[完結]ドジな魔女っ娘に間違って異世界召喚されました。

深山ナオ

文字の大きさ
上 下
8 / 31

第七話 洞窟の悪魔 前編 

しおりを挟む
 材料集め2日目。今日は北にある洞窟へ向かいます。
 目的は洞窟の奥にある聖水です。
 洞窟には悪魔が住んでいるという噂があるらしいので行くのが少し億劫ですが、あくまで噂話。きっと大丈夫です。
 通り慣れた森を抜けて、目的の洞窟に辿り着きました。
 垂直に切り立った岸壁。そこにぽっかりと開いた大きな入り口。
 日差しが照らす入り口付近は、人の手の入っていないゴツゴツとした足場と壁になっていて、奥は暗闇で満たされています。
 真っ暗だと怖いし危ないので、灯りをともしましょう。
 わたしはリュックの中から小さな黒い箱を取り出して手のひらにのせます。
 箱に意識を集中させて魔力を注ぎ込んでいくと、箱にひびが入っていき中から光が漏れ出してきます。
 そのまま魔力を込めていくと箱が割れ、中から光の粒がたくさん出てきて、わたしの周囲にどんどん広がりました。
 わたしを中心とした半径2メートル程を照らす光の粒は、ホタルのように浮かんでいます。
 この箱は先生が作ってくれた使い切りのマジックアイテムで、魔力を込めることで起動して周囲を照らしてくれるというものです。
 これで準備オーケー。意を決して洞窟の中へと入っていきます。
 しんとした洞窟の中、わたしの足音だけがコツコツと響き渡っています。一本道なので、道なりに進みます。最初は広い道幅でしたが、だんだん狭くなっていき、今では人ひとり通るのがやっとの幅です。
 足場の悪い道を転ばないように慎重に進んでいくと、分かれ道に突き当たりました。右か左か、どちらに進みましょう?
 うーん……。
 どちらを見ても先は真っ暗で、どっちに聖水があるのかなんて分かりません。直感で右を選んで進みます。
 道は依然として狭い一本道。曲がりくねった道をゆっくりと進んでいきます。

 しばらく進んだときのことです。奥からうめき声のようなものが聞こえてきました。まさか、噂の悪魔の声でしょうか。
 恐る恐る、声のする方へ歩みを進めます。
 呻き声にかなり近づいたところで、少し広い空間に出ました。

「あっ、あのっ……誰かいるんですか?」

 わたしの声が洞窟に数回反響して、奥へと消えていきます。
 すると……。

「んー、んんーーっ」

 わたしの声に答えるように、くぐもった呻き声が正面やや左から聞こえてきました。
 わたしは早足で声のした方へと向かいます。
 すると、そこには男の子が倒れていたのです。
 
 

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

いい子ちゃんなんて嫌いだわ

F.conoe
ファンタジー
異世界召喚され、聖女として厚遇されたが 聖女じゃなかったと手のひら返しをされた。 おまけだと思われていたあの子が聖女だという。いい子で優しい聖女さま。 どうしてあなたは、もっと早く名乗らなかったの。 それが優しさだと思ったの?

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

魔王は貯金で世界を変える

らる鳥
ファンタジー
 人間と魔族の争う世界に、新たな魔王が降り立った。  けれどもその魔王に、魔族の女神より与えられしギフトは『貯金』。 「母様、流石に此れはなかろうよ……」  思わず自分を派遣した神に愚痴る魔王だったが、実はそのギフトには途轍もない力が……。  この小説は、小説家になろう様でも投稿しています。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...