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4 今思えばパンツとか普通に見えてたんだ……
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ファミレスを出て、静流と一緒にもう一度学校まで戻ってきた。
赤い日差しが窓から差し込む廊下を二人で進み、先程転落した階段の前までやってきた。
遠くから吹奏楽部の演奏や、部活に勤しむ生徒の喧騒が聴こえてくる。
「真ん中からだと痛いから、三段くらいにするんだ」
「ええ、そうね」
静流と頷き合って、三段だけ上る。
「誰も見てないわよね」
こんな奇行誰かに見られてたら、黄昏時、学校の階段を転がり落ちる女子生徒として学校の怪談になっちゃうんだ。
しっかり確認しとこ。
……。
ヨシ!
「大丈夫なんだ!」
「人が来ないうちに始めましょう」
静流の言葉に頷き返すし、口を開く。
「三からカウントダウンでいくんだ。ゼロになったら一緒に落ちるんだぞ」
「わかったわ」
「それじゃ、いくんだ。ゴートゥーヘルなんだ」
「いや、死なないわよ」
「さん! にー! いち! ゼロ! てやっ!」
それを合図に、階段から身を投げる。
「うぎゃっ! うぅ……三段でも痛いんだ……」
身を起こしながら、自分の身体を見る。
……巨乳のままなんだ。
ということは隣にはナナの身体があるわけで。
「戻らなかったんだ……」
呟きながら、隣に視線を送る。
姿勢を正した静流が、顎に手を当てて考えている。
「そうね……三段で妥協したのがいけなかったのかしら。奈々、もう一回……今度は真ん中から――しっかりあの時の状況を再現するわよ」
「また落ちるのか⁉」
「うん」
「うぅ……痛いのは嫌なんだぁ」
「元に戻るためよ」
ナナの手首を掴んで静流が階段を上っていく。階段の真ん中で足を止めて、下に視線を向ける。
うっ、結構高いんだ……。
それに、胸が邪魔で足元が見えないから、余計に怖い……。
「ここで私が立ち眩みして、ナナが支えようとしてくれたのよね」
「重くて支えきれなかったんだ……」
「重っ……」
「今度はナナが立ち眩みして落ちればいいのか?」
「そうね。支えようとして私も落ちる――そういう流れで行きましょう」
「わかったんだ。それじゃ、ナナから落ちるんだ」
……。
下を見てると怖いから目を閉じよう。
……。
口の中に唾が溜まってきたんだ。
ごくり……。
……なんか手汗出てきた……。
ふきふき……。
「早くしなさいよ!」
「この高さから落ちるなんて、ナナは怖いんだ!」
「私だって怖いわよ。でも、元に戻るためにはこうしなきゃいけないのっ」
「こんな思いするなら、ナナは戻らなくたっていいんだ」
「それなら私だって……いや、やっぱりダメよ。元に戻らないときっと後々困るわ」
「そうかもしれないけど……」
確かに、ずっとこのままじゃいられないんだ……。
「わかったぞ。ナナはやるんだ……」
もう一度正面に向き直り、立ち眩みしたときのようにふらっと体を倒す。
重力に惹かれるままになっていると、細い腕が思い切り抱き留めてきた。
そしてその直後。
衝撃と共に階段を転げ落ちた。
赤い日差しが窓から差し込む廊下を二人で進み、先程転落した階段の前までやってきた。
遠くから吹奏楽部の演奏や、部活に勤しむ生徒の喧騒が聴こえてくる。
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「ええ、そうね」
静流と頷き合って、三段だけ上る。
「誰も見てないわよね」
こんな奇行誰かに見られてたら、黄昏時、学校の階段を転がり落ちる女子生徒として学校の怪談になっちゃうんだ。
しっかり確認しとこ。
……。
ヨシ!
「大丈夫なんだ!」
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「三からカウントダウンでいくんだ。ゼロになったら一緒に落ちるんだぞ」
「わかったわ」
「それじゃ、いくんだ。ゴートゥーヘルなんだ」
「いや、死なないわよ」
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それを合図に、階段から身を投げる。
「うぎゃっ! うぅ……三段でも痛いんだ……」
身を起こしながら、自分の身体を見る。
……巨乳のままなんだ。
ということは隣にはナナの身体があるわけで。
「戻らなかったんだ……」
呟きながら、隣に視線を送る。
姿勢を正した静流が、顎に手を当てて考えている。
「そうね……三段で妥協したのがいけなかったのかしら。奈々、もう一回……今度は真ん中から――しっかりあの時の状況を再現するわよ」
「また落ちるのか⁉」
「うん」
「うぅ……痛いのは嫌なんだぁ」
「元に戻るためよ」
ナナの手首を掴んで静流が階段を上っていく。階段の真ん中で足を止めて、下に視線を向ける。
うっ、結構高いんだ……。
それに、胸が邪魔で足元が見えないから、余計に怖い……。
「ここで私が立ち眩みして、ナナが支えようとしてくれたのよね」
「重くて支えきれなかったんだ……」
「重っ……」
「今度はナナが立ち眩みして落ちればいいのか?」
「そうね。支えようとして私も落ちる――そういう流れで行きましょう」
「わかったんだ。それじゃ、ナナから落ちるんだ」
……。
下を見てると怖いから目を閉じよう。
……。
口の中に唾が溜まってきたんだ。
ごくり……。
……なんか手汗出てきた……。
ふきふき……。
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「それなら私だって……いや、やっぱりダメよ。元に戻らないときっと後々困るわ」
「そうかもしれないけど……」
確かに、ずっとこのままじゃいられないんだ……。
「わかったぞ。ナナはやるんだ……」
もう一度正面に向き直り、立ち眩みしたときのようにふらっと体を倒す。
重力に惹かれるままになっていると、細い腕が思い切り抱き留めてきた。
そしてその直後。
衝撃と共に階段を転げ落ちた。
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