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第七話 洞窟の悪魔 前編
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材料集め2日目。今日は北にある洞窟へ向かいます。
目的は洞窟の奥にある聖水です。
洞窟には悪魔が住んでいるという噂があるらしいので行くのが少し億劫ですが、あくまで噂話。きっと大丈夫です。
通り慣れた森を抜けて、目的の洞窟に辿り着きました。
垂直に切り立った岸壁。そこにぽっかりと開いた大きな入り口。
日差しが照らす入り口付近は、人の手の入っていないゴツゴツとした足場と壁になっていて、奥は暗闇で満たされています。
真っ暗だと怖いし危ないので、灯りをともしましょう。
わたしはリュックの中から小さな黒い箱を取り出して手のひらにのせます。
箱に意識を集中させて魔力を注ぎ込んでいくと、箱にひびが入っていき中から光が漏れ出してきます。
そのまま魔力を込めていくと箱が割れ、中から光の粒がたくさん出てきて、わたしの周囲にどんどん広がりました。
わたしを中心とした半径2メートル程を照らす光の粒は、ホタルのように浮かんでいます。
この箱は先生が作ってくれた使い切りのマジックアイテムで、魔力を込めることで起動して周囲を照らしてくれるというものです。
これで準備オーケー。意を決して洞窟の中へと入っていきます。
しんとした洞窟の中、わたしの足音だけがコツコツと響き渡っています。一本道なので、道なりに進みます。最初は広い道幅でしたが、だんだん狭くなっていき、今では人ひとり通るのがやっとの幅です。
足場の悪い道を転ばないように慎重に進んでいくと、分かれ道に突き当たりました。右か左か、どちらに進みましょう?
うーん……。
どちらを見ても先は真っ暗で、どっちに聖水があるのかなんて分かりません。直感で右を選んで進みます。
道は依然として狭い一本道。曲がりくねった道をゆっくりと進んでいきます。
しばらく進んだときのことです。奥からうめき声のようなものが聞こえてきました。まさか、噂の悪魔の声でしょうか。
恐る恐る、声のする方へ歩みを進めます。
呻き声にかなり近づいたところで、少し広い空間に出ました。
「あっ、あのっ……誰かいるんですか?」
わたしの声が洞窟に数回反響して、奥へと消えていきます。
すると……。
「んー、んんーーっ」
わたしの声に答えるように、くぐもった呻き声が正面やや左から聞こえてきました。
わたしは早足で声のした方へと向かいます。
すると、そこには男の子が倒れていたのです。
目的は洞窟の奥にある聖水です。
洞窟には悪魔が住んでいるという噂があるらしいので行くのが少し億劫ですが、あくまで噂話。きっと大丈夫です。
通り慣れた森を抜けて、目的の洞窟に辿り着きました。
垂直に切り立った岸壁。そこにぽっかりと開いた大きな入り口。
日差しが照らす入り口付近は、人の手の入っていないゴツゴツとした足場と壁になっていて、奥は暗闇で満たされています。
真っ暗だと怖いし危ないので、灯りをともしましょう。
わたしはリュックの中から小さな黒い箱を取り出して手のひらにのせます。
箱に意識を集中させて魔力を注ぎ込んでいくと、箱にひびが入っていき中から光が漏れ出してきます。
そのまま魔力を込めていくと箱が割れ、中から光の粒がたくさん出てきて、わたしの周囲にどんどん広がりました。
わたしを中心とした半径2メートル程を照らす光の粒は、ホタルのように浮かんでいます。
この箱は先生が作ってくれた使い切りのマジックアイテムで、魔力を込めることで起動して周囲を照らしてくれるというものです。
これで準備オーケー。意を決して洞窟の中へと入っていきます。
しんとした洞窟の中、わたしの足音だけがコツコツと響き渡っています。一本道なので、道なりに進みます。最初は広い道幅でしたが、だんだん狭くなっていき、今では人ひとり通るのがやっとの幅です。
足場の悪い道を転ばないように慎重に進んでいくと、分かれ道に突き当たりました。右か左か、どちらに進みましょう?
うーん……。
どちらを見ても先は真っ暗で、どっちに聖水があるのかなんて分かりません。直感で右を選んで進みます。
道は依然として狭い一本道。曲がりくねった道をゆっくりと進んでいきます。
しばらく進んだときのことです。奥からうめき声のようなものが聞こえてきました。まさか、噂の悪魔の声でしょうか。
恐る恐る、声のする方へ歩みを進めます。
呻き声にかなり近づいたところで、少し広い空間に出ました。
「あっ、あのっ……誰かいるんですか?」
わたしの声が洞窟に数回反響して、奥へと消えていきます。
すると……。
「んー、んんーーっ」
わたしの声に答えるように、くぐもった呻き声が正面やや左から聞こえてきました。
わたしは早足で声のした方へと向かいます。
すると、そこには男の子が倒れていたのです。
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