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新しく生きる、言葉の意味
第7話
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「昔、私の音楽を好いてくれた人たちは……いつまで私の音楽を好きでいてくれるんでしょうね」
早く、早く、音楽業界を去った私のことなんて忘れてほしい。
けれど、ずっとずっと私の演奏を覚えていてほしい。
どっちも叶えることはできない、私のわがまま。
「灯里ちゃんみたいな素晴らしい演奏家だからこそ、休息が必要なんじゃないかな?」
百合宮さんの口から、素晴らしいという言葉をいただくことができた。
話の流れで出てきただけの言葉だとしても、世界を魅了する可能性を秘めた彼女にそういったもらえたこと。
少しは誇ってもいいのかもしれないって自惚れた。
「私が素晴らしかったのは、昔の話ですよ」
「そんなことないよ。私は、今でも灯里ちゃんが演奏してきた作品のファンだよ」
「そう言ってもらえると励みになります」
「あ、信じてないでしょ?」
そんなことないって言い切らなきゃいけない。
私は彼女の言葉を信じなければいけない。
それくらいのことは分かっているのに、言葉が詰まる。言葉が出てこない。
「河原梓那くんっていう、ヴァイオリンがすっごく上手い男の子がいるの」
人の記憶と言う曖昧なものに、音楽を残す。
それが私のやりたかったことではあるのに、それは簡単にできることではないと気づかされる。
「梓那くんにね、ちっちゃい頃いっぱい勧められたんだ~」
やりたかったことができないと気づいた瞬間が、夢を諦めた瞬間。
そうだったはずなのに……。
「同い年の灯里ちゃんが演奏している動画を」
教え子の中に、私が幼い頃に頑張った日々を記憶している人たちがいたことを百合宮さんに教えてもらう。
「灯里ちゃんの演奏を記憶に残して、灯里ちゃんの音楽を忘れないようにしてたんだよ」
嬉しい言葉をいっぱい言われたはずなのに、なんだか現実離れした話で、どう受け止めていいのか分からない。
「あ~、灯里ちゃん、他人事みたいな顔してるー」
私が残した作品を忘れないように、今も努力してくれる人がいる。
自分が残した作品に、覚えていてもらえるほどの価値があったのだと泣きそうになる。
「本当に、あの羽澤灯里ちゃんとは思えない表情っ」
あの、羽澤灯里と私は違うかもしれない。
名前が同じだけで、まったく違う演奏をする二人かもしれない。
過去を生きる私と、今を生きる私は別人かもしれない。
「自信持ってね」
人の記憶なんて脆いもので、覚えていようと頑張ったところで忘れてしまうものは忘れてしまう。
それなのに、私の音楽を記憶に残そうと努力してくれる人がいるっていう奇跡のような話を百合宮さんが教えてくれる。
早く、早く、音楽業界を去った私のことなんて忘れてほしい。
けれど、ずっとずっと私の演奏を覚えていてほしい。
どっちも叶えることはできない、私のわがまま。
「灯里ちゃんみたいな素晴らしい演奏家だからこそ、休息が必要なんじゃないかな?」
百合宮さんの口から、素晴らしいという言葉をいただくことができた。
話の流れで出てきただけの言葉だとしても、世界を魅了する可能性を秘めた彼女にそういったもらえたこと。
少しは誇ってもいいのかもしれないって自惚れた。
「私が素晴らしかったのは、昔の話ですよ」
「そんなことないよ。私は、今でも灯里ちゃんが演奏してきた作品のファンだよ」
「そう言ってもらえると励みになります」
「あ、信じてないでしょ?」
そんなことないって言い切らなきゃいけない。
私は彼女の言葉を信じなければいけない。
それくらいのことは分かっているのに、言葉が詰まる。言葉が出てこない。
「河原梓那くんっていう、ヴァイオリンがすっごく上手い男の子がいるの」
人の記憶と言う曖昧なものに、音楽を残す。
それが私のやりたかったことではあるのに、それは簡単にできることではないと気づかされる。
「梓那くんにね、ちっちゃい頃いっぱい勧められたんだ~」
やりたかったことができないと気づいた瞬間が、夢を諦めた瞬間。
そうだったはずなのに……。
「同い年の灯里ちゃんが演奏している動画を」
教え子の中に、私が幼い頃に頑張った日々を記憶している人たちがいたことを百合宮さんに教えてもらう。
「灯里ちゃんの演奏を記憶に残して、灯里ちゃんの音楽を忘れないようにしてたんだよ」
嬉しい言葉をいっぱい言われたはずなのに、なんだか現実離れした話で、どう受け止めていいのか分からない。
「あ~、灯里ちゃん、他人事みたいな顔してるー」
私が残した作品を忘れないように、今も努力してくれる人がいる。
自分が残した作品に、覚えていてもらえるほどの価値があったのだと泣きそうになる。
「本当に、あの羽澤灯里ちゃんとは思えない表情っ」
あの、羽澤灯里と私は違うかもしれない。
名前が同じだけで、まったく違う演奏をする二人かもしれない。
過去を生きる私と、今を生きる私は別人かもしれない。
「自信持ってね」
人の記憶なんて脆いもので、覚えていようと頑張ったところで忘れてしまうものは忘れてしまう。
それなのに、私の音楽を記憶に残そうと努力してくれる人がいるっていう奇跡のような話を百合宮さんが教えてくれる。
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