蒼の箱庭

葎月壱人

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第二章

吐露

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「それで、これ渡すようにって」

綺羅から手渡されたのは“天狼”専属医から直筆で“即服用”と書かれている薬袋だった。
普段から適当な理由をつけて飲まない姫椿の性格を見抜いたメッセージと、薬袋には綾瀬の分も用意されているのを見て顔が引き攣る。

「くっそー、自衛してたんだけどなぁ」

この学園に潜入した時から飲食にも常に気を張っていたが、やはり徐々に毒に侵食されていたらしい。
白椿が運営している学園だ、彼女が綾瀬を薬漬けにした過去から学園でも何かしらの薬を用いて生徒達を操っていると予測していたのにも関わらず綺羅が馬に変えられた事実を忘れていた辺り……忘却系の薬でも盛られていたのかもしれない。
迂闊だった自分を反省しながら粉薬を水に溶かして一気に飲み干す。
この薬はきっと毒素を中和するか消し去るとっておきのやつだ。
なんたって綺羅を馬から人間へ戻せる薬を作れる手腕の持ち主なのだから。

「俺、まだ薬で人の形を維持してるだけなんですけど……急いで学園に戻りたかったから馬になるしかなくて。だから皆に作戦を練ってもらったんです。押してダメなら引いてみろ作戦って言うんですけど」
「何よ、それ」
「湖畔で会った時は俺の存在をチラつかせる程度にして、且つ、白椿に怯えている雰囲気も出す。そしたら双子の片割れと間違えた事に過剰反応して今度は姫椿姐さんから向かってくるだろうから、そこで何とかしろって」
「うわ。最後、投げやりの運任せじゃない」
「でしょう?だから上手くいって本当よかった。でも“使役”を俺に使って良いんですか?」

姫椿が“使役”を使う相手は綾瀬だけという事は“天狼”に周知されている。
姫椿と綾瀬に関しても“天狼”からある程度聞かされているのだろう綺羅が、綾瀬の事を心配しているのを言葉尻から感じて姫椿は心配ないと笑い飛ばしてみせた。

「とりあえず、薬は早急に渡さないと。綺羅行ってきてよ」
「嫌です」

即答だった。

「あのね……?一般生徒はもう朱の大会参加者には会えない事になってるから。アンタを使役した後に私は見回りの先生に捕まってたし。ここから出たらまた捕まるわ」
「それでも嫌です」
「何でよ」
「気づいてないんですか?俺に“使役”使った時に綾瀬、居ましたよ」

綺羅が断固拒否する理由に薄々勘づいていた姫椿は頭を抱え込んだ。

「あれ、絶対誤解してますよ。俺、真白を優先したんで弁明してないし」

姫椿は知らないだろうが、あの時の冷め切った瞳を向けられていた綺羅は内心生きた心地がしていなかった。
それ程の情熱を注がれている事にすら無頓着な姫椿は、呆れるを通り越して少し哀れに見える。

「……わからないの、接し方が」

漏れた本音に視線を向けると、姫椿が真白の涙の跡をそっと指でなぞっていた。

「王李として接する時は普通にできた。けど綾瀬は……できない」

この学園で王李として生活していく彼を見て、このまま過去の出来事を忘れたままにできたらと何度も思った。
でも私達には“天狼”として白椿と決着をつけなくてはいけない任務がある。
忘れているなら思い出させる必要が当然あって、朱の大会出場者に王李が選ばれ自分が留年する騒ぎを本部へ連絡した際にボスの一言で覚悟を決めた筈だった。
変幻を解いて、久しぶりに見た本来の綾瀬は以前とは別人に見えた。
薬漬けにされて以降、綾瀬は感情を消した人形の様に従順な従者の様な態度を取り続けていた。
話かけても短く返すだけで、周囲もそういう人だと認識してしまっている。
姫椿だけが昔の表情豊かな綾瀬を知っているから余計に、こうなったのもお前のせいだと暗に責められている気が毎日していた。
あの日々が帰ってくるかもしれないと思うだけで正直、気が重くなる。

「向き合うのが怖い」

何と返せばいいのかわからず、綺羅は真白の顔を撫でる姫椿をただ見ていた。
会話の無くなった空間には、深い眠りについた真白の寝息だけがスースー聞こえる。

「……真白、傷ついてました」
「え?」
「白馬が暗夜だって、知ったんです。俺も“暗夜”がどんな連中かを教えました」

姫椿は綺羅の険しい表情から真白を傷つけたかった訳じゃない想いを汲み取る。
きっと、白馬も同じ筈だ。
白馬が暗夜だろうと彼が真白を大切に思う気持ちは本物だと何となくだが日頃の二人を見ていた姫椿にはわかる。

「そう」

返事をした後、姫椿は短く答えた。

「……辛い、ね」

不変。
ずっとこのままだったらいいのにと誰もが思った筈だ。
でもそんな甘い展開なんて起こり得ない。
もう、色々と動き出している事を私達は知ってしまった。
やはり向き合う時が来たのだ。

「ちゃんと話し合ってみたらどうですか?まだ時間はあります。それに俺、飛ばせますよ?」

自信たっぷりな綺羅の提案に姫椿は微笑んだ。

「分かった、わかった。そしたら飛ばしてくれる?私、行くから」







綺羅に転送してもらった王李の部屋は、薄暗く電気もついていなかった。
雑に閉められたカーテンから覗く窓からは、夜に溶け込もうとする仄かな闇が一面に広がりつつある。
夜目が効いてきた瞳で室内を見渡せば、女子寮とは違い悠々自適に使える一人部屋のベッドの上にシーツを被った大きな物体が目に止まった。

「綾瀬?」

声を掛けると身体を震わせただけで返事をしないものの、どうして、という動揺が空気から感じられる。
姫椿は仕方なくベッドの上に上がり、そのシーツを取ろうと手を伸ばした時だった。

「触るな!!見るな!!」

怒号と一緒にシーツを強く引いて取る事を拒絶された。

「来るな……出てけ!!!」

威嚇して大きな声を出しているものの、シーツに包まっている時点で怖くも何ともない。

「誰に向かって口聞いてるの?」

わざととしか思えない強がりな言葉を聞き流し、姫椿の鋭く命じる声に怯んだ瞬間を見逃さず容赦なくシーツを剥ぎ取ると、隠れていた赤い瞳が困惑して揺れたまま視線が混ざり合う。
捕まえた、と言わんばかりに目を細めてみせれば綾瀬はもう視線を反らせない。

「く、……っ、」

悔しそうに口ごもる姿を見て、姫椿は静かに微笑んだ。

「どうしたの?」

慈愛に満ちた、とても優しい声だった。
言っても……いいのだろうかとすぐに気持ちが揺らぐ。
姫椿は、手を伸ばせば届く距離にいて下手すれば吐息まで届く距離で見つめ合っているのに自制してるのはいつも自分だけ。
欲しくて、欲しくて堪らない桃色の瞳が自分を見て微笑み掛けているのに、彼女からは俺に対する気持ちが全く感じられないのが歯痒かった。
抗いたい、振り回してやりたいと思っていても結局、姫椿の掌で転がされて終わる結末と知っているのに。

「は、話す事はない」
「何も?」
「ない!!」

意思が揺らがない様に顔を背けた。
俺の予期せぬ反応に言い返してこない優越感から、皮肉混じりの言葉が飛び出す。

「使役がないと、口を割らせる事すら出来ないくせに」

口をついて出た本音に自分で驚いた。
慌てて取り繕うとする意志の弱い口を噛み締め黙らせると姫椿のあっけらかんとした声が届いた。

「もう使わないよ?」
「…………え?」

自分でも情け無い位、小さくて弱々しい声が出た。

「な、なんで」
「何でって……綾瀬には必要ないから。それに見てたでしょう?あれはもう綺羅に使ってるの」 

ドクン、と心臓が跳ねた。
そうだ。真白の行方が気になってテラスに出た後に森で見た光景が今も目に焼きついている。
俺の身体を縛っていたものが徐々に無くなっていく喪失感は、お前なんてもう要らないと言われたような衝撃といきなり突き放された疎外感に苛まれ“使役”が解かれてから、どうやって部屋まで戻って来れたのかも曖昧だった。
何か黒くざわざわした力に支配されて……そうだ、自分の力を制御できなかったんだ。

「何人か殺した」

姫椿の表情が固くなる。

「急に解くから、制御出来なかった」

お前のせいだと伝わればいい。
俺の意志など関係なく残酷な事をやってのけた姫椿が今、凄く憎い。

「……必要なんだ」

憎いのに、求めてる。
矛盾した気持ちが苦しい。自分の希望が通らないのが目に見えているのが悔しくて、感情が昂ったあまり唐突に一粒だけ涙が落ちた。

「見るな」

無駄に伸ばしていた赤い長髪が、顔を背けるだけでカーテンの役割を果たしてくれる。
ようやく視界から姫椿が消えた事に安堵する間もなく、いきなり胸を押された綾瀬は簡単に押し倒されてしまった。

「なっ!?」

逃げない様に綾瀬の上に馬乗りになった姫椿は、驚く綾瀬の顔を両手に包み込んで、その意表をつかれた顔を不思議そうに眺めた。

「悲しいの?綾瀬」

あぁ、悲しい。

「どうして?」

俺だけに、して。

「ん?」

口が裂けても、言葉にしたくない。
でも優しく問い詰める声からは逃げられない。

「“使役”を………他の奴に使わないでほしい」

懇願する弱くて小さな声は、下手したら聞き逃してしまう程だった。
屈辱に歪む綾瀬の顔を見ながら姫椿は微笑んだ。

「無理」

この燃える様に赤い双眸に焼きつく様な酷い女に映っているといい。
綾瀬を傷つけるだけの私に早く見切りをつけて後腐れなく前に進んでほしい一心で淡々と突き放しに掛かった。

「魔力も渡した、使役も解いた……わかるでしょ?必要ないの」

私を見つめる赤い瞳が揺れている。

「あんたなんかいらない」

どこかで鍵が掛かる音がした。

「さよなら」

綾瀬は、自分の上から退こうとする姫椿の腕を強く掴んだ。

「椿っ!!」
「いい加減にしてよ。それ、私じゃない」
「お前だよ!姫椿の事だよ!!なんで!!?」

……何で覚えてないんだ?
ふと心に浮かんだ疑問が、過去の記憶を呼び起こしフィルムを巻き戻す勢いで遡る。
すると綾瀬の中で何か引っかかっていた疑問に対する答えが、昔、姫椿が婚約者として認められた時の親族内での会話の中にあった。

驚いた、双子というだけでも珍しいのに。
片割れにだけ能力が四つだと?
四つも?何て能力なんだ?
確か……

「“使役”、“変幻”、“施錠”、“開錠”」

綾瀬の独り言に戦慄する。綾瀬の口から出た単語は、“天狼”のボスと天狼専属医師にしか明かしていない姫椿が秘匿し続けてきたものだった。
それを言い当てたとなると……覚えていたのね?流石、元婚約者。
そして現役の“朱の大会”出場者だ、彼の記憶力を舐めていた。

「さっき鍵のかかる音がした。“施錠”、使ってるな?」

過去を遡りながらも、姫椿が動揺したのを綾瀬は見逃さなかった。
掴んだままの腕を強引に引き寄せ形勢逆転と言わんばかりに押し倒すと、逃げない様に覆い被さり頭の上で両手を拘束する。
びくともしない力量の差に驚いて不安そうに揺れる桃色の瞳を覗き込みながら問いただすが拒否して顔を背けたので容赦なく耳たぶを甘噛みする。
予期せぬ綾瀬の行動に、姫椿の身体がビクリと強張った。

「いっ!?」

痛くない。ただ擽ったくてゾワゾワする知らない感覚が突き上げてくるのが怖い。反射的に反対側へ顔を逸らしたが最後、同じ様に噛みつかれた。

「や、やだぁ!!」
「言えよ。一体、何を施錠してる?」
「あ、綾瀬に関係ない!!」

両耳を真っ赤にして、涙目で睨まれても綾瀬には効果がなかった。
探る様に顔を近づけ姫椿が固く閉じた唇を初めは啄む様に口づけ、息苦しさから開いた口に舌を捻じ込み強引に開かせる。

「ンーーー!!!」

非難がましい音を無視して行為を続行していると、姫椿に唇を噛まれた。
ブチッという聞いたことのない音と痛みに口づけを止めると姫椿の頬に滴る自分の血液が見える。
勝ち気に睨んでくる姫椿に未だかつてない位の低い声が出た。

「言わないと、続けるからな」

血の滲む唇で微笑み、逆らえる状況にない事を分からせる。
悔しそうに唇を噛み締めていた姫椿が、やがて観念した様に両眼を閉じて意識を集中させると姫椿の体内から光が反応を示し始め、光の玉となって胸元に現れ出たのは淡い光を帯びたウォード錠だった。
綾瀬が触れた途端に光は消え、鍵からはほんのりとした温かさも徐々に失われていった。

「これは?」
「……黎明の鍵!!」

綾瀬の拘束が取れた隙に、姫椿は身を捩る様にして起き上がり、ベッドの隅まで移動すると怒り任せに吐き捨てた。

「言っとくけど、南京錠がどこにあるのかなんて知らないから!!」
「南京錠……?」 
「あ、あ、あんたなんて大っ嫌い!!」

顔を真っ赤にして怒る姿を見つめていると、カシャン、とまた鍵の閉まる音がした。
黎明の鍵。そして行方不明の南京錠。
仮に、俺に対する気持ちを施錠していたととしたら?この音の説明もつくし、今までの姫椿の態度や反応の説明もつく気がした。

「嫌い!本っ当、大嫌い!!」

綾瀬は、姫椿が捨て台詞を吐くたびに鍵の音がするのを聞きながら試しに告げた。

「好きだよ」
「はぁぁ!?っ、き、嫌いだ!!もう絶交だ!!」

カシャン。

「……分かった」
「あ、あ、頭おかしいんじゃない!!?もう!知らない!!こっち来ないで!!」

思いつく限りの悪口を捨て台詞に、姫椿は逃げる様に綾瀬の部屋を後にした。
その後ろ姿を追うでもなく、まだ耳に残っている施錠の音を思い出しながら綾瀬は黎明の鍵に優しく口づけた。
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