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第2話 パーティー結成
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気が付くと学校の教室2つ分くらいの石造りの部屋にタクミのクラスの生徒全員が意識を失って倒れている。神様の元に寄り道したタクミとは違って彼が教室に足を踏み込んだ直後のタイミングで教室にいた生徒全員がこの場所に直接召喚されてのであろう。
現時点で意識を取り戻したのはタクミただひとりで、他のクラスメートはまだ目を覚ましていない。
部屋を一通り見渡してみると、ドレスを着た身分の高そうな女性と神官のような服装をした男が立っている。
「おや、もう目を覚ましましたか。皆さんが気を取り戻すまでもう少しお待ちください」
おそらくはこの世界の言語で喋っているのだろうが、タクミにはその内容が正確に伝わってくる。これは過去2回の異世界召喚でも同様だったが、転移した直後に言語理解スキルが手に入って互いの意思疎通が可能となる仕組みがここでも出来上がっているよう。
そうこうする内に近くに倒れていた十六夜春名が目を覚ます。
「あれ? 私いつの間にか寝ちゃいましたか?? 夕べは遅くまで深夜アニメを見ていたので寝不足だったようですね」
まったく危機感を感じさせない口調で独り言のように呟く春名。だがその表情は隣にいるタクミを視界に捉えて不思議そうに曇る。
「あ、あの… どなたでしょうか?」
「いや、どなたって言われても… 俺は今日からこのクラスに編入してきた安西タクミという者だ。怪しい人間ではないから安心してくれ」
「ああ、確か先生が編入生について何かお話していたような気がします。そうですか、安西タクミ君ですね。私は十六夜春名と申します」
「どうもご丁寧に。それよりも現在の状況を理解しているか?」
「え~と… いつの間にか変な場所に来ていますね」
「よく聞いてくれ。俺を含めてクラスの人間全員が異世界に召喚されたらしい」
「ええぇぇぇぇ!! せっかく新しいクラスにも慣れてお友達もいっぱい出来て、来週は圭子ちゃん達と秋葉に遊びに行く予定だったのに…」
「いや、そこは異世界に召喚されたことを嘆こうな。ひとまず当分の間秋葉原は当分諦めてくれ」
日本とはまるっきり違う世界に来た事実よりも秋葉原に遊びに行けない件のほうがが春名にとってはより重要だったよう。今の言葉でお分かりのように、春名と名乗った女子はかなりの天然キャラのように見受けられる。
そうこうするうちに、クラスメート達がひとりまたひとりと目を覚まし始める。皆が「一体ここはどこだ?」と口々に話しているが、見知った人間が誰もいないタクミはあえて何も言わないようにしている。当然春名にも「まだ何も言うな!」と口止めをするのも忘れない。
そしてようやく全員が目を覚ましたところで、皆の前に立っている女性が厳かな口調で語り掛けてくる。
「勇者とそのお仲間の皆様、此度は私達の召喚にお応え頂きありがとうございました。私はこの国の王女ヒルデクラインと申します」
突然部屋の中響いた声にこの場にいる生徒たちは訳が分からないという表情で抗議を始める。
「一体どういうことだ?」
「早く帰してください!」
一様に不安を口にする生徒たち、その中で一部のアニメや異世界物の小説に嵌っている皆様… いわゆるアニオタやその予備軍達は歓喜の声を挙げている。
ちなみに春名と仲のいい圭子たちのグループもそちらに片足を突っ込んでいる側。彼女達は決して軽症とは呼べない厨二病に犯されており春名も多大な影響を受けている。というか、率先してグループの先頭を突っ走っている。春名を含めて仲がよろしい女子4人のグループで皆それなりに可愛いのに、クラス内の評価は「本当にもったいない!」とか「いいところもあるのにデメリットがあまりに壮大すぎる!」といった残念な子扱いで一致している。
その残念な子グループの一員である桑原圭子が春名の所にやってくる。
「ハルハル、ついに私達にも大チャンスが転がり込んできたよ! これで念願の魔法少女の仲間入りだー!!」
右手を突き上げて、どこかの世紀末覇者が昇天する時のようなポーズを決めている。彼女の性格を最大限に褒めれば「物事にこだわらないサッパリした人物」だが、クラスの過半数の人間は「敵に回すと命の危険が危ぶまれる暴力女」という意見で一致している。そしてこの時点では何も知らないタクミの目からしても圭子の性格はクラスの生徒と同意見。
(お前はどう見ても肉体派で魔法キャラではないだろう! まして魔法少女なんておこがましいにも程がある)
二人のやり取りを隣で聞いていたタクミは心の底から盛大に突っ込んでいるが、もちろん声には出さない。この時点では召喚に巻き込まれた編入生という立場であって圭子のことなど何も知らないのだから。というよりも仮に圭子を敵にしてまともに相手にするのは、過去二度の異世界転移をを乗り越えてきたタクミでも相当の覚悟が必要に思えてくる。
そんな彼女らのたわいもない会話をよそに、この国の王女と名乗った女性は淡々と説明を続けている。ここで王女の言葉を遮るようにしてひとりの女子が声をあげる。
「あの、元の世界に帰ることは出来るのですか?」
クラス委員の北条茜がその責任感から手を挙げて質問をする。いかにも委員長という雰囲気を身にまとう優等生キャラのよう。しかしいつもは背筋をきちんと伸ばしている彼女も、さすがにこの突然の出来事にどう対応してよいのかまったくわからない様子でその口調は自信なさげ。
「残念ながら皆さんをここへ呼ぶ召喚の術式に大量の魔力を消費してしまったので、すぐに元の世界に戻すことは出来ません」
王女は冷たい声でそう告げると、ほとんどの生徒から落胆の声が上がる。女子生徒の中には泣き出す者も現れる始末。それはそうだろう、ついさっきまで平凡な高校生として過ごしていたのが「気がつけば異世界に来ていて戻れない」では、大抵の人間は失望や落胆を抱くはず。
そんな気落ちした態度を露にする生徒たちに向かって努めて抑揚のない口調で王女が話を続ける。
「このような理由で皆さんはしばらくはこの世界で過ごして頂く事になります。そして私を含めたこの国の民としてはぜひとも皆さんの力を借りたいことがあります。それはこの世界の平和を脅かす魔王を倒すことです」
「「魔王キターーー!!」」
タクミの横で圭子と春名が声を揃えて叫んでいる。二人してコブシを突き上げてノリノリの様子。彼女たち以外にも離れた場所から「やったぜ、魔王討伐だ!」という声が聞こえてくる。
(誰かこいつらを止めてくれ!)
心臓が頑丈にできているのか、神経が太いのか、それともどこかのネジがぶっ飛んでいるのかは定かではないが、脳天気な二人のことは放っておくことにしてタクミは王女の話の続きを待つ。
「皆さんには様々な力が授けられています。それらはステータス画面で見られますので『ステータスオープン』と唱えてみてください」
タクミは言われた通りにウィンドウを開いてみると、そこには過去の異世界召喚の折にも見慣れたステータスの数値が並ぶ。
安西タクミ 男 18歳
レベル 4825
職業 すべてを超越する戦士
称号 神殺し
体力 999999
魔力 999999
攻撃力 999999
防御力 999999
敏捷性 999999
運 128
知力 78
所持スキル 記載不可
(相変わらずカンストだらけの馬鹿げた数値だな。それにして運と知力だけが一向に上昇しないのが妙にリアル過ぎるぞ)
タクミがこのような途轍もない数値を持ち合わせているのは、過去二度の異世界召喚によって得た莫大な経験値が持ち越されているおかげ。しかも称号の欄にあるようにタクミは二つの世界において邪神と化した荒ぶる神を散々な苦戦の末に滅ぼしている。それはもう語るのが困難になるほどの苦難の連続で、二度も邪神を倒し切ったという出来事こそが奇跡の連続といって差し支えない。
そうこうしているうちに周囲でステータスを開いた男子生徒達から「俺は剣士で攻撃力60だ!」などといった声が聞こえてきたので、ウィンドウに並んでいる数値を彼らに合わせて100前後に下げておく。
同時に偽装のスキルを用いて職業欄に記載されている〔すべてを超越する戦士〕を〔戦士〕に変更しておく。万が一誰かにステータスを見られてもこれなら特に不信感を与えないはず。戦略兵器と呼ばれてもおかしくない自らの能力をこれで他のクラスメート並みにカムフラージュできる。
一通りの操作を済ませてウインドウから視線を上げると、目の前で圭子が両手を床に付いてうな垂れている。いつも強気な彼女に一体何が起こったのかとタクミは頭に???を浮かべてその様子を見守る。よーく耳を澄ますと「魔法少女の夢が… 私の夢が……」とブツブツ呟く声が聞こえてくる。
「春名、あの姿は何事だ? 何か悪いものでも食べたのか?」
「圭子ちゃんは職業が〔拳闘士〕で魔力がほとんどないんです。どうやらそれでガックリきてしまって…」
(一体どこから突っ込めばいいのだろうか?)
タクミは圭子に掛ける言葉が思い当たらない。レベルが4800オーバーのタクミは対象の体から発散される闘気や魔力を敏感に感じ取れる。それによってある程度相手の能力が把握可能。
さらに春名に詳しい話を突っ込んで聞いてみると、驚くことに圭子の家は空手の道場で、それだけでは飽き足らずにムエタイと柔術までかじっているらしい。根っからの武闘派で脳筋の圭子が魔法少女を夢見る方が世の中の真理に反する行為。おそらくだが全知全能の神様でさえも「ムリ!」と首を横に振るに違いない。これほど無茶な願いが存在するのだという恐ろしい事実をタクミは見せ付けられた思いになっている。
ただここで「魔法少女の願いが叶わなかった」という理由だけでヤサグレ切った圭子に下手に声をかけると象でもぶっ飛ばしそうな拳が飛んできそうなのでタクミはそっと春名のそばに移動する。
「春名はどんな感じなんだ?」
彼女のステータスを覗き込む。
「こんな感じですよ」
そこには職業〔賢者の卵〕の記載とほとんど一桁の数値が並んでいる。どちらかといえば頭脳労働が主になる職業ではあるが、魔力以外の初期数値が軒並みひと桁というのは相当に今後が思い遣られそう。
そのとき突然立ち上がった圭子がガバッと春名を抱きしめる。
「ハルハルは私の嫁だからね! ハルハルのことは私が守るからね!!」
つい癖で絞め技っぽくなっているようで春名が苦しそうにしている。必死でその腕をタップするが、あまりに弱々し過ぎて圭子には届いていないよう。次第に春名の顔色が真っ青を通り越して白くなり始めている。瞳孔が拡大する危険な兆候が現れたのを見て慌ててタクミは圭子を止めにかかる。
「圭子、右腕が頚動脈に入っている。そのままだと春名が落ちるぞ!」
その声に圭子がハッとして力を緩めると同時に、キッとした眼でタクミに向き直る。
「ふん! 春名に付きまとう虫けらの分際で私に意見するとは10年早い!! 春名に手を出したら私がただではすまさないから覚悟しておけ!!!」
高らかに宣言する圭子の威勢はいいが、抱き付かれている春名の方はさぞかしいい迷惑なだろう。
「け、圭子ちゃん、私はついさっきタクミ君に出会ったばっかりで、手を出すも何もないです! それにしてもたった今遠くの方に大きな川が見えたような気がします」
(多摩川の夢でも見たのか?)
三途の川の話は耳にしたことはあるが、まさか春名がそんな瀬戸際まで追い込まれていたことをタクミは知らない。たぶん学校の近くを流れる川のことだろうと思い込んでいる。朦朧とした意識からようやく現実世界に戻ってきた春名が圭子のあまりにも理不尽な所業を訴えるが、タクミは彼女たちのどちらの意見もスルーすることに決めたよう。どちらに味方をしても結局自分が悪者に仕立て上げられる予感がなせる業であり「君子危うきに近寄らず」とは至言だと彼は実感している。
周囲のクラスメートが大騒ぎをする状況などまるっと無視をしてそのような傍から見ればアホらしくなるような遣り取りをしているところに、春名や圭子と仲のいい武藤美智香がやって来る。
「二人ともいい加減馬鹿なことはやめて! 5~6人のパーティーを作らないといけないからね! それより何で見ず知らずの人がここに居るの?」
何も話を聞いていなかった春名と圭子ははその言葉にハッとする。反対に「見ず知らずの人」呼ばわりされたタクミは地味にへこんでいる。やはり自分はこの場では部外者であるという事実を改めて思い知らされてよう。
それよりもこの場に登場した美智香は傍若無人な性格の圭子を止められる極めて稀な人材。その言葉に圭子は春名に抱きついていた手を放してタクミの方向に向き直る。
「しょうがないから、そこの虫ケラ! お前は用心棒と荷物持ち役で入れてやる!!」
(荷物持ちはともかく、お前には用心棒なんか必要ないだろう!)
タクミの心の声は全く聞こえないままに、圭子の横柄な言葉に反応した春名が横から声をあげる。
「圭子ちゃんにしてはナイスデアです! パーティーにひとりくらい男子がいないと何かと物騒ですし、タクミ君をメンバーにするのは私も賛成です。なんだかこんな非常時でもどっしりと落ち着いているし、すごく頼りになると私の勘が告げています」
どちらの意見もスルーしたかったが、タクミの意志はやっぱり無視される方向で話が進んでいく。申し開きの僅かな時間さえも与えられないらしい。圭子の辞書には「虫ケラの意見など無用!」といういかにもジャイアン的な格言が1ページ目に記載されているのだろう。美智香の口の動きを読み取ると「ゴミ屑ごときを仲間にするのは不本意」という言葉を聞き取れないような小さな声で発しているようだが、タクミは精神衛生上の観点から見なかったことにする。
「あとは… 空! どうせ仲間が居ないんでしょう!! こっちに来なさい!!!」
完全な命令口調の圭子の言葉でやってきたのは工藤空。メガネをかけた地味な存在で、クラスで一番ちびっ子の女子。それだけではなくて胸もまっ平らでしょっちゅう小学生に間違われる。そのくせ他の女子3人が秋葉系なのに対して彼女は池袋系というか… 要するに腐女子に該当する。BL本と妄想が大好物の変態で、最近はガチホモのマニア本にまで手を出しているらしい。
空がやってきて5人揃ったところで再びステータスの話に戻る。どうやら圭子は魔力がないのは自分だけではないと信じたいらしい。
「で、ムーちゃんは職業はなに?」
圭子の問いに当然のような答えが返ってくる。
「魔法使いに決まっているでしょう。私は圭子ちゃんみたいな腕力勝負はしない」
「この裏切り者!!」
美智香の首を絞めようとする圭子をタクミが羽交い絞めにして止める。タクミがかなり本気を出さないと彼女を抑え切れないのはどういうことだろうか。
「空ちゃんの職業は何ですか?」
ようやく圭子の憤りが収まってから春名が聞いてみると意外な答えが返ってくる。
「クックック、よくぞ聞いてくれた。我こそはこの世界に偉大な安息をもたらす聖女なり」
「「「ええーーー!!!」」」
彼女の本性を知らないタクミ以外の3人が一斉に驚きの声を挙げる。重篤な厨2病を患っている上に、BL好きな変態聖女様がここに降臨した瞬間だった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「面白かった」
「続きが気になる」
「早く投稿して!」
と感じていただいた方は是非とも【お気に入り登録】や【いいねボタン】などをポチッとしていただくと作者のモチベーションに繋がります! 皆様の応援を心よりお待ちしております。
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部屋を一通り見渡してみると、ドレスを着た身分の高そうな女性と神官のような服装をした男が立っている。
「おや、もう目を覚ましましたか。皆さんが気を取り戻すまでもう少しお待ちください」
おそらくはこの世界の言語で喋っているのだろうが、タクミにはその内容が正確に伝わってくる。これは過去2回の異世界召喚でも同様だったが、転移した直後に言語理解スキルが手に入って互いの意思疎通が可能となる仕組みがここでも出来上がっているよう。
そうこうする内に近くに倒れていた十六夜春名が目を覚ます。
「あれ? 私いつの間にか寝ちゃいましたか?? 夕べは遅くまで深夜アニメを見ていたので寝不足だったようですね」
まったく危機感を感じさせない口調で独り言のように呟く春名。だがその表情は隣にいるタクミを視界に捉えて不思議そうに曇る。
「あ、あの… どなたでしょうか?」
「いや、どなたって言われても… 俺は今日からこのクラスに編入してきた安西タクミという者だ。怪しい人間ではないから安心してくれ」
「ああ、確か先生が編入生について何かお話していたような気がします。そうですか、安西タクミ君ですね。私は十六夜春名と申します」
「どうもご丁寧に。それよりも現在の状況を理解しているか?」
「え~と… いつの間にか変な場所に来ていますね」
「よく聞いてくれ。俺を含めてクラスの人間全員が異世界に召喚されたらしい」
「ええぇぇぇぇ!! せっかく新しいクラスにも慣れてお友達もいっぱい出来て、来週は圭子ちゃん達と秋葉に遊びに行く予定だったのに…」
「いや、そこは異世界に召喚されたことを嘆こうな。ひとまず当分の間秋葉原は当分諦めてくれ」
日本とはまるっきり違う世界に来た事実よりも秋葉原に遊びに行けない件のほうがが春名にとってはより重要だったよう。今の言葉でお分かりのように、春名と名乗った女子はかなりの天然キャラのように見受けられる。
そうこうするうちに、クラスメート達がひとりまたひとりと目を覚まし始める。皆が「一体ここはどこだ?」と口々に話しているが、見知った人間が誰もいないタクミはあえて何も言わないようにしている。当然春名にも「まだ何も言うな!」と口止めをするのも忘れない。
そしてようやく全員が目を覚ましたところで、皆の前に立っている女性が厳かな口調で語り掛けてくる。
「勇者とそのお仲間の皆様、此度は私達の召喚にお応え頂きありがとうございました。私はこの国の王女ヒルデクラインと申します」
突然部屋の中響いた声にこの場にいる生徒たちは訳が分からないという表情で抗議を始める。
「一体どういうことだ?」
「早く帰してください!」
一様に不安を口にする生徒たち、その中で一部のアニメや異世界物の小説に嵌っている皆様… いわゆるアニオタやその予備軍達は歓喜の声を挙げている。
ちなみに春名と仲のいい圭子たちのグループもそちらに片足を突っ込んでいる側。彼女達は決して軽症とは呼べない厨二病に犯されており春名も多大な影響を受けている。というか、率先してグループの先頭を突っ走っている。春名を含めて仲がよろしい女子4人のグループで皆それなりに可愛いのに、クラス内の評価は「本当にもったいない!」とか「いいところもあるのにデメリットがあまりに壮大すぎる!」といった残念な子扱いで一致している。
その残念な子グループの一員である桑原圭子が春名の所にやってくる。
「ハルハル、ついに私達にも大チャンスが転がり込んできたよ! これで念願の魔法少女の仲間入りだー!!」
右手を突き上げて、どこかの世紀末覇者が昇天する時のようなポーズを決めている。彼女の性格を最大限に褒めれば「物事にこだわらないサッパリした人物」だが、クラスの過半数の人間は「敵に回すと命の危険が危ぶまれる暴力女」という意見で一致している。そしてこの時点では何も知らないタクミの目からしても圭子の性格はクラスの生徒と同意見。
(お前はどう見ても肉体派で魔法キャラではないだろう! まして魔法少女なんておこがましいにも程がある)
二人のやり取りを隣で聞いていたタクミは心の底から盛大に突っ込んでいるが、もちろん声には出さない。この時点では召喚に巻き込まれた編入生という立場であって圭子のことなど何も知らないのだから。というよりも仮に圭子を敵にしてまともに相手にするのは、過去二度の異世界転移をを乗り越えてきたタクミでも相当の覚悟が必要に思えてくる。
そんな彼女らのたわいもない会話をよそに、この国の王女と名乗った女性は淡々と説明を続けている。ここで王女の言葉を遮るようにしてひとりの女子が声をあげる。
「あの、元の世界に帰ることは出来るのですか?」
クラス委員の北条茜がその責任感から手を挙げて質問をする。いかにも委員長という雰囲気を身にまとう優等生キャラのよう。しかしいつもは背筋をきちんと伸ばしている彼女も、さすがにこの突然の出来事にどう対応してよいのかまったくわからない様子でその口調は自信なさげ。
「残念ながら皆さんをここへ呼ぶ召喚の術式に大量の魔力を消費してしまったので、すぐに元の世界に戻すことは出来ません」
王女は冷たい声でそう告げると、ほとんどの生徒から落胆の声が上がる。女子生徒の中には泣き出す者も現れる始末。それはそうだろう、ついさっきまで平凡な高校生として過ごしていたのが「気がつけば異世界に来ていて戻れない」では、大抵の人間は失望や落胆を抱くはず。
そんな気落ちした態度を露にする生徒たちに向かって努めて抑揚のない口調で王女が話を続ける。
「このような理由で皆さんはしばらくはこの世界で過ごして頂く事になります。そして私を含めたこの国の民としてはぜひとも皆さんの力を借りたいことがあります。それはこの世界の平和を脅かす魔王を倒すことです」
「「魔王キターーー!!」」
タクミの横で圭子と春名が声を揃えて叫んでいる。二人してコブシを突き上げてノリノリの様子。彼女たち以外にも離れた場所から「やったぜ、魔王討伐だ!」という声が聞こえてくる。
(誰かこいつらを止めてくれ!)
心臓が頑丈にできているのか、神経が太いのか、それともどこかのネジがぶっ飛んでいるのかは定かではないが、脳天気な二人のことは放っておくことにしてタクミは王女の話の続きを待つ。
「皆さんには様々な力が授けられています。それらはステータス画面で見られますので『ステータスオープン』と唱えてみてください」
タクミは言われた通りにウィンドウを開いてみると、そこには過去の異世界召喚の折にも見慣れたステータスの数値が並ぶ。
安西タクミ 男 18歳
レベル 4825
職業 すべてを超越する戦士
称号 神殺し
体力 999999
魔力 999999
攻撃力 999999
防御力 999999
敏捷性 999999
運 128
知力 78
所持スキル 記載不可
(相変わらずカンストだらけの馬鹿げた数値だな。それにして運と知力だけが一向に上昇しないのが妙にリアル過ぎるぞ)
タクミがこのような途轍もない数値を持ち合わせているのは、過去二度の異世界召喚によって得た莫大な経験値が持ち越されているおかげ。しかも称号の欄にあるようにタクミは二つの世界において邪神と化した荒ぶる神を散々な苦戦の末に滅ぼしている。それはもう語るのが困難になるほどの苦難の連続で、二度も邪神を倒し切ったという出来事こそが奇跡の連続といって差し支えない。
そうこうしているうちに周囲でステータスを開いた男子生徒達から「俺は剣士で攻撃力60だ!」などといった声が聞こえてきたので、ウィンドウに並んでいる数値を彼らに合わせて100前後に下げておく。
同時に偽装のスキルを用いて職業欄に記載されている〔すべてを超越する戦士〕を〔戦士〕に変更しておく。万が一誰かにステータスを見られてもこれなら特に不信感を与えないはず。戦略兵器と呼ばれてもおかしくない自らの能力をこれで他のクラスメート並みにカムフラージュできる。
一通りの操作を済ませてウインドウから視線を上げると、目の前で圭子が両手を床に付いてうな垂れている。いつも強気な彼女に一体何が起こったのかとタクミは頭に???を浮かべてその様子を見守る。よーく耳を澄ますと「魔法少女の夢が… 私の夢が……」とブツブツ呟く声が聞こえてくる。
「春名、あの姿は何事だ? 何か悪いものでも食べたのか?」
「圭子ちゃんは職業が〔拳闘士〕で魔力がほとんどないんです。どうやらそれでガックリきてしまって…」
(一体どこから突っ込めばいいのだろうか?)
タクミは圭子に掛ける言葉が思い当たらない。レベルが4800オーバーのタクミは対象の体から発散される闘気や魔力を敏感に感じ取れる。それによってある程度相手の能力が把握可能。
さらに春名に詳しい話を突っ込んで聞いてみると、驚くことに圭子の家は空手の道場で、それだけでは飽き足らずにムエタイと柔術までかじっているらしい。根っからの武闘派で脳筋の圭子が魔法少女を夢見る方が世の中の真理に反する行為。おそらくだが全知全能の神様でさえも「ムリ!」と首を横に振るに違いない。これほど無茶な願いが存在するのだという恐ろしい事実をタクミは見せ付けられた思いになっている。
ただここで「魔法少女の願いが叶わなかった」という理由だけでヤサグレ切った圭子に下手に声をかけると象でもぶっ飛ばしそうな拳が飛んできそうなのでタクミはそっと春名のそばに移動する。
「春名はどんな感じなんだ?」
彼女のステータスを覗き込む。
「こんな感じですよ」
そこには職業〔賢者の卵〕の記載とほとんど一桁の数値が並んでいる。どちらかといえば頭脳労働が主になる職業ではあるが、魔力以外の初期数値が軒並みひと桁というのは相当に今後が思い遣られそう。
そのとき突然立ち上がった圭子がガバッと春名を抱きしめる。
「ハルハルは私の嫁だからね! ハルハルのことは私が守るからね!!」
つい癖で絞め技っぽくなっているようで春名が苦しそうにしている。必死でその腕をタップするが、あまりに弱々し過ぎて圭子には届いていないよう。次第に春名の顔色が真っ青を通り越して白くなり始めている。瞳孔が拡大する危険な兆候が現れたのを見て慌ててタクミは圭子を止めにかかる。
「圭子、右腕が頚動脈に入っている。そのままだと春名が落ちるぞ!」
その声に圭子がハッとして力を緩めると同時に、キッとした眼でタクミに向き直る。
「ふん! 春名に付きまとう虫けらの分際で私に意見するとは10年早い!! 春名に手を出したら私がただではすまさないから覚悟しておけ!!!」
高らかに宣言する圭子の威勢はいいが、抱き付かれている春名の方はさぞかしいい迷惑なだろう。
「け、圭子ちゃん、私はついさっきタクミ君に出会ったばっかりで、手を出すも何もないです! それにしてもたった今遠くの方に大きな川が見えたような気がします」
(多摩川の夢でも見たのか?)
三途の川の話は耳にしたことはあるが、まさか春名がそんな瀬戸際まで追い込まれていたことをタクミは知らない。たぶん学校の近くを流れる川のことだろうと思い込んでいる。朦朧とした意識からようやく現実世界に戻ってきた春名が圭子のあまりにも理不尽な所業を訴えるが、タクミは彼女たちのどちらの意見もスルーすることに決めたよう。どちらに味方をしても結局自分が悪者に仕立て上げられる予感がなせる業であり「君子危うきに近寄らず」とは至言だと彼は実感している。
周囲のクラスメートが大騒ぎをする状況などまるっと無視をしてそのような傍から見ればアホらしくなるような遣り取りをしているところに、春名や圭子と仲のいい武藤美智香がやって来る。
「二人ともいい加減馬鹿なことはやめて! 5~6人のパーティーを作らないといけないからね! それより何で見ず知らずの人がここに居るの?」
何も話を聞いていなかった春名と圭子ははその言葉にハッとする。反対に「見ず知らずの人」呼ばわりされたタクミは地味にへこんでいる。やはり自分はこの場では部外者であるという事実を改めて思い知らされてよう。
それよりもこの場に登場した美智香は傍若無人な性格の圭子を止められる極めて稀な人材。その言葉に圭子は春名に抱きついていた手を放してタクミの方向に向き直る。
「しょうがないから、そこの虫ケラ! お前は用心棒と荷物持ち役で入れてやる!!」
(荷物持ちはともかく、お前には用心棒なんか必要ないだろう!)
タクミの心の声は全く聞こえないままに、圭子の横柄な言葉に反応した春名が横から声をあげる。
「圭子ちゃんにしてはナイスデアです! パーティーにひとりくらい男子がいないと何かと物騒ですし、タクミ君をメンバーにするのは私も賛成です。なんだかこんな非常時でもどっしりと落ち着いているし、すごく頼りになると私の勘が告げています」
どちらの意見もスルーしたかったが、タクミの意志はやっぱり無視される方向で話が進んでいく。申し開きの僅かな時間さえも与えられないらしい。圭子の辞書には「虫ケラの意見など無用!」といういかにもジャイアン的な格言が1ページ目に記載されているのだろう。美智香の口の動きを読み取ると「ゴミ屑ごときを仲間にするのは不本意」という言葉を聞き取れないような小さな声で発しているようだが、タクミは精神衛生上の観点から見なかったことにする。
「あとは… 空! どうせ仲間が居ないんでしょう!! こっちに来なさい!!!」
完全な命令口調の圭子の言葉でやってきたのは工藤空。メガネをかけた地味な存在で、クラスで一番ちびっ子の女子。それだけではなくて胸もまっ平らでしょっちゅう小学生に間違われる。そのくせ他の女子3人が秋葉系なのに対して彼女は池袋系というか… 要するに腐女子に該当する。BL本と妄想が大好物の変態で、最近はガチホモのマニア本にまで手を出しているらしい。
空がやってきて5人揃ったところで再びステータスの話に戻る。どうやら圭子は魔力がないのは自分だけではないと信じたいらしい。
「で、ムーちゃんは職業はなに?」
圭子の問いに当然のような答えが返ってくる。
「魔法使いに決まっているでしょう。私は圭子ちゃんみたいな腕力勝負はしない」
「この裏切り者!!」
美智香の首を絞めようとする圭子をタクミが羽交い絞めにして止める。タクミがかなり本気を出さないと彼女を抑え切れないのはどういうことだろうか。
「空ちゃんの職業は何ですか?」
ようやく圭子の憤りが収まってから春名が聞いてみると意外な答えが返ってくる。
「クックック、よくぞ聞いてくれた。我こそはこの世界に偉大な安息をもたらす聖女なり」
「「「ええーーー!!!」」」
彼女の本性を知らないタクミ以外の3人が一斉に驚きの声を挙げる。重篤な厨2病を患っている上に、BL好きな変態聖女様がここに降臨した瞬間だった。
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閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
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本作は小説家になろう、カクヨムでも公開しています
他サイトでのタイトルは、『いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!~チート魔法で無双してたら、一大勢力を築き上げてしまったんだが~』となります
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