クラスごと異世界に召喚されたんだけど別ルートで転移した俺は気の合う女子たちととある目的のために冒険者生活 勇者が困っていようが助けてやらない

枕崎 削節

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第1話 3度目の異世界召喚

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 安西タクミ18歳。事情があって普通に生活している高校生と比べて2年遅れでようやく本日私立聖紋学園に編入することになっている。

(なんだか緊張するなぁ~。みんな俺よりも年下だけど、ちゃんと友達になってくれるかなぁ~)

 こんなことを考えながらクラス担任の後について教室に向かう廊下を歩いていく。

「それじゃあ安西君、私が『入ってきてくれ』というまで入り口の前で待っててもらえるかな」

「はい、わかりました」

 どうやら担任が一足先に教室に入って本日付で編入してくる生徒がいるということをクラスメートになるであろう生徒たちに告げるらしい。そのままタクミが少しの時間待っていると、入り口の内側から声が響く。


「それじゃあ安西君、入ってきてもらえるかな」

 担任の合図が聞こえたので彼は入り口を開けて一歩教室に踏み込む。その瞬間部屋は目も眩むばかりの光に包まれて真っ白に塗り潰されていくのだった。




   ◇◇◇◇◇




 眩いばかりの光が収まりようやく目を開くことが出来るようになると、目の前には何度か見掛けた事がある存在が立っている。その存在が目に入った瞬間、タクミは躊躇わずにツカツカと歩み寄ると右手でガシッとアイアンクローをお見舞いする。

「このクソ神がぁぁぁ! 1年ぶりに日本に戻れたと思ったらたった2週間でまた召喚かよ! 一体何のマネだぁぁぁぁ?!」

「ホッホッホ、相変わらず威勢が良いのぅ。その手は邪魔ゆえに外してもらおうか」

 タクミが呼ぶところの「クソ神」という存在がパチンと指を鳴らすと、彼の体は強制的に5メートルほど後方に下げられている。こんな不思議な力が使えるということは、やはりこの存在は地球の創造に関わった相当に力のある神様なのであろう。

「クソ神の分際で何しやがる! 今度という今度は絶対に異世界なんかに行かないからな!」

「まあまあ、左様なワガママを申すでないぞ。何を隠そうそなたがこれまで経験した2度の異世界召喚は言ってみれば予行演習に過ぎない。今回こそ地球の運命が懸かる本番ぞい」

「地球の運命だ? 俺の知ったことかよ」

「相変わらず強情な性格をしておるのぅ。まあそれでなくては過酷な異世界召喚を2度も務め上げるなどということは不可能じゃろうて」

「おだてには乗らない。絶対に断る!」

「良いのか? そなたが召喚に応じなければ3年後に地球は銀河帝国から侵略を受けて滅びるぞい」

「なんだ、その銀河帝国ってのは?」

「ほれ、ロングセラーの映画をそなたも見たことがあるのではないか? あれはワシら神々が地球の人間を目覚めさせるためにハリウッドに干渉して作らせておる。帝国とジェ〇イの攻防と描かれておるが、実は銀河帝国の侵略に対して人類に注意を喚起する意図が含まれておる」

「そんなまだるっこしいことをしなくてもお前が力を行使してその銀河帝国とやらをパパッとやっつければいいだろうに」

「残念ながらそれは神々にとっては禁足事項となっておるでな。あくまでもその星の生命体が侵略を撥ね返すのが基本原則となっておる」

「で、俺に何をさせたいんだ?」

「これからそなたが召喚される世界に存在するとある重大なシステムのカギをそなたが手中に収めること」

「何だ? そのシステムというのは?」

「そなたでも理解できるように説明すると、銀河内部の数百光年離れた惑星間でリアルタイム通信を行ったり、双方向で人員や物資の転移を可能にするシステムを運用するための重要なカギのことよ。それがそなたがこれから渡る惑星のどこかに隠されておる。帝国側よりも先にこのカギを手に入れなければ地球は30年を待たずして滅ぶであろう」

「宇宙人に殺されるのか?」

「いや、もっと悲惨な最期が待っておる。帝国の連中が欲しがっているのは地球に豊富に存在する水。ヤツらはこの水を地球人の都合などお構いなしに奪っていく。そして地球全体の水の25パーセントが失われた時、地球上のすべての生命は地表で生活できなくなる。何せ気温が60度以上の灼熱の世界となるゆえな」

 水というのは日本人にとっては身近に存在するのが当たり前の物質だが、生物が生存するには必要不可欠なのは言うまでもない。さらに水の中に微量存在する重水素を用いれば核融合によって莫大なエネルギーを生み出すことが可能となる。

 つまり水という物質は日本人が考えるよりも意外なほど用途が広い。それはかつて地球上でヨーロッパ諸国が資源を求めて植民地を広げたように、銀河規模での水の争奪戦が起きても何ら不思議ではない。これまで地球という惑星はかなり銀河の辺境にあるという理由でたまたま見逃されていたにすぎないのだろう。

 神様のこのような話にタクミがややムキになって反論する。

「そんなバカな話があるかよ」

「バカな話と思うのはそなたの勝手だが、そなたの家族にも災難は降りかかるぞい」

「チクショウ! それじゃあ断りようがないだろうが!」

「どうやら覚悟が決まったようだのぅ。そなたの仲間たちは一足先に世界を渡っておる。そなたもこれから次元を超えて世界を渡ってもらうぞ」

「本当に人使いが荒いな」

「まあ、そう憎まれ口を叩くでない。何か必要なモノはあるか?」

「そうだな… もっとド派手にぶっ放せるように魔力の限界値を引き上げてもらえるか」

「どの程度が良いかな?」

「これまでの100倍を求める」

「ずいぶんと大きく出よったものじゃな。身体に大きな負担がかかるがよいのか?」

「その辺は気合いでどうにかするから問題はない。さっさと引き上げてくれ」

「よかろう、ホイ、これでどうじゃな?」

「グッ、さすがに負荷が大きいな。だが耐えられないレベルではなさそうだ」

「これで準備は整ったようじゃのぅ。それでは異世界に送り込むぞい」

「ああ、さっさとやってくれ」

 こうしてタクミは光に包まれて神域から離脱して異世界へ飛ばされていくのであった。



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