蒼の箱庭

葎月壱人

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第三章

思い出した記憶

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目を開けた途端に飛び込んで来た光景はデジャヴかと思った。
遠ざかる空と地面に吸い寄せられていく身体に耳を劈く風の音も風の強さで上手く呼吸が出来なくて苦しいのも全部、昨日体験したものに似ているけれど、そうじゃない。
この時の私は命が尽きる事に対しての歓喜に満たされていた。
私の全てが今終わる。あぁ、やっと自由になれる!と。
落下しながら、それまでの記憶が走馬灯の様に流れ込んできて、欠けていたパズルのピースがはまる度に心が重い。

痛い、苦しい、悲しい、孤独な時間の数々。

嬉しい記憶が一つもなくて目頭が熱くなった。
これが私?と疑ってしまう位、当時の私は独りだった。

いつから?
いつからこうなってしまったの?
原因もきっかけになる出来事も検討がつかない。
夜が明け朝が来るように、唐突に日々のサイクルの中に無視が加わった。
それが形を変え、いじめに進化していくのに時間は掛からなかった。
クラスメイトの視線、陰口に精神を擦り減らし疑心暗鬼の毎日。
昼休みや授業の合間にある休憩時間はひたすら逃げていた。
人が居ない所を求めて行き着いたのは図書室だった為、時間がある時は本を読んでいた。
そんな時、出会ったのが綺羅だ。

「これ、面白いよ」

突然話しかけられた時は心臓が飛び出る位、驚いた。

「き、綺羅っ!?」

腐れ縁に近い幼馴染の登場を予期してなかったから、自分が借りた本の上に置かれた綺羅お勧めの本を交互に見つめた後、反射的に逃げるように立ち去った。
バクバク鳴る心臓を抑えながら、ふと胸に抱いていた本がやたらに分厚いなと思ったら咄嗟に持ってきてしまった勧められた本。
奪う形になってしまったのが後ろめたくて、関わりをなくす為にもその日のうちに読破した。

次の日。
誰もいない事を確認して再び図書室に行くと、図書室のカウンターの内側で一人本を読む綺羅の姿があった。
カウンター越しに対峙すると人の気配を感じたのか綺羅が顔を上げる。

「真白。昨日の面白かった?」

泣きたくなる位、胸が締めつけられる。
名前を呼ばれたのはいつぶり?クラスが違うから、いつの間にか言葉を交わす事すら無くなって疎遠になった私の事を覚えててくれた人がいるなんて。
自分と一緒にいたら綺羅に迷惑をかけてしまうと分かっていたのに、誰もいないこの場所なら平気かもしれないと安易に考えてしまう位、人が恋しくて綺羅の優しさに甘えて、それから図書室で幾度となく言葉を交わすようになった。

しかし、そんな楽しい日も長くは続かなかった。
綺羅が突然、来なくなったのだ。
寮にも帰ってないらしい。本当に何処にもいない……
神隠しにでもあったみたいだと根も葉もない噂でクラスは持ちきりだった。

そんな時、誰かが言ったのだ。

“真白なんかと仲良くしてたからよ”って。

“いつも一人でいた癖に最近、綺羅くんに馴れ馴れしかった”

“呪われたんじゃない?”

“えぇ、怖い!私達の綺羅くんを返して”

“てか、あいつ誰?”

“疫病神、近づくのは止めといた方がいい”

口々に囁かれる声は、まるで綺羅を誘拐した犯人と決めつけんばかりのもので格好の的になってしまった。
嫌がらせはどんどんエスカレートして逃げる間もなく絡めとる様に色々な嫌がらせを受け続けた。
教師に相談しても意味がない。
クラスの人間は教師のいる前では表面的に取り繕った演技をして巧妙且つ陰湿だった。
そしてついにプツッと真白の心は潰れたのだ。

そうだ、私が居なくなればいい。
そしたらこんな思いをしなくて済む。
もう、いい。
終わりにしようと決意した途端、すっと心が軽くなった。

そしてついに決行した。
学園の中でも一番高い場所からの投身自殺を。
全部思い出した真白の耳に、ふと聴き覚えのある声がした。

「鴇色」

空を割る位、重厚感のある声量。
落下していた真白の身体を覆う淡くオレンジがかったものに近いピンク色が球状を整形した後、落下がピタリと止まる。
暖かい球状の中にいるのに、どんどん気持ちは冷めていく。
どうすることもできずにそのまま、ゆっくりと身体を水平に寝かされ地面に下ろされた時には、もう絶望しかなかった。
悔しくて両手で顔を覆い隠しながら泣いていると、力強く腕を引っ張られ間髪入れずに頬を叩かれた。
熱を持った頬を抑えながら、真白も反射的に拳を振るう。
ゴツッと鈍い音と共に、自分が殴っているのが男性であることと、思っていた以上に相手の頬にのめり込んだ拳に持てる怒り全てが篭った感触を覚えた。
それでも収まり所を知らない込み上げる思いが爆発する。

「ふざけるな!!!私は、死にたかったのに!!」
「捨てる命なら、俺が貰う」
「……は?」

殴られた頬を擦りながら宣告する綾瀬に、真白は脱力して膝から崩れ落ちた。
今までの私を見せてやれないのが悔しい。
こんな人間、いない方がいいのに……どうしてわかってくれないの?

「見事なストレートだった」

馬鹿にしてる風でもなく褒められてしまい、俯いていた顔を上げる。

「俺が窮地の時は、頼む」

真顔で言いながら差し出された手を、真白は取ることが出来なかった。
人から頼りにされた事など久しくなかったのに、心がちょっとだけ暖かくなった自分に驚いたから。
生きていく理由を貰えただけでこんなにも生きたいと思えるなんて、心が震える。
頬を伝う涙が熱くて、真白は子供みたいに泣きじゃくった。

わんわん泣く真白にどう接していいか分からず右往左往する綾瀬の後ろから、ひょっこり顔を覗かせた姫椿は、悪戯っぽい笑みを携えて自分が来た事によって少なからず安堵した顔を見せた綾瀬を冷やかした。

「あらあら?珍しくすっ飛んで行ったと思ったら、女の子泣かせてる?」
「…………違う」
「違うの?あれ?ほっぺ真っ赤だよ?」

ぶっきらぼうに答える綾瀬の頬を人差し指で軽く突くと、耳まで真っ赤にして顔を背けられてしまった。
普段、人形みたいに無関心無反応だった人の珍しい姿を微笑ましく思いながら今だに泣き続けている真白の傍へ行き、そっと背中を撫でる。

「大丈夫?ごめんね?あの人、怖いよね」

非難がましい綾瀬の視線を感じつつ、姫椿は真白にハンカチを差し出した。

「でも、優しい人だから嫌いにならないであげてね?って、何があったか知らないんだけど……落ち着いてからでいいから教えてくれるかな?うん、今はいいよ、大丈夫、大丈夫」

ハンカチを受け取る余裕すらなく延々と泣き続ける真白が落ち着くまで姫椿は隣に腰掛け、震える肩をそっと抱きしめた。
徐々に声を押し殺そうと躍起になるむせび泣く泣き方から啜り泣く泣き方へと変わっていく過程の中で、少しでも気が紛れればと始めた姫椿の口ずさむ歌だけが静かに時を流す。
どのくらいそうして居ただろうか?誰も時間を気にした風もなく、ゆっくりと続く優しい空間にそろそろ眠気が襲ってき始めた時だった。

「……ありがとう」

お礼を告げながら姫椿から離れ、姫椿と綾瀬に向き合う形を取りながら真白は頭を下げた。
気恥ずかしいのか視線が合う事はないものの泣き腫らした表情は、憑き物が落ちた様にスッキリとして見える。
姫椿は、どういたしましてと答える代わりに真白の頭を撫でて微笑んだ。

「私は、姫椿。彼は綾瀬。貴女は?」
「真白です」
「真白、よろしくね!!」

強引に真白の両手を取り握手する姫椿の勢いに押されていると此方を睨む綾瀬の視線に気がついた。
叩かれヒリヒリする頬の痛みは命を粗末にした事に対する咎めであり、綾瀬の頬を赤く腫らしているビンタの跡を見ながらぐっと口を噤む。
殴った事は謝らない。あれは私の気持ちの現れであり、あの時は確かに死を意識していたから。
……でも今は、もう自分の命じゃない。この人達に預けた物だと思った途端、飛び降りる前とは少し違った気持ちの軽さが生まれていた。

「どうぞ、使ってください。もう預けた命を自ら捨てる事はしません」
「ん?!?何!?ど、どういう事っ!?」

困惑した声を上げながら、首が限界を迎えるまで捻り背後に立っていた綾瀬を見る。

「所有物」
「はぁ?やめなさいよ物扱い!!言い方!!」
「……っ、家族」

綾瀬が少し考えた後、訂正した単語に今度は真白が目を丸くした。

「えぇ!?」
「なるほどね?つまり一人娘が爆誕したと」
「いや、え!?えぇ!?」

それもどうかと考え直して欲しくて綾瀬を見ると、本人も自分で言ってて恥ずかしかったのか顔を背けられた。
冷やかしなのか本気なのか真意を測りきれずに改めて二人を観察する。
黒い軍服に身を包んだ奇抜な赤髪と桃色の男女二人は明らかに学園の人間ではない筈なのに、姫椿だけ既視感があった。

「あっ。もしかして学園長ですか?」

新しく着任した学園長を思い出して、きちんとした姿勢に座り直す真白を慌てて制止しながら姫椿は笑った。

「違うよぉー。でも私と同じ顔がこの学園にいるでしょ?実はそれ私の双子の姉なの。そっか。本当に居るのね、此処に」

穏やかな表情の中に少しだけ悲しみが隠されている空気を感じる物言いに、真白は綾瀬を見た。
すると綾瀬の方は訝しむ様に険しい表情のまま学園がある方向を睨み据えていて、とても声を掛けられる雰囲気ではなかったが唐突に綾瀬が切り出した話題に今度は姫椿があからさまに嫌そうな顔をし始めた。

「俺も行く」
「……またその話?平行線のまま一体何日無駄にしてると思ってるの?いい加減にして。綾瀬は待機、これ決定」
「嫌だ。俺も行く」
「もーーー!!」

何やら揉め始めた二人に挟まれ、おどおどしていると綾瀬に頭を鷲掴みにされた。

「真白は俺の味方」
「え!?」
「ちょっ!!ズルい!駄目よ、真白!!耳を貸しちゃ駄目!!」
「えぇぇぇ……」

味方といいながら人質をとる様に背後から腕を回され、軽く首を絞められそうになる真白を救い出そうと手を伸ばす姫椿から、綾瀬は真白を抱き抱えると何度も遠ざける様に距離を取り逃げ出した。
暫く続いた追いかけっこに観念した姫椿の声が響く。

「わかった。わかりました!単独潜入速攻決着組織最速任務遂行作戦は諦めます。長期任務へとプラン変更。真白を含めた学園内全員の記憶に、私と綾瀬の存在を植え付けて生徒として学園へ忍び込む……で、どうよ!?」
「そんだけ大きな事やってのける力があるのか?」
「あるわ」

そう言いながら姫椿は懐から1枚のタロットカードを取り出し、空へ投げた。

「正位置の愚者、発動」

姫椿の声掛けに答えるように、カードが眩い光を宿した後に強烈な光を放った。
あまりの眩しさに真白が目を閉じると姫椿に耳打ちされる。

「真白。光が消えるまでに、なりたかった自分を想像してて」

なりたかった……自分?
そうだな、明るくて何事にも前向きで友達もいる“普通”の時を過ごす自分がいい。

すると突然、身体の内側からポカポカした暖かさが全身に駆け巡る。
春風に顔を撫でられた時に似た風が一気に吹き抜け、名残惜しく追いかける様にそっと目を開けた。

「……っ何だ、これ!!」

目に見える変化に困惑したその声は幼さを含み、腰まで伸ばしていた赤い長髪は短髪へと変わり、七色のピンでヘアバンドの様に前髪を満遍なく止めた綾瀬の容姿に姫椿はケタケタ笑い出した。
笑っている姫椿も綺麗な大人女子から真白と同年代のおさげ頭の女の子に変幻している。

「可愛いよ、王李」
「…………王李だぁ?」
「馬鹿ね、潜入捜査する時の偽名よ、偽名!」
「……………はぁ?」
「それより見て!?私の、このナイスバディ!!ぷにぷに!ぽよぽよ!」
「何、下らないことに力を使い果たしてんだよ」
「せっかく若返るんだから色々カスタマイズ必要でしょ!!暫くお世話になる身体なんだから!!」

目の前で繰り広げられる壮絶な掛け合いに、なかなか口を挟むことが出来ず途方に暮れていた真白に姫椿は向き直った。

「真白!改めて、よろしくね!ほらほら王李も!円陣組むよー!えいえいおーー!」

半ば強引に王李の手を掴んだ姫椿に促されるまま真白も手を取った時にカチリと何かが閉じる音がした。
姫椿を中心にしてそれぞれ握った手から先程の光が王李と真白の体内に走り、胸の中心に発動中のタロットカードが輝いているのを密かに確認した姫椿は、満足そうに微笑んだ。

二人に内緒で、あの時から姫椿は自分の器を超える魔力を自分の命を削る事で幾らか補いつつ使い続けている。
真白の未来を少しでも明るい物にする為に。
感情の起伏を失った綾瀬がもう一度、気持ちを取り戻せる様に。
それが姫椿の切なる願いでもあった。

“そっか、そうだったんだね”

自分の記憶から離れていく意識の中で、真白はゆっくりと目を閉じた。
魔法を理解した今だからこそ分かる姫椿の優しさに包まれた幸せな日常。

私達はこの学園で生まれ育った仲間。
この後すぐに転校してきた白馬とも意気投合して、本当に楽しい……理想としていた学園生活を送る事が出来た。夢も持てた。
でもそれは、都合よく過去を忘れた上に築いていた偽りの日々。偽りの自分。
そして思い出した弱い自分。

全てを思い出した真白の中に込み上げてくる、この感情が何なのか……すぐに言葉にする事はできなかった。
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