9 / 18
特訓②
しおりを挟む
リコさんに連れられて、町の南やってきた。僕がこの町に入ってきたときに通った門がある場所だ。
門のそばの日陰で、マッチョ門番が丸太椅子に腰を下ろし暇そうにしている。
その隣の、2階建ての木造の建物にリコさんが入っていく。そばにある立て札にギルドと書かれている。
中は明かりが少なく暗いため、怪しい雰囲気だ。壁に掲載されている依頼の紙がその怪しさをより強くしている。
建物の半分くらいのスペースを割いてテーブルと椅子が設置されているが、今は誰もいない。
正面奥には受付らしき場所があり、落ち着いた雰囲気の黒髪の女性が座って書類を整理している。
リコさんがその女性の方に近づくと、女性は作業する手を止め、顔をあげた。
「いらっしゃいませ、リコ様」
表情を動かさない、かしこまった口調の挨拶から、僕は真面目な印象を受けた。
それに対して、リコさんは持ち前の明るさを前面に出した表情をみせる。
「プリシラ、ちょっと場所借りるよ。あと練習用の武器も。んー、木製のナイフでいいかな」
「かしこまりました」
プリシラと呼ばれる女性は、席をたって二階へと上がっていった。
それに構わず、リコさんは建物の奥へと進んでいく。僕もリコさんの跡についていく。
裏口のドアを開けて外に出るリコさん。それに続いて僕も外に出た。
そこは野球場の内野程の広さの場所を、背丈より少し高い塀で覆ったスペースだった。地面は柔らかめの黒い土だ。天井が無いので日差しが少し眩しい。
「ここは、戦闘訓練のためにギルドが無料で貸してくれるんだ」
祖言ってリコさんは、準備運動を始める。
それを見て、僕も準備運動を始める。
しばらくすると、プリシラさんが箱を抱えて来た。
箱から木製のナイフを2つ取り出し、僕の方に近づいてくる。
プリシラさんは近くで見ると、なかなか美人だ。身長はリコさんより少し低いくらい。ちなみにリコさんは僕と同じくらい――つまり170センチくらい――だ。クールな雰囲気の顔立ちと艶やかなセミロングの黒髪が、大人の雰囲気を醸し出している。ギルドの制服なのであろう、黒を基調とした制服とタイトなスカートが大人っぽさをますます高めているように思えた。
「どうぞ、お使いください」
そう言ってプリシラさんは、僕とリコさんに木製のナイフを渡した。刃渡り15センチほどで、先日僕が買った短剣と同じくらいの長さだが、重さは木製のためか軽い。
「それでは、私はこれで失礼します」
と、プリシラさんは一礼して室内へと戻っていった。
「それじゃあ、始めよっか!」
そう言ってリコさんは、数歩下がって僕から間合いを取った。
門のそばの日陰で、マッチョ門番が丸太椅子に腰を下ろし暇そうにしている。
その隣の、2階建ての木造の建物にリコさんが入っていく。そばにある立て札にギルドと書かれている。
中は明かりが少なく暗いため、怪しい雰囲気だ。壁に掲載されている依頼の紙がその怪しさをより強くしている。
建物の半分くらいのスペースを割いてテーブルと椅子が設置されているが、今は誰もいない。
正面奥には受付らしき場所があり、落ち着いた雰囲気の黒髪の女性が座って書類を整理している。
リコさんがその女性の方に近づくと、女性は作業する手を止め、顔をあげた。
「いらっしゃいませ、リコ様」
表情を動かさない、かしこまった口調の挨拶から、僕は真面目な印象を受けた。
それに対して、リコさんは持ち前の明るさを前面に出した表情をみせる。
「プリシラ、ちょっと場所借りるよ。あと練習用の武器も。んー、木製のナイフでいいかな」
「かしこまりました」
プリシラと呼ばれる女性は、席をたって二階へと上がっていった。
それに構わず、リコさんは建物の奥へと進んでいく。僕もリコさんの跡についていく。
裏口のドアを開けて外に出るリコさん。それに続いて僕も外に出た。
そこは野球場の内野程の広さの場所を、背丈より少し高い塀で覆ったスペースだった。地面は柔らかめの黒い土だ。天井が無いので日差しが少し眩しい。
「ここは、戦闘訓練のためにギルドが無料で貸してくれるんだ」
祖言ってリコさんは、準備運動を始める。
それを見て、僕も準備運動を始める。
しばらくすると、プリシラさんが箱を抱えて来た。
箱から木製のナイフを2つ取り出し、僕の方に近づいてくる。
プリシラさんは近くで見ると、なかなか美人だ。身長はリコさんより少し低いくらい。ちなみにリコさんは僕と同じくらい――つまり170センチくらい――だ。クールな雰囲気の顔立ちと艶やかなセミロングの黒髪が、大人の雰囲気を醸し出している。ギルドの制服なのであろう、黒を基調とした制服とタイトなスカートが大人っぽさをますます高めているように思えた。
「どうぞ、お使いください」
そう言ってプリシラさんは、僕とリコさんに木製のナイフを渡した。刃渡り15センチほどで、先日僕が買った短剣と同じくらいの長さだが、重さは木製のためか軽い。
「それでは、私はこれで失礼します」
と、プリシラさんは一礼して室内へと戻っていった。
「それじゃあ、始めよっか!」
そう言ってリコさんは、数歩下がって僕から間合いを取った。
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
リンダ・りんだ・LINDA!~ 私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?アフターストーリー ~
さいとう みさき
恋愛
「私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?」のアフターストーリーとなります。
今度は金髪碧眼、ちっちゃくてかわいいのに巨乳のオーストラリア人リンダが由紀恵たちの高校に短期留学?
ただでさえ女難の相に悩まされる兄友也に追い打ちキター!
お兄ちゃん大好きな由紀恵も大奮闘?
へんてこ外国人リンダと由紀恵たちの新たなドタバタ開幕!?
さあどうなる事やら!
*今回の物語はちょっとエッチが多いです。苦手な方はどうぞご理解の上ご覧いただけますようお願い致します。
*私の作品の中もでかなりいい加減です。ギャグ要素も強いのでご理解のほどよろしくお願い致します。
*前作を知っている前提で書かせていただいていますので解説不足が有るのはご容赦ください。ご興味ある方は前作の「私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?」をご覧になられてからこちらを読んで頂けることを強く推奨させていただきます。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ヒメサマノヒメゴト2〜殺し屋の姫、孕むまで終わらぬ臣下との交情〜
こうしき
恋愛
「毎日必ず三度は交わって、跡継ぎを成せ──」
殺し屋の治める国 ファイアランス王国では、国王エドヴァルドをはじめ、多くの者たちが失明した後に命を失う「血眼病(けつがんびょう)」という病に罹患していた。
片目が失明し、最早これまでと死後を悟ったエドヴァルドは、次期国王にして第二王女のアンナに一刻も早く子を成すよう命令を下す。
アンナの婚約者 エリックが長期出張で不在の中、アンナの相手にと抜擢されたのは、彼女の臣下で従兄のシナブルだった。
長年、アンナを思い続けていたシナブルと、彼のことを男として意識をしてこなかったアンナが交わるのを、「きちんと膣に射精しているかどうか」監視するよう命じられたのはシナブルの兄 ルヴィス。
主と臣下、期限付きの性交期間。日に三度も交わり続ける二人の関係は、歪なものに形を変えてゆく──。
全5話+おまけ予定です
────────
この作品は、「英雄と呼ばれた破壊者の創るこの世界で」のヒロイン アンナと、臣下シナブルの56話以降に出てきた過去設定を書いたものです(英はかの1話時からは10年前の出来事で、華々の乱舞1話時からは12年後のお話です)。「華々の乱舞」でこの前後の話が出てきますが、まだそこにまで至っておりません。
作者が書きたかった為、先に出してしまうこととなりました……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる