蒼の箱庭

葎月壱人

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第二章

最悪の遭遇

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あの日も普段通りに学園を抜け出して、軽く周辺を散策して帰ってくるつもりでいた。
退屈な授業、規則正しい生活、集団行動、息苦しく思うものから解放される一人の時間は全てが自由で、ささやかな息抜きと誰もやった事がないスリルと冒険心がいつも綺羅を夢中にさせて、規則を破る罪悪感もこの頃には殆ど感じていなかった。
学園を囲んでいる壁の一部に一人だけ通れる穴を見つけてからは更に行動範囲を広げ、仮病を使って数日かけて林檎の国が陸の孤島である事を確認したり、ある時は壁に登って上から全体を確認したりもした。
そこで発見した事、見た事を真白に聞いてもらうのも楽しみの一つなのだが、学園以外の場所に人が生活している痕跡もなければ動物もあまり生息していないので毎回景色の話になってしまうけど、それでも楽しそうに聞いてくれるのが嬉しくて散策を止める事はしない。
秘密を共有している真白は止める様な事は言わず、いつ行くの?と逆に外に出る事を勧めてくる位に好奇心に満ちていた。
本当は二人で抜け出してみたいけど、危険が増すので誘いはしない。
真白もそれを理解してくれているので有り難かった。
だから偶然、学園の正門付近で立ち話をしている二人組を発見した時は、歓喜に震えたのを覚えている。
純粋な好奇心から、二人の会話が盗み聞こえる距離まで移動して茂みに身を隠し様子を伺う事にしたのが……今にして思えば、運の尽きだったのだろう。

「へぇー……ここが、そうなのねぇー」

大きな旅行鞄を山積みにし学園の正門を見上げるピンク色の髪を風になびかせる女性と、無表情で立ち尽くす白髪の青年。
明らかに学園の人間ではない二人の会話は不穏なもので耳を疑った。

「よーし!!じゃんじゃん出荷してお金儲けするぞー!!」
「……声が大きい」
「ちょっと!はーくん?ここで気合いを入れとかないでどうするの?」
「わかってる」
「本当にぃ?私達にはお金が必要なの。大金よ?研究の為でもあるし、はーくんの薬代だって馬鹿にならないんだからね?」

学園の入り口、黒光りしている鉄製の巨大な門の前に立ち、背後に控える青年に話しかける声は益々ヒートアップしていった。

「はーくんは生徒に紛れて粋のいい子を何人か見繕って頂戴。私は学園長としてこの学園を大々的に世界に告知する。沢山のお金持ちを呼んでぇ、実演式の競売会なんてどう?素敵でしょう?うふふっ」

綺羅は本能的に身の危険を感じ、その場を離れようとした時だった。
それまで黙って立ち尽くしていた青年が此方を見たのだ。
身体の体温が一気に下がっていくのを感じて硬直する。
しかし青年はそのまま何事も無かったかの様に、意気揚々と語っている女性が落ち着くのを待っていた。

あれ?気のせい?
そう安易に考えて安堵してしまったのがいけなかった。

「それにしても、この城壁は駄目ね。管理が行き届いてないわ。これじゃ私の商品が逃げちゃうと思わない?今みたく……ねぇ?」

ビクリと身体が震えた。
女と目が合っただけではなく、話し掛けられたのだ。
もう駄目だと悟り、綺羅は恐る恐る茂みから姿を現すと、女は嬉々として手を叩き出迎えた。

「まぁ!好青年!素敵っ!!」
「あの……貴方達は一体?」

問いかけを無視して綺羅の周りをくるくる回りながらはしゃぐ白椿と黙ったままの白馬を見るが、こちらも目を逸らされ無視された。

「でも残念……今の話聞かれちゃったわよね。生かしておけないわ」

谷間から真っ赤なタブレットを取り出す姿に、身の危険を感じて後退る。
青年は見て見ぬ振りをしているから、逃げるなら今だ。
恐怖で身体が動かなくなる前に、綺羅は走り出した。
ここから離れなきゃいけない、突き動かす気持ちはそれだけだった。

「あっ!!」

逃げる綺羅に気づくのが数秒遅れた白椿の声が聞こえる。
しかし追いかけてくる気配はなく、白馬も動く様子が全く無かった。
いける、そう確信して全力で振り切ろうとした時だった。

「えっ?」

自分の口から漏れた声に驚愕した。
地面を蹴っていた筈の足が空を蹴り、地面にのめり込む様に倒れた。
全身の血液が沸騰しているかの様に熱い。

「いい加減、その胡散臭い粉を振りまくのやめろ」
「あらやだ!即効性の痺れ粉よ?効果的面!さてさて。何が出るかな?何が出るかなぁ??はい、あーん?」

髪を鷲掴みにされ、手に持っていた赤いタブレットから取り出した錠剤を口の中に一粒、放り込まれると下顎を強制的に閉じられ喉仏が上下したのを見届けてから離される。
綺羅は直後から激しい頭痛に掻き回されている感覚に全身を襲われ動けなくなったのを最後に、ブツンと意識が途切れて気を失った。

再び意識を取り戻した時に聞こえた白椿の残念がる声は、耳障りな程よく聞こえた。

「本当はもっと可愛いのにしたかったのに……」

何を分からない事を言ってるんだ、そう思っても声が出ない。
代わりに出たのは獣の様な、ブルルっと震える鼻息だった。
手を動かした筈なのに、前脚が地面を蹴る。

……前脚?

「まぁ、馬も使い勝手があるからいいわよね!想像してみてよ、はーくん!さっきの可愛い子に跨がるなんてゾクゾクしちゃう!!」

変態極まりない発言すら最早、綺羅には届いて無かった。
馬?馬ってなんだ。
混乱のあまり暴れだした綺羅の四肢に触れて落ち着かせようと試みた白椿を振り被ると、短い悲鳴と共に尻もちをついた。
それを介抱する白馬が視界に入った途端、心は決まった。

とにかく、逃げよう。
綺羅は意識をそれだけに集中させて、がむしゃらに走った。

「あーーーーん!!!」

悔しそうに嘆く白椿の声を聞きながら、振り向く余裕すらなく綺羅は学園から逃げ出した。


「……っと、まぁ、うん。こんな感じです」

伏目がちに経緯を話し終えた綺羅は、最後ぎこちなく笑った。

「その後は本当に、色々と運が良かったんだ。林檎の国は陸の孤島だから脱出は無理だって思ってたら実は干潮時にだけ陸地が対岸まで細々と出現しててね。距離はかなりあったけど人間の時より脚が速いから成功したんだ」

その道すがら林檎の国へ潜入調査をしに来ていた姫椿達と出会い、“天狼”本拠地まで行けた部分は伏せて強制的に話を終わらせる。
口を結んだまま耳を傾けている真白の反応を見る勇気が持てないまま沈黙を持て余していると短く鼻を啜る音が聞こえて綺羅は顔を上げた。

「え、ま、真白?」

狼狽する綺羅に真白は小さく手を振って大丈夫だと合図したつもりが、近寄るなと拒絶の意味に捉えた綺羅の顔がみるみる青くなっていく。

「ごめん、気味が悪いよな。馬になる人間なんて……ごめん、怖がらせるつもりはなかったんだ」
「ち、違う!怖いとかじゃない!!怖くないよ!!」

真白は申し訳なさそうにしている綺羅の傍に駆け寄って、その手を握り締めた。
自分の手より一回り大きくて冷たい手は緊張した様に固まったまま動かない。

「謝るのは私の方よ。綺羅は何回も助けてくれたのに……」

真白は、溢れ出た涙をそのままに続けた。

「私、ずっと誤解してた。綺羅がいなくなったのは愛想尽かされたからだって思い込んで勝手に傷ついてた自分が恥ずかしい。それだけじゃない、綺羅が突然いなくなって凄いショックだったのに……こうして会うまで忘れてたの。今もまだ頭の中が靄かかっていて、何か忘れているのかもしれない。薄情でしょう?私、自分が許せない」

無理もない、そう口をついて出ようとした言葉を綺羅はそっと飲み込んだ。
学園に住まう者全員が薬漬けにされている状態では記憶の操作も造作ない事だろう。上手い具合に学園に馴染んでいる姫椿達や白馬を見ても強力な力が働いていると疑っていい。
真白が気に病む事じゃないと分かっているから、綺羅は繋がれたままの手をそっと握り返した。

「相変わらず、泣き虫だなぁ」
「綺羅」
「ん?」
「こんな私を助けてくれて、ありがとう。背中の痣、痛い?」
「大丈夫だよ。真白が無事で良かった」

綺羅の朗らかな笑顔を見て、今度はこの笑顔をずっと覚えていたいと思った。
優しくて頼もしくもあり、いつも傍で支えてくれる人。
忘れたくなくて繋いだままの手に力を込めると、同じくらいの力で握り返され笑ってしまった。

「真白はさ、今も外に出たい?」

唐突な質問に、答えを躊躇う。

「……今は怖い」

“朱の大会”は、非公開の大会なので勝手に体育祭や文化祭の様なものだと想像していた真白は、目前に迫った大会に恐怖すら感じていた。
仮面をつけた知らない人達の好奇に満ちた瞳。
学園にいた頃とは明らかに変わってしまった雪乃も、あんなに近くにいた白馬ですら遠い存在みたい。
知らなかった事、忘れている事、そんな不確定要素が常に蠢いて、着実に自分をも飲み込もうとしている未来が息を潜めている。
どうしてこんな事になったんだろうという後悔までもが加わり、計り知れない位に大きな恐怖になってしまった。
外の世界に出てみたいって夢を抱いただけなのに、その夢自体が悪いことにしか思えなくなった今、もう何処にも救いを見出せない。
俯く真白の額に綺羅は自分の額を軽く当てた。

「諦めないで、真白」

綺羅の声に顔を上げると、金色の瞳と目が合う。

「怖くないよ。大丈夫」

欲しかった言葉がどんどん自分の中に流れてきて、また目頭が熱くなった。

「………うん!」

本当は、お礼を言いたかったけど声が震えて上手く伝えられないから、ありったけの元気で返事をした。
その時、ブツッという部屋に似つかわしくない機械音に続いて天井に埋め込まれたスピーカーから軽快なノリでアナウンスが入る。

“ピンポンパンポーン♪はぁい、みんなー?元気ぃぃぃ?おっはようございまーす!今から“朱の大会”を始めるよーん!皆のお部屋の前にスタッフを待機させてるからぁ……はーくん、雪乃ちゃん、きーくん、真白ちゃんの4名は私のお部屋まで、き・て・ね??プププッ!!”

いつ聞いても楽しそうな学園長の声に、真白は首を傾げた。

「きーくん?きーくんって綺羅の事よね?……あれ?王李は?」

真白の口から出た知らない名前に、今度は綺羅が反応を示した。
昔から難しい問題を解いている時にだけ口を尖らせ眉を顰める真白特有の癖が出ている真白を見て懐かしく思いながら聞き返す。

「王李?」
「あ、姫とよく一緒にいる赤髪の男の子の事。うちのクラスのムードメーカーで頼れるお兄ちゃんみたいな。気さくだから綺羅も仲良くなれると思うよ!私と同じ大会出場者なんだけど今の放送で名前呼ばれてなかったから、どうしたんだろう?って……き、綺羅?」
「行かなきゃ。嫌な予感がする」

話の途中にも関わらず、いつになく真面目な顔をして黒の上着を羽織る綺羅に真白は慌ててついて行った。
急いで部屋を出ようとした綺羅が急に立ち止まったせいで、その背中に顔からぶつかってよろけた真白が尻餅をつく前に、綺羅は咄嗟に腕を掴む。

「ごめん、真白」
「ううん。大丈夫……どうしたの?」

鼻の頭を触りながら尋ねると、神妙な面持ちの綺羅に問われた。

「真白、行ける?」

真っ直ぐに問われた質問と、綺羅の背中越しに見える扉を見やる。
自分達の気配を廊下に控えているスタッフも感じたらしく控え目にコンコン、とノック音がした。放送にもあった通り、迎えが来ているのだろう。

「私は……」

怖いか怖くないかと聞かれたら、まだ怖い。
この先に進めば、知りたくなかった事を知る事になるかもしれない。
また傷つくかもしれない。
でも、後戻り出来ない事も逃げ道もないと分かっている。

「行く」

綺羅は優しい。
今も昔も、無理強いはしないで私の気持ちを尊重してくれる。
改めて見る漆黒のコートを見に纏った綺羅の姿は大人びて見えて、離れてる間に変わってしまったんだと勝手に落ち込んで、近くに居るのに離れているみたいで怖くなってた。
今も置いてかれない様に必死について行ってたけど、立ち止まって私を気にかけてくれる綺羅の中に変わらない部分がある事に気づけて嬉しいし、綺羅の優しさを覚えている自分にも安心した。
だから、大丈夫。

「行けるよ」

答えながらポケットに押し込んだままにしていた朱色のリボンを取り出して、急ぎ手櫛で髪型を整える。
ポンパドールは私のトレードマーク。お気に入りの朱色のリボンをつけた真白は大きく深呼吸をしてから綺羅の手を取った。

「行こう!」





学園長の放送を聞きながら、雪乃は目を覚ました。

あれ?私……
記憶が曖昧を通り越して、ごっそり無い。
思い出そうにも手掛かりも何もなくて、何故ベッドに横たわっているのか?とか何も身につけていない身体に当たるシーツの肌触りがやけに生々しい。
ふと、ベッドが軋む音と腰を掛けた拍子に少し沈んだマットの感覚に顔を上げる。

「は、白馬くん!?」

シーツを引き寄せ上半身を隠しながら、気遣わしげに笑みを返す白馬に、雪乃の心臓が大きく跳ねた。

「おはよう。寝起きで悪いが、呼び出しだ。行けるか?」
「あ、うん。今、支度を……」
「ゆっくりでいいよ」

優しい声音は、いつも真白にだけ向けられていたものだ。
視線も態度も今は私に向けられているなんて、これは夢?

「ね、ねぇ、白馬くん?」

確かめたい。けど怖い。
言葉が上手く続かずに途切れてしまっても白馬は気にした様子もなく言葉の続きを待ってくれている。

「私達って……」

言い淀む雪乃が無意識に白馬を見た時に、ばちっと目が合った。
自分の顔がどんどん熱くなるのを感じながら逸らすことが出来ずに見つめ合っていると、白馬が笑う。

「覚えてない?」
「あ、その……」

やっぱり、私達、結ばれたんだわ。
ようやく結論に達した雪乃は、ベッドから立ち上がろうとしている白馬の腕を掴む。

「白馬くん……!私、今、幸せよ。ありがとう。愛してる。ご、ごめんなさい。気持ちが溢れてしまって……き、着替えたいから別の部屋で待ってて?」

そっと離された腕を上げ、照れる雪乃の頬に触れると、くすぐったいのか少し身を捩った後は白馬にされるままとなった。
むしろ白馬の手に寄りかかる様に顔を傾ける雪乃に笑みを残して、そっと部屋を出る。

パタンと静かに閉められた扉を見つめながら、幸せ過ぎす余韻に自分の身体を抱きしめた。
あの子に勝った。
それだけが雪乃の気持ちを満遍なく満たしていた。

「……………はぁ」

閉めた扉に取り掛り、白馬は小さな溜息を吐いた。
勝手に勘違いしてるのは雪乃であって、そう仕向けたのは白椿だ。
商品に手を出す訳がないだろう、と言いたい気持ちを堪えたまま天を仰ぐ。

ついに始まる“朱の大会”。
再び会うだろう真白の事を考えても、先の事なんて何も想像出来なかった。

進むしかない。
今までも、これからも。
俺は自分の道を行くだけだ。
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