驚くべき事件が起こった朝の一幕であった。
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「続きが気になる」
「早く投稿して!」
と感じていただいた方は是非とも【お気に入り登録】や【いいねボタン】などをポチッとしていただくと作者のモチベーションに繋がります! 皆様の応援を心よりお待ちしております。
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「ひとまずお城からもらったお金があるし、着替えは各自で選んでよね。水筒やタオルの代わりの布はさっきギルドでもらったお金から出すわ」
ということで全員で古着屋に入って服を選びだす。この世界では衣服というのは大変高価で庶民は古着を購入するのがごく普通の生活習慣となっている。
「魔法使い用のローブばっかり着ているわけにもいかないですし、やっぱり普段着も必要ですよね。ところで空ちゃんはそんな修道服じゃ動きにくくありませんか?」
「クックック、聖女たる者は片時も神への信仰を忘れてはならない。よって我は修道服以外身にまとうつもりはない」
「空ちゃんはすっかりこの世界に染まっちゃってますよ~」
どうやら空は(変態)聖女という立場に馴染み切っているよう。これには脳内お花畑の春名も少々呆れ気味。そんな聖女様に対して圭子から…
「空が信仰する神様ってそもそもが怪しすぎるでしょう。しょっちゅう口にする聖典だってどうせガチホモ本なんだから」
「クックック、我が聖典を信じぬ者には神の怒りの鉄槌が下る。心して待っているがよい」
「はいはい、私には興味のない世界だから、好きなだけ変態の道を究めなさい」
さすがの圭子も空を持て余し気味のよう。ここまでガッツリ厨2病に蝕まれているところにもってきて腐女子という属性が加わると、さすがに手の付けようがないのだろう。
「タレちゃんは服を買わないの?」
「私はお城からメイド服を3着支給してもらいましたので当分は大丈夫です」
ちなみに生徒たち全員は異世界召喚特典でアイテムボックスが付与されている。美咲は城で受け取ったメイド服をしっかり保管しているのだろう。
「タクミは服はいらないの?」
「なにしろ前回の召喚から戻ってきて2週間でこの世界に飛ばされたからな。アイテムボックスを整理する暇もなかったんだ。前の世界の衣服と基本的なデザインは変わらないから、十分この世界で着回せるだろう。それに服にも色々と防御魔法陣を組み込んであるし」
「ふ~ん、そんな便利なモノがあるんだ」
「圭子は異世界にいたのにこんな基本的なことも知らないのか?」
「私は魔法陣なんて面倒なモノをいじくっている暇があったら体を鍛えるっていう方針でずっとやってきたから」
「やっぱり」(美咲)
「いかにも圭子ちゃんらしい発想です」(春名)
「さすがは何も考えない脳筋女子」(美智香)
「クックック、女子の筋肉にはさしたる興味はない」(空)
とまあこんな具合に女子たちから総ツッコミを食らう圭子。ここでタクミがふと何かに気付いたように春名のほうを向く。
「賢者っていうのはひょっとして物品に魔法属性を付与できたりするんじゃないのか?」
「ええええ! そんなことが出来るんですか。これはいっぱい勉強する必要がありそうです」
「春名は努力するのが一番苦手だから、私がお尻を引っ叩いてでも属性付与を覚えさせる」
「ヒィィィ! 美智香ちゃん、乱暴はヤメてください! 私は痛いのが一番嫌いなんですぅぅ!」
勉学に関して美智香は鬼のように厳しいのは春名は百も承知。というのも先日の中間テストで思いっ切り怠けていた彼女になんとか合格点を取らせたのは美智香の手柄に他ならない。ちなみにそんな鬼教官の美智香でも圭子の学力に関してはとうに匙を投げている。
ひと通り服の購入が終わると、今度は雑貨屋を巡って食器やコップを購入していく。もちろんナイフやフォークなどもまとめてお買い上げしていく。店内に目ぼしい品がないか回っていると、ふと美咲が足を止める。彼女の前には木製の中々造りの良さそうなテーブルが置いてある。
「皆さん、野外でのお食事の時にこのテーブルはとっても便利そうです」
「そうね、これなら8人か、詰めれば10人は座れそうね」
「ちょっと値が張るけど椅子とセットで買っておいて損はなさそう」
美咲の提案に圭子と美智香が乗っかったのでこれも無事に購入の運びとなる。
その他にも美咲は洗い桶だの鍋だフライパンだのと調理用品一式も選んでいる。どうやら野外で本格的な調理を始めるつもりらしい。
「あとはこの魔道式のコンロですね」
実は魔石を利用した調理用のコンロは最近この国でも普及が始まったばかりという品。お値段は金貨15枚という結構な金額。
「まあいいんじゃないか。野外でも温かい食事が取れればそれだけリラックスした気分になれる」
というタクミのひと言で購入が決まる。つい先程ギルドでもらった報奨金を使い果たす形となったが、これらもいわば先行投資だと考えると仕方がない。
その後は市場を回って塩漬けの肉や生鮮野菜、ハーブ、岩塩等々食材などを大量に買い込んでから宿屋に戻ってくる。
「いやいや、ずいぶん大量に買い込んだねぇ~」(圭子)
「でもアイテムボックスに収納すれば持ち運びの手間がいらないから楽」(美智香)
「これだけあれば1週間くらいは街の外でキャンプが出来そうですよ~」(春名)
「私は料理と洗濯の担当で頑張ります」(美咲)
女子たちが買い物の感想を口々に述べている頃、空は自分のベッドに寝転がって愛読書を読み耽って妄想の世界にトリップしている。
夕暮れが迫る頃には夕食の時間となって、ストレンジャー一行は1階の食堂へ降りていく。
「さすがにお城の料理と比べると見劣り感が半端ないわね」
「これがこの世界の庶民の食事なんですね。なんだか世知辛くなってきます」
圭子と春名が少々ガッカリした表情でテーブルに着く。用意されているメニューは野菜のスープと堅焼きの黒パン、それから得体の知れない肉の煮込み料理となっている。
「このお肉は何でしょうか?」
「ハルハル、たぶんオークの肉よ」
この世界の事情に疎い春名の問い掛けに圭子が答えている。
「オーク? なんですかそれは?」
「ぶっちゃけて言えばイノシシを擬人化した魔物ね。こういう世界では割とポピュラーな食材よ」
「ええええ! 魔物の肉なんか本当に食べられるんですか?」
「普通の豚肉と変わらないわよ。騙されたと思って食べてみなさい」
城で出された食事、ことに肉料理に関してはニワトリや羊肉が用いられていたので春名たちもさほど抵抗なく口にしていた。ところが魔物の肉と聞いて急に及び腰になって恐々煮込み料理を口にする。その結果…
「あれっ、意外とイケますねぇ~。ただの豚肉というか、時間をかけてじっくり煮込んであるから口の中でフワッとほぐれるような味わいです」
春名の感想を聞いて美智香、美咲、空の3人も慎重な面持ちでスプーンを口に運ぶ。そしてその口から飛び出した感想は揃って春名と同様のモノ。
「異世界の食事もバカにしたものじゃないでしょう。慣れれば何でも食べられるようになるわよ」
「圭子ちゃん、ちなみにですけどオークの他にどんな食材があるんですか?」
「そうねぇ~… 大ナマズなんて蒲焼にするとウナギとそっくりの味だし、グリーンフロッグは上品な鶏のササミって感じかな」
「そうなんですか。異世界のお料理っていうのも奥が深いんですね」
「要は料理人の腕次第というわけよ。その点私はタレちゃんに期待しているわ」
「はい、頑張ります」
こんな感じで異世界の食材事情に関する談議が交わされる。全員なんやかんや言いながら提供された食事をペロリと食べ終えると、次はお風呂タイム。女子たちは宿の選定をする際に風呂付きであること、この一点に関しては絶対に譲らなかった。
「それじゃあタクミ、先にひとっ風呂浴びてくるわよ。覗きに来たらブッ飛ばすからね!」
「誰も覗いたりしないから安心しろ」
軽口を叩く圭子を先頭にして女子たちが部屋を出ていくと、タクミにとっては久方ぶりのひとりの時間が訪れる。
「アイテムボックスの確認でもするか」
そう呟いてベッドに腰を下ろして収蔵品のリストを開くタクミであった。
◇◇◇◇◇
しばらくして部屋の外から女子たちの賑やかな声がこちらに近づいてくる。
「いや~、タレちゃんは服の上からでもスゴイと思っていたけど、実際に本物を見ちゃうと完敗を認めざるを得ないわ」
「圭子ちゃんは胸まで筋肉なんですから、最初から勝負の土俵には立っていませんよ」
「なにを~! そういう春名だって全然大したことないじゃないのよ!」
「そんなことありません! 私はこれから成長期を迎えるんです」
「くだらないことでケンカはしない!」
「なによ、美智香だってタレちゃんを見て悔しそうな顔していたじゃないの!」
「私まで下々の争いに巻き込むな」
「まあいいわ。どっちみち一番下には空がいるんだし」
「クックック、圭子よ。神の使徒たる我に対して何たる不遜な言葉。そなたにはベッドの角に足の小指をぶつける呪いをかけてくれるわ」
このような賑やかなテンションで部屋に入ってくる女子たち。先頭の圭子がタクミに向かって…
「お待たせ、タクミも風呂に行ってきなよ」
その瞬間…
ガコン!
「痛たぁぁぁぁぁ!」
「クックック、聖女の力を思い知ったか」
圭子がベッドの角に足の小指をぶつけて床を転がり回っている。偶然なのか、はたまた呪いの産物なのかは定かではない。
そんなこんなですっかり夜も更けて、タクミたちが城の外で迎える初めての夜も就寝の時間となる。
「それじゃあランプを消すよ」
「「「「おやすみなさ~い」」」」」
この日はギルドの手続きと買い物がメインだったので、全員それほど疲れてはいない。とはいうもののこのところ快食快眠の生活を送っていることもあって、明かりを消すとあっという間に睡魔が襲ってくる。
その日の夜中…
美咲はふと目を覚ます。なんだか喉の渇きを覚えたので、テーブルの上に水差しがあったのを思い出す。
「ライト」
メイドの固有スキルである生活魔法で指先に小さな明かりを灯してやや覚束ない足取りでテーブルに向かう。ちなみに生活魔法というのは明かりの他に桶に水を張って水流を起こして洗濯したり、緩やかな風を起こしてホコリを窓の外に飛ばしたりと、結構便利に使える。
コップの水を飲み干した美咲は再び覚束ない足取りでベッドに戻る。実は彼女はやや低血圧気味で、目が覚めてしばらくの間ボーっとするケースが多い。そのまま崩れるように自分のベッドにダイブしていく。そう、本人は自分のベッドに戻ったつもりだった。だがそこは美咲のベッドのひとつ奥、つまりタクミが寝ているベッド。だがボーっとしたままの美咲は何も考えずにそのままタクミの横でスヤスヤ寝息を立て始めるのだった。
◇◇◇◇◇
圭子の朝は早い。誰よりも早く起き出して外で体を動かすのが長年身に染みついた日課となっている。この日もムクッと起き上がると軽く頭を振ってシャッキリと目を覚ます。
「ああ、そうだった。みんなと一緒に宿屋に泊まったんだったわね」
しばらく騎士団の宿舎の個室で寝ていたのが、昨日からガラリと環境が変化しているのを寝起きの頭が辛うじて覚えているよう。
「さてと」
掛け声とともに立ち上がって部屋を見渡すと、一番奥のベッドが何やら様子がおかしい。布団をかけて寝ているのは他のベッドと一緒なのだが、その布団のふくらみが異常に大きいように映る。しかも枕の上には顔がふたつ乗っかっている。
「これは朝から面白いものを発見!」
圭子は音を立てないように小声で春名、美智香、空を起こしにかかる。
「う~ん、圭子ちゃん、朝っぱらからどうしたんですか~?」
「しーっ、声を出さないようにしてゆっくり起きてよ」
渋々春名が起き出すと、圭子は部屋の一番奥を指さす。
「ありゃりゃ、初日からタレちゃんは大胆ですね~」
その頃には美智香と空も圭子によって起こされて、眠い目を擦りながら一番奥のベッドを見つめている。
「タクミのヤツめ、ついに本性を現したか」
「クックック、我は聖典に帰依する身ではあるが、時には嗜好を変えてノンケを愛でるのもいいモノ」
いつの間にか圭子と春名はテーブルに着いて、美智香と空はベッドで身を起こしながらニマニマした目で一番奥のベッドを見遣っている。
しばらくすると朝の光に次第に目が覚めたのか美咲がモゾモゾ動き出して半分しか開かない目で周囲を見渡す。するとこちらをニマニマ見ている女子4人の姿が。
一体どうしたんだろうと反対側に目を遣ると、そこにはまだ寝ているタクミの姿。その瞬間、美咲の全身が硬直する。
そしてタイミングの悪いことに自分が寝ている隣でモゾモゾ動き出した美咲のせいでタクミも目を覚ます。
「あれっ、なんで俺のベッドに美咲が寝ているんだ?」
その瞬間、低い数値だった美咲の血圧が正常値をすっ飛ばして臨界点まで急上昇。その顔は恥ずかしさのあまり真っ赤になって、頭の中はすっかりパニック状態。
「イヤァァァァァァァァァ!」
宿屋中に響き渡る悲鳴を上げたかと思ったら、あろうことか寝起きのタクミを両手で思いっ切り突き飛ばす。火事場の馬鹿力なのか、タクミの体はフワッと浮き上がって頭から壁に突っ込んでいく。そのままタクミは意識を失って力なくベッドに横たわる。
初めて異世界の召喚されて以来、これほど鮮やかにタクミが意識を刈り取られたケースはなかった。今ではレベル4000オーバーでその防御力の高さゆえに、仮に寝ていたとしてもこれほどのダメージを食らうなど到底考えられない事態。
いくらパニック状態だったとはいえタクミを失神KOに追い込んだ美咲はどうやら只者ではなさそう。そんな驚くべき事件が起こった朝の一幕であった。
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召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
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戻ってきてほしいだって?馬鹿を言うんじゃない。
俺を追放したことを後悔しても、もう遅いんだよ!
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本作は小説家になろう、カクヨムでも公開しています
他サイトでのタイトルは、『いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!~チート魔法で無双してたら、一大勢力を築き上げてしまったんだが~』となります
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