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6-4「これから悠飛くんを……私のものにしてみせます♡」

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 少しの肌寒さと、何かが絡みつくような暑苦しさ。
 それらが混在したような変な感覚が、おれの意識を引き上げる。
 薄目を開けて、ぼんやりとおれの瞳に写ったのは天井。
 薄闇の中、仄暗ほのぐらいオレンジ色の光を受けて、ようやく天井だと判別できた。
 そして――。

「お目覚めですか?」

 囁くような言葉がおれの首元をくすぐった――反射的にぞくっとっ身震いしてしまう。
 
 天井から、声がした方へと視線を移す。
 声の主――上目遣いのれんさんと目が合った。
 寝ているおれのすぐ横で、恋さんがおれの体に抱き着いていたのだ――ピンクのカーディガンを纏う柔らかな体。おれの腕に、恋さんの大きな胸が押し当てられている。
 それを黙視するのと同時に、自分の裸体も目に入った。
 …………。
 なぜ服を着ていないんだ?
 その疑問が浮かんだ瞬間。
 自身の手首足首に異変に気付いた。
 縛られている。
 動かそうとしてみるが、おれの手足は大の字に固定されたまま、ベッドの上からほとんど動かない。

「恋、さん?」

 動揺しきったおれは、その呼びかけだけで説明を求める。
 ここはどこなのか?
 この状況は何なのか? 
 
 しかし、恋さんは妖艶に微笑むだけで、その質問には答えてくれなかった。

「大丈夫ですから……」

 それだけ言うと、恋さんはおれに顔を寄せてきて――唇を重ねた。
 それは一瞬のことで――始まりの合図のようでもあった。

 唇を離した恋さんの顔は、薄暗い中でもわかる程に赤くなっている。
 濡れた瞳には色欲がはっきりと宿っている。

わたくし、今のがファーストキス、でしたの……」

 そんなこと報告されても、困る。
 こっちは未だに状況を飲み込めていないのだ。

 目を覚ましたら恋さんと二人きり。
 おれはベッドに縛られている。
 そして――恋さんにキスされた。

「これは……恋さんがやったの? 恋さんが、おれの手足を縛ったのか?」
「ええ」恋さんが頷く。
「解いてくれないか?」
「ダメ、です……」
 答えるのと同時に再び唇を寄せてくる。刹那せつなの接触があった後。
「これから悠飛ゆうひくんを……私のものにしてみせます♡」
 恋さんはそう宣言した。


 そして三度目の口付け。
 思い切り柔らかさを押し付けた後――恋さんの舌が、おれの中に割って入ってきた。
 
 こじ開けるように強引に。
 むさぼるように激しく。
 恋さんの舌に、おれの舌がからめとられる。

「れるっ……れろっ、れろっ……くちゅっ……」

 おれの舌を溶かすように、情熱的に舌を絡めてくる。
 柔らかい――熱い。
 互いの唾液が混じり合って、淫靡いんびな音をたてる。
 それでも、構うことなく恋さんはおれの舌を貪り続ける。

「ちゅるっ……れろっ、れろっ……すはぁっ……」

 呼吸の限界を迎えるまで、長い、長いキスをした後、恋さんはようやく唇を離した。
 互いの口から引いた唾液の糸が、シーツに垂れ落ちていく。

「気持ち、いい……」

 熱に浮かされたような声。
 真っ赤になった恋さんの顔は、すっかりとろけ切っている。

「悠飛くんは、どう、でしたか?」
「……」

 その質問に、おれは沈黙で返す――こんなの、認めるわけにはいかない。
 しかし、そんなおれに構わず恋さんは言葉を続けた。

「これから、もっと気持ちいいこと……しましょ?」

 誘うように囁いた後。
 恋さんは、自分の服を脱ぎ始め――下着姿になった。
 レースのあしらわれた黒のブラジャーが彼女の豊満な胸を押さえつけ、ブラとお揃いのパンツの黒や黒のニーソが、真っ白なお腹やムチっとした太ももを引き立てている。
 その女性的な姿は――余りにも扇情的過ぎた。

「あら?」恋さんが悪戯な笑みを浮かべる「大きくなってきましたねっ」

 その指摘に、これ以上ないほど顔が熱くなる。

「ふふっ、その表情、すごくいいですっ。可愛いですよ、悠飛くん」

 恍惚とした表情で、恋さんは続ける。

「下着姿でこんなになってしまうのでしたら、裸になったら一体どうなってしまうのでしょう? あ……それとも、下着姿のままの方が好みですか? どうですか?」
「……」

 その質問にも答えない。

「そんなにムスっとしなくてもよろしいのに……」

 おれの反応を見て、恋さんは、少し唇を尖らせた。
 けれど、すぐに表情を和らげて。

「まあ、今回は脱ぐことにしましょう。お望みならば、次回は着たまましましょうね」

 言いながら、恋さんは背中に手を回す。
 直後、ブラジャーが緩み――解放された果実が弾けるように揺れた。
 黒布を恋さんが取り払う。
 白い柔肌にぷっくらと綺麗な乳輪。
 それに目が釘付けになってしまう。
 
「……そんなに見られると、恥ずかしいですわ」

 恋さんが、女性らしい羞恥を浮かべ、自分を抱くようにして胸を隠す。
 けれど。

「でも、悠飛くんになら……」

 そう言って、すぐに腕を下ろした。
 そして、そのままパンツに指を掛け――ゆっくりと降ろしていく。
 整えられた陰毛が露わになり、パンツの裏地に愛液がしたたり落ちた。
 
「どう……ですか? 私の裸は?」
「……」

 答えず、恋さんから視線を外した。

「ふふ、恥ずかしがり屋さんなのですね」

 恋さんは勝手にそう解釈し、妖しく笑う。
 そして、黒ニーソだけを着用した姿でおれの腰に跨ってきた。
 滴り落ちた恋さんの愛液が、おれの股間を濡らす。
 恋さんのショートヘアがゆらりと揺れ、おれに覆いかぶさるようにして、唇を重ねてくる。
 おれの唇の感触を確かめるだけの、短いキスの後。
 蠱惑的こわくてきな視線を向けて、おれに囁く。

わたくしの初めて、悠飛くんあなたに捧げます♡ だから、しっかり見ていてください、ね?」

 直後、おれのモノにひんやりとした感触。
 恋さんが優しく包み込むように手に取ったのだ。
 そして、おれの先端が温もりに触れる。

「んっ……」
 
 恋さんが熱い吐息を吐き――ゆっくりと腰を下ろしていく。
 柔らかい女性器の入り口を押し広げ、熱の中に埋もれていく感覚。
 思考が麻痺してしまう程の快感が押し寄せてくる。
 
「ひぃ……んっ……」

 痛みを押し殺すような声を発し、恋さんの動きが止まる。
 微かな引っ掛かりが先端に触れている。
 
「んっ……悠飛さん、見ていてくださいねっ、いきます、よ」

 一呼吸置いた後、恋さんは再び腰を落とした。

「ひぐぅっ……はぁっ、はぁ……私の処女、悠飛くんあなたに捧げましたぁ♡」

 恋さんの表情は喜悦に満ちている。
 結合部から、純潔の証が滴り落ちた。

「どうですかっ? 私の中は? 気持ちいいですか?」

 恋さんが問いかける。
 おれは答えない。
 けれど、構わずに恋さんは言葉を続けた。

「私は、とっても気持ちいいですよぉ。悠飛くんの熱くて硬いおちんちんが、私の中に入ってるって……悠飛くんと一つになってるんだって……嬉しくて、気持ちいい……。動いたら、もっと気持ちよくなるんですよね? これ以上なんて、どうなってしまうのでしょう? 動いても、よろしいですか? よろしいですよね? 動きますよっ」

 恋さんがゆっくり腰を上下させ始める。
 その度に豊満な胸が形を変える。
 その強烈な光景と初めて味わう女性器の刺激とが相まって、おれの脳を痺れさせていく。
 そこに恋さんの嬌声が追い打ちをかけるように降り注いでくる。

「あっ、んっ……こ、これ……、しゅごっ、い……! わたくしの、奥、に……ずんずんって……当たってぇ、ひぅっ! ん、ん、んっ……だめっ、声、止まり、ませんっ、ぁああっ、あ、んっ……!」

 おれの上で乱れる恋さん。
 おれは彼女に抗わなければならない。
 ゴムはしていないし、彼女がピルを飲んでいるとも思えない。
 彼女は一心不乱におれの上で腰を振り続けている。
 おれを虜にするか。
 既成事実を作るか。
 そんな目論見の下に行動しているのはずだ。
 だから、おれは彼女に抗わなければならない。
 なのに。
 なのに、なのに、なのに……。
 おれは、彼女に――抗えない。
 手足を封じられている。
 快楽がおれを蝕んでいく。
 嫌なのに、気持ち良い。
 おれには何もできない。
 おれは無力感の中で、恋さんの痴態を眺め、嬌声を聞き、快楽を享受し続けるだけ。

「ああ……悠飛くんの、おちんちんっ……気持ち、いい! これっ、ずっと、ずっと……欲しかったのっ! んあっ、好き、好き、好きぃ! 悠飛くんも、悠飛くんのおちんちんも、好きぃ! 大好きぃ! ん、んっ……ずっと、ずっと……こうやって、じゅぽじゅぽ……って、したかったのぉっ! あ、あ、あ……あああっ……もっと! もっと、いっぱい……あっ、突いて、突いてっ!」

 恋さんの動きはますます激しくなっていく。
 ショートヘアを振り乱し、胸が勢い良く揺れ続ける。
 
「んんっ……いい、いいっ……あっ、あっ、あっ……気持ちいいのっ、止まりませんっ、ん、ん、んっ……」

 恋さんは乱れ続ける。
 口はだらしなく開き、端から唾液が伝い落ちる。
 結合部は愛液と破瓜の血でぐしょぐしょだ。
 
「ぁああっ……、きますっ! なにか……、きちゃいますっ!」

 絶頂の気配を訴える恋さん。
 これを越えれば、終わる。
 だけど。
 おれももう限界だ。

「あっ、あっ、あああっ……きちゃいますぅぅぅ!」

 恋さんの締め付けが一層強くなる。
 けれど恋さんは本能のままに腰を動かし続ける。
 我慢は――不可能だった。

「あっ、だめっ、ん、んっ、んんーーーーーー!!!!!」

 恋さんの体が大きく仰け反るのと同時に――おれは限界を超えた。
 解き放った情動は、止まらない。
 何度も何度も脈打ち、恋さんの奥深くに注ぎ込み続ける。

「ひゃうっ……出てますっ! 大好きな、悠飛くんのが、ビクビクってして、んっ……熱いの、いっぱい、出てますぅ!」

 恋さんの膣が、おれのものを搾り取るようにキュッと締まる。
 それに抗うことはできず、おれは最後の一滴まで恋さんの中に解き放ってしまった。
 
「んっ、お腹の中、あったかいです……ふふっ」
 恋さんは幸せそうに微笑み、余韻に浸る。
「大好きですよ、悠飛くん……」
「……もういいだろ?」
 
 頼むから、もう、解放してくれ。
 と、そんな気持ちから出た言葉。
 けれど。

「ええ、休憩はもういいですよね」
 恋さんは妖艶な笑みを浮かべて続けた。
「それじゃあ、もう一回しましょうか♡」
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