クラスごと異世界に召喚されたんだけど別ルートで転移した俺は気の合う女子たちととある目的のために冒険者生活 勇者が困っていようが助けてやらない

枕崎 削節

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第3話 圭子の秘密

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 今日のところはゆっくり休んでほしいということで、食事を摂ってから各自が与えられた部屋で休息をとる。広い王宮の敷地にある騎士たちが寝泊まりする建物の一角が当面の彼らの居住区となる。特段やることもなくこの日は全員が大人しく眠りについていく。


 そして翌朝、朝食の時間に全員が集まる。

 大きな広間にパーティーごとに席について各自が食事をしながら談笑している。どうやらクラスメートたちも一晩この世界で過ごしたことで多少の余裕が出てきたよう。厨二病患者の意見に引っ張られてほとんどの生徒がここにいる間は戦うことに決めているように見受けられる。もちろん中には周囲の雰囲気に流されている者もいるのだろうが。

 食時の席上で最も上座に当たる位置に座っているのは本郷比佐斗ほんごうひさとを中心としたパーティーで、どうやら彼が勇者の称号を得たらしい。頭脳明晰で貴公子然としたその風貌も合わさって女子からの人気ナンバーワンの存在。その分モテない男子からのヘイトを相当集めている。

 タクミ達のパーティーは、腐女子ながらも聖女がいることを評価されて勇者の次の位置に座らされている。込み入った事情を知らされていないというのは恐ろしい。空の実態を知る機会があったら王宮の人々は目をひん剥いて驚くだろう。BL好きの聖女なんて、同じパーティーメンバーでさえも説明のしようがない。

 ちなみにこの朝食の席上でタクミは教室でやりそびれた編入の挨拶を済ませている。もちろん他の生徒は今さらクラスに誰が転校してこようが知ったこっちゃないという冷ややかな態度で彼の挨拶を聞くにとどまっている。

 その他でいえば体育会系の部活動で鍛えている連中が集まったパーティーや、ちょっと素行の悪い連中が集まったパーティーなど結構特色がある。唯一この体育会系のパーティーはタクミに好意的で、わざわざ席を立って自己紹介にやってきてくれている。

 そんなこんなで朝食を終えると、騎士団の中から生徒たちの教育係に任命された一団がやってくる。

「本日から早速各自の能力に合わせた訓練を行ってまいります。この後着替えてから練兵場に集まってください」

 このような説明があったので今は大人しく従うしかない。いったん解散して各自が部屋へ着替えに戻る。

 廊下を移動するときに勇者パーティーの中の一員のやなぎ風子ふうこが空と話しをしている場面に出くわす。何気なくそちらの方にタクミが注意を向けると、彼女が聖女であることに目をつけた勇者が引き抜きを図っているよう。タクミとしてはこのような腐れ女子はよそのパーティーにくれてやっても構わないのだが、他の3人がそんなことは許さないだろう。

 気が弱い空ひとりでは押し切られる可能性があるのでタクミは近くにいる圭子にそっと耳打ち。予想通りに圭子は空の所にすっ飛んで行って腕を引っ張り連れ戻している。こういう行動が早いところは頼もしい限り。

 ただし、これでタクミが腐女子の妄想の種になる確率が急上昇した感は否めない。

 しばらくしてほとんどの生徒がジャージに着替えて練兵場に集合する。ここには各種の武器が取り揃えてあって、自分の技能や職業に合わせて好きな物を選ぶようになっている。

 勇者の比佐斗だけはこの国に伝わる伝説の剣と鎧に身を固めているが、不慣れなためまだ動きがぎこちない。

 各パーティーが思い思いの武器や魔道具を手にしているのに対して、タクミ達は誰ひとりそこに並べてある武器やアイテムを取りにいかない。

「お前たち、手にする武器は何もなくていいのか?」

 さすがにタクミがこれでいいのか不安になり彼女たちに声をかける。

「ああ、私は自前のがあるから大丈夫」

 そう言って圭子は背中のリュックから黒い革手袋とレッグガードを取り出して装着する。

「これもあるけど、今はいいわ」

 ブラスナックルを取り出しかけたが訓練では必要ないので仕舞い込む。

「いつもそんな物騒な代物を持ち歩いているのか?」

 さすがにその様子を見ていたタクミが引いている。

「当たり前じゃないの! これは私の体の一部よ!」

 だからブラスナックルだのレガースだのを体の一部と主張する人間がなぜ魔法少女になれると一瞬でも信じていたのかタクミからすると不思議でしょうがない。タクミが首を捻っていると横から声が…

「私には補助魔法具など必要ない」

 美智香が自信タップリに言い切っている。彼女は頭脳明晰で一部の生徒からは「クールビューティー」と称されている。彼女の魔法能力に関しては未知数ではあるが、本人が「必要ない」と主張するからにはそうなのだろう。

「クックック、我には相応しき書物さえあれば時間を潰すには事欠かぬ」

 この厨2病腐女子はどこまで腐りきっているのだろうか? 相応しき書物などと言ってはいるが、どうせBL本だろう。もしくはガチホモのマニア本か。 

「あの~… 賢者の卵って一体何をすればいいんでしょうか?」

 春名の言葉に一同は首を捻る。言われてみればどうすればよいのか思い当たる節が見当たらない。

「取り敢えず美智香と空と3人で連れ立って図書館にでも籠っていたらいいんじゃないの」

「そうだな。この世界で過去に存在した賢者がどんな業績を残したか調べてみるのはアリだと思うぞ」

 圭子に続いてタクミも図書館行きを進めている。


「そうですね、圭子ちゃんとタクミ君の言う通り図書館で調べ物をしてきます」

 このような流れで3人は騎士団の世話係に連れられて王宮内に設けられている図書館に向かう。訓練場に取り残されたのは圭子とタクミだけ。


「ふ~ん、あんたはタクミっていうのね。私は圭子よ。よろしくね」

「ああ、安西タクミだ。こちらこそよろしく」

「そ、その… 昨日はちょっと苛立っていたから虫ケラなんてヒドイことを言って悪かったわ」

「いや、特に気にしてないぞ」

「そう、ならいいんだけど… ところでタクミは武器は要らないの?」

 昨日はかなりヤサグレていたせいもあって暴言をタクミにぶつけていた圭子が、本日はずいぶんとしおらしくなっている。もしかしたら拾い食いでもしたのだろうか? などと言う変な疑念がタクミの脳裏に浮かんでくる。だが彼はそのような考えを億尾にも出さずに…

「特に必要はないかな。俺は戦士だから武器は選ばないし、戦いに必要な物は一通りすでに持っているから大丈夫だ」

 手ぶらで立っているのに必要な物を持っているとは訳が分からないが、そんなことを深く考える圭子ではない。脳筋はややこしい説明要らずで扱いが簡単という見本のよう。思いっ切り体を動かす機会さえあればあとの事はどうでもよいのだろう。

「で、訓練って何からやっていく?」

 圭子の問いにタクミは少し考えてから提案する。

「やっぱり基礎体力だろう」

 こういう事になると脳筋は話が早い。早速準備運動のあとランニングを開始する。

「ほほう、ランニングで私に張り合おうって言うのかな?」

 かなりのハイペースで走っているにもかかわらず圭子はまったく余裕の表情。イタズラっぽい声でタクミを挑発しにかかる。そのうち圭子はタクミに負けたくないのか文字通り飛ぶようなスピードで走り出すが、タクミは何事もないような表情で平然と圭子に合わせて走っている。

「よし、そろそろランニングはこのくらいでいいかな。ところでタクミ、聞きたいことがあるんだけど」

「いきなりどうしたんだ?」

「タクミって異世界に召喚されたのは今回が初めてじゃないでしょう?」

「きゅ、急にどうしたんだよ?」

 予想外の方向からあらぬ質問を投げかけられたタクミはやや動揺しながら返事をしている。

「トボケようとしても無駄よ! 正直に言いなさい。今だってオリンピック選手でも無理なペースで走ってたのよ。その私のペースに平然と付いてくるなんて普通の人間じゃあり得ないわ」

「ということは圭子も過去に召喚された経験があるのか?」

「ええ、1年間ほど地球とは別の世界にいたわ」

「それにしては昨日魔法少女になれなかったってずいぶん荒れていたみたいだけど」

「もう、その件はヤメてよね! 二度目の召喚だったらワンチャン希望が叶うかもっていう淡い期待が打ち砕かれたのよ」

「そうだったのか。まあ基本的なステータスは何回召喚されようが持ち越されるんだから職業が変わらないのは仕方がないだろうな。ちなみに俺はこれが3回目の異世界召喚だ」

「3回目か… なるほど、想像以上に苦労しているのね」

「苦労が多いのはお互い様だろう。ともあれ召喚経験者がいるというのは俺としても心強い」

「私もひと安心よ。ひとりでクラスメート全員の面倒は見切れないだろうし、どうしようかなと思っていたところにタクミが現れたんだからね」

 こうしてお互いに召喚経験者だと知れた分、タクミと圭子の関係はグッと接近する。両者とも信頼できる相手と考えているよう。

 その後は圭子に合わせて空手主体の徒手格闘の組み手をしばらく続けて、頃合いを見計らって休憩時間を取る。粗末なベンチに腰掛けると、タクミのほうから圭子に切り出す。

「なあ、圭子。この状況をどう思う?」

「状況? 私たちが召喚されたこと?」

「いや、そっちの話じゃない。昨日の王女の話では『魔王を倒してほしい』ということだったはずなんだが、騎士団の動きが何だか腑に落ちないんだ」

「何が気になるの?」

「本当に魔王が暗躍しているとしたら、普通ならば非常事態になると思わないか? それにしては騎士団たちの訓練風景がなんとものんびりしているように感じるんだ」

 現在この訓練場の離れた場所では中隊規模の騎士が馬上槍の訓練をしているだけという光景がタクミと圭子の瞳に映っている。タクミが言いたいのは「仮に魔王が出現しているのであれば国家として非常事態にあたるはずだが、どうにも騎士たちにヤル気が感じられない」… だいたいこのような思いであろう。

「そうねぇ~… ひょっとしたら別の場所で訓練をしているとか、実はここから遠く離れた戦場では魔族を相手に必死の防戦をしているなんてケースも考えられなくはないけど、それにしてはタクミの言う通り気合いがゼロに等しいわね」

「圭子は国王とか王宮、または貴族なんて連中を信用できるか?」

「う~ん、時折まともな人間がいるけど、ああいう連中は常に他人を蹴落とそうとしたり利用しようと考えたりであまりいい印象はないわね」

「俺の意見も似たようなものだ。異世界の支配者連中というのはまともな人間が1割、悪事を働いている人間が3割で、残りはそのおこぼれにあずかろうとしているヤツらばかりだ」

「タクミがどんな異世界生活を送ってきたかわかったような気がするわね」

「だから昨日の王女の説明もどうにも胡散臭く感じるんだ」

「それで、タクミはどうするつもり?」

「今夜あたりちょっと王宮に潜り込んで調べてみようと思う」

「いいんじゃない。この件はタクミに丸投げするわ」

「なんだ、手伝ってくれないのか?」

「夜更かしはお肌にとって天敵なのよ。私はなるべく夜は活動しないの」

「ああ、わかったよ。ひとまず今夜は俺ひとりで調べてみる」

「お願いするわね。調査の結果次第で私たちの今後の身の振り方を決めましょう」

「そうだな。圭子にしては至極真っ当な意見だ」

「私のことを何だと思っているのよ! まあいいわ、適当に休憩も取れたし、訓練の続きを始めましょう」

 こうしてタクミと圭子は昼食の時間が来るまで周囲の様子に気を配りながら訓練を続けるのだった。


 
     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

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