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特訓②

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 リコさんに連れられて、町の南やってきた。僕がこの町に入ってきたときに通った門がある場所だ。
 門のそばの日陰で、マッチョ門番が丸太椅子に腰を下ろし暇そうにしている。
 その隣の、2階建ての木造の建物にリコさんが入っていく。そばにある立て札にギルドと書かれている。

 中は明かりが少なく暗いため、怪しい雰囲気だ。壁に掲載されている依頼の紙がその怪しさをより強くしている。
 建物の半分くらいのスペースを割いてテーブルと椅子が設置されているが、今は誰もいない。
 正面奥には受付らしき場所があり、落ち着いた雰囲気の黒髪の女性が座って書類を整理している。
 リコさんがその女性の方に近づくと、女性は作業する手を止め、顔をあげた。

「いらっしゃいませ、リコ様」
 表情を動かさない、かしこまった口調の挨拶から、僕は真面目な印象を受けた。
 それに対して、リコさんは持ち前の明るさを前面に出した表情をみせる。
「プリシラ、ちょっと場所借りるよ。あと練習用の武器も。んー、木製のナイフでいいかな」
「かしこまりました」
 プリシラと呼ばれる女性は、席をたって二階へと上がっていった。
 それに構わず、リコさんは建物の奥へと進んでいく。僕もリコさんの跡についていく。
 裏口のドアを開けて外に出るリコさん。それに続いて僕も外に出た。
 そこは野球場の内野程の広さの場所を、背丈より少し高い塀で覆ったスペースだった。地面は柔らかめの黒い土だ。天井が無いので日差しが少し眩しい。
「ここは、戦闘訓練のためにギルドが無料で貸してくれるんだ」
 祖言ってリコさんは、準備運動を始める。
 それを見て、僕も準備運動を始める。
 しばらくすると、プリシラさんが箱を抱えて来た。
 箱から木製のナイフを2つ取り出し、僕の方に近づいてくる。
 プリシラさんは近くで見ると、なかなか美人だ。身長はリコさんより少し低いくらい。ちなみにリコさんは僕と同じくらい――つまり170センチくらい――だ。クールな雰囲気の顔立ちと艶やかなセミロングの黒髪が、大人の雰囲気を醸し出している。ギルドの制服なのであろう、黒を基調とした制服とタイトなスカートが大人っぽさをますます高めているように思えた。

「どうぞ、お使いください」
 そう言ってプリシラさんは、僕とリコさんに木製のナイフを渡した。刃渡り15センチほどで、先日僕が買った短剣と同じくらいの長さだが、重さは木製のためか軽い。
「それでは、私はこれで失礼します」
 と、プリシラさんは一礼して室内へと戻っていった。
「それじゃあ、始めよっか!」
 そう言ってリコさんは、数歩下がって僕から間合いを取った。
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