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「じゃーん!」
「じゃーん、なのだ!」
「じゃーん、ですの!」
スコルが作ったご飯が右側に、ハティが作ったお菓子が左側に、わたしが作ったものは真ん中に並んでいる。
色とりどりな豪勢な料理の数々。うん、久しぶりだけれど、上手く作れたんじゃないかな!
ハティとスコルも言っていた以上の腕前で、かなりおいしそうな匂いが漂っている。
「へえ、ニアって料理もできたのか」
ユーリが驚いてわたしの作った料理を見ている。ニーナはお菓子に手を伸ばしていて、シャルはハティとスコルがそれぞれ自信作を持っていってるみたいだ。
「ふふん。そりゃあ暫くは二人でパーティ組んでいたからね。こういうのも出来なくちゃ」
わたし、ヒロインだったからね!
料理も出来てこそのヒロインよね!
「じゃあ、一口もらうか」
「あ、あの、あんまり大きく食べない方が良いと思うわよ、あたし」
卵で作ったふんわりオムレツを手に取ってユーリが口を開ける。
フェメイだけはおろおろとその様子を窺って……ちょっと失礼じゃない!?
ぷるぷるの卵がユーリの口に運ばれていく。
ごくんと飲み込んだ瞬間に――
「…………ごふっ」
噴き出したかと思った瞬間に、真後ろにユーリが倒れる。
「え、え?」
みんなが混乱している中、フェメイとニーナだけが「あちゃぁ……」と頭を抱えていた。
あれ!? なんで倒れたの?
「マスター……マスターのは料理じゃなくて、むかーし一度見た錬金術のそれだったよ」
「ニアの料理が下手って、この街だと結構有名なのよ?」
フェメイの控えめな声と、ニーナの知られざる情報にわたしの心が抉られるのでした……。
「じゃーん、なのだ!」
「じゃーん、ですの!」
スコルが作ったご飯が右側に、ハティが作ったお菓子が左側に、わたしが作ったものは真ん中に並んでいる。
色とりどりな豪勢な料理の数々。うん、久しぶりだけれど、上手く作れたんじゃないかな!
ハティとスコルも言っていた以上の腕前で、かなりおいしそうな匂いが漂っている。
「へえ、ニアって料理もできたのか」
ユーリが驚いてわたしの作った料理を見ている。ニーナはお菓子に手を伸ばしていて、シャルはハティとスコルがそれぞれ自信作を持っていってるみたいだ。
「ふふん。そりゃあ暫くは二人でパーティ組んでいたからね。こういうのも出来なくちゃ」
わたし、ヒロインだったからね!
料理も出来てこそのヒロインよね!
「じゃあ、一口もらうか」
「あ、あの、あんまり大きく食べない方が良いと思うわよ、あたし」
卵で作ったふんわりオムレツを手に取ってユーリが口を開ける。
フェメイだけはおろおろとその様子を窺って……ちょっと失礼じゃない!?
ぷるぷるの卵がユーリの口に運ばれていく。
ごくんと飲み込んだ瞬間に――
「…………ごふっ」
噴き出したかと思った瞬間に、真後ろにユーリが倒れる。
「え、え?」
みんなが混乱している中、フェメイとニーナだけが「あちゃぁ……」と頭を抱えていた。
あれ!? なんで倒れたの?
「マスター……マスターのは料理じゃなくて、むかーし一度見た錬金術のそれだったよ」
「ニアの料理が下手って、この街だと結構有名なのよ?」
フェメイの控えめな声と、ニーナの知られざる情報にわたしの心が抉られるのでした……。
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