[完結]夢わたる恋模様

深山ナオ

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第二章 如月さんとの協力関係

明希と練習!

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 うちの学校には生徒が自由に使っていい屋外のバスケットコートがある。

 土曜の昼下がり。
 
 体操服に着替えた僕と明希はそのコートで向かい合う。
 忙しなく響く運動部の掛け声や管弦楽団の練習の音。
 そこにバスケットボールの重低音が混じる。

「お兄ちゃん、いくよっ!」
「ああ。いつでも来いっ!」

 唐突に始まった明希とのワン・オン・ワン。
 ドリブルの手付きを見るに明希は――あんまり得意じゃなさそう。
 僕にバスケの経験は無いが、正直、手を伸ばせば簡単にボールを取れてしまいそうだ。
 けれど、それだとあっさり終わってしまう。

 僕は明希の侵攻を阻むだけに専念することにした。

 小柄な明希は栗毛を揺らしながらフェイントらしき動作を入れて、僕を抜く機会を窺っている。
 一生懸命で微笑ましいその動作に対応しながら、明希の進路を塞ぐ。
 そのまま数十秒経過するが、状況は膠着こうちゃく
 というか……。

「はあっ、はあっ……」

 明希の呼吸が次第に乱れていき……。

「も、もう……むりぃ……」

 僕を抜けないまま、明希はシュートを放つ。
 明らかに勢いが足りない。ボールはゴールの遥か手前で力無く落ちていった。
 それを見届けるや否や、膝に手を着き、顔を伏せる明希。

「ぜえ、ぜえ……ちょっと、休憩……」 
「……」

 ばてるのめっちゃ早いな!
 明希が運動をしているところは初めて見たが、どうやらあまり得意ではないようだ。
 
 まあ、それは仕方ないのかもしれない。

 小学生の頃――僕が明希と合っていた一時期、彼女は入院中だった。その頃の明希は体が弱く、入院生活は長かったようだ。
 そんな明希だけど、最後には完治し、明希の退院をもってして、僕たちの接点は一度途切れた。

 そのことを考えると、運動は不得手で当たり前。
 むしろ、こうやって元気に動き回っているだけで幸福なことなのだと思う。

 明希の呼吸が落ち着いたら練習を再開しよう。
 まずはドリブルからだな。
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