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プロローグ
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僕、里中マサトは交通事故に巻き込まれ18歳という若さで生涯を終えた……はずだった。
気が付くと、舗装もされてない田舎道に一人寝そべって青空を見つめていた。
立ち上がると、正面遠方に町が見える。ゲームやアニメで見るような、ファンタジー風の町だ。これがうわさに聞く異世界転生というものなのか?とりあえず、その町を目指して歩き出した。
整備のされていない田舎道を歩いていると、スライムを数匹見掛けたが、別段襲ってくるようなことはなかったので無視することにした。スライムは剣では切れなさそうなほどブニブニで気持ち悪かった。というかスライムってどうやって倒すんだ?鍋に入れて火に掛けてみるとか?
そんなスライムの出る田舎の一本道を淡々と進み、町にたどり着いた。木造の建物が多い町で、入り口の門には槍を持った、大柄で日焼けしたマッチョな門番が立っていた。
「おい、お前。おかしな服装だな。どこから来た」
マッチョ門番は学生服の僕を訝しげに見ながら重厚な声色で問いかけた。日本語で話してくれるとは、なんとも新設設定だな……。
さて、どう答えたものだろうか。異世界転生したなんて言ったら、頭おかしい奴と思われそうだし……。
「よくわからない。どうやら記憶喪失になってしまったようで……」
そう答えると、マッチョはますます怪訝そうな顔をしてしばらく僕をじろじろと見ていたがやがて、
「まあいい。身体検査だけさせてもらうからな」
とため息をつきながら身体検査をした。
僕が何も危ないものを持っていない、というより、本当に何一つ持ち物を持っていないとことを確認すると、
「もういい、通れ」
と、町に入れてくれた。
とりあえず寝床を確保したいが、宿に泊まるような金は持ってない。町ゆく人に泊めてもらえないかとお願いして回ったが、渋い顔で断られてしまった。日が暮れる頃、僕は途方に暮れていた。と、そんな時……。
「ねえ、キミ。行く当てないんでしょ?」
唐突に掛けられた、華やかな女性の声に反応し、振り返る。そこには金髪の少女が立っていた。
身長は160センチ前後くらいだろうか。僕より少し低い背丈の少女は、白を基調としたワンピースを纏っており、レースの生地でできた袖口から柔らかそうな二の腕がすらりと伸びている。
金髪の前髪はピンで止め、長い後ろ髪をサファイアブルーのリボンで束ねてポニーテールにしている。
少し上目遣いで僕を見つめる、底の見えない海のような碧眼に、僕の意識は吸い込まれていた。
「キミ、良ければ私の奴隷になってみない?」
そう言った彼女の頬は、夕陽に照らされて、ほんのり赤く染まっていた。
良ければ奴隷になってみない?というセリフは、謙虚なのか傲慢なのかよく分からない。
ただ、世界の汚れた部分を知らなさそうなこの金髪碧眼の少女が、「奴隷にならない?」などと勧誘してきたことに、僕はあっけにとられてしまった。
そんな僕を不思議そうに見つめていた少女が不意にはっとして口を開いた。
「あっ、心配しないで。奴隷と言っても別に酷いことはしないし、きちんと衣食住の揃った生活を保証するわ。それに、嫌になったらいつやめてもかまわないし……」
怪しい話だったが、寝床すら確保できていない僕にはおいしい話だ。
「まあ、いつ辞めてもいいんだったら……お願いします」
僕の返事を聞くと、少女の顔がぱあっと明るくなった。
「はい!決まりね。それじゃあ、私についてきて!」
気が付くと、舗装もされてない田舎道に一人寝そべって青空を見つめていた。
立ち上がると、正面遠方に町が見える。ゲームやアニメで見るような、ファンタジー風の町だ。これがうわさに聞く異世界転生というものなのか?とりあえず、その町を目指して歩き出した。
整備のされていない田舎道を歩いていると、スライムを数匹見掛けたが、別段襲ってくるようなことはなかったので無視することにした。スライムは剣では切れなさそうなほどブニブニで気持ち悪かった。というかスライムってどうやって倒すんだ?鍋に入れて火に掛けてみるとか?
そんなスライムの出る田舎の一本道を淡々と進み、町にたどり着いた。木造の建物が多い町で、入り口の門には槍を持った、大柄で日焼けしたマッチョな門番が立っていた。
「おい、お前。おかしな服装だな。どこから来た」
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さて、どう答えたものだろうか。異世界転生したなんて言ったら、頭おかしい奴と思われそうだし……。
「よくわからない。どうやら記憶喪失になってしまったようで……」
そう答えると、マッチョはますます怪訝そうな顔をしてしばらく僕をじろじろと見ていたがやがて、
「まあいい。身体検査だけさせてもらうからな」
とため息をつきながら身体検査をした。
僕が何も危ないものを持っていない、というより、本当に何一つ持ち物を持っていないとことを確認すると、
「もういい、通れ」
と、町に入れてくれた。
とりあえず寝床を確保したいが、宿に泊まるような金は持ってない。町ゆく人に泊めてもらえないかとお願いして回ったが、渋い顔で断られてしまった。日が暮れる頃、僕は途方に暮れていた。と、そんな時……。
「ねえ、キミ。行く当てないんでしょ?」
唐突に掛けられた、華やかな女性の声に反応し、振り返る。そこには金髪の少女が立っていた。
身長は160センチ前後くらいだろうか。僕より少し低い背丈の少女は、白を基調としたワンピースを纏っており、レースの生地でできた袖口から柔らかそうな二の腕がすらりと伸びている。
金髪の前髪はピンで止め、長い後ろ髪をサファイアブルーのリボンで束ねてポニーテールにしている。
少し上目遣いで僕を見つめる、底の見えない海のような碧眼に、僕の意識は吸い込まれていた。
「キミ、良ければ私の奴隷になってみない?」
そう言った彼女の頬は、夕陽に照らされて、ほんのり赤く染まっていた。
良ければ奴隷になってみない?というセリフは、謙虚なのか傲慢なのかよく分からない。
ただ、世界の汚れた部分を知らなさそうなこの金髪碧眼の少女が、「奴隷にならない?」などと勧誘してきたことに、僕はあっけにとられてしまった。
そんな僕を不思議そうに見つめていた少女が不意にはっとして口を開いた。
「あっ、心配しないで。奴隷と言っても別に酷いことはしないし、きちんと衣食住の揃った生活を保証するわ。それに、嫌になったらいつやめてもかまわないし……」
怪しい話だったが、寝床すら確保できていない僕にはおいしい話だ。
「まあ、いつ辞めてもいいんだったら……お願いします」
僕の返事を聞くと、少女の顔がぱあっと明るくなった。
「はい!決まりね。それじゃあ、私についてきて!」
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