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第55話 全学年トーナメント 2
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トーナメントは順調に進行して1回戦第3試合でカレンが登場する。
フィールドに姿を現すカレンを目にした1年Eクラスのどスケベ男子たちは大盛り上がりでカレンを応援している。プロテクター越しにもクッキリと盛り上がっているプルンプルンを見るためにアホの一人は小遣いをはたいて双眼鏡まで購入するという熱の入れよう。モテない男たちのオッパイに懸ける執念はいよいよ止まる所を知らなくなっている。一刻も早く真人間に立ち返ってもらいたい! なんだったら然るべき場所でお薬を多めに処方してもらってくるがいい!
カレンの相手は3年生のベスト4に入った男子生徒で、彼はステータスレベル17、剣術スキルレベル3を所持している。体力面ではカレンとほぼ互角で、技術面では棒術スキルランク2のカレンを上回る存在。やはり入学して4か月の1年生と2年以上が経過した3年生では、その差は想像以上に大きい。
「試合開始ぃぃ!」
カレンはモテない男子生徒の熱狂的な声援を背に上半身をプルンプルンさせながら健闘するものの、技術の差から次第に追い詰められて最後は横合いから剣を突き付けられて敗退する。
「勝者、青!」
互いに礼をすると、カレンは声援を送ってくれたスタンドにペコリと頭を下げてから控室に戻っていく。その表情には今回はやり残したことはないという清々しい笑顔を湛えている。そもそもカレン自身は回復が本職と割り切っているので、力試しで出場した模擬戦週間でここまで健闘できたのは彼女にとっては大きな満足のよう。
だがカレンのこの態度を巡ってEクラスのモテない男たちの間では毎度お馴染みの騒動が勃発する。
「カレンさんが俺に向かって挨拶をしてくれたぁぁぁぁ!」
「カレンさんがテメーなんぞに挨拶なんかするもんかぁぁ! あれは俺に向かってだぁぁ!」
「鏡を見てからほざきやがれぇぇ! そんなゴキブリ顔にカレンさんが頭を下げるかぁぁ!」
「なんだとぉぉ! テメーこそイエダニ顔だろうがぁぁぁ!」
今回は害虫同士の罵り合いがスタートしている。一刻も早く駆除されてしまえ! この場でバルサンを焚いてやろうか!
バカたちは横に置いて、ひとつ空いた第5試合は明日香ちゃんの登場。槍を手にして、いつものようにヤル気のない態度で赤い入場口から姿を現す。
(せっかく模擬戦が終わったと思ったら、また変なトーナメントが始まってしまいましたよ~! さっさと負けてお休みしたいです!)
まあ大体いつもの調子でこの場に立っている。ここまで来たらもう諦めて、ちょっとくらいヤル気を出してもいいだろうに、何とか口実をつけてはサボりたい明日香ちゃん… お願いだから、もうちょっと頑張ろうよ!
そしてやや遅れて、対戦する近藤勇人が入場口から出てくる。その姿を見た明日香ちゃんといえば…
(ひょえ~! 大きな人が来ましたよ~。あんな人が振るう剣に当たったら絶対痛そうですぅぅ!)
身長190近く、体重も100キロオーバーの勇人の体格を目の当たりにした明日香ちゃんがビビるのは無理もない。とはいっても常日頃からもっと大きなオークを見慣れているだろうに、相変わらずビビりな性格は健在な模様。
「試合開始ぃぃ!」
審判の手が振り下ろされて明日香ちゃん対近藤勇人の対戦が幕を開ける。
剣を正眼にドッシリ構える勇人はステータスレベル19で、剣術スキルはレベル4… 大元の初期数値が最初から高い勇人とゴミ数値の明日香ちゃんではステータス上のレベル差はないも同然。
つまり明日香ちゃんはトーナメントが始まってようやく互角の実力を持つ相手と戦うといっても差し支えない。殊に勇人は先日単独でオークを討伐して勢いに乗っている。対する明日香ちゃんはオークジェネラルを倒しているとはいえ、それはあくまでもトライデントのアシストがあってこその話。
ということは、この対戦はどちらに勝敗が転ぶかまったくわからない。
「1年生とはいえ、勝負に情けは掛けないぞ!」
勇人の目は相手が元最弱女子などとは髪の毛の先ほども見ていない。明日香ちゃんの構えを見て、ここまで登ってくるに相当する実力が伴っていると看破している。
「いくぞ!」
剛腕から繰り出される横薙ぎが明日香ちゃんの槍に向かっていく。
(これは絶対に当たったら痛いやつですぅぅ!)
痛いのが嫌いな明日香ちゃんは懸命に応戦する。
ズズーン!
金属同士がぶつかり合ったとは思えないような重低音がフィールドに響き渡る。勇人の剛腕を明日香ちゃんの細腕が受け止めている光景にスタンドの生徒全員が息を飲んでいる。
そこから一気に両者の打ち合いがヒートアップしていく。勇人が先制して明日香ちゃんが受け止める展開が延々と繰り返される。
「見事だな! 俺の剣をここまで止める人間に出会ったことはなかったぞ!」
「痛いのはイヤなんですぅぅ!」
上段には下段から、横薙ぎには横薙ぎで、袈裟斬りには斜め下から払う如くに、勇人と明日香ちゃんの限界まで引き絞られた技の応酬が続く。
(これは中々… 外見では判断できない使い手だな)
(桜ちゃんよりはまだマシですが、対応するのが精一杯ですよ~)
繰り広げられる剣と槍の攻防は、見ている者を思わず引き込んでしまうほどの高度な技の数々。槍を跳ね飛ばそうとする勇人に対して、その豪剣を受け止めては撥ね返していく明日香ちゃん。まさに火花が飛び散る熱戦がフィールド上で繰り広げられていく。
両者とも無限に体力が続くが如くに開始時点と全く変わらない様子で剣と槍を振るい続ける。元々勇人はストイックに剣の道を追求してきただけに、高々15分間の戦いでスタミナ切れなど起こさないように鍛えている。
対する明日香ちゃんは桜によって魔改造されており、延々とスタミナが続くように体質そのものが根本から改善されている。
誰もがまだまだこの戦いを見ていたいと感じている。だがトーナメント史上屈指の好勝負は突然終焉を迎える。
「そこまでぇぇ! 時間切れで、両者引き分けぇぇ!」
観衆を夢中にさせる二人の打ち合いはさながら時間の経過を忘れさせるが如く。あっという間に15分が経過していた。
双方が開始戦まで戻って一礼する。会場からは稀に見る好勝負に万雷の拍手が送られている。その中で勇人が明日香ちゃんに歩み寄っていく。
「1年生とは思えないいい腕だ。先々を楽しみにしているぞ!」
「は、はい! ありがとうございました」
互いに握手を交わして控室へと戻っていく。あれだけヤル気がなかった明日香ちゃんもこの一戦にちょっとした満足感を味わっているよう。
その時、場内にアナウンスが響く。
「ただいまの第5試合は引き分けに終わりましたので、規定によりランキング上位の近藤選手がトーナメント2回戦に進出します」
それを聞いた会場からは大ブーイングが沸き起こる。その大半は3年生最強の近藤勇人を相手にして真っ向勝負で引き分けた明日香ちゃんの試合をもっと見たいという抗議の意思表明に相違ない。
同時にアナウンスが耳に入った明日香ちゃんの足が止まる。
(ちょっと待ってくださいね… 引き分けの時はランキング上位が勝ち上がる規定? ということはもしかして私が初戦で引き分けに持ち込んでいれば、そこで模擬戦はお仕舞だった…)
そこに気が付いた瞬間、明日香ちゃんの体から力が抜けてフィールドに崩れ落ちる。
(しまったぁぁぁぁ! なんでルールをよく見ていなかったんでしょうかぁぁ! 知っていれば初戦で引き分けて終わりだったのにぃぃぃ!)
悔やんでも悔やみきれない表情で、明日香ちゃんの手がフィールドの芝生を叩いている。ここまで勝ち残らずに楽しい自由時間を得るには、何も負ける必要はなかった。ちょっと手を抜いて引き分けにすれば、明日香ちゃんの模擬戦はそこで終わっていた。
これは明日香ちゃん本人にしてはあまりに痛恨の大惨事。
だがスタンドから観戦している生徒はこんな明日香ちゃんのどうでもいい個人的な事情など知らない。芝生を叩いて悔しがる(ように見える)明日香ちゃんに対してあちこちから激励の声が上がる。
「いい試合だったぞ! 胸を張るんだぁ!」
「別の機会にリベンジするんだぞぉ!」
「まだまだ先があるから、気を落とすんじゃないぞぉ!」
その激励に合わせて、明日香ちゃんに対して一段と大きな拍手の渦がスタンド全体に広がっていく。
ひとりフィールドに膝をついている明日香ちゃんだけは…
(そうじゃないんですよ~。引き分けが悔しいんじゃなくって、初戦から引き分けにしなかったのが悔しいんですぅぅ!)
拍手の中でただひとり、心の中にやるせない思いを抱えて蹲っている。そんな明日香ちゃんを見かねて、ちょうど手が空いていた桜と聡史がフィールドに出て彼女を両側から抱えて控室に戻っていく。
明日香ちゃんの姿が控室に消えるまで、勘違いしたスタンドの大きな拍手は鳴り止むことはなかった。
【お知らせ】
いつも当作品をご愛読いただきましてありがとうございます。この度こちらの小説に加えまして新たに異世界ファンタジー作品を当サイトに掲載させていただきます。この作品同様に多くの方々に目を通していただけると幸いです。すでにたくさんのお気に入り登録もお寄せいただいておりまして、現在ファンタジーランキングの40位前後に位置しています。作品の詳細は下記に記載いたしております。またこの作品の目次のページ左下に新作小説にジャンプできるアイコンがありますので、どうぞこちらをクリックしていただけるようお願い申し上げます。
新小説タイトル 〔クラスごと異世界に召喚されたんだけどなぜか一人多い 浮いている俺はクラスの連中とは別れて気の合う仲間と気ままな冒険者生活を楽しむことにする〕
異世界召喚モノにちょっとだけSF要素を取り入れた作品となっておりますが、肩の力を抜いて楽しめる内容です。皆様この小説同様に第1話だけでも覗きに来てくださいませ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「面白かった」
「続きが気になる」
「早く投稿して!」
と感じていただいた方は是非とも【お気に入り登録】や【いいねボタン】などをポチッとしていただくと作者のモチベーションに繋がります! 皆様の応援を心よりお待ちしております。
フィールドに姿を現すカレンを目にした1年Eクラスのどスケベ男子たちは大盛り上がりでカレンを応援している。プロテクター越しにもクッキリと盛り上がっているプルンプルンを見るためにアホの一人は小遣いをはたいて双眼鏡まで購入するという熱の入れよう。モテない男たちのオッパイに懸ける執念はいよいよ止まる所を知らなくなっている。一刻も早く真人間に立ち返ってもらいたい! なんだったら然るべき場所でお薬を多めに処方してもらってくるがいい!
カレンの相手は3年生のベスト4に入った男子生徒で、彼はステータスレベル17、剣術スキルレベル3を所持している。体力面ではカレンとほぼ互角で、技術面では棒術スキルランク2のカレンを上回る存在。やはり入学して4か月の1年生と2年以上が経過した3年生では、その差は想像以上に大きい。
「試合開始ぃぃ!」
カレンはモテない男子生徒の熱狂的な声援を背に上半身をプルンプルンさせながら健闘するものの、技術の差から次第に追い詰められて最後は横合いから剣を突き付けられて敗退する。
「勝者、青!」
互いに礼をすると、カレンは声援を送ってくれたスタンドにペコリと頭を下げてから控室に戻っていく。その表情には今回はやり残したことはないという清々しい笑顔を湛えている。そもそもカレン自身は回復が本職と割り切っているので、力試しで出場した模擬戦週間でここまで健闘できたのは彼女にとっては大きな満足のよう。
だがカレンのこの態度を巡ってEクラスのモテない男たちの間では毎度お馴染みの騒動が勃発する。
「カレンさんが俺に向かって挨拶をしてくれたぁぁぁぁ!」
「カレンさんがテメーなんぞに挨拶なんかするもんかぁぁ! あれは俺に向かってだぁぁ!」
「鏡を見てからほざきやがれぇぇ! そんなゴキブリ顔にカレンさんが頭を下げるかぁぁ!」
「なんだとぉぉ! テメーこそイエダニ顔だろうがぁぁぁ!」
今回は害虫同士の罵り合いがスタートしている。一刻も早く駆除されてしまえ! この場でバルサンを焚いてやろうか!
バカたちは横に置いて、ひとつ空いた第5試合は明日香ちゃんの登場。槍を手にして、いつものようにヤル気のない態度で赤い入場口から姿を現す。
(せっかく模擬戦が終わったと思ったら、また変なトーナメントが始まってしまいましたよ~! さっさと負けてお休みしたいです!)
まあ大体いつもの調子でこの場に立っている。ここまで来たらもう諦めて、ちょっとくらいヤル気を出してもいいだろうに、何とか口実をつけてはサボりたい明日香ちゃん… お願いだから、もうちょっと頑張ろうよ!
そしてやや遅れて、対戦する近藤勇人が入場口から出てくる。その姿を見た明日香ちゃんといえば…
(ひょえ~! 大きな人が来ましたよ~。あんな人が振るう剣に当たったら絶対痛そうですぅぅ!)
身長190近く、体重も100キロオーバーの勇人の体格を目の当たりにした明日香ちゃんがビビるのは無理もない。とはいっても常日頃からもっと大きなオークを見慣れているだろうに、相変わらずビビりな性格は健在な模様。
「試合開始ぃぃ!」
審判の手が振り下ろされて明日香ちゃん対近藤勇人の対戦が幕を開ける。
剣を正眼にドッシリ構える勇人はステータスレベル19で、剣術スキルはレベル4… 大元の初期数値が最初から高い勇人とゴミ数値の明日香ちゃんではステータス上のレベル差はないも同然。
つまり明日香ちゃんはトーナメントが始まってようやく互角の実力を持つ相手と戦うといっても差し支えない。殊に勇人は先日単独でオークを討伐して勢いに乗っている。対する明日香ちゃんはオークジェネラルを倒しているとはいえ、それはあくまでもトライデントのアシストがあってこその話。
ということは、この対戦はどちらに勝敗が転ぶかまったくわからない。
「1年生とはいえ、勝負に情けは掛けないぞ!」
勇人の目は相手が元最弱女子などとは髪の毛の先ほども見ていない。明日香ちゃんの構えを見て、ここまで登ってくるに相当する実力が伴っていると看破している。
「いくぞ!」
剛腕から繰り出される横薙ぎが明日香ちゃんの槍に向かっていく。
(これは絶対に当たったら痛いやつですぅぅ!)
痛いのが嫌いな明日香ちゃんは懸命に応戦する。
ズズーン!
金属同士がぶつかり合ったとは思えないような重低音がフィールドに響き渡る。勇人の剛腕を明日香ちゃんの細腕が受け止めている光景にスタンドの生徒全員が息を飲んでいる。
そこから一気に両者の打ち合いがヒートアップしていく。勇人が先制して明日香ちゃんが受け止める展開が延々と繰り返される。
「見事だな! 俺の剣をここまで止める人間に出会ったことはなかったぞ!」
「痛いのはイヤなんですぅぅ!」
上段には下段から、横薙ぎには横薙ぎで、袈裟斬りには斜め下から払う如くに、勇人と明日香ちゃんの限界まで引き絞られた技の応酬が続く。
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「1年生とは思えないいい腕だ。先々を楽しみにしているぞ!」
「は、はい! ありがとうございました」
互いに握手を交わして控室へと戻っていく。あれだけヤル気がなかった明日香ちゃんもこの一戦にちょっとした満足感を味わっているよう。
その時、場内にアナウンスが響く。
「ただいまの第5試合は引き分けに終わりましたので、規定によりランキング上位の近藤選手がトーナメント2回戦に進出します」
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(しまったぁぁぁぁ! なんでルールをよく見ていなかったんでしょうかぁぁ! 知っていれば初戦で引き分けて終わりだったのにぃぃぃ!)
悔やんでも悔やみきれない表情で、明日香ちゃんの手がフィールドの芝生を叩いている。ここまで勝ち残らずに楽しい自由時間を得るには、何も負ける必要はなかった。ちょっと手を抜いて引き分けにすれば、明日香ちゃんの模擬戦はそこで終わっていた。
これは明日香ちゃん本人にしてはあまりに痛恨の大惨事。
だがスタンドから観戦している生徒はこんな明日香ちゃんのどうでもいい個人的な事情など知らない。芝生を叩いて悔しがる(ように見える)明日香ちゃんに対してあちこちから激励の声が上がる。
「いい試合だったぞ! 胸を張るんだぁ!」
「別の機会にリベンジするんだぞぉ!」
「まだまだ先があるから、気を落とすんじゃないぞぉ!」
その激励に合わせて、明日香ちゃんに対して一段と大きな拍手の渦がスタンド全体に広がっていく。
ひとりフィールドに膝をついている明日香ちゃんだけは…
(そうじゃないんですよ~。引き分けが悔しいんじゃなくって、初戦から引き分けにしなかったのが悔しいんですぅぅ!)
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明日香ちゃんの姿が控室に消えるまで、勘違いしたスタンドの大きな拍手は鳴り止むことはなかった。
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「小説家になろう」に於ても投稿させて頂いております。
→https://ncode.syosetu.com/n3570fj/
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→https://kakuyomu.jp/works/1177354054889229369
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