[完結]ナナシズswitch

深山ナオ

文字の大きさ
上 下
14 / 14

14 エピローグなんだ

しおりを挟む
「ナナはこれがいいと思うんだ」

 そう言って、短めのキュロットスカートを静流に差し出した。
 夏休み初日の午後三時。ナナは静流と一緒に買い物に来ていた。

「……。もっと長いのにした方がよくない?」

 受け取ったスカートを自分の腰に当てて、静流が不安そうに訊いてくる。

「静流、長いのはいっぱい持ってたんだ。ナナはそのくらいの方が静流の長い脚に合うと思うんだ!」
「……そうかしら?」
「絶対なんだ! いいから早く着てみるんだ!」

 半ば強引に静流を試着室に押し込む。

 それを履いて試着室から出てきた静流は、少し頬が緩んでいた。

「バッチリなんだ! 彼氏も大喜びなんだ!」
「彼氏はいないけどね」

 静流は入念にスカートをチェックして、最後には購入した。

 そして、帰り道。
 なんでもない会話の最中に、静流のスマホにメッセージが来た。
 一旦立ち止まってそれを確認した静流が、微妙な顔をナナに向けた。

「……早川さんに、二人きりで花火大会行こうってさそわれたんだけど……あんた何したのよ?」
「な、なんにもしてないんだ……」

 数学を教えただけなんだぞ……。

「はあ……。これ、どうしましょう……」

 静流が顎に手を当てながら悩んでいる。

「彼氏と行くって言えばいいんだ」
「彼氏なんていないって。さっきも言ったでしょ」
「嘘はつきたくないのか? なら……ナナを口実にして断ってもいいんだ」

 そう言うと、静流は少し驚いたような表情になった。
 それから柔らかく微笑んで――

「口実じゃなくて、二人で行きましょ?」
「そだな。一緒に行くんだ」

 海の予定に、花火の予定までできた。
 旅行の話はまだ進んでないけど、もしかしたら行くかもしれない。
 それ以外にもしたいことは山ほどある。
 ナナと静流の夏休みは、まだまだこれからなんだ!
しおりを挟む
感想 3

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(3件)

さこゼロ
2021.04.04 さこゼロ

とても面白かったです(^^)ナナは口調の割にセンスがあって常識人。静流の方がオトボケなのが良かったです。

深山ナオ
2021.04.04 深山ナオ

ありがとうございます!
そう言っていただけると書いたかいがありました!

ナナは口調だけだと相当変わり者っぽいですが、今回はナナ視点だったので、彼女の思考回路が表に出て、常識人っぽい印象になったのかなと思います。

静流は一見、しっかりしたお嬢様風だけど、近しい人から見ると結構抜けてますね。

解除
さこゼロ
2021.02.20 さこゼロ

お風呂に着替えにトイレ。何でしょうか、ナナのこのTS感(^^)同性の筈なのに、男の自分が読んでも凄く楽しい!

深山ナオ
2021.02.21 深山ナオ

感想ありがとうございます!
楽しんで頂けたならなによりです!

解除
さこゼロ
2020.12.31 さこゼロ

そうですね、入れ替わった時はその声が必要です。勿論、お互いを指差すのを忘れずに(^^)

深山ナオ
2020.12.31 深山ナオ

感想ありがとうございます!

解除

あなたにおすすめの小説

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

降霊バーで、いつもの一杯を。

及川 輝新
ライト文芸
主人公の輪立杏子(わだちきょうこ)は仕事を辞めたその日、自宅への帰り道にあるバー・『Re:union』に立ち寄った。 お酒の入った勢いのままに、亡くなった父への複雑な想いをマスターに語る杏子。 話を聞き終えたマスターの葬馬(そうま)は、杏子にこんな提案をする。 「僕の降霊術で、お父様と一緒にお酒を飲みませんか?」 葬馬は、亡くなった人物が好きだったお酒を飲むと、その魂を一時的に体に宿すことができる降霊術の使い手だったのだ。

かあさん、東京は怖いところです。

木村
ライト文芸
 桜川朱莉(さくらがわ あかり)は高校入学のために単身上京し、今まで一度も会ったことのないおじさん、五言時絶海(ごごんじ ぜっかい)の家に居候することになる。しかしそこで彼が五言時組の組長だったことや、桜川家は警察一族(影では桜川組と呼ばれるほどの武闘派揃い)と知る。 「知らないわよ、そんなの!」  東京を舞台に佐渡島出身の女子高生があれやこれやする青春コメディー。

カオスシンガース

あさきりゆうた
ライト文芸
「君、いい声してるね、私とやらない?」  自分(塩川 聖夢)は大学入学早々、美しい女性、もとい危ない野郎(岸 或斗)に強引にサークルへと勧誘された。  そして次々と集まる個性的なメンバー。  いままでにない合唱団を立ち上げるために自分と彼女(♂)の物語は始まる。  歌い手なら知っておきたい知識、雑学、秋田県の日常を小説の中で紹介しています。  筆者の合唱経験を活かして、なるべくリアルに書いております。  青春ものな合唱のイメージをぶっ壊したくてこのお話を書いております。 2023.01.14  あとがきを書きました。興味あれば読んでみてください。

昇れ! 非常階段 シュトルム・ウント・ドランク

皇海宮乃
ライト文芸
三角大学学生寮、男子寮である一刻寮と女子寮である千錦寮。 千錦寮一年、卯野志信は学生生活にも慣れ、充実した日々を送っていた。 年末を控えたある日の昼食時、寮食堂にずらりと貼りだされたのは一刻寮生の名前で……?

飛び立つことはできないから、

緑川 つきあかり
ライト文芸
青年の不変なき日常に終わりを告げるように、数多の人々が行き交う廊下で一人の生徒を目にした。 それは煌びやかな天の輪っかを頭に載せて、儚くも美しい女子に息をするのさえ忘れてしまう。 まるで天使のような姿をした少女との出逢いが、青年の人生を思わぬ形で変えていくことになる。

秘密部 〜人々のひみつ〜

ベアりんぐ
ライト文芸
ただひたすらに過ぎてゆく日常の中で、ある出会いが、ある言葉が、いままで見てきた世界を、変えることがある。ある日一つのミスから生まれた出会いから、変な部活動に入ることになり?………ただ漠然と生きていた高校生、相葉真也の「普通」の日常が変わっていく!!非日常系日常物語、開幕です。 01

不眠症の上司と―― 千夜一夜の物語

菱沼あゆ
ライト文芸
「俺が寝るまで話し続けろ。  先に寝たら、どうなるのかわかってるんだろうな」  複雑な家庭環境で育った那智は、ある日、ひょんなことから、不眠症の上司、辰巳遥人を毎晩、膝枕して寝かしつけることになる。  職場では鬼のように恐ろしいうえに婚約者もいる遥人に膝枕なんて、恐怖でしかない、と怯える那智だったが。  やがて、遥人の不眠症の原因に気づき――。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。